Fate/Iron-Blooded Orphans《完結》   作:アグニ会幹部

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【祝】マキオン、PS4に移植決定
これはバエルでひたすら格闘振り続けるチンパンプレイするしかねぇ(今年は申年)

こんな前書きですが、今回の内容は真面目です。
この二人の絡みは珍しいのでは…?


#12 桜の真実

 衛宮士郎は、学校の図書館に入る。

 奥に進むと、そこには間桐慎二と間桐桜、ライダー…カルタ・イシューが立っていた。

 

「よお衛宮。随分早いお出ましじゃないか」

「桜を放せ!」

 

 士郎は慎二に向けて、そう叫ぶ。無駄話をする気など微塵も無かったし、桜を人質に取られた士郎には、そんな心の余裕など無い。

 対して慎二は「焦るなよ」などと言いつつ、左腕で桜を抑えたまま、右手でナイフを取り出し――桜の首筋に当てがった。

 

「慎二!!」

「ライダーの相手をしろ。無事で済んだら、桜を放してやっても良い」

 

 慎二の横に無表情で立つカルタは、以前戦った時のような武装はしていない。軍服を着た状態で、右手に白銀の剣だけを持っている。

 

「先輩、逃げて下さい…!」

「何、安心しろよ桜。衛宮を殺したりはしないさ。――ただちょっと、痛い目を見てもらわないとね」

 

 その時、士郎はとあるコトに気が付いた。

 桜の左耳に、イヤリングのような物が付いている。ガラス製で、中に緑色の液体か何かが入っているようだ。

 

(慎二に付けさせられたのか?)

「やれ、ライダー」

 

 士郎がそんなコトを考えている間に、ライダーは跳躍し――一瞬で、士郎の左横にまで迫っていた。

 

「――がっ!?」

 

 カルタに横から蹴り飛ばされ、士郎は本棚に叩き付けられる。士郎は背負っていたセイバーの剣…「バエル・ソード」を袋から取り出して構えつつ、カルタから逃げる。

 だが、身体能力でサーヴァントに叶うハズも無く――瞬時に回り込んだカルタが、士郎に向かって剣を上段から振り下ろす。

 

「ぐ…!」

 

 それを、士郎は剣の側面で何とか受けた。

 カルタは続いて剣撃を繰り出し、俺は後退しつつ剣で防ぎ続ける。反撃を狙いたい士郎だったが、当然そんな隙をカルタは与えない。

 

「ふっ!」

 

 終いにはカルタが剣を振り上げ、黄金の剣は弾かれて士郎の手を抜け、宙を舞う。

 いくら剣が優秀でも、使っているのが俺では意味を為さない。技術なら、士郎よりも剣道五段たる藤村大河の方が優れているくらいだ。

 

 カルタは丸腰になった士郎の腹を蹴り、士郎が本棚の間を通り抜け、床に転がさせられる。

 宙を舞っていたバエル・ソードは、士郎の右側に降って来て、床へと突き刺さった。

 

「良いぞ、その調子だライダー!」

 

 カルタは慎二の方へ視線を向け、士郎がセイバーの剣を握り直すより早く、士郎の胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

「そのまま殺しちゃえよ!!」

 

 機嫌が良くなった慎二はナイフを振り回し、カルタにそう命令した。桜はそれを聞いて顔を青ざめ、慎二に懇願する。

 

「兄さん、やめ――」

 

 カルタが、剣で士郎の腹を打つ。そのまま士郎は宙へと打ち上げられ、慎二と桜の上にまで到達する。

 

「ッ――!」

「ハ、ハハハハハ!!」

 

 桜が目を背け、慎二は笑う。

 ――だが、慎二の時代はここまでだった。

 

「ハハハハ――えっ?」

 

 士郎が、空中で身体を回し、拳を握り――そのまま、慎二の所へと落下した。

 轟音が響き、置かれていた机と椅子が舞う。

 

