Fate/Iron-Blooded Orphans《完結》   作:アグニ会幹部

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第三章公開まで後57日、八週間となりましたね。
たのしみ(語彙力)

タイトルから察される通り、今回から第二章最大の見せ場です。なので(必然)、今回は相当気合い入れて書いたつもりでいます。
劇場版のBGMを流しながらノリノリで。
具体的には「he goes, she goes」と「the outbreak of war」、「she rules the battlefield」ですハイ。


#15 パワー・ゲーム

 夜になって、俺はようやくアインツベルン城へ到着した。明らかに迷いそうな森に入り、城を目指す。

 ほぼほぼ人間の手が入っていないようで、草木は好き勝手に生えている。雪や雨が続いたからか足場も悪く、落ち葉も降り積もっているので、すぐに滑りそうになる。

 

「こりゃ、難儀だな…」

 

 思わずボヤく。とにかく背負う剣だけは無くさないようにしないと、と思いつつ歩いていると――鈴の音がした。

 

「アレは…」

 

 針金で作られたらしき鳥が、羽ばたきながら俺の下へとやってきた。それを一目見て、どうやらイリヤが送って来たようだと分かった。

 そして、鳥は森の奥へと羽ばたいて行く。

 

「――付いて来い、ってコトか」

 

 道案内をしてくれるようだ。知らない森というだけでなく、夜だという問題もあるので、これは非常にありがたい。

 イリヤ側としても、俺の来訪を受け入れてくれている――交渉の余地が有るからこそ、こんな鳥をよこしたのだろうし。

 

 羽ばたくごとに鈴の音を響かせる、針金の鳥に導かれるまま、俺は森を進む。

 しかし――その鳥は、突如として消えた。

 

「アレ? 消えたな…」

 

 周囲を見回すと、鳥の翼らしきモノが木の幹の陰に見えた。そして、それに近付くと――

 

 ――鳥を食い落とした蟲が、這い出て来た。

 

「うわっ!」

 

 口を開いて襲って来た蟲を、すんでのところでかわす。蟲はカサカサと地を這い、森の奥へと消えて行った。

 

「こ、れって――!」

 

 間違い無い。あの蟲は――!

 

 

   ◇

 

 

 アインツベルン城、外壁の正門。

 そこには雪のように白い冬の娘と、彼女に仕える金髪の狂戦士が立っていた。

 

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと、バーサーカー…マクギリス・ファリド。

 

 

 相対するは、腰が曲がりきった矮躯の老人。

 その側には二騎の英霊――銀髪の男と、既に武装した小柄の少年が控える。

 

 間桐臓硯とキャスター…オルガ・イツカ、アサシン…三日月・オーガス。

 

 

 アインツベルンと間桐――マキリ。

 聖杯戦争始まりの「御三家」にして、五度に渡って聖杯を争って来た仇敵同士。戦争の勃発は、まさしく必定にして目前である。

 

「――貴方、正面から戦う気が無いわね。そんなに、自分の命が大事?」

 

 煽るようなイリヤの言葉に、臓硯は答える。

 

「ああ、大事だとも。

 我が望みは不老不死――見よ、この肉体を」

 

 臓硯は手を広げ、腐りきった身体を少女に見せ付ける。身体の一部が崩れ、蟲としての姿に戻った。

 

「刻一刻と腐り、腐臭を放ち、蓄えた知識を失って行く。その痛み、生きながら腐り行く苦しみが、お主に分かるか?」

 

 身体が崩れ、哀れな蟲へと還っていく。

 間桐臓硯が選んだ延命、その果てがこの有り様だ。実に醜く、汚らしく、見るに耐えない。

 

「死が恐ろしくない人間などおらぬ。如何なる真理、如何なる境地へ辿り着こうとも、自己の消滅…世界の終焉を克服するコトは出来ん。

 他の人間を犠牲とするコトで、我が望みが叶うと言うなら――」

 

