零 ~紅魔鏡~(東方×零)    作:蟲崎 まゆみ

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零 ~紅魔鏡~(東方×零) 壱ノ章その1

 

鬱蒼とした森の中を私達はただ黙々と歩き続けた。

季節は夏、汗が額から滴り落ち木々の隙間から容赦なく照りつける太陽が気力と体力を奪う。

話をする気などとうの昔に無くなっていた。

……一人を除いては。

 

「やっぱり森の中を歩くのって気持ちがいいよなーこういうのなんて言うんだっけ?

森林浴?」

 

「………」

 

「たまにはこうやって森の中を歩くのもいいよなーなぁ霊夢?」

 

「…あるか」

 

「え?なんだって?」

 

「いいわけあるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

私達は今遭難している。

 

-壱ノ章-

十六夜 咲夜

[射影機]

 

 話はさかのぼること二時間ほど前私達は紅魔館に行くため近くの森に来ていた

というのも紅魔館は森の中に建っている建物で遠くから見るとまるで森から生えているように時計塔だけを見ることができる。

遠めに見ると目印もあるし案外簡単につけるのではないかそんなことを考えながら

森の入り口まで来たのだが…甘かった…森は思いのほか深く木々は上空を覆い隠す

ように茂っていてとてもじゃないが塔を目印に進むなんてことはできなかった。

そんな時名乗りを上げたのが魔理沙だった。

魔理沙いわく、なんとなく道筋はわかるから私にまかせとけ…とのことだった…

そして現在絶賛遭難中というわけなんだけど…。

 

「ちょっとぉぉぉぉぉどうすんのよぉぉぉあんたがまかせとけって言ったからまかせたんでしょうがぁぁ!!」

 

 霊夢は魔理沙の胸ぐらを掴むとがくがくとゆすっている。

 

「おおぉぉおおおちおちおちつけれれれ霊夢」

 

 揺さぶられているせいでろれつが回らない魔理沙。

 

「だいだいじょぶぶぶぶだかららららら」

 

「何言ってるのかわからないわよ!」

 

「霊夢が揺さぶってるからでしょうが」

 

「そっか」

 

「うわぁ」

 

 いきなり手を離したせいでバランスを崩して魔理沙が倒れる。

 

「いてぇ」

 

「でどうするつもり?」

 

 悪びれる様子もなく詰め寄る霊夢。

 

「いてておちつけって」

 

 腰の辺りを擦りながら魔理沙が立ち上がる。

 

「実はなこの森にはあるちょっとした噂があるんだ」

 

「噂?」

 

「ああ、この森に初めて入った者は妖精に道に迷わせられるらしい」

 

 なにをいってるんだ魔理沙は…。

 

「ほうつまり私達が迷っているのは方向音痴の魔理沙さんのせいではなく妖精のせいだと…そう言いたいわけね」

 

「そうだぜ!」

 

「んなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 霊夢がキレた、ヤバいっと思ったときにはもう遅かった。

素早く魔理沙の背後に回りこんだ霊夢はそのまま腰の辺りを両手で抱えると状態を後ろに反らす…

いわゆるジャーマンスープレックスというやつだ。

魔理沙は宙を舞いそして地面に叩きつけられた。

ゴキャ

 というにぶい音がしたけどこれ大丈夫なんだろうか。

 

「もうなんなのよぉぉぉ最悪っ」

 

 そんなことを言っている霊夢を尻目に魔理沙の様子を見に行くとでっかいたんこぶができているだけだった…

まあ気を失っているようなので荷物を枕代わりに横に寝かせてやる。

 

「わたしの百万円がぁぁぁぁぁ」

 

いまものすごく不穏な発言を聞いた気がする。

 

「百万円てなんのこと?」

 

 霊夢がびくりと反応する。

 

「え?なんのことかしら?」

 

「ごまかせないわよ」

 

 霊夢をじっと見つめる。

 

「うっ…わかった教えるわ、これよ」

 

 そう言うと霊夢は一冊の雑誌を取り出した、それは魔理沙が先輩から借りた

月刊ヌーだった。

そしてパラパラとページをめくるとあるページを私に見せてくる。

そこには、『不思議映像グランプリ写真部門優秀作品には賞金百万円』

と書かれている。

 

「えっとひょっとして霊夢が急に行こうって言い出したのって…」

 

「これのためよ」

 

 こんなこととのために私はこんなところで遭難しているのか…。

 

「はぁー」

 

 私は思いっきり大きなため息をつく。

 

「むっなによ」

 

