シンフォギア・ウルフ   作:狼ルプス

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第8話 青い狼とゲーマードクター

「なんとか一命は取り留めました。ですが、容態が安定してはいますが、暫くは絶対安静が必要です」

 

「よろしくお願いします」

 

リディアン音楽院のすぐ隣にある病院の廊下……オペを担当するドクターに、司令と黒服達が頭を下げる。

 やがて頭を上げると、いつものワイシャツの上からスーツを着た弦十郎は、黒服達へと向き直り、指令を下す。

 

「俺達は、ネフシュタンの鎧の行方を追跡する。どんな手がかりも見落とすな!」

 調査部の黒服職員達は、ぞろぞろと病院の外へ出ていく。

 

それを見送ると、奏は待合室のソファーに座って俯いている響の左隣に腰を下ろした。

 

「……お前のせいじゃない。翼ならきっと大丈夫だ……」

 

「……でも、私がもっと強ければ、翼さんは……」

 

響を励まそうにも、奏はいい言葉が浮かばないでいた。奏はあの時、別ポイントで単機でノイズと戦っていた為、連絡を聞いてノイズを倒した後すぐさま合流したのだ。

響だけじゃない。俺も響と同じ事を考えてしまう。イサムは無意識にライダーの絵が載ったプログライズキーを手に取り見つめる。

 

「(もしこのプログライズキーがなかったら、間違いなく翼は命を落としていた。永夢には借りができたな)」

 

 

 

時は先日に遡る

 

イサムは血だらけの翼の身体を抱き留めていてどうすれば良いか思考を巡らせていたら、急に周りの景色が突然と変わった。イサムは状況が理解できず辺りを見渡す。辺りは真っ白な空間に包まれていた。

 

「ここ…どこだ?なんで急にこんなところに」

 

「君を待ってたよ、不破イサムさん」

 

イサムは振り向く、そこにいたのは、イエローのTシャツの上に白衣を着た青年であった。

 

「あんたは?」

 

「僕は宝生永夢、見ての通り医者で小児科医を勤めています」

 

「ご…ご丁寧にどうも、自分は不破イサムです。特異災害対策機動部二課の仮面ライダーを勤めています。」

自己紹介をされイサムは自身の自己紹介をする、自己紹介されたら返すのが礼儀だ。

 

「そんなことより、ここは一体どこだ?翼が危険な状態なんだ。あんたと話している暇は…」

 

「それはわかっています。これを渡すために…イサムさんの意識はここに呼ばれたんです。」

永夢はポケットからプログライズキーを取り出した。イサムは永夢の持っていた物を見て驚きを隠せなかった。

 

「なんであんたがプログライズキーを持ってんだ⁉︎」

 

「このデバイス……プログライズキーって言うんですね。なんでエグゼイドの絵が載ってるか不思議だったので、黎斗さんに一度調べてもらったのですが、あの人でもエグゼイドのデータが入っているのはわかっていたみたいですが、完全にはわからないと言っていたほどでしたからね。」

 

 

 

 

 

 

◇場所は永夢の世界にあたる聖都病院のCR

 

「黎斗さん、大丈夫かな?」

 

「さぁな、どうせあの神だ、神の才能ダァー!なんて言ってそのうち笑うだろ」

「まぁ……いつもの事だけどね」

永夢の隣にいるのは監察医である九条貴利矢とCRの専属ナースである仮野明日那だ。

キーボードを打つ音がCR内に鳴り響く。その人物は檀黎斗…現在死に物狂いで画面を睨みつけている。床にはメモした資料、数式が書かれた資料などが大量に散らばっていて足が踏める場所がほぼ無くなっている状態だった。

 

 

「…ふ、ふふ…ふははは…!」

「黎斗?」

 その時、力強くキーを叩く音と共に我関せずだった黎斗が笑い声を上げ始める。

 

「ふはははは…!はははッ、ハハ…ヴェァハハハハハハハハハハッ!!!」

「…まさか、何か分かったのか!?」

「え、本当ですか、黎斗さん!?」

「黎斗!どうなの!?」

 

 

 

 

 

 

