鳴山白兎は語りたい   作:シュガー&サイコ

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明けましておめでとうございます。
本年も、愉快な話を作っていけるように頑張ります。


かぐやドミネーション

四宮かぐやは生徒会副会長である。

かつては氷のかぐや姫などと呼ばれていたようだが、僕はその時代を知らない。

そんな彼女の事を周りに聞いてみた。

石上曰く、怖いけど意外と面倒見がいい先輩。

藤原先輩曰く、一見クールなようで結構ウブで恥ずかしがり屋なところがあって、頭は凄くいいのに結構可愛い所もある親友。

伊井野曰く、悪い人かと思ったけど、そんなことなかった優秀な先輩。

白銀先輩曰く、

 

「四宮か?そうだな。あいつは最初は冷酷なやつだと思った」

「でも違って、あいつは自分に嘘をつかない」

「誓うと決めたことは、なにがなんでも守り通す気高さがある」

「確かに、性格が悪いこともあるが、それでも人に優しくしようとする」

「そういうところが、…いや、何でも無い」

 

…まぁ、会長の恋心(本音)については今は置いておこう。

僕から見た、四宮先輩の印象は、根っこが論理的なんだなと思った。

家系も関係しているんだろうが、基本的な所でロジカルに考えている一面があるように思う。

それが、人間関係に作用している。

つまり、()()()()()()()()()()()()()()を、冷静に見据えている。

人によっては、それをひどいことであるように思うのかもしれない。

しかし、僕はそれを否定できない。

()()()()()()()()()()僕は、そういう風な考えを否定できない。

でも、だからこそ、彼女は生徒会メンバーの打算のない優しさに惹かれて求めるのだろう。

彼女にとって、白銀先輩は優しさの象徴であり、藤原先輩は自由の象徴であり、石上は変化の象徴である。

そんな生徒会を愛する彼女の行き着く先が何であるかをまだ誰も知らない。

 

***

 

「……アツいな」

 

二学期も始まり、数日経ったけれど夏の暑さは未だに残っている。

この暑さの中、今日も石上と伊井野(あの二人)は、

 

「そう言えば、石上。あの花って本来はいつ頃に咲いているの?」

「うん?ああ、1月頃だよ。あの花気に入ったのか?」

「うん。可愛いし詩のネタにも使うよ」

 

なんか、イチャついてた。

いや本当に、夏休みに何があったんだ?と言いたくなるくらいに仲良くなっている。

以前の彼らなら、伊井野がいちいち噛み付いては、石上が反論するといううるさいやり取りだったのが、落ち着いたごく自然な会話になっている。

しかも、会話を聞く限り互いの趣味を少しづつ明かして、それについて互いに理解もあるようだ。

まぁ、元々の感性が近いものがあったから、噛み合い自体は良いと思っていたが。

それにこの関係は互いをいい方向に持っていっている。

石上は、すっかりヘッドフォンをしなくなり、授業態度もかなり良くなっている。

ネガティブな面もまだまだあるが、そこも改善の傾向にある。

伊井野は、今までのようにただ叱るのではなく、なにがいけないのかをきちんと言った上で、改善案も出している。

しかも、取り締まり方もうまくなっているようで、待ち伏せやカマかけも使っているようで、彼女の親友、大仏曰く、

 

「ミコちゃんからザコさが消えていっている」

 

と、嬉しさ3割悲しさ7割の顔をしていた。

いや、なんで嬉しさの方が小さいんだよ。

まだ、妄想の強い面は抜けていないがそれもじきに解決するだろう。

と、言ったように二人の関係は大きく変化したが、僕の方も新たな関係性を築いている。

 

あっ、と思い出したような顔で伊井野がこっちに近づくと、

 

「そういえば、美青ちゃんが噂の元凶を見つけて、とっちめたんだって」

 

先輩たちのお陰ですよって、感謝してたよ。と言った。

そう、あれから美青とも話し合って、美青が復帰してから再び噂を流そうとした所を録音して言い逃れの出来ない証拠にしようという話になった。

結果は、上手くいったようだった。

しかし、彼女は話しやすい。

自然とトークが弾む。

話す内容は今の所、漫画のことばかりだが、あいつが高等部に上がってくる頃にはもっと色んな雑談がしたいと思う。

そんな訳で、様々な変化のあった夏休みだなと思った。

 

***

 

さて、今日は生徒会に遊びに来ている。

石上とのトークを楽しむためである。

最近、あいつは教室だと伊井野とばかり話している。

まぁ、それ自体はいい傾向なので気にしないが、僕も僕で石上と年頃のトークがしたいと思っている。

なので、女性陣のまだ来ていない所で話そうと思ったのだ。

とは言え、一応石上も仕事中だし、何もしないのは流石に迷惑なので、少しだけ生徒会の業務を手伝っている。

 

「しかし、鳴山も意外に優秀だな」

「えっ、そうですか?」

「ああ、特に情報の整理に長けている。役員に欲しいぐらいだ」

 

