シンフォギア・ウルフ   作:狼ルプス

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第2話 惨劇

 俺は不破イサム、生前では強盗事件で射殺され転生した人間だ。現在俺はツヴァイウィングとやらのコンサート会場前にいる。

 

何故ここにいるかと言うと、半年前、俺が買い物帰りの福引でガラガラを回したところ大当たりが出てしまい、ライブのペアチケットが当たってしまったからだ。俺は友人がいないので渡す相手もおらず、どのみちライブに行くつもりはなかったのだが、あまりにも暇だったので結局行くことにした。今思えば、「虫の知らせ」というやつだったのかもしれない。

 

「随分と人気だったんだな、あの二人。いっつも戦場でしか見ないからイメージ出来んな。」

 

イサムは列の最後尾に並び、入場時間を待つ。その時、前にいる少女が顔を青くしてとまどっているのを感じた。イサムは心配に思い声をかけた。

 

「オイ…お前、どうしたんだ?」

 

「えっ?えっと…それが、持ってきたはずのチケットをなくしてしまって」

 

「はぁ?チケットを……?」

 

「は、はい…ど、どうしよう、未来に勧められてすっごく楽しみにしてたのに」

 

どうやら少女は友人に勧められてきたみたいだ。今にも泣きそうな顔を見てイサムは念のために持ってきたもう一枚のチケットをバックから取り出す。

 

「オイ…よければこれ、お前にやるよ」

 

「えっ、いいんですか!でも…それは」

 

「もう一枚持ってるから心配すんな、偶然福引で当てて渡すやつもいなかったからな」

 

「ありがとうございます!じゃあ、遠慮なく頂きます。」

少女は嬉しそうにチケットを受け取り、笑顔になる。

 

「あっ‼私、立花響っていいます‼」

 

「……不破イサムだ。好きに呼んで構わん」

 

「じゃあイサムさんで‼あの、イサムさん、失礼かもしれないんですけど、イサムさんも友だちにすっぽかされた感じですか?」

 

「いや…俺はさっき言ったように福引で当てたやつだ、ホントは行くつもりは無かったが…暇だったから来ただけだ。それに俺は本当に友人がいない。そう言う立花はすっぽかされたのか?」

 

「すっぽかされたというか……友だちが急に行けなくなってしまって、もったいないから1人で見ることにしたんです」

 

「そうか」

 

数十分後、ようやく入場時間となった。

イサム達は入場すると、とりあえずペンライトを購入し、観客席に移動する。

観客席にはすでに多くの人が座っており、会場は盛り上がっていた。

 

チケットに書かれた席を探し歩くイサムと響……チケットはペアな為、座る場所は当然響と隣同士となる。

 

「すごい…始まってもいないのにすごい盛り上がり……」

 

「そうだな…こういったのは初めての事だ、何だか新鮮だな……ん?」

 

「あれ?」

 

突如、会場内が暗くなった。

そして、音楽が流れだし、ステージに明かりが点る。

そこから2人の少女が出てきた。

観客席の人々は、一気にテンションが上がり、会場内は熱気に包まれる。

そしてイサムにとって見覚えのある2人の少女、天羽奏と風鳴翼が歌い始める。

 

「(本当に歌手だったんだな、戦場の時とは大違いだ…………心にビシバシ伝わってくる)」

以前、ノイズとの戦闘後に逃げようとしたら、力づくで連れて行こうとしたため反撃に転じたことがあった。その時はやりすぎたと思い心配したが、後遺症もなくよかった。

 

 

今のイサムは2人の歌に魅了される。

イサムが隣を見ると、響が楽しそうにペンライトを掲げていた。

そんな響を見たイサムは、口元を緩ませる。

 

「(落ち込んでいたわりには、楽しんでいるじゃねぇか。だが何だ?妙に胸騒ぎがする)」

 

この不安は何なのか疑問を持ったが、今はライブを楽しむことを優先し、静かに二人の歌を聴く。

するといつのまにか歌が終わってしまっており、周りからアンコールのかけ声が会場に鳴り響く。

 

「もっと盛り上がっていくぞー‼」

 

『『『『『オォオオオオオ‼』』』』』

 

会場内は盛り上がり、歌が再び始まろうとしたその時、

 

ドガァアアアアアアアン‼

 

「な、なに?」

 

「なっ!爆発⁉」

 

突然ステージの一部が爆発した。

それからすぐ、上空から正体不明の物体が会場内に降りてきた。

 

「の、ノイズ⁉」

 

「ノイズだと⁉︎……」

 

人類共通の天敵…認定特異災害ノイズが会場内に現れ、次々と人々を襲っていった。襲われた人々は灰となって消えていった。

 

「人が………‼」

 

「チッ‼立花‼お前は逃げろ‼俺は逃げ遅れた連中を避難させる‼」

 

「えっ?イ、イサムさん⁉」

 

イサムはその場から立ちあがって駆け出す。すると、1人の女の子が泣きながら立っていた。そして、その女の子にノイズが迫っていた。

 

「くそっ‼」

 