 四方八方の森から、蟲が臓硯の下に集まる。崩れた身体が蟲によって補完され、臓硯はヒトとしてのカタチを取り戻して行く。

 

「――世界中の人間を一人一人、殺して回っておるわ」

 

 醜悪に嗤いながら、臓硯はのたまう。

 生にしがみつく、哀れな怪物。彼は自らが生きる為ならば、全人類を犠牲にするコトなど厭わない。

 

 ――何故、不老不死を願ったのか。

 その理由すら、忘れ去ったというのに。

 

 

「――呆れたわ。そこまで見失ってしまったの、マキリ」

 

 目を見開き、イリヤ――アインツベルンの女は諭すかのように語る。

 

「思い出しなさい。

 私達の悲願――奇跡に至ろうとした切望は、何処から来たモノなのか」

 

 糾弾する言葉。

 それは、「イリヤ」の言葉ではなかった。

 

「私達は何の為に、人であるコトに拘り、人であるままに――人ならざる地点へ、到達しようとしていたのか」

 

 アインツベルンの言葉を、マキリは不愉快極まる、と言うように一蹴する。

 

「フン――人形風情がよくも言った。先祖(ユスティーツァ)の真似事も刷り込み済み、と言うワケか」

 

 五百年の時を生きる怪物は、その時――怒りにも似た感情を、声音に乗せた。

 臓硯が指を鳴らすと、控えていた二騎のサーヴァントは、それぞれ姿を消して行く。

 

 

「戯れは此処までじゃ。

 ――アインツベルンの聖杯、この間桐臓硯(マキリ・ゾォルケン)が貰い受ける」

 

 

 邪悪な嗤いを残し、臓硯は蟲へと戻って、森の中へと四散して行く。蟲の怪物を、アインツベルンは冷徹極まる眼で見送った。

 

 

 ――森の中央で、影が花開く。

 

 

 無数の影が集積した中から、一騎のサーヴァントが姿を現す。

 

 現れたのは、一人の男だ。

 氷雪が如き白い髪に、獄炎のように赤く深い瞳。漆黒と深紅の装甲を全身に纏い、その右手には紅蓮の剣が握られている。

 

「――ッ!!」

 

 無言で控えていたマクギリスだったが、その気配を感知するや否や「ガンダム・バエル」の装甲で武装し、イリヤを抱えて飛び上がった。

 

 

 直後。

 世界を塗り潰すが如き赤色の光が、城の外壁と正門を木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

 

「うわあッ!」

 

 かなり離れた所からイリヤと臓硯のやり取りを見ていた士郎も、その余波だけで吹き飛ばされる。

 

 比較しようの無い、圧倒的な出力。

 魔力により増大した斬撃は、築かれた石壁を蹴散らし、大地を溶解させ、森林を焼き尽くした。まさしく、絶対的な終焉の一撃である。

 

「――遠坂!?」

 

 なお、士郎は大怪我を免れた。

 遠坂凛が魔術で、士郎もろとも攻撃の余波を防いだのである。

 

「まさか、衛宮くんが同じコト考えてたなんてね」

 

 何故、彼女がここにいるか。

 それは勿論、彼女も臓硯に対抗する為、イリヤとの同盟を結びに来たのである。

 

「…そんな――」

 

 一方、狙われたイリヤも直撃を避けた。

 咄嗟の判断で、マクギリスがイリヤを抱えて空へと飛び上がっていたからだ。これが無ければ、今頃は灰も残さず消えていただろう。

 

 イリヤは高台から、焦土と化した場所の中央に立つ、そのサーヴァントを目にし――流石に、驚愕を覚えた。

 

「――マスター、あのサーヴァントは」

「ええ――何で、此処にいるのかしらね」

 

 そして、その驚愕は、士郎と凛も同じだ。

 

「…ウソ、でしょ――!?」

 

 凛がそう呟き、士郎は衝撃のあまり、言葉を発するコトが出来なくなっている。

 影から現れた漆黒のサーヴァントは――士郎のよく知るサーヴァントだった。

 

 

