友達の弟が可愛すぎるから、あの手この手で誘惑してみたっ! 作:雨宮照
この部屋に、人が隠れてるとすれば……。
カーテンや、ベッドの下。
それから、クローゼットの中……とか?
っていうかこの姉弟、同じベッドで寝てるのか。
……羨ま……けしからん。
あとでメグちゃんに文句言っておかなきゃ!
……っと。
まずは、カーテンを開けることにする。
「ここかぁー!」
子ども部屋の黄緑色のカーテンを……勢いよく、しゃーっと開く。
しかし、そこには誰もいない。
「じゃあ……ここっ!」
今度は、ベッドの下。
身を屈めて、小さな隙間を覗き見る。
……当然な気はするけど、誰もいない。
いやいや、小学生なら入れるかもしれないって思ったんだって。
と、そこであたしは何かの視線に気がつく。
そこで身を起こして、この部屋にいるもう一人を確認してみると……あっ!
ヨータが、あたしのお尻を凝視してる!
これはからかい甲斐がありそう。
あたしはまだヨータが見てることを確認すると、わざとお尻をふりふりして履いているジーパンを下にずらす。
「……んーっ、ここにはいないかな……?」
なんて、白々しい演技にも気付かないくらい、熱心にあたしのケツを見るヨータ。
小学生のくせに、ませてるなぁ。
そこで、あたしは床に置いておいたスマートフォンを起動。
ライトを点けるフリをして、カメラアプリをこっそり立ち上げた。
そして内カメラにして……あたしのお尻を覗くヨータの間抜けな顔を……激写!
するとたちまちカメラのシャッター音が鳴り響いて、赤くなったヨータの顔がメモリに保存された。
ニヤリ。
いけない玩具を見つけた子どものようにほくそ笑むあたし。
そんなあたしの様子を見て、ヨータがビクッと肩を震わせた。
「これ、なーんだ?」
あたしは、今撮ったヨータのだらしない顔を本人に突きつける。
「そ、それは……」
ヨータは頬を染めたまま顔を逸らしてるけど、目は泳いでる。
それも平泳ぎみたいに穏やかじゃなくて、バタフライみたいに激しく。
さて、ここでこの部屋の状況をおさらいしてみよう。
現在ここにいるのは、三人。
あたしのお尻を凝視していたのがバレてあたふたしているヨータ、写真を突きつけてニヤリと笑うあたし。そしてもう一人。
ここには、ヨータの好きな女の子がいる!
つまり、ヨータは今あたしに自分がおしりを覗いていたという恥ずかしい事実が発覚するとともに……好きな女の子に、そんな醜態を晒していることになる!
よってヨータの好きな女の子はヨータに幻滅し……更に、ヨータが自分より歳上のお姉さんに欲情する場面を目の当たりにして、自分に自信をなくすのよっ!
え? してることが最低だって? 大人気ないって? ……ふふん、笑わせる。
この世は弱肉強食!
強きものは手に入れ、弱きものは諦めざるを得ない世界!
……あたしはそんな世の常識を、まだ見ぬ女子小学生に教育してあげるだけなの……。
っていうか、こんなかわいい弟くんのヨータは渡さないっ! 渡せないっ!
あたしは写真をちらつかせて、ヨータに迫る。
「今、あたしのどこを見てたのかな〜? なに、考えてたのかな〜?」
「べ、別にどこっていうか……」
「正直に、言ってごらん……ほら、はやく……」
どんどん顔が赤くなって、耳まで真っ赤にするヨータ。
噴火してしまいそうなほど身体が火照っているのがわかる。
するとヨータが。
「……っ……だよ……」
「……なんて言ったの〜、ほらほら〜」
口を開いて、なにか言ったみたいだ。
きっとお尻を見てたって、恥ずかしいのを堪えて言ったんだろう。
そんな彼を見ていると、たまらなく愛おしくなる。
だけど、それと同時に嗜虐心が煽られるのもまた事実。
あたしは楽しくなってきて、彼に意地悪をしてしまう。
「ほら、言ってごらん……あたしの、どこを見てたのかなぁ〜」
「……っ……わ、わかったよ、言うよっ!」
決心したように吐き捨てるヨータ。
次に紡ぐ言葉に、あたしはドキドキが止まらない。
好きな女の子が見てる中、ヨータがあたしへのエッチな告白を宣言する……!
こんなのって、かわいすぎるよぉ……。
そんなあたしの気も知らずに、ヨータは次の言葉を言い放つ。
その状況で、彼が放った言葉とは……!
「……っ……ケイ姉……お尻、見えてるよ……」
「…………へ?」
「……えと、だから……その……お尻」
言われて、手をお尻のところに持っていくあたし。
そこにはパンツもあったけど、それよりもちょっと上くらいに……あたしの、お尻の割れ目の端っこがあった。
きゃぁぁぁぁぁぁっ!
ちょっと、え! あたし今、ヨータにおしりの割れ目見られてたのっ!?
そんな事実を知ったあたしは、恥ずかしさと情けなさでもうパニック。
その場にへたり込んでしまう。
これって、ヨータとその好きな女の子をからかうどころか……もしかして、あたしがとんでもなく惨めな目に……?
これまでに味わったことがないほどの羞恥が襲い掛かる。
その恥辱は温度となって顔を覆い尽くし、たちまちあたしの耳までもを急激に紅くした。
……さて、それから数十秒の後。
あたしを覆っていた恥辱の温度は形を変え、熱を含んだほかの何かへと変容する。
恥ずかしさによる熱が、情熱へと変化を遂げたってわけ。
つまり。
「……ヨータ、あたし……絶対にこの部屋にいるあんたの好きな女の子、見つけ出してやるんだからっ!」
「……え、ええっ!」
「見つけ出して、その記憶を消すの! 意地でもね!」
あたしに脳内の恥辱を司る機関から、緊急ミッションが発令されたのだった!
続く。