情報の整理。確かにその能力はあるかも知れない。

探偵では無いけれど、仕事柄相手の特徴をすぐに見抜いたり、少ない情報から考察するのは、よくしている。

とは言え、秀才の集うこの学校なら僕以上にそういうことに長けている人物はいるだろうし、

 

「嬉しいですけど、今期の生徒会は後一ヶ月ぐらいでしょう?流石にその期間だけでやるのは遠慮したいです」

「それもそうだな。来期に誘われたらやるのか?」

「人にも寄りもますけど、信用できる人ならしますかね」

 

そう、この生徒会も後一ヶ月。最後の大詰めも近いだろうし、あまり邪魔しても悪いかなとも思う。

まぁ、今日は普通にここにいよう。

 

「すいません」

 

と、ドアの方で声がしたので白銀先輩はそっちの方に行く。

 

「恋愛相談?」

「うっす、なんてーかこういう時の会長かなって」

「俺にとって恋愛の師匠はやっぱり会長っていうか、なんかいいアドバイスくれるんじゃないかなって」

 

そういって、入ってきたのはチャラ男だった。

チャラ男。最早、解説不要な存在であるけれどハッキリ言おう。

僕はこの手の奴らは嫌いだ。

大概にして、この手の奴らは馴れ馴れしくウザい。

そして、口も軽い。

秘密と言っても、秘密にしない。

更に、ノリで人に嫌がることを強要してくる。

陰キャとの相性の悪さもあるが、大体にして関わると碌なことにならない。

それが、僕にとってのチャラ男である。

そんな奴が恋愛相談?

嘘こけ、自慢しに来ただけだろ。

テメーらは、一生そのノリでやってろ。

そして、コケてろ。

基本、僕は青春応援派である。

恋をすることの大切さも、なにかひとつに打ち込むことの大切さも知っている。

だけど、それは()()()()では駄目だ。

そんなゆるいものではいけない。

この辺は、伊井野と価値観が似ていると言えるだろう。

髪染めるってなんだ!!アホか!!

チャラチャラしてんじゃねぇ!!

……正確には、金髪は不良もんみたいな昭和の価値観に近いらしい。

そして、流れで僕も相談を聞く流れになった。

畜生。

 

「それで、夏休みも二人で結構遊びに行ってるんじゃないのか?」

「うーん、うまくってなんですか?、うーん、まぁまぁ。まぁまぁっすね」

 

絶対ウソだ。あれは、こんな順調でいいの?と思っている顔だ。

相談風自慢なんぞいらんのだが。

ほら、石上も似たようなこと、白銀先輩に言ってるし。

 

「なんていうか~、夏休みにアゲすぎちゃったな~って自覚はあって、夏休み明けて、このテンション保てるかのか、ちょっとマズイっていうか、こんなにラブラブでこの先どうすりゃ?ってなもんでどうしたらいいっすかね~☆」

 

うん、土にまで落ちて還ればいいと思うよ。

駄目だわこれ。Cまでいってるよ。

ただの自慢だよ。

しかも夏休み最高っすよね?

こちとら、確かに楽しんだこともあるが、基本がバトル漫画だったんだぞ、この夏休み!!

大した苦労もせずに、言うんじゃない!!

同情もすんじゃねぇ!!

白銀先輩もブチギレ寸前じゃねぇか!!

 

「あっここに居たー」

「あーおー渚!」

 

どうやら、彼女が来たようだ。

渚と言うと確か、VIPの生徒の中にそんな名前があった気がする。

 

「うん。かぐやさんにちょっとお話があって」

 

色気が凄いな。

つーか、やっぱやってるよな。

若干、首筋辺りにキスマーク(それ)ぽいのがあるし。

 

「だったら、調べてみましょうよ」

 

と、石上が言う。

どうやら、二人が神ってるかどうかを判別するらしい。

どう考えてもやってるが、ひとまずはそれに乗ろう。

さらにそこに、四宮先輩、藤原先輩、さらに伊井野まできた。

伊井野はそのことを聞くと、

 

「そんな不潔な!?本当にやったら現行犯です!!」

 

と、言って見る体制になった。

疑いの段階で、確保に入らない辺りに成長が見られた。

まぁ、風紀委員として正しい対応である。

というか、神ってるの意味を知って、四宮先輩が悶絶してる。

性知識は弱いらしい。

 

「あ!恋人繋ぎ…!これはどうでしょう…!」

「いや…恋人繋ぎ位なら初デートでもするだろう…。まだ神認定には早い…」

 

まぁ、恋人繋ぎぐらいならそうだろう。

どう考えても神ってるけど!!