「先、輩…!?」

「もう大丈夫だ、桜」

 

 解放された桜の側で、士郎はそう言う。

 士郎は落下と同時に、慎二を殴りつけたのである。その勢いで慎二は盛大に吹き飛ばされ、右手に持っていたナイフを取りこぼした。床に落ちたナイフを、士郎は足で自分の後ろへと滑らせる。

 

「ぐ、う…な、んで――!?」

 

 慎二はフラつきながらも立ち上がり、カルタに目を向けた。カルタは白銀の剣を床に突き刺し、柄の上に両手を置いて、僅かに笑みを浮かべている。

 続いて慎二は、士郎に視線を移した。

 

「何でだよ…!? 剣で腹を斬られてただろうが! 何で無事でいられるんだよ!」

 

 慎二の疑問に対し、士郎は無言で制服の裾を捲り上げる。すると、裾の中から一冊の本が出て、床に落ちた。

 

 その表紙には、緑色に輝く光の線が、幾つも走っていた。

 

 士郎が使える数少ない魔術の一つ、強化魔術の光だ。これが有ったからこそ、士郎はカルタの剣撃に腹を裂かれず済んだのである。

 

「――魔術…?」

 

 それを見た慎二は、顔を歪め――激情のままに拳を握り、士郎へ向かって駆け出した。

 

「ううああああああああああ!!!」

 

 対する士郎も、右の拳を握って振りかぶり。

 

「うおおッ!」

 

 慎二の拳をかわし、頬に拳を叩き付けた。士郎の全力の殴打によって慎二は吹き飛ばされ、バランスを崩して床へ倒れ込む。

 

「ヅ、ぐ――ライダー!」

 

 慎二は殴られた頬を押さえつつ、偽臣の書を取り出して叫んだ。

 

「コイツを殺せえええええッ!!」

 

 偽臣の書が紫の光を放ち、輝く。その命令通り、カルタが剣を構えて床を蹴った――瞬間。

 

 

 窓ガラスが、砕け散った。

 

 

 割れた窓から、二人が図書館に入って来る。

 遠坂凛とアーチャー…ラスタル・エリオン。ラスタルは図書館へ入るとすぐ、右手を掲げ――ダインスレイヴ隊を多数、召喚した。

 

「がああッ!」

 

 ダインスレイヴが放たれ、直撃を受けたカルタは呆気なく吹き飛ばされる。

 そして、ダインスレイヴの余波を受けた本棚と同じように、血を流しながら倒れた。

 

 

「―――はァ?」

 

 

 呆気に取られた慎二は、間抜け面でそう吐き出すしか出来なかった。

 一方、凛は服のホコリを払い、内部の様子を確認する。役目を終えたダインスレイヴ隊を引っ込めながら、ラスタルはその傍らに立つ。

 

「…遠坂? 何、で――」

「私と衛宮くんは、共闘関係を結んでるの。今日も一日、一緒にいたってだけのコトよ。

 ――慎二。桜を巻き込んだ以上、貴方は完全に、私を敵に回したのよ」

 

 目を見開き、凛は慎二を睨み付けた。慎二はその言葉を聞き、怒りに身を震わせる。

 

「桜――桜、桜、桜、桜桜桜桜ァァッ!!

 こんな奴どうでも良いだろ!! マスターになったのは僕なんだぞ!!」

 

 ヒステリックに叫び、慎二は再び偽臣の書を倒れたカルタに向ける。

 

「立て、立ってコイツらを殺せ!!」

「ッ、ぐうう…!」

 

 カルタに紫の閃光が走り、限界を迎えている身体に鞭を打つ。…それはまさしく、あの夜の焼き直し。全く同じ過ちだった。

 

「――ダメ、やめて…」

 

 しかし、この前とは面々が違う。

 セイバーがいなくなり、桜と凛とラスタルが増えた。

 

「…桜?」

「ダメ、ライダー…これ以上は――!」

 

