Fate/Iron-Blooded Orphans《完結》 作:アグニ会幹部
最初はとある英雄の話から。
―interlude―
英雄は戦った。
人類が滅亡の縁に立たされた時代で、圧倒的な力を持つ、殺戮の天使と戦った。たった二本の、黄金の剣を以て。
そして、英雄は天使を討ち倒した。
多大な犠牲を払いながらも、英雄は人類を、世界を救ったのである。
英雄は巨大な世界的組織を作り上げ、その力の象徴として君臨した。英雄が駆った悪魔は祭り上げられ、祭壇に御神体が如く祀られた。
しかし、ある日―――英雄は、裏切られた。
裏切ったのはかねてよりの仲間。
英雄が最も信頼を置いていた七人に裏切られて、英雄は非業の死を遂げるコトになった。
「――すまない」
「これからの世界に、お前のような絶対的個人は必要無いんだ」
それが、英雄が最期に耳にした言葉だった。
――分かっていた。
実際の所、英雄は七人の不穏な動きを察していたし、そういう選択を取るんだろうと言うコトは何となく分かっていた。
その上で黙認していたハズだった。
もう、何も失いたくなかったから――英雄には、仲間を信じるしかなかったのだ。
厄祭の戦争が終わってから、世界は武力を放棄した。英雄が打ち立てた組織だけが公に認められた、最大にして唯一の武力組織となった。
天使を滅するだけの個人の強さではなく、組織としての強さが重視される世界になった。その組織が強くあるからこそ、世界は安定して平穏を享受出来るようになったのだ。
その組織のリーダーが、個人の力によりのし上がった英雄であるコトは、新たな火種にもなりかねない。
群集の力を重視する組織が個人の力により運営されているなど、矛盾極まりない。実際、英雄となった男自身も、ある程度組織が安定したら権力を移譲するつもりでいた。
だが、それは遅すぎた。気の長い話だった。
組織が出来てから発生した不利益や失敗。それらの責任を全て押し付けられる形で、英雄は組織から排斥された。――暗殺によって。
英雄の力は組織の権威、求心力にも繋がっていた。だが、それらは祭壇に祀られている、英雄が乗った機体が代弁してくれる。
この時点で、組織の運営において、生きた英雄の存在は利にならなくなっていたのだ。それどころか、百害有って一利無し。組織内で最大の権力を持つ分、邪魔でしかない。
(ああ―――)
薄れ行く意識の中で、英雄は思った。
自分は一体何だったのか。
一体、何の為に戦ったのかと。
大義の為に、彼は全てを捨ててきた。
肉親の命を切り捨て、友人の屍を踏み台として、愛した人すら犠牲とした。その果てに大義を果たし、世界に平穏を取り戻させた。
そして、その結末が――仲間による、裏切り。
(―――俺は、どうしてこうなった?)
―interlude out―
影との遭遇から一夜。
俺は決して軽くない足取りで、深山商店街を歩いていた。
紅洲宴歳館、泰山。
遠坂に呼び出されて、現在そこへ向かっている最中である。それはそれは、足取りも重くなると言うモノだ。
さて、この泰山と言う所は、つまるところ中華料理屋だ。静かな住宅街の中にこじんまりと建っていて、女性の店主は背が低く若作りであるコトで密かに有名だったりもする。
では何故、俺の足取りがこんなに重くなっているかというと、肝心の料理に理由が有る。
辛い。
とにかく辛い。
舌を千本の針で刺されている感覚になる。
勿論、店主の腕が悪い訳ではなく、むしろ良いとさえ言える。ハマる人はハマるらしいが、旨味を見出すまでには凄まじい辛味と格闘しなければならない。
なので、俺はあの店に苦手意識を持っているのである。――切嗣は好きだったようだが。
万が一店主がメニュー表を差し出して来たなら、被害を抑えるべく天津飯などを頼んで、難を逃れなければならない。麻婆豆腐など頼んだ暁には、それはもう大変なコトになる。
「………此処だな」
件の店に着いた。扉の上にはデカデカと「泰山」の二文字が刻まれた看板が据え置かれている。
とりあえず深呼吸し、扉に手をかける。どうして中華料理屋に行くのにここまでの覚悟を決めねばならないのかと思うが、ここはそう言う店なので仕方ない。今頃、遠坂もこの店を待ち合わせ場所にしたのを後悔してる頃だろう。
遂に覚悟を決め、扉を開けると―――
「フゥーッ、フゥーッ…ハフホフッフッハッンッンッホフッ――ん?