 

「ちゅーした!!ちゅーしましたよ!!コレは神じゃないんですか!?」

「というか、ちゅーは普通に風紀違反です!!ちょっと説教してきます!!」

「いやまだだ!!ちゅーくらい3回目のデートでするだろう!!!」

 

そろそろTPO的にOUTな気がするが、まだ会長的にはセーフらしい。

伊井野を石上が言い逃れさせない証拠を掴んでからにした方が良い。っと、抑えているのを、どう考えても言い逃れ不可能な現行犯でしょう!!と、久々に言い合っている二人を尻目にまだまだ中を覗く。

 

「あれ!?あ!あーーー!!」

「首筋にキスしています!!!」

「これは!?これはどっちですか!!?」

「もはや、これは現在進行系で神ってると言っても良いじゃないですか!?」

「いや、これ位4回目のデートでする!!」

「じゃあ何回目のデートでヤるんですか!!」

「5回目だよ!!」

 

この辺りで、四宮先輩は撃沈した。

意外とウブな人だった。

 

***

 

後日談。というか今回のオチ。

ここで、柏木さんのネタバラシ。

ちょっとした悪戯としてこのようなことをしたらしい。

彼が変わったように見えるのは、ぽろっと強気でワイルドな人が好みと言ったから、それに合わせたらしい。

だから、こっちが考えているようなことはしてないと言う。

これは、嘘だな。

絶対嘘だ。

と、このまま二人が帰ろうとすると、伊井野に捕まった。

まぁ、神っていようといまいと、ここでこんなことをやっていたら、ギルティだろう。

石上の補足も交え、かれこれ3時間ぐらいの説教となり、後日、二人はしばらく携帯没収を食らったらしい。

伊井野の正義も達成されるようになって何よりだ。

 

そうして、色々落ち着いて帰ろうとした時に、四宮先輩に呼び止められた。

 

「少し、時間を頂いてもいいですか?」

 

圧を感じたので、残ることにした。

空きの教室に居てしばらく待っていると四宮先輩がやって来た。

 

「すいませんね。時間を取らせて」

「それで、要件はなんですか?」

 

丁寧な口調の中にこちらを見定めようとする意図が見えた。

だから、続きを促した。

 

「そうですね。それでは、()()()()()()()()()?」

「うん?どういう意味ですか?」

 

()()()()()()()。言いたいことも分かっているが、そこで素直に答える訳にはいかない。

 

「私にごまかしは通用しませんよ?私はあなたが()()()()したことも、試験期間に夜の学校を怪しげな人たちと一緒に学校に入っていることも知っています」

 

流石は四宮財閥だ。裏口入学は兎も角、試験期間のは専門家による複数の結界が貼られているはずなのに忍び込めるとは、凄いことだ。

 

「この学校は、相応の学力と立場がなければ入ってこれません。それこそ、会長のように全国トップレベルでなければ、庶民は入ってこれません」

「しかし、あなたは家自体は庶民の出、学力もこの秀知院では普通位しかありません」

「そんなあなたが()()()()ここに裏口入学出来たんですか?」

 

……大体の僕の身辺調査はしているようだ。

ただ、()()()()は触れていないことを見るに、そのことは知らないのだろう。

しかし、下手なごまかしは効かない。

と、なると、()()()話すのが吉だろう。

 

「はぁー。そうですよ、僕は裏口入学でここに入ってきました、上司の指示に従ってね」

「僕は()()()です」

「はぁ、専門家って何の?」

「怪異。といって分かりますか?」

「怪異?なんですかそれは?」

 

やはり、知らないようだ。下手に知ると()()()()()()

それを避けるようにしないといけない。

だから、交換条件を付けよう。

 

「分からないなら、分からないで良いんです。ただ、それが学校全体に知られるのはまずい」

「そうですね。あなたの命運は私が握っているのも当然です。だから、ちゃんと話しなさい」

「それは出来ません」

「何故?」

「分からないからですよ」

「どういう意味ですか」

 

怪訝そうな顔をする。

まぁ、当たり前だ。

けれど、ここで素直に話す訳にはいかない!!

 

「わからない人はわからないままの方が良いんですよ。世の中には、知らなくても良いことが有るっていう話です。なので、話せないお詫びに()()()()()()()()()()()の手伝いをしますよ」

「!!どうして、それを」

「聞こえたんですよ。()()()()()

 

実は、僕は集中すればこの校舎の範囲のある特定の音だけを聞き取ることが出来る。

石上のことを聞きに言った際に、こちらに目を付けられることを考慮して、四宮先輩の声を定期的に聞いていた。

そして、知ったのだ。

近侍に早坂愛がいること。

そして、白銀先輩と告らせようとしていることを。

それを利用し、そこを黙らさせるために()()()()()()()()()()

これが、的中。

しばらく考え込んだようだが、白銀先輩にバレるのだけは防ぐことを優先したようだ。

 

「良いでしょう。その条件を飲みましょう。ただし、役に立たなかった場合は分かっていますよね?」

「はい、勿論」

 

かなり怖い顔で言われたが、やるしかない!!

絶対にくっつけてやる!!

こうして、僕の恋愛頭脳戦へのサポートが開始された。

 

 

 

 




今回、後日談の方が本題になってるよな、タイトル的に。
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