 俯き、桜が叫んだ。

 すると、慎二が持っていた偽臣の書から、紫の炎が吹き出る。

 

「あ、ああ――あああああああ…!」

 

 炎に捲かれて、偽臣の書は跡形も無く燃え尽きた。それと同時に、カルタが動いた。

 

 一瞬で、桜の下へと移動した。

 それと同時に、魔力が吹き荒れる。カルタが全身に負っていた傷は完治し、魔力が全身に満たされて行っているコトは、三流魔術師である士郎にも分かった。

 

「…これが、ライダー――!?」

 

 凛が驚愕のまま――僅かに恐怖も滲ませて、そう口にした。そう言わずにはいられないほど、先程までとは明らかに違っている。

 

「ハ、良いぞライダー…! そのまま全員始末しろ!」

「――貴様の命令は聞けない」

「はァ!? お前、誰にモノを言ってると――」

「貴様のような下衆は、断じて私のマスターではない!」

 

 慎二の命令を、カルタはそう切り捨てた。

 一般人を巻き込み、自分の妹を人質にした慎二を、誇り高きイシュー家の人間であるカルタが許すハズもなかった。マスターではなくなった以上、慎二の命令にカルタが従う道理など、どこにも無い。

 

「――そうよね…」

「遠坂…?」

 

 そのやり取りを見た凛は、納得したように呟いた。そして、冷徹に言い放つ。

 

「間桐――マキリの血はもう廃れて、魔術回路を持つ人間は排出されなくなった。

 私は臓硯がライダーを召喚して、慎二に預けてるのかと思ってた。…けど、話はもっと簡単だった」

 

 冷徹を装うその声音は、僅かに震えていた。

 簡単であってほしくはなかった、と――そう述べるように。

 

 

「間桐家で、最もマスターに相応しい人間。

 それは当代の魔術師である、貴女だものね――桜」

 

 

 桜がビクリ、と震えたようだった。

 そして、俯いたまま何も言おうとしない。

 

「桜が、マスター…!?」

 

 凛と桜の間に立つ士郎は、唖然としてそう反芻した。

 

「令呪の譲渡――『間桐慎二の指示に従う』って令呪か」

「…オイ。どこ見てるんだよ」

 

 慎二の声など意にも介さず、凛は続ける。

 

「それを『偽臣の書』として慎二に渡している間、桜はマスターとしての権限を失い、ただの魔術師になる。令呪を作り出したマキリだからこそ、そんな裏技が可能だったんでしょうね」

「オイ! こっちを見ろよ!!」

 

 慎二が悲鳴に近い叫びを上げる。その声で、ようやく凛と士郎は慎二に視線を向けた。

 

「まだ終わっちゃいない! もう一度だ桜! もう一度、僕に支配権を譲れ!!」

「―――」

 

 右手を突き出して叫ぶ慎二に対し、桜は俯いたまま答えない。それが、更に慎二の神経を逆撫でる。

 

「何今更良い子ぶってんだよ!!!」

「慎二。令呪を三画使い切れば、ライダーは自由になる。偽臣の書を作った所で、すぐに焼き果たされて終わりでしょうね」

 

 凛は感情の宿らない声で、残酷な事実を言い渡す。

 

 

「借り物の令呪で借り物のサーヴァントを操っていた貴方は、初めから――マスターなんかじゃなかったのよ」

 

 

 目を見開いて、慎二は視線を彷徨わせる。

 やがて、士郎と目が合ったが。

 

「――慎二…」

 

 士郎は、一種の憐れみを宿した目で、慎二を見据えていた。…それが、慎二の中の何かを壊した。

 

「――分かってた。分かってた。分かってた、分かってた! こんなの初めから務まりっこないって分かってたさ!!」 

 

 慎二は声にならない悲鳴を上げて――桜を睨むように見る。

 

「――だから、お前がやれよ。

 僕の代わりにアイツらを殺せ、桜!」

 