 セイバー。

 アグニカ・カイエル。

 

 

 消えたハズの士郎のサーヴァントが、爆心地の中央に堂々と立っていた。

 

 

 

 

   ―interlude―

 

 

 ――かつて、英雄がいた。

 

 英雄は尽力した。

 人類の未来の為に、己が大切にしていたモノの全てを捨てて、人類を救った。

 

 けれど――人類は、英雄を救わなかった。

 

 人類は戦い続けた。

 何百年、何千年経とうと変わらなかった。

 英雄が救った人類は、人類の手で殺され続けた。

 世界にたった一人になったりしない限り、人類は人類を殺し続ける。戦い続ける。

 救いようがなく、決して救えない。そうするだけの価値も無い。

 

 だったら、もう――

 

 

「世界を。人類を。運命を。

 ――全て、何もかも。ブチ殺してブチ壊して、俺が終わらせてやる」

 

 

 ――人類なんて、この世には要らないだろう。

 

「ハッ。ハハ、ハハハハハ――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 厄祭の英雄は死んだ。

 此処に在るのは、絶対の終焉のみ。

 

 そして、それは――彼が滅ぼした殺戮の天使(モビルアーマー)による行いと、全く同じモノでもあった。

 

 

   ―interlude out―

 

 

 

 

「――マスター。安全な所へ待避してくれ」

 

 マクギリスはイリヤを下ろし、両手に黄金の双剣を握る。爆心地に立つアグニカを、上から見下ろしながら。

 

「ダメ、バーサーカー…! アイツにやられたら、戻って来れなくなる!」

「…そうだろうな。俺では、アグニカ・カイエルに敵わない。あの御方は、この世で最強の英雄だ。俺が憧れた『力』の全てを得た者だ」

 

 以前とは全く違う。

 マクギリスは冷静さを失わず、暴走するアグニカを見据える。

 

「だが当然、ただでやられるつもりは無い。キミが逃げる為に必要な時間くらいは、稼いでみせよう」

 

 どの道、アグニカからは逃れられない。

 影に捕捉されている以上、万が一にでもアグニカから逃げ延びたとして、取り込まれるのがオチだ。

 結局死ぬのなら――守るべきマスターだけでも、逃がさねばならない。

 

「行け、マスター!」

 

 スラスターを全開にし、マクギリスは全速でアグニカに突撃した。

 

「バーサーカー!」

 

 身体の前で黄金の剣を交差させ、距離を詰めるマクギリス。対するアグニカは、剣に鮮血のような色の濃密な魔力を纏わせ――

 

「死ね」

 

 マクギリスに向けて、振り下ろした。

 魔力が暴発し、再び爆発。マクギリスとアグニカの姿を、煙と光が覆い尽くす。

 

 

阿々々々々(カカカカカ)――どうやら、勝負は見えてきたようじゃの。

 後は任せるぞ。アインツベルンの娘、むざむざ逃すなよ?」

 

 己が二騎のサーヴァントにそう言い残し、臓硯はアインツベルンの森から姿を消した。

 オルガと三日月は目配せし、動き出した。

 

 

「きゃあッ!?」

「させん――!」

 

 イリヤは、凛から命令を受けたアーチャー…ラスタル・エリオンが回収した。

 立て続けの爆発が起こる中、ラスタルは戦場から少し離れた場所へ移動している士郎と凛の下へ、イリヤを連れて戻った。

 

「アーチャー…!」

「全く――間に合って何よりと言った所か」

 

 ラスタルはイリヤを地面へ下ろし、戦場へと視線を向ける。爆発は収まったが、まだ戦闘は継続しているようだ。

 

「――貴様ッ!」

「!」

 

 その時、ラスタルは大剣を構え――イリヤを奪いに来た三日月を、迎撃した。

 

「邪魔」

「悪いが、彼女を奪わせる訳には行かん」

 

 スキル「気配遮断」を使いつつ、森の中へと姿を消した三日月を、ラスタルは追撃する。

 