来たか衛宮。ハフゥーッ…時間がンッあったのでなホファーッ先に食事を進めてェハッいた」
―――なんか、神父がマーボー食ってる。
全身に滲む汗と、沸き立つ熱気(湯気)。こちらに視線を向けつつも、レンゲを持つ手は動き続け、その口に赤い赤いそれはもう赤い麻婆豆腐を運び続けている。
まさしく一心不乱に、手が止まった時が私の死ぬ時だと言わんばかりの勢いで、紅蓮のマーボーを食しているのだ。
まさか、美味いのか。
あのラー油と唐辛子を百年くらい煮込んで合体事故の挙げ句、「オレ外道マーボー今後トモヨロシク」みたいな料理が美味いと言うのか。
「どホッうした、立ってファフッいては話フハッが出来んだフゥーッろう。座っフッたらンッどうだ」
いや、喋る時くらい手止めろよ。どんだけ必死なんだこの神父。
…とにかく、麻婆を食べ続けている神父、言峰綺礼の前の席に座る。しかし、早い。もう後一口か二口くらいだ。
その時、ふと言峰の動きが止まった。
「―――」
「………」
視線が合う。
言峰は神妙な面持ちで、重々しく口を開き、一言。
「―――食うか?」
「食うか―――!」
俺は力の限り即答した。
言峰は息を吐き、残った一口を片付けてしまった。…もしかして、俺の答えにガッカリしたんだろうか?
「…何だよ、話って」
言峰が此処にいると言うコトは、俺を呼び出したのは言峰なのだろう。遠坂はただの仲介だったらしい。…いるのは言峰だ、なんて遠坂は一言も言ってなかったけど。
「衛宮士郎。
「…!?」
「いや何、私なりに今回の聖杯戦争を見ていてな。柳洞寺の件については、凛から報告を受けている」
柳洞寺の件、と言うのは、キャスターが撤収したコトと、葛木先生が消えたコトだろう。
「…間桐臓硯と戦闘になった。
キャスターと、アサシンを連れていた」
「――ほう? あの御老人が動いていたか。とうに老衰したと思っていたが、未だ現役とはな」
心底からの嫌悪感を滲ませながら、言峰は臓硯についてそう吐き捨てた。
どうやら、言峰は臓硯を良く思っていないようだ。…良く思っている奴の方が少ないだろうが。
「キャスターとアサシン。間違い無いな?」
「…多分。消去法的にそうなる、と思う」
俺と契約しているのがセイバーで、遠坂がアーチャー。ランサーではないし、ライダーは慎二、イリヤスフィールがバーサーカー。
これで五騎になるので、残った二騎はキャスターとアサシンだ。
「結託し、柳洞寺に結界を張っていたキャスターとアサシンを従えていたとはな。全く、どんな外法を用いたのか」
「…サーヴァント二騎との契約なんて、出来るのか?」
「通常なら、間違い無く不可能だ。どんなに優秀な魔術師だろうと、魔力が枯渇して干からびるのが関の山だ。
――故に外法、と言った。何らかのルール違反をしたか、それとも何かしらの魔力源を確保したか。何であれ、ロクな方法ではなかろう」