 慎二にとって、桜は忠実な人形だ。

 逆らわず、ただ言うコトを聞くだけの。

 

「…いいえ、兄さん。もうやめましょう!」

 

 ――なのに、何で。

 こんな時だけ、コイツは逆らうのか。

 

「兄さんは約束を破りました。先輩は殺さないって言ったのに、あんな命令…! だから、もう――」

「――じゃあいいよ」

 

 慎二はゴミを見るような視線を桜に向け、右手に小さなガラスの容器を持った。高さ三センチほどの、桜の耳元に付けられたイヤリングと同じ物。

 

 

「死んじゃえよ、お前」

 

 

 それを、慎二は割った。

 連動して、桜の耳元のイヤリングも割れる。中に入っていた緑色の液体が飛び散り、桜にかかる。

 

「え?」

 

 

 その時。

 桜は、何かを崩された。

 

 

「―――あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 桜が膝から崩れ落ち、胸をかきむしる。その様子は、誰がどう見ても異常だった。

 場の注目が桜に集まる中、慎二は無言で図書館から退室していく。

 

「桜!」

「いや…先輩、見ないで――!」

 

 身体が火照っている。

 近寄ろうとした士郎だったが、その身体がグイッと後ろに引かれた。

 

「ッ!」

 

 士郎を後ろへと投げ飛ばしたのは、それまで静観に徹していたラスタルだった。

 

 直後、突如として空間から針が飛び出した。

 

 ラスタルはそれを、喚び出した大剣で防ぐ。火花が散り、ウニのように棘を伸ばしたそれが消える。

 

「アーチャー…!?」

「――制御出来てないみたいね…!」

 

 針は桜の魔術によるモノだ。

 感覚が暴走し、意識が朦朧としている桜は、自分が何をしているのか分かっていない。針は桜の周囲からランダムに現れ、その棘を四方へと伸ばしている。

 

「ここから離れろ! 下手に魔力を与えれば、癖になる――戻せなくなるぞ…!」

 

 何とも珍しく、焦りを滲ませてラスタルが叫ぶ。しかし、そうさせる訳には行かない者がいる。

 

「はぁッ!」

「!」

 

 全身を武装して飛び上がったカルタが、ナイトブレードをラスタルの頭上から振り下ろす。ラスタルはその一撃を、先程と同じく大剣で受ける。

 

「退け、イシュー公! あのマスターは暴走している! すぐに止めなければ、彼女は――」

「魔力を失って自滅する、でしょう!?」

 

 連撃を繰り出し、カルタはラスタルを押し返す。ラスタルは僅かに後ろへ跳び、突撃を掛けて来たカルタの剣に対し、踏み込んで大剣で斬り結ぶ。

 

「分かっているのなら――」

「失うより多くの魔力を摂取させれば、彼女は延命出来る!」

「――ただの一時凌ぎだ! 今はそれで済んだとしても、先は無い! その次はどうする!? 一般人から魔力を吸い上げさせるつもりか!?

 それが、セブンスターズ第一席たる『イシュー家』の誇り高き在り方だと! イシュー家の者が仕えるに相応しい主だと!

 貴様はそう言うのか、カルタ・イシュー!」

 

 カルタは歯噛みする。

 わざわざラスタルに言われずとも、彼女にもそんなコトは分かっている。カルタには、桜を抜本的に救うコトは出来ない。せいぜいが一時凌ぎの、先の無い延命処置をさせるだけ。

 

「――ならば、マスターが自滅する様を黙って眺めていろとでも!?」

 

 カルタが振った剣が、大剣を持ったラスタルの巨躯を弾き飛ばす。学校に張られていた結界が発動し、世界が変わる。

 

「ぬうッ…!」

「これ、結界――!?」

 

 凛が目を見開く。当然、結界が張られているコトは知っていた。起点の一つを消すコトもしていたのだ。

 だが、眼前に立つカルタの纏う気迫は、先程までとは段違いになっている。

 