「――そこか!」

「ッ、うぐあッ!」

 

 三日月が襲った直後に襲って来たオルガは、ライダー…カルタ・イシューが迎え撃つ。武装したカルタは剣により、オルガを斬り捨てる。

 

「ライダー、そいつは死なない!」

「何? ――く!」

 

 しかし、すぐに立ち上がったオルガは、パルチザンをカルタに振った。カルタはそれを剣で受け止めて、オルガを押し返すコトで、イリヤ達三人からの引き離しを図る。

 実際にオルガは押し返され、三日月とラスタルが入っていった方向とは反対側の森へ、姿をくらました。

 

「逃がすものか…!」

 

 カルタもそれを追い、森へと消えていく。

 その場に残ったのは士郎、凛、イリヤの三人となった。

 

「――バーサーカー」

 

 イリヤはやはり、自分を逃がす為に囮となったマクギリスが気にかかるらしい。――だが、マクギリスの犠牲を無駄にせぬ為にも、ここは逃走しなければならない。

 

「イリヤ、行こう。ここはバーサーカーを信じて、逃げるんだ」

「――シロウ…」

 

 イリヤの手を取り、士郎は言う。

 やがて三人は、爆心地から離れるように駆け出した。

 

 

   ◇

 

 

 爆煙の中から、バエルの装甲を装備したマクギリスが飛び上がる。

 

「ぐ…っ!」

 

 黄金の剣で魔力攻撃を一瞬防ぎ、後方へ思い切り飛ぶコトで、辛くも回避に成功した。突撃をかけた時は「近距離まで詰められれば…」とも思ったが、マクギリスは即座にその考えを改める。

 

 不可能だ。

 近距離になど寄ってしまえば、それこそ一撃で霊核を斬り裂かれる。

 

「――バエルか。成る程、エリオンの末裔が言っていたコトが事実だったとはな」

 

 漆黒の剣士は、マクギリスの姿を見て頷く。

 なお、現れてから今の今まで、アグニカは一歩たりとも動いていない。その事実に、マクギリスは畏敬――いや、もはや恐怖を抱いた。

 

「貴様。ファリドの末裔だったか?」

「――養子ですが」

 

 マクギリスは真剣に答える。

 以前遭遇した際はバーサーカーらしく叫びまくっていたマクギリスだが、このアグニカ・カイエルを前に狂化などすれば、それこそ格好の的だ。

 常ならばナノラミネートアーマーの防御力によって、ある程度攻撃を受けても問題無いが、今回は話が違う。一撃でも食らえば、その先の選択肢には死しか残されていない。

 

「革命の為にバエルに乗った、と聞いたが――貴様は、何を成そうとした? どんな世界を創ろうとしていた?」

 

 アグニカが、マクギリスに答えを求める。

 普段のマクギリスなら狂喜乱舞しているが、流石にそんな余裕は無い。今隙を見せれば、どうなるか分かったモノではない。

 

「――己が力のみが、全てを決定する世界。かつての厄祭戦のように、力の在るモノが全てを手に入れる世界を」

「何故に?」

「この世で唯一確実なモノ――それが『自分の力』だ。思想も席次も関係無く、力を持つモノが正当に評価される世界でこそ、人類は正しく存在出来る」

 

 それこそが、怒りに身を焦がしながら生きてきたマクギリス・ファリドという男の理想。自分の力のみを頼りに生きて来た男が、権力闘争の中で見いだした答えである。

 マクギリスの言葉を聞き届けたアグニカは――鼻で笑った。

 

「…!?」

 

 自らの理想を一笑に伏されたマクギリスは、思わず身構えた。

 

「そこまで息巻いてバエルに乗って、無様に敗北したワケか。成る程、そりゃあバエルもテメェを認めないだろうなァ」

「――何?」

「テメェは二つ、思い至ってないんだよ。

 思想も席次も関係無く、って言ったか? その言葉自体、テメェが誰よりも思想や席次に囚われてるから出るんだろうが」

 