魂喰いでもさせているのかも知れない、とも言峰は言った。確たる事実までは掴めていないようだが。
「…昏睡事件に関わりが有るのか?」
「さてな。現状、昏睡事件と臓硯が関わっているかは分からん。別の原因も考えられる。
――お前が昨夜見たモノは、間桐臓硯とキャスター、アサシンのみではあるまい?」
あの、黒い影。
セイバーとアーチャーは、昏睡事件があの影の仕業だと推測していた。
「――だとすると、やはり怪しい」
「…何がだよ?」
「衛宮士郎。監督役として、お前に一つ依頼をしたい。――柳洞寺を調べてみろ」
柳洞寺。
確かに現在、冬木の中で最も怪しい場所だ。
「私が目を付ける理由は二つ。
まず一つ、間桐臓硯がキャスター達を柳洞寺から引き上げさせたコトだ」
「それ…遠坂も言ってたぞ」
「ほう、凛も同意見だったか」
柳洞寺が有る円蔵山は冬木一の霊脈で、キャスターのサーヴァントが結界を構築するにはこれ以上無い立地と言える。わざわざ立ち退かせる理由は無いハズなのだ。
「自分の優位を自分で捨てるようなコトだ。臓硯がそうさせたなら、必ず理由が有る。せっかく手中に有る冬木一の霊脈を失うという損失よりも、臓硯が重視している何かがな」
間桐臓硯は第一次聖杯戦争の際、儀式の成立に立ち会った魔術師だ、と言峰は言う。サーヴァントを縛る「令呪」も、臓硯が作り上げたモノだと。
聖杯戦争について誰よりも詳しい、何百年と生き長らえている化け物。それが間桐臓硯という男である。
「もう一つは、これだ」
言峰は懐から真ん中から折り畳まれた紙を取り出し、こちらに投げてくる。開いて中を見ると、そこには一つのデータが書かれていた。
「…意識不明者、三十人も――!?」
「場所は深山南四丁目、柳洞寺。新都で発生している昏睡事件と同種のモノだと、私は睨んでいる。
――このまま放っておけば、この街は無人になる。監督役としても神職の身としても、これ以上一般市民に被害が及ぶ事態は避けたい」
柳洞寺で起きた昏睡事件の被害者は、新都よりも重傷だったという。これがエスカレートすれば、死者すら出るかも知れない。
「柳洞寺を調査すれば、何かしらの情報が得られるだろう。それを報告してほしい。
無論、協力への返礼はする。監督役として、出来うる限りの優遇措置を約束しよう」
「…何で、俺にそんなコトを頼むんだ?」
優遇措置云々はどうでも良いが、それなら遠坂に頼めば良いハズだ。
「個人的な感傷…いや、同情と言えるか。
同じように、明確な望みを持たず、救いを求めぬ者としてのよしみだよ」
――それは、どういう…
「アイ! 麻婆豆腐、お待たせアルー!!」
俺が言峰を問いただすべく口を開きかけた瞬間、店主が元気よく机に麻婆豆腐を置いた。それから続けて二皿。
…間違い無い。この男、初めからおかわりを頼んでいたのだ――!