「ッ…!」

 

 桜の針をかわしつつ、ラスタルはたたらを踏みながらカルタの剣を辛くも弾く。

 結界が発動されたコトで、カルタのステータスは大きく上昇した。あくまでも弓兵(アーチャー)であり、近接戦闘を不得手とするラスタルには、もはやカルタを御しきれない。

 

「ダインスレイヴ隊…!」

 

 ならば、と部隊を召喚したラスタルは、ダインスレイヴを放たせる。しかし、カルタはそれを食らってなお、ビクともしなかった。

 

「…何!?」

「お忘れか、エリオン公。此処が、誰の領域(ソラ)か」

「――貴様の仕業か、ライダー…!」

 

 カルタはほくそ笑み、剣を振るってラスタルを更に後退させる。基本スタイルであるダインスレイヴ隊による攻撃が通用せず、ラスタルは思わず冷や汗を垂らす。

 

「やめて――もうやめて、ライダー…!

 私、こんなコトがしたくて、貴女を喚んだんじゃない!」

 

 カルタの背後で、朦朧とする意識の中、桜が悲痛な叫びを上げる。魔力を制御出来ず、今もなお蠢く針として垂れ流していながら。

 その言葉を受けたカルタは、血が出るほどに唇を噛み締め――

 

「――その命令は、承諾出来ない」

 

 桜の命令を、拒絶した。

 例え一時凌ぎでも。己が信条を曲げ、家の名に傷を付けるコトになろうとも――カルタ・イシューは、間桐桜の犠牲を容認出来ない。

 

 カルタは、ナイトブレードを床に突き刺し――己が宝具の名を、口にした。

 

 

「我ら、地球外縁軌道統制統合艦隊!」

 

 

 その口上の後、カルタの背後には、八機のグレイズリッターが顕現する。

 其は、カルタ・イシューが率いし親衛隊。

 地球の外縁軌道を統制、統合する防衛艦隊の中でも、カルタが直轄した精鋭中の精鋭達。

 

 

『面壁九年、堅牢堅固!』

 

 

 ギャラルホルンに於ける、地球最後の砦。

 それが今、たった一人の少女を守る為、この世に現れる。

 

「右から二番目、遅れてる!」

「申し訳有りません!」

 

 …若干、締まらない形ではあったが。

 

「イシュー家の、親衛隊か…!」

「行くぞ、エリオン公! 私は桜を救う! 邪魔立てすると言うのなら、我が艦隊は月外縁軌道統制統合艦隊(アリアンロッド)にも屈しはしない!!」

 

 カルタを含めた全機が剣を構え、ラスタルに向かって突撃を掛ける。

 艦隊戦力の召喚を封じられたラスタルは、これを大剣で止めるコトしか出来ず、派手に吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐ…!」

「エリオン公のマスターを捕らえなさい!」

 

 カルタの命令で、グレイズリッターの内の一機が凛の両腕を押さえ、身体を浮かせて拘束する。桜に魔力を吸い上げさせるつもりだろう。

 

 だが、その時。

 凛の眼前で空間が歪み――針が伸び始めた。

 

「ウソ――」

「遠坂ッ!」

 

 まだ拘束されていなかった士郎が駆け出し、グレイズリッターもろとも遠坂を跳ね飛ばす。

 それから半秒も経たず、針が四方へと伸び――士郎の身体を、貫いた。

 

「が、あ…ッ!」

 

 血が吹き出し、士郎が崩れ落ちる。

 そして、その光景は桜の目にも入り――

 

 

「いやああああああああああああああ!!!」

 

 

 桜の周囲、三ヶ所から針が飛び出す。

 針は、自らを生み出した桜の身体を貫いた。桜が針に持ち上げられるように浮き、血が床に滴り落ちていく。

 

「桜!!」

 

 カルタの絶叫が響き渡る。

 そして、倒れ行く士郎もまた、激痛によって意識を失った―――




次回「まもるべきもの」

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