 堕ちたアグニカが先程鼻で笑ったのは、嘲りを込めてのコトだと。マクギリスはその時、そう理解した。

 

「そんでもう一つ――人類に正しさなど存在しない。人類が存在しているコト自体、間違ってんだよ」

「――では何故、貴方は人類の未来の為に戦ったのだ!?」

 

 問い返さずにはいられなかった。

 アグニカは人類を救った、最新にして最強の英雄だ。少なくとも、マクギリスにとっては道を示し、この世の真理を教えてくれた存在。

 歪みきった姿になり果てたとは言え――その本人から、そんな言葉が出るなど。

 

「ああ、戦ったよ。それだけが、俺の生まれた意味だったからな。その為に、何もかもを犠牲にしたさ。友情も愛情も、自分自身も捧げて、使命を全うした。

 全く――間抜けにも程がある。人類に救う価値は無かった。テメェのような三百年後の奴らを見れば、それもよく分かるってモンだ。人類はあの時、この世から消え去っておけば良かったんだよ。モビルアーマーとかいう、テメェ自身の功罪によってな」

 

 モビルアーマー。

 兵器の無人化、その極致。人類によって生み出され、人類を滅ぼしかけた殺戮の天使。

 火星で戦ったモビルアーマー「ハシュマル」の姿が、マクギリスの脳によぎった。

 

「さて――下らん時間だったな。

 テメェの信じる『力』とやらで、せいぜい足掻いて無駄に死ね」

 

 アグニカが紅蓮の剣を持ち上げると、真紅の魔力が剣を覆う。

 

 膨大な魔力によるゴリ押し。

 通常状態のアグニカには決して有り得ない、技を捨て去った力技が、セイバーオルタの蹂躙手段だ。

 

「うおおッ!!」

 

 マクギリスが、アグニカに突撃する。

 二本の黄金の剣と、魔力に覆われた紅蓮の剣が衝突。一瞬の拮抗すら起こせずにマクギリスは吹き飛ばされ、魔力で拡張させられた斬撃が森を焼き払う。

 

「ぐうう…!」

 

 スラスターを全力で吹かせても、吹き飛ばされた勢いは殺しきれず、マクギリスは焦土と化した燃え盛る地面を転がる。

 そんなマクギリスに対し、再び魔力を乗せた紅蓮の剣を振り上げ、アグニカは無慈悲にそれを振り下ろす―――

 

「――!」

 

 ――直前。

 一条の閃光が、アグニカ目掛けて飛来した。

 

 アグニカは標的を変え、背後から飛んできたそれ――ダインスレイヴの弾頭を迎撃する。光は撃ち落とされ、魔力が地面を穿ち、煙を撒き散らす。

 

「うおおおお!!」

 

 巻き上がった煙の中へ、森の外から飛んできたらしい一騎のサーヴァントが突っ込む。剣と槍の交錯によって火花が散り、衝撃と発生した爆風で煙が四散する。

 

「フン」

 

 その巨大なランスを以て行われた突撃を一切動じぬどころか、一歩も動かずに受け止めたアグニカは、そのサーヴァントを横側に向けて弾き飛ばした。

 そいつは空中で回転して体勢を立て直し、マクギリスの側に着地する。

 

「無事か――マクギリス」

 

 マクギリスは、その目を見開いた。

 思わぬ救援に訪れたサーヴァントに、マクギリスは見覚えが有る。

 

 ――いや、見覚えなんてレベルではない。

 他の誰よりも、マクギリスはその男のコトを知っている。

 

 

「――ガエリオ・ボードウィン…!」

 

 

 ランサーのサーヴァント。

 「ガンダム・キマリスヴィダール」の装甲を纏ったガエリオ・ボードウィンが、苛烈極まる戦場へと乱入した。




戦場に君臨する、堕ちた厄祭戦の英雄。
本能のままに振るわれる圧倒的な暴力を前にして、対立し別離した二人が再び、その背を預け合う――



次回「絶対の終焉」
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