「――ふむ」
言峰がレンゲを握り、麻婆豆腐をすくう。白いレンゲが、あっと言う間に真っ赤に染まってしまっている。
「………」
「―――」
視線が合う。
言峰は神妙な面持ちで、重々しく口を開き、一言。
「―――食うのか?」
「食べない」
再び、力強く返答した。
言峰がまた麻婆豆腐にがっつき始めたコトから、用件は全て終了したのだろう。
俺は席を立ち、振り返らず店を後にした。
◇
深山商店街の近くに有る公園のベンチに座り込み、自販機で買った温かい缶コーヒーを一気に飲み干す。
鈍色のヴェールに覆われた空からは、ちらほらと雪が落ちて来ていた。
「――降ってきたわね」
遠坂の声。背中合わせのような形で、机を挟んで離れて座っているようだ。
「私は臓硯を追う。間桐邸に行くわ」
「…俺は」
言峰に頼まれたコトも有るが、それ以上に。
「あの影を追おうと思う。アレは放ってはおけない。街の人に被害が出てる」
「そ。――なら、休戦協定は継続ってコトで。
私もあの影は見過ごせない。…けど、絶対に無理はしないで」
影の姿と、見せられたモノが頭をよぎり、俺は思わずコーヒーの缶を握り締めた。
「アレが何なのか、分かるまでは」
「…ああ」
遠坂の足音が聞こえ出すと共に、俺もベンチから立ち上がる。空き缶をゴミ箱に投げ込み、遠坂と分かれた。
◇
同日、深夜。
雪が降り積もる中、俺とセイバーは柳洞寺を訪れていた。警察が張った「侵入禁止」のテープを乗り越え、境内へと入る。
「…良かったのか、士郎? あの神父を信用して」
無人であるコトを確認した後、実体化したセイバーが、そう聞いてきた。
「――信用しちゃいけない奴だ、ってコトは俺にも分かる。けど、柳洞寺を調べる必要が有るのは事実だし」
言峰に言われようが言われなかろうが、俺は柳洞寺に調べを入れていただろう。
「信用してはならない、というのは同意見だが――確かに、この場所を調べる必要性は有る。あの神父が監督役である以上、この際ゴマを擦っておくのも有効な手か」
言峰にゴマを擦る…何か、デメリットしか無さそうな気がするのは何故だろうか。
監督役を懐柔するのは、聖杯戦争で優位に立つ手の一つ、のハズである。その機会を向こうからくれたのは、かなりチャンスなのだが――純粋に嫌だ。
本堂の正面階段を上り、広縁に出る。
セイバーは警戒を強め、右手に剣を握った。
「――なあ、セイバー」
この時、ふと――今朝に見た、夢のコトを思い出した。
世界を救ったものの、最期は仲間に裏切られて死んだ、独りの英雄の夢を。
「何だ?」
「その…言いたくないなら、それで良いんだけどさ。セイバーって、みんなを救った英雄なんだよな?」
セイバーは、少し驚いたようだった。
彼は未来の英雄なので、俺にそんなコトを言われるとは思ってなかったのだろう。
「…まあ、そうなるな」
俺の質問を、セイバーは肯定した。…少しの逡巡が含まれていたようだが。
「――セイバーは、後悔してるのか?」
セイバーは、何かの危機から人類を救った英雄であるらしい。それはまさしく、俺の目指す「正義の味方」だろう。
しかし、セイバーは一番信頼していた仲間に裏切られ、暗殺された。夢を見た限り、セイバーは最期の最後で、疑問、あるいは後悔を抱いたようだった。
それを、聞いてみたくなったのだ。
不躾であるコトは分かっているが、セイバーは「正義の味方」になった英雄だと思うから。
「後悔、とは違うな。『ああすれば良かった』『こうしていれば』とか、そういうコトを思った訳じゃない。俺は俺の人生に納得している。辛い時の方が多かったが、それはもう仕方が無いし、誰しもがそうだった。善悪を問わず、そういう時代だったからな。
俺が生きた時代に有ったのは、弱肉強食より酷い絶対的な
死を与えるか、与えられるか。
そんな極端な時代に現れ、世紀末を終わらせたのがセイバー――アグニカ・カイエルという、最新の英雄だった。
「士郎。お前は、正義の味方を目指してるんだったか?」
「あ、ああ…セイバー、何で知ってるんだ?」
唐突に言われて、思わず聞き返す。
セイバーに言った記憶は無いが、何故。
「お前の所に通ってる女の子――桜、だったか? その子に言ってただろう。趣味が悪いと分かりつつ、聞き耳を立ててしまった。すまない」