イサムは女の子に向かって駆け出した。ノイズが女の子に近づき、触れようとした瞬間、イサムがギリギリ女の子に抱きつき、転がりながら魔手を回避した。

 

「オイ、大丈夫か?」

 

「あ、ありが……ヒグ……とう……ヒグ……お兄ちゃん」

 

「ナナ‼」

 

「お母さん‼」

 

イサムに助けられた女の子は、母親の元に駆け寄り抱き締められる。そして母親はイサムに顔を向ける。

 

「ありがとうございます‼ありがとうございます‼」

 

「礼はいい‼ここから早く逃げろ‼」

 

「はっ…はい‼」

 

母親はイサムに礼を言って、その場から離れる。イサムは後ろを振り返った。そこには、先程までいたノイズはいなくなっていた。イサムではなく、響に狙いを定めたようだ。

 

「立花‼逃げろ‼」

 

「あ……イタっ……‼」

 

逃げようとする響だったが、足を怪我してしまい逃げられないでいた。そしてノイズは段々と響へ近づいていく。イサムはフードを深く被りポケットからファイズフォンxを取り出しガンモードにして構える。

 

だがその時、

 

「はぁあああ‼」

 

『『『ッ⁉』』』

 

奏が聖遺物の欠片からできた鎧型武装〈シンフォギア〉の1つ〈ガングニール〉でノイズを薙ぎ払い、響を守った。だが今度は、奏を狙ってノイズが攻撃する。

 

「早く逃げろ‼」

 

「くっ‼」

 

響は痛めた足を引摺りながら逃げようとする。奏はノイズの攻撃を必死に防ぐが、段々と押されていくにつれ、ガングニールに亀裂が入る。

やがて亀裂が入った部分が砕け、後方に飛んでいく。

そして、その砕けた破片が響に突き刺さってしまった。

 

「しまった‼」

 

「ッ⁉︎立花ぁぁぁ‼」

 

奏とイサムは響の元に駆け寄る。

 

「立花‼しっかりしろ‼」

 

「おい‼しっかりしろ‼目を開けてくれ‼生きることを、諦めるな‼」

 

すると、二人の必死の呼びかけに答えるかのように、響がうっすらと目を開ける。

 

「…………体の中、全部空っぽにして、おもいっきり歌ってみたかったんだ」

 

奏はそう言いながら立ちあがり、ノイズがいる方をむく。

 

「今日はこんなに聞いてくれる奴等がいるんだ…………あたしも全力で歌うよ」

 

「……何をする気だ?」

 

「あんたはその子を連れて逃げてくれ。今からどでかいのをするか「お前…自分を犠牲にして奴等を道連れにする気か?」ッ⁉」

 

驚いた奏は、後ろを振り返りイサムを見る。

 

「…………なんで」

 

「その様子だと当たりみたいだな、簡単に言えば俺の勘だ。雰囲気が覚悟を決めた戦士そのものだからな。だがな、それじゃあ奴等の思うつぼだぞ。この場はなんとかできるかもしれんが、この先のことを考えたら、メリットは奴等にしかない」

 

 

「じゃあどうしろってんだよ⁉他に方法があるなら教えてくれよ‼︎」

 

「俺が、奴等をぶっ潰す」

 

「えっ?」

 

そう言ったイサムは、響を抱え壁に寄りかからせ、ノイズに向かって歩き出す。

それを遠くで戦いながら見ていた翼は、ノイズを斬り払い、奏の元に駆け寄り、イサムに声をかける。

 

「ち、ちょっとあなた⁉」

 

「お、おいあんた‼普通の人間じゃノイズは‼」

 

「安心しろ。俺は普通じゃない……と言うか、お前らとは何度か会ってんだろ」

 

「「えっ?」」

 

イサムの言ってることを理解できない二人を残し、

 

《バルカン!》

 

イサムはウォッチを起動させ手にショットライザーの付いたバックルを持つ、バックルを装着しベルトを右側に連結させる。そして、バックルについたショットライザーを手に取り、左手にはプログライズキーを持つ。

 

 

「その拳銃……まさかあんた!」

 

「……ノイズ共…お前らは、俺がぶっ潰す!」

 

《バレット‼》

 イサムは親指に力を入れプログライズキーを無理やり展開させショットライザーに装身する。

 

「フンッ!」

《オーソライズ!》

 

《kamen rider kamen rider kamen rider》

 

イサムは銃を目の前にいるノイズに向ける。

 

「変身‼」

 

《ショットライズ‼》

一発の弾丸が放たれ、迫ってきた一体のノイズに直撃し、イサムの元に戻る。

 

「ハアッ!」

 

イサムが迫ってきた弾丸を拳で殴ると、銃弾が弾け、身体に装甲を身に纏っていく。

 

《シューティングウルフ!》

 

 

《The elevation increases as the bullet is fired.》

 

 

奏と翼は目の前の青年の姿が変わり目を見開き驚いていた。しかも二人がよく知っている相手だったから尚更だ。

 

 

「お前…unknownだったのか!」

 

「訂正しておく……俺はunknownじゃあねぇ、バルカンって名前がちゃんとあるんだよ」

 

「バルカン…」

 