「…わからなァァ~いッ!!」

「だぁーッ!」

「「ずごーッ!?」」

 けたたましい笑い声から一転、情けない声と共に項垂れる黎斗に永夢と明日那はずっこけ、貴利矢たちは期待外れに地団駄を踏む。

 

「おい!自慢の神の才能はどうした!?そんなデバイス程度に歯が立たねーとか情けねーぞ!」

 

「黙れェェェェェェッ!!…言っておくが、決して私の才能が劣っているのでは無い!このデバイスは現段階では到底作る事は出来ない構造になっている、だから解析に手こずらされているのだ!!」

 

「永夢、本当にあのデバイスを誰かからもらった心当たりはないの?」

 

「うん、朝目を覚ましたらそのデバイスを握っていて」

 

「まっ、永夢は嘘をつくような奴じゃないからな、大抵嘘をつく時は何か裏がある時だし」

 

「しかし…わかった事が一つだけある、そのデバイスにはエグゼイドのデータがあったと言うくらいだ。」

 

「エグゼイドのデータが、このデバイスに、ですか」

永夢は机にあったエグゼイドの絵が載ったデバイスを手に取る。そして永夢はデバイスを見て何かに気づく

 

「あれ?これ…もしかして押せる?」

 

《ゲーム!》

 

「うわッ!」

永夢の視界は突如と眩い光に覆われた。

 

「え?ここ…どこ?」

辺りを見渡すと真っ白い空間に永夢は立っていた。しかし永夢はこの空間に心当たりがあった。

 

「この空間…覚えがある、スーパーヒーロー大戦の時の空間に似てる。」

 

すると永夢の目の前にホログラム状の画面が出てきたのだ。

 

 

『無理ですよイサムさん!ノイズ相手に叶うわけ…』

 

『うるさい!俺がやると言ったらやる‼︎ 俺がルールだ‼︎』

 

映像に映し出されたのは、半透明の異形の大軍、そして白いリボンをつけた少女を守るように立つ青年であった。そして左手には永夢の持っていたデバイスと酷似したものを握っていた。

 

そのデバイスはグリップが付いていたのが、永夢の物と違う点だった。

 

永夢は、男がバックルの腰につけているデバイスが自身が持っているそれと確認できた。

 

「あれは…僕が持ってるデバイスと同じ!」

 

《アサルトバレット!》

 

『ノイズは人の大切な者を奪い、人の日常と幸せを壊す人類の敵だ‼︎』

デバイスを開こうとするとロックがかけられているのか開けることは出来ない。

 

『最初の俺は、怒りでノイズ共と戦ってきた。けどな!知ったんだよ…誰かの為に戦うのも悪くねぇってな、だから俺は守るべきもののために戦う‼︎それが……、俺のルールだぁぁぁぁ‼︎」

 

咆哮と共にデバイスが無理矢理開かれる。

 

彼はデバイスを展開させバックルについた拳銃に装身させた。

 

『フンッ!』

 

《オーバーライズ!》

 

《kamen rider kamen rider kamen rider》

 

装填された青い拳銃をベルトから取り外し、天高く掲げ、ゆっくりと正面に向け、

 

 

『変身!!』

 

《ショットライズ‼》

 

放たれた弾丸は飛来し、巨大なオオカミの形となりノイズとやらの前を通る。

 

 

《 READY GO‼︎ ASSAULT WOLF!!》

 

弾丸の狼は少年の元に戻りそれを左手で握り潰す。

 

握り潰された狼は弾け散り少年の身体に鎧となって纏われていく。

 

涙に濡れたような赤いラインが少年の顔に浮かび上がりその上に仮面が形成された。

 

《No chance of Surviving 》

 

中心部の赤いコアが不気味に光る。

 

『イサム……さん』

 

『そこでじっとしてろ未来…動かれると守ることが出来ねぇからな』

 

 

 

 

 

「変身した⁉︎、じゃあ、このデバイス、ビルドの時と同じ別世界の仮面ライダーの物」

 

永夢は未知の仮面ライダーの姿を目の当たりにして動揺するが、今持っているデバイスがあのライダーが使うアイテムだとわかった。

 

 

『……いくぞ、ノイズ共』

 

