拙い文章ですが、楽しんで頂けるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
高校一年にして、怪異の専門家である理由についてはしばらくは語ることはないだろうしあまり語るつもりもないけれど、それでも僕はこの高校生活について語りたいと思う。
これについては怪異の専門家としてではなく、ただの高校生として話していきたい。
怪異の専門家であり、秀知院に通う人がただの青春を送れる訳はないので少々おかしな要素が交じるけれど、それでも楽しんで頂けたらと思う。
前書きが長くても仕方ないので、そろそろ語っていこう。
「うわー、今日も多いな」
朝早くに毎日学校に行く僕は、いつものようにこのセリフを言っている。
「今日も朝から
鬱々たる気分で今日も僕はロッカーからはたきと塩を取り出し、地面に少し塩を撒くとはたきでそれを回収する。
それを学校の至る所で行っている。はたから見たら何やってんだかよくわからない光景だろう。
僕がこのようにしてるのには当然理由がある。
あれは去年の10月頃の話である。
「と言う訳で、はーくんには秀知院学園に進学してもらうよ」
「いや、何も説明してないですよ。ちゃんと説明してください」
専門家の元締めこと臥煙伊豆湖は飄々とした様子で結構とんでもないことを言ってきた。
いやいや、秀知院学園って確か偏差値77の名門校でしょ。僕の偏差値70ぐらいで届いてないんですけど。
しかも、私立だし、進路を勝手に決定されても困るんだけど。
「ありゃ、こりゃ済まないね。それじゃあ一から説明するか」
と語りだした臥煙さんの話を纏めるとこんな感じの話である。
明治時代より貴族や名士達の学び舎として造られたこの学園は、入学する生徒の傾向もあり、闇となる部分も多く存在する。
それはつまり、恨み辛みもかなり溜まり、エアスポットととしての特徴を帯びてきたらしい。
とは言え、すぐさまどうこうしなければならないということはなかったのだ。
「どういう訳だか、ここ数ヶ月でよくないものが急速に溜まりつつあって怪異現象が起こりやすくなっててね。それの清掃に向かって欲しい」
「どういう訳かって、なんでも知ってるんじゃないですか」
「全知とは言っても、完璧じゃないよ。なんでも思った通りにはいかない。こよみんなんか想定を遥かに超えてくるしね」
「こよみん?」
「あー君が知らなくてもいいことだ。とにかく入学の手筈は整えておいたからよろしく頼むよ」
とこっちが承諾するよりも先に外堀を埋めて帰っていった。
そして、家に帰ると秀知院学園への合格通知と学校生活で使う金と制服一式その他もろもろが揃っていた。
いや、合格通知ってなんだよ。そこは推薦状とかにしとけよ。いきなり合格してるとか怖いわ。
……まあ仕方ないか。
見事な裏口入学だが、臥煙さんには色々な借りがあるため、そもそもで断ることがあまりできない。
とそんな訳で無事秀知院学園に入学した僕は、毎朝よくないものを掃除している。
因みにこの塩はそれなりに霊験あらたかなものであり、結構よくないものも消せる。
「それでも、毎朝掃除が出来ない女教師のようによくないもんが溜まるんだからやってらんないんな」
実際にそれなりの速度でよくないものが溜まる。本当なら御札でも貼ってよくないものが溜まらないようにするのが一番良いのだが、残念ながらそれは出来ない。
なぜなら、
どんな所に貼っても掃除の際に気づかれ捨てられてしまう。捨てられては効果なんて発揮の仕様がない。
よって毎日掃き掃除をこなすことでギリギリ怪異現象が発生しない範囲に抑えている。
まあいつまでもこの方法を続ける訳にもいかないので、今現在急によくないものが集まりだした原因を究明している最中である。
と、そんな朝の日課をこなしつつ、今日も1年B組の教室の自席に座る。
前を見ると、珍しいことに朝はよく空いている席が埋まっていて、ヘッドホンを首にかけて手元のゲーム機でゲームをしている男子が、座っていた。
「よう、石上。おはよう」
「うっす」
短く返事をすると、再びゲーム機の方に意識を集中しだした。
この今現在ゲームをしている男の名は、石上優。この秀知院学園の生徒会会計である。
片方の目を前髪で覆い隠し、どんよりとした陰キャの雰囲気を醸し出しているが、まあ普通に陰キャである。
どうやら中学時代に何かしらをやらかして、停学をくらい、その当時でもそれほど明るいとは言えなかつた雰囲気がさらに暗くなり、同級生からも嫌われている。
だが、僕の方はこの噂に対しては何かしら裏があるのだろうと考えている。
なぜなら、この噂が本当ならそもそも生徒会会計になどなっていないからである。
この学校の生徒会長とも少し話をしたことがあるが、少なくとも人を見る目は確かだろうと感じた。
その人が、停学明けからすぐにスカウトをするのだ。そうして信頼するに足る人物なのだろうし、あるいは石上の停学ことについてもなにかしら知っているのかもしれない。
それに、実際に話してみればわかる。彼は、良いやつだ。
リア充へのヘイトなども言うことはあるが、基本的に他人が傷つくようなことは言わないししないだろうと感じた。
