どうも、四宮かぐやです。
生徒会の副会長を務めています。
先日の選挙で会長が見事に会長に返り咲きました。
その時に会長が
そう、
「いやいや、そんな強調した言い方はしてませんでしたよ?頼み込んだのが四宮先輩だけなのはそうですが」
そんな風に知ったような口ぶりで鳴山くんは言っていましたが。
彼は今、生徒会庶務を務めている。
彼のことを探ってはいるが、未だに有益な情報は掴めていない。
前に彼と話した時に『怪異』と言っていたが、それが何のことだかも分かっていない。
なにやら吸血鬼だの、招き猫だの、人魚だののおとぎ話の話しか無い。
それでこの秀知院学園に入るなんておかしい。
明らかに誤魔化している所がある。
何か、もっと、とんでもないものがあると思う。
まぁ、この件はまだまだ分からないことばかりなので、これ以上話すのは止めましょう。
それよりもまずは会長!!
会長との恋愛頭脳戦は続いている。
これからも、どうにかして会長を告らせるとしましょう。
***
「男は、どうして浮気をするのかしら?」
「それは人によって理由が違うので、なんとも言えません」
質問をしたら、そう返ってきたわ。
全く。答えになってないわ。
「それ、理由になってないわよね。根本的な原因は何と聞いているのよ?」
「いや、だから、理由がケースによって違うんです。男性目線で言うと、相手に魅力を感じなくなったり、愛情を感じなくなったりが理由になるんです」
浮気性の人もいるので、一概に言えませんが。と、鳴山くんは続けるけれどそんなことは分かってるのよ。
重要なのは、会長が浮気したりしないかってことよ。
「会長は誰にでも優しいから困ったさんが出てくるかもしれないでしょ」
「そうですね。居ますね」
「そういう女って平気で汚い手も使うし……」
「本当ですよね。メンドクサイ」
「恋をするとホント自分の事、見えなくなりますからね」
「そうなのよ。愚かしいったらないわ」
「心の底から同意しますよ」
「だからそういう時に備えて浮気する男性の心理も理解しておく必要があると思うの!」
「「会長(白銀先輩)が誰と何しようが一切、浮気ではないですけどね!」」
早坂と鳴山くんが仲良く声をかぶらせて言われたわ。
しかも、コソコソと話している。
仲が良いのはいいけれど、陰口を言われてるみたいでイライラするわ。
「まぁ浮気を肯定する気はありませんが、男性が色んな女性とセックスをしたがるのは本能です」
「セッ…!!」
「脳がそういう風に出来ているのです」
「え~~。でも、それでするのは愛がないです。盛ってる猿じゃないんだから」
「しかし、遺伝子レベルのことですしね」
この二人は普通に遺伝子と愛のどっちが強いかのトークを始めたわ。
ついていけない。
「ではあなたは、例え媚薬を盛られても耐えられると?」
「やったことが無いので、確かなことは言えませんけど、そうなんじゃないですか?」
「ではやってみますか?」
「どうやって?もしもの時に、僕を止めきれる人がいないと成立しませんよ?」
「ちょっと、この話はおしまい!!今は会長の浮気防止の話でしょう!?」
「それもそうですね」
かなり危ない所まで話していたわ。
というか、あの一瞬の間にどんな話をしているのよ。
あのまま行ったら、とんでもないことになることは分かるわ。
全く、この二人は仕方ないわね。
…二人に睨まれたのは何故かしら?
「オキシトシンやパソプレッシン等の、愛情ホルモンや浮気防止ホルモンを分泌させればいいですかね?」
「そうですね。その辺りが妥当だと思います」
「浮気防止ホルモン!?まさにそれよ!どうすればそれが分泌されるの??」
「セックスすれば結構出ます」
「セッ…!!」
て、それをしたら意味がないでしょう!?
セッ…させない為にセッ…させるんじゃ全くもって無意味でしょう!!
何を考えてるの!?
「後は、マッサージですかね?」
「そうですね。それが一番でしょう」
「それを先に言いなさい!!」
全く、早坂が性格悪いのは知ってたけど、鳴山くんも結構性格悪いのね。
ほとんど、私のツッコミを無視してたし。
「それじゃあ、どのツボを押せばいいかの確認しますか」
「そうですね」
「勝手に話が続いてる!?」
…なんでこんなに仲が良いのよ?
***
次の日。
「会長。この間は変な事を言って済みませんでした」
「いや。そう何度も謝らなくていい。最初から何か誤解があったのはわかってたし」
それは先日、石上くんの着替え中に、私と藤原さんと伊井野さんが見たことに端を発する事件だ。
石上くんがボクサーパンツを履く人はヤリチンとの主張(普通に間違い)があっての出来事だ。
因みに、話してる内容が低俗なのにどうして伊井野さんがツッコんでこなかったかと言うと、
…あの子、大丈夫かしら?色んな意味で。
それはそうと、
「でも、それでは私の気が済みません。あっ、そうです!手のマッサージをさせてください」
「マッサージ…!?」
「会長、普段からお疲れの様子ですし、目のツボなんてのもあるんですよ。罪滅ぼしと言ってはなんですけど」
そう、てのひらマッサージ!