…アレ、見られてたのか。
セイバーは霊体化した状態で、近くにいたのかも知れない。まあ、セイバーに聞かれて困るようなコトは言ってなかったと思うんだが。
「別に良いけど――それが何なんだ?」
「ケチを付けるとか、そういうワケじゃないんだが…一応、俺も似たような生き方をしたタイプの人間なんでな。持論を言っておこう、と思っただけだ。軽く聞き流してくれ」
セイバーはそうやって前置きし、言う。
「正義の味方、と一言で言うが――いや、結論から言おう。突き詰めると、それは取捨選択に行き着く。多くの人を助けるというコトは、少しの人を見捨てるというコトになる」
…セイバーの言葉は、奇しくも切嗣の言葉と全く同じだった。あの月下の夜の、切嗣の声が脳裏によぎる。
――良いかい士郎。
誰かを救うと言うコトは、誰かの味方をしないコトなんだ。
「例えば俺は、何十億という人を救う為に、俺に近しい人を見捨てた。そうしてなお、救えたのは人類総人口の約四分の三だけだった」
近親者や仲間、愛する人すらも。
それらを全て切り捨てて、踏み台にして――そこまでして、四分の一を取りこぼした。
「戦争が終わり、その後の世界体制が作り上げられて行く中で、俺は暗殺によって死ぬワケだが――まあ、それはどうでもいいとして」
あまりに残酷で厳しい現実を、セイバーは一息で切り捨ててみせた。切り捨ててしまった。
「士郎。お前が本気で『正義の味方』を目指すのなら、いつかそういう取捨選択をする時が来るだろう。
人類総人口――今は六十億人だったか? 見知らぬ六十億の人と、身近な人。お前が大切だと思う人を秤にかけ、どちらかを選ばねばならない時が訪れる。遅かれ早かれ、必ずな」
そう、セイバーは断言した。
俺の脳裏には、真っ先に一人の後輩の顔が浮かんだ。あの土蔵の中で、俺に問いを投げてきた、美しく綺麗だった彼女。
――もし、万が一にでも。
桜と全人類。どちらかしか生かせられない場合、どちらを生かすかと問われたら?
「どちらを選ぶかはお前次第だ。お前の選択がどちらになるかは俺には分からないし、結局は他人でしかない俺が、お前の選択に口を出す権利は無い。
――だから、これは個人的な感想だが…」
一息吐いた後、セイバーは雪の降る空を見上げながら、言葉の続きを発した。
「大切な人を切り捨てるのは、なかなか――いや、かなり堪えるぞ。それが惚れた女だったなら、尚更だ。
絶対に守る、と誓ったなら。何よりも守りたいと、心の底からそう願うなら。誓ってしまった、願ってしまったなら…その選択は、お前の人生の全てを決定する選択になるだろう」
目を細めて、セイバーはそう告げた。その言葉は受けて、俺はもしもの状況を思い描く。有るハズが無いし、有るとも思いたくないが。
桜と全人類、片方しか救えないとしたら。
俺は――俺は、どうするだろうか?
「そういう時は、お前が死ぬ時――お前自身が納得出来そうな方を選べ。きっとどちらも正解で、どちらも間違いだ。正解の無い選択だ。
少なくとも、俺は俺の選択に納得している。願望は有るが、それは俺の生き方を変えるようなモノじゃない」
…そうか。
サーヴァントだって、聖杯に願いたいコトが有るから召喚されて、戦っているのか。
「…セイバーの願いって、な―――」
「――士郎ッ!!」
その時、セイバーが叫んだ。
何事かと思って振り向くと、そこには。
武装したアサシンが、立っていた。
「うわっ!?」
セイバーに突き飛ばされ、俺は本堂の中へと転がり込んだ。
俺とアサシンの間に割り込んだセイバーは、アサシンが振るった巨大なメイスを剣で受け止める。アサシンによって障子が閉められ、セイバーとアサシンの影しか見えなくなる。
「士郎、お前はここにいろ!」
アサシンの背中から、尻尾のような武器が伸びたようだ。セイバーは両手に剣を構え、アサシンと打ち合い始める。俺から、アサシンを引き離しにかかったらしい。
『
御堂の中に、忌まわしい笑い声が響く。四方から無数の蟲が集積し、その声の主を形作る。
現れたその老人を、俺は睨み付けた。
「飛んで火に入るとは、まさにお主よの」
「――間桐、臓硯…!」
いよいよ第一章が終わりに近づいております。
というか、次回が第一章の最終話です。
次回「厄祭の英雄」