閑話休題
さて、石上がゲームに集中してしまったことだし、本でも読むかと一冊の本を取り出した。
ブックカバーをつけているので、他の人はどんな本かは分からないだろうが、この本は、怪異譚を纏めた本である。
正確に言うと忍野メメという専門家が臥煙さんへの報告も兼ねて書いているようだけど、意外と読みやすく、回り道をするようになかなか結末までもっていかないが、そこがまた僕の気に入ってる部分でもある。そんなことを臥煙さんにはいうと少し意外そうな顔をされたけれど、そんなに意外なことなのだろうか。
本日のテーマは、おもし蟹である。しかし、ここ3回連続で出てくるA君を忍野さんは結構批判するように書いている割に、その実、高く評価している感じがするのだがなぜだろうか。
そんなことを考えながら本を読んでいると、足音が近くにくるのが聞こえて顔を上げると、目の前におさげの低身長な女子が石上に向かって怒鳴りつけるようにいった。
「石上!! 学校でゲームしてんじゃないわよ!!」
そう言うと彼女は石上の手元のゲーム機を掴み、石上のゲーム機を取り上げた。
「おい何すんだ伊井野」
石上はゲーム機を取り返そうとその女子に近寄るが、その女子は石上を近づかせずに言い放つ。
「あんたがゲームなんてやってるからでしよう!! 風紀委員として校則違反で、これは没収するから」
彼女の名前は、伊井野ミコ。さっき彼女自身が述べたように風紀委員である。
おさげの低身長で、如何にも真面目そうな雰囲気を醸し出しているが、こっちもまあ普通に真面目である。
まだ中間もまだなので、実際に見たわけではないが毎回学年1位をとり、無遅刻無欠席を貫き、校則もしっかりと守っている絵に描いたような真面目ぶりである。
風紀委員の仕事もやりすぎな位にやっていて、先生からの評価は厚いものの、生徒からの人気はその真面目すぎる所からあまりない。
個人的には、規則を守ることについて、結構好感を持っているが行き過ぎている一面も感じているのが正直な所である。
再び閑話休題
「まあ石上。わざわざ教室でゲームしてたお前の方がここでは悪いんだから諦めろ」
「いや、そっちの肩持つのかお前」
「その通りよ。取り敢えずこれは先生の所に持って行くから」
そういうと伊井野は教室を出ていき、石上はため息をつくと自分の席に戻り、自分の机に突っ伏しながら、こっちに恨みがましい視線を向け、そして僕はそれに気づかないふりをしながら、また読書再開した。
***
昼休み。偏差値70にはそこそこ厳しい午前の授業を終え、中庭のあまり人目につかない木陰で、石上と昼食をとっていた。
「はぁー。ゲーム機を返して貰わないと」
「おう。そうだな」
「いや、鳴山も原因の一つだからな」
石上は少し乱暴にサンドイッチを口の中にいれながらそう言った。
「っても、悪いのはお前なんだから、大人しく反省しとけ」
僕がそう言うと石上は、そりゃそうだけどさ、などとぶつぶついながら、サンドイッチを食べ続けた。僕は食べ終わったのでお弁当箱を片付けると、また、本の続きを読み始めた。
「相変わらず、食うの早いな」
「そうか?こっちとしては普通に食ってるだけなんだが」
「いやいや早いって」
こちらは本から一切目を離していないが、それでもそれなりに会話は弾む。石上とは、主にゲームについて会話をすることが多い。とは言っても、流石に学校でゲームはしない。するとして、部活としてするくらいである。しかし、僕は今朝の出来事を振り返り、石上に一つ言うことにした。
「なぁ石上」
「なんだよ」
「お前さ。もう少し外面を整えても良いんじゃないの」
僕がそう言うと石上は少し俯き、別に今更と言う。
「僕はもう、その辺を整えても周りの対応は変わらないと思うし」
「そんなことないと思うがな」
僕が少し顔を上げると、石上はこちらの顔を覗き見る。
「少なくとも、それなりに真面目な態度を示せば、教師側は評価するはずだ。教師というのは、生徒を平等に扱わなくちゃいけない。まあ実際は人間だから完全な平等はないんだが、それでも努力は評価するだろうし、評価しないやつは教師じゃない」
僕の言うことにどう感じているのか、イマイチ分からない顔で石上は聞いている。
「それに生徒の中でも、聡明なやつはちゃんと気づいてくれる。そして、そういう奴らはもしものときにきちんと助けてくれる。まあ結局の所何が言いたいのかと聞かれれば、味方を増やすためにきちんとしろってことだ」
そう言って、僕は立ち、移動する。
「いきなり変わるなんてのは、そうそう出来ることじゃないから、少しずつゆっくりでいいから変わっていくようしたらいいんじゃないか」
「……結構無茶言うな」
「まああくまで一意見だ。どうするかはお前で決めろよ」
とまあ、言ったが実際に変わりだすのはまだまだ先なんだろうなとこのときは思った。
***
そして、放課後。今日は部活がないこと考え、学校にある沼の近くに来て、
「ふぅー。今日の有害な怪異の処理は終えたし帰るか」
これが、僕の日常。専門家であり、高校生である僕の日常である。
初めて小説なんて書いたから、色々大変だなと感じる今日この頃。