私の狙いは浮気防止ホルモン!!
さらに、それは近隣細胞を刺激し、
暴言の謝罪と浮気防止のみならず、愛情まで獲得出来る冴えた策です!!
ふふふ、さぁ、会長、存分にシてあげますよ。
会長の手をとり、ツボをつく。
いまいち、力加減が分かりませんが、こんなものでしょうか?
「痛くはないですか」
「はっはは、中々通好みじゃないか…」
「それなら良かったです」
力はこのぐらいで良いのね。
それにしても、
会長の手、大きい…
でも…、あたたかくてなんだか…
ずっとこうしててもいい気分……
「良い物ですね…。こうして人に精一杯尽くすのも…」
「皆さんはご両親の肩叩き等をしてたのかもしれませんが、私は、そういうの無かったので、知りませんでした」
嬉しい。楽しい。
ずっとこうしていたい。
「も!もう手は大丈夫かな!!大分効いてきた気配ある!」
「そうですか」
これでもまだしたりない。
「次は背中をマッサージしてあげますね!」
「いやいい!!マジでいいから!!」
「そんな、遠慮なさらず…」
「こんにち…」
「気持ち良くしてあげますから。ほら、横になってください」
何か聞こえたような気がしますが、まぁ、いいです。
さてさて、会長に奉仕しないと。
会長は遠慮がちですね。
気にしなくていいのに……
「これ以上は気持ち良くて死んじゃうから!!」
バササッと音がした。
「し、神聖な生徒会で…、何をやっているんですか!!?」
そこには鬼のような形相の伊井野さんがいました。
へっ!?何の話ですか!?
「いや、伊井野。ツボ押しマッサージしてただけだぞ」
「…えっ?そうなの?鳴山」
ああ、伊井野さんの勘違いですか。良かった。
……って、居たの!?
もしかして、ずっと見ていたの?
さっきのやりとりを!?
いや、見られて恥ずかしいことは何もないですけど。
「会長が疲れ気味だからな」
「あ、ああー。すいません、四宮先輩。勘違いしてしまって…」
「いえ、いいです。誤解が解けて、良かったです」
本当に良かったです。
……で、いいのかしら?
***
後日談。というかその後ですね。
「ウォッ。肩が軽い」
会長は、肩がグルグル回している。
効果があって、良かったです。
「ふむ。実際に効果が有るようだし、伊井野、四宮先輩にマッサージを習ったら?」
「えっ?どうして?」
「ご両親忙しいだろうし、疲れも溜まってるでしょ。マッサージ出来たら、喜ばれると思うよ。それに…」
そう言うと、鳴山くんは伊井野さんに近づいて耳元に何かを囁くと、顔が真っ赤になりましたね。
何を言ったのでしょう?
恥ずかしそうに伊井野さんがこっちにくると、
「ええと、四宮先輩。その、、私にマッサージを教えてくれませんか?」
そう尋ねてきました。うーん、どうしましょう?
ここで、伊井野さんについて教えても良いのですけど、彼の狙いが読めません。
何か企んでそうなんですけど。
そうして、一瞬の間に考えていると、携帯が鳴りました。
何でしょう?
「すいません。携帯を見ていいですか?」
「あ、はい。いいですよ」
伊井野さんに許可を貰ってみると、鳴山くんから送られていて、
…なるほど、そういうことね。
存外、友達思いね。
「失礼しました。それで、マッサージの件ですが、良いですよ。教えます」
「あ、ありがとうございます!!」
凄い笑顔ね。
そんなに喜ぶとは、思わなかったわ。
「それじゃあ、明日から教えますから。取り敢えず、仕事を終わらせましょう」
「はい!」
その後、石上くんと藤原さんも来て、皆で仕事を終わらせました。
その後の帰りの電話。
「あなた、私の方が立場が上なのに、結構要求してくるわよね。図々しくない?」
「別に今回は損はないでしょう。
「それはそうですけど、利用されてる感が強くてね」
「ふっ。僕が
「
「いいえ、四宮先輩は確かに理屈の人ですが、
妙に明るい声で言われた。
ムカつく。
「なんですか!?私が会長相手にトリップしてるって言うんですか!?」
「さて、どうでしょうね?」
「夜道、覚えてなさい!」
「それじゃあ、そろそろ電車なので失礼します」
そう言って、切られました。
本当に、厄介な後輩です!!
本日の勝敗。
肩が軽くなった白銀、マッサージを教えてもらった伊井野の勝利。