変身を終えた青年はノイズに向かって歩みよる。

 

一匹のノイズがイサムに接近し攻撃を仕掛けるが、イサムはダメージがある様子もなく拳を振り抜く。

 

イサムの鳩尾に振り抜かれた攻撃は効いている様子はなく、微動だにしない。イサムはそのままノイズの身体にショットライザーをベルトから引き抜きノイズの身体に風穴を空ける。

 

 

『オラァッ!』

 

イサムはそのままノイズに接近しラリアットをかます。そのまま何体ものノイズを巻き込み薙ぎ倒していく。

 

そしてイサムはノイズに囲まれ一斉攻撃を喰らうが、微動だにしない。

 

《オーソライズバスター!》

 

《ジャンプ!》

 

《Progrise key comfirmed. Ready for buster.》

 

 

「ハァッ!」

 

《バスターボンバー!》

バッタの絵が載った斧型のデバイスを取り出し装身し、バッタのライダーモデルを模したエフェクトが浮かび上がり回転斬りを放つ。

ノイズは斬り裂かれ炭化する。

 

 

《ガンライズ!》

そして、刃を折りたたみ銃の形に変形させ、空中に飛来しているノイズを撃ち落とす。

 

 

『撃ち落としてやる』

 

 

《パワー!》

 

《Progrise key comfirmed. Ready for buster.》

 

 

『墜ちやがれノイズども!』

 

《バスターダスト!》

ナックルデモリションを模した大型のエネルギー弾を発射し、飛来していたノイズを全て撃ち落とす。

 

大軍だったノイズの数はかなり減っていた。

 

 

「凄い……あれだけいた数を一気に」

 

もはや勝負は見えており、蹂躙だった。

 

 

 

『こいつで終いだ』

 

イサムはショットライザーに装身されたプログライズキーのグリップのボタンを叩く。

 

《 Assault charge !》

 

 

『ハァァァァァ』

 

ショットライザーを残ったノイズに構えると、エネルギーが銃口に溜まり蒼白いオーラが収束する。

 

 

 

『ハァッ!』

 

狼型のエネルギー弾が相手に噛みつき、空中を暴れ回りながら撃破する。

 

 

《MAGNETIC STORM BLAST ‼︎》

残ったノイズは狼の弾丸に直撃し、大爆発を起こす。

 

 

そして映像は青年がノイズを全滅させた途端、瞬間に画面が消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の戦いは、ここで見せてもらったよ。」

 

 

「そうなのか、それで…なんでそのデバイスを俺に?」

 

「これを渡す前に僕からは一つだけ。……命は、大事にね。僕の世界じゃゲーム病とかでの復活とか例外はあったけど、ゲームとは違って人は大抵死んだらそこでおしまいだ。コンティニューできない。大切な人を失わないために、エグゼイドの力を正しい事に使って欲しい」

 

「わかった。大切に使わせもらうぞ。エグゼイドとやらの力を」

 

イサムは永夢からエグゼイドのプログライズキーを手渡される。

 

すると辺りの風景は変わるり意識は元の世界に戻っていた。

 

そしてイサムの手にはしっかりエグゼイドのプログライズキーを握っていた。

 

 

 

「…ありがとう永夢、エグゼイドの力、お借りします!」

 

《ゲーム!》

エグゼイドのプログライズキーを起動させ翼に握らせると、淡い緑色の光が覆い、翼の傷は治っていき顔色は良くなっていく。

 

 

「なっ!傷が、イサム君…一体何を…」

 

「話は後だ!早く翼を病院へ!今ならまだ間に合う!急げ!」

 

翼はそのまま病院へ搬送されなんとか一命を取り止めることが出来た。

 

 

 

 

 

 

そして現在、ずっと弱気なままの響に、イサムは近づき頭を乱暴に撫でた。

 

「いつまでも弱気なこと言ってんじゃねぇぞ、響… 他の誰でもない"立花響"にしか出来ない事あるんじゃねぇのか?」

 

 

「私にしか……出来ない事……」

 

「その答えは自分で見つけろ…俺が言えるのはそれだけだ」

 

 

 

 

イサムは響に飲み物を渡した後、病室から退出した。

 

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