翼は静かにバルカンの名を口にする。

 

《アタッシュカリバー!》

 

するとバルカンの横にカバンが現れた。

 

「…カバン?」

 

「カバンじゃあねぇ、武器だ。」

 

《ブレードライズ!》

 

『『『⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉』』』

 

カバン状態から剣に変形させ、バルカンはノイズに近づき、アタッシュカリバーで横一閃に斬り裂く。

数体攻撃を受けたノイズは、灰と化して消えた。

 

「お前ら雑魚じゃ俺の相手になると思うな」

 

「あいつ…やっぱり強い」

 

「彼の使っている力は……、いったい」

 

二人は、バルカンがノイズを次々と倒して行く姿に呆然としていた。かつて実力行使で連行しようとして返り討ちに遭った苦い記憶が頭をよぎる。

 

一方バルカンは、ノイズを蹴散らしていく。その時、1体のノイズが、バルカンを後ろから襲おうとしていた。

 

「ま、まずい‼」

 

「バルカン‼」

 

奏と翼はバルカンに危険を知らせようとした時には、ノイズはバルカンに攻撃を仕掛けていた。

だが……

 

バキュン!

 

『⁉⁉⁉⁉⁉⁉』

 

「俺を後ろから襲うなんざ……100年早いんだよ!」

 

バルカンは、ノイズの攻撃が当たる寸前で、ショットライザーを後ろに向けて、ノイズを撃ち抜く。撃ち抜かれたノイズは炭化した。

 

「ま、まじかよ……」

 

「相手を見ずに……撃ち抜いた……」

 

「……………………」

 

二人はバルカンの対応に驚きを隠せなかった。それに構わず、バルカンは、無言でノイズがいる方を見る。

 

「まだこんなにもいるか…………だったらこいつだ!」

 

《アタッシュショットガン!》

 

使っていたアタッシュカリバーが粒子状になって消え、新たに水色の線のあるカバンが現れた。

 

《ショットガンライズ!》

カバンを展開させ銃の形になる。そしてバルカンはベルトにあるホルダーから別のプログライズキーを手に取る。

 

《パワー!》

 

《Progrise key comfirmed. Ready to utilize》

 

《コングズアビリティ!》

 

プログライズキーをショトガンに装身し待機音がなる。銃口にはエネルギーが溜まり大きさを増す。

 

 「ハアァァ…………フンッ‼︎」

機械的なゴリラの腕のエネルギー弾が発射される。しかし一発だけでもアタッシュショトガンは反動がある。普通に撃つのには慣れたが、今の形態で必殺技を放つとかなりの反動が来る。

 

『『『『『⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉』』』』』

 

《パンチング!カバンショット‼》

 

ノイズに直撃し爆発を起こす。バルカンの一撃はノイズの数をかなり減らした。

 

「た、たった一発で……」

 

「あんなにいたノイズを……」

 

「あとは、あのデカブツだけか」

 

驚いてばかりの二人を他所に、バルカンは、最後の1体となった大型ノイズの方を向く。

 

 

 

その瞬間、バルカンは、ノイズに向かって駆け出す。

 

「「バルカン⁉」」

 

「次で終わらせる‼」

 

『‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼』

 

大型ノイズは、バルカンを狙って液体を放出する。しかし、バルカンはその場で空中に跳び、攻撃を回避する。

そして、

 

《バレット‼︎》

 ショットライザーを再びバックルに装着し装身しているプログライズキーのボタンを押し、トリガーを引く。

 

「これで…終わりだぁぁぁぁ‼」

 

『⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉』

 

 

 《バレットシューティングブラスト!》

 

 

《フィーバー!》

 

 

空中に跳んだバルカンは、足に青色のエネルギーを蓄積させて、ノイズに向かって蹴りを喰らわせる。

喰らったノイズは、悲鳴のようなものをあげながら灰となって消えた。

 

「……」

 

「やっぱ凄いなお前‼」

 

「ん?」

 

終わったのを確認したバルカンは後ろから奏の声に振り向く。

 

「あれだけいたノイズをあんなあっさりと片づけちまうなんて…流石だよ」

 

「……そうか」

 

「バルカン……前から気になってはいたけどあなたの使っている力は…いったい何なの?」

 

「……………(さて、どうやり過ごすか、かと言って立花をあのまま放置するわけにもいかない。あいつには申し訳ないが…こいつらに任せた方がいいな)」

 

 

「オイ…お前ら、あいつをあのままにしていいのか?手遅れになるぞ」

 

「あっ⁉︎そうだった!早くあいつを病院に連れていかねぇと!」

 

 

《ウィング!》

 

バルカンは二人が響に駆け寄ったその隙にプログライズキーを起動させスマホに挿し込む、画面をタッチすると、スマホが変形し飛行形態になりバルカンの背中に連結する。

 

 

「なっ⁉︎逃げる気か!」

 

 

「悪いな…後のことは任せるぞ!」

バルカンは飛行し、ライブ会場から去って行く。

 

 

バルカンが飛び去った後、2人の仲間である“特異災害対策機動部”がきて、響を病院に運び、会場の瓦礫撤去を始めた。

 

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