「霊夢ってさお金持ちのくせにそういうとこあるよね」

 

 守銭奴というやつなのだろうか霊夢は実家が神社でそこそこ繁盛していてお金持ちのくせに妙にけち臭い、というかお金にがめついところがある。

 

「なにいってんのよお金なんてあればあるだけいいでしょうそれにねこんなことわざがあるわ…」

 

 霊夢は私の肩をぐっと掴むそして。

 

「金は命より重い」

 

 そう真顔で言った。

 

「いやそれことわざじゃないから」

 

「それくらい重要てことよ」

 

 霊夢は肩から手を離すと。

 

「あーでも目的地に着かないんじゃ意味ないわねーせっかく準備もしてきたのに」

 

 そう言いながら座り込んでしまった。

 

「そういえばここに来る前、家に寄ってったよね何か持ってきたの?」

 

「え?ああちょっとね」

 

 そう言うと霊夢は自分の荷物をあさり始めたそして何かを取り出して見せた…それは。

 

「カメラ?」

 

 とても古いカメラだった両手で構えないといけないくらい立派な物で本体とレンズを蛇腹状の部分が

繋いでいおりレンズ周りには凝った装飾が施されている。

 

「よくわかったわねさすが写真部っ」

 

「でもみたことない形ね」

 

「これは射影機といってね家に先祖代々伝わるカメラなの」

 

 そんなものを気軽に持ち出していいのだろうか。

 

「これには不思議な力があってね…ありえないものを写すことができるの」

 

「それって」

 

「そう…これを使えば百万円は確実にわたしのもってことよ!」

 

「違うっそうじゃないっ!」

 

 おもわずつっこんでしまった。

 

「そう確実なはずだったのよ魔理沙のアホが道に迷わなければ!」

 

 人任せにした貴女も同罪だと思うなんて言ったらおこるんだろうなー。

 

「まあまあとりあえずこの辺りにもなにかあるかもしれないじゃない少し写真とってそれで帰ろ?」

 

 このまま暗くなるまで森の中っていうのは流石に怖いし。

 

「うーんそうね適当に写真取れば何かしら写るかしら」

 

 霊夢はそういいながらカメラを構えて歩き始めた。

私もとりあえず持ってきたデジカメで周りの風景を写真におさめていく折り重なる木々と

その間から射す木漏れ日がいい感じだ。

何枚かとり終えふと霊夢の方を見るとある一転を凝視している。

 

「どうしたの?」

 

 不思議に思い近づく。

 

「咲夜…あれ何かしら…」

 

 霊夢が指差す方向を見るがそこには茂みがあるだけで何も無い。

 

「なにもないけど?」

 

「カメラ…覗いてみて…」

 

 霊夢に言われカメラのファインダーを覗く…そこに見えたのは渦だった…

茂みの上あたりを渦巻状のなにかが漂っている、それはまるで蜃気楼のように

その辺りを歪ませていた。

 

「なに…これ…」

 

 私はカメラを霊夢に返した…ちなみに私のカメラでも見てみたけど

渦巻状の何かは確認できなかった。

 

「まあなにはともあれ…不思議現象だわ!シャッターチャンス!」

 

「ちょ霊夢!」

 

 止めるひまもなく霊夢がシャッターを切ったその瞬間突風が吹いた。

小枝や葉っぱを上空へ撒き散らし木々をしならせる。私は砂埃が目に入らないように

慌てて目を覆った。

 風は数秒続いたようで音が止んだ後恐る恐る目を開けてみる。

 

「なんだったのかしら」

 

「咲夜…あれ…」

 

 霊夢が指差すほうそこはさきほどまえ茂みがあったところだった。だが今は茂みは無くなっている

おそらく折れた木の枝かなんかが重なって茂みのようになっていただけだったのだろう先ほどの突風で吹き飛ばされたらしい…そしてそこに道はあった。

レンガで舗装されたおそらく紅魔館へと続くであろう道…。

 

「見つけたわ、見つけたわよ!紅魔館への道!」

 

 霊夢は興奮した様子で荷物をまとめていく。

 

「ねぇ霊夢…」

 

「どうしたの?」

 

「なんでもない…」

 

「そう…なら行きましょうか紅魔館へ」

 

「うん…」

 

 わたしは風が吹きすさぶなか確かに聞いた子供…女の子達の笑い声を…。

 

「あっまってよ霊夢」

 

 荷物まとめると気絶した魔理沙を背負って先に行ってしまった霊夢の後を追った。

 

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