石上優は、生徒会会計である。彼は生徒会長白銀御行にそのデータ処理能力を買われ、生徒会でも活躍している。(あまり同級生には認知されていないが)
実際に白銀先輩に彼の能力を聞くとこう返ってきた。
「石上会計は優秀な人材だぞ。今彼に生徒会をやめられたら生徒会の運営が破綻するし、そこまでいかなくとも運営に大いに支障がでるだろう」
結構きつそうな目(本人曰く日頃の寝不足のせい)でそう語る彼は、かなり真剣味を帯びていたように思う。実際に情報の実習での彼の手際をみれば、それはわかる。
他の人が授業一杯使って終わらせる作業をものの10分で終わらせ、ネットサーフィンをし始める姿はさながら出来るエリート官僚のようである。
……まあ隣に風紀委員に授業中に見るなとガミガミ叱られている姿は母親に一切頭の上がらない10歳のガキ大将のようなのだが。
そんな風に彼を褒めると、いやいやそんなことないよ、と謙遜している風でもなく言う。
「僕なんて、同級生には嫌われてるし、四宮先輩にはなぜだかたまに殺気を向けられるし、生徒会の仕事だって任されてる事やってるだけで凄いことなんて一つもないよ」
そう語る彼の姿は、悲しそうだった。
であれば、僕は知りたい。
その過去の出来事を。
きっと本人は嫌がるだろう。
しかし、それを知らなくては
***
「中学時代の石上の事件の詳細について教えて下さい」
「断るわ」
速攻で断られた。それはもう見事な断りぶりで一瞬で閉口することになった。
四宮かぐやはこちらを向くと力強い視線で述べた。
「石上くんはこの生徒会にとって、大切なメンバーです。彼にとって不利益になるような情報を渡すつもりはありません。これは、会長も藤原さんも同様です。お引取りください」
まっすぐとそのようなことを言われては、どうしようもない。
と同時に殺気を向けられてるって言ってたけど、結構可愛がられてるじゃんとも思った。
四宮かぐや。彼女は秀知院学園の生徒会副会長である。
彼女はとても優秀な人物に見えるが、まあ普通に優秀な人物である。
彼女の家は、国内でも有数の財閥であり、国家の心臓とまで言われる四宮財閥。その娘である彼女はまさしく天才と言うに相応しく、勉学でもスポーツでもトップクラスの成績を誇っている。
過去には氷のかぐや姫と呼ばれる時代もあったそうだが、今ではだいぶ柔らかくなり、話しやすくなったと聞いた。
閑話休題
「あなた確か、石上くんと同じクラスの混院の人よね。名前は確か鳴山白兎だったかしら」
「よく覚えてましたね。ここには一回しか来てないのに」
「えぇ。人の名前は出来るだけ覚えるようにしているのよ」
色々な理由でね。と言うと彼女は立ち上がり、コップを取り出しに行った。どうやら、お茶を入れてくれるらしい。
しかし、困った。ここで聞けないとなると誰が石上の事件について知っているのだろう。同級生共は、どうせ上辺だけしか知らないだろうし、並みいる教師もそれは同様だろう。
となると、後は校長ぐらいだが、あの校長に聞くのもなかなか難しい。多分ノリで変な話をしつつ、はぐらされるだろう。
さて、どうしたものかと悩んでいると四宮先輩は紅茶とお菓子を持ってきて、それをテーブルに置くと自身も座り、こう切り出した。
「あなた、石上くんの友人よね?どうしてそのことを聞こうと思ったの?」
「友人だからですよ」
僕はそう切り出した。
「石上は良いやつです。誰にだって気遣うことが出来るし、それを自慢するでもなく、恩を売るつもりもない。
本来ならもっと自信があるべきですし、皆からももっと評価が高いはずです。
しかし現状はそれとは程遠い。彼の自信のなさは生来のものもあるのでしょうが、やはり、中学時代のことが尾を引いてると思うんです。
だからそれを知りたい。それを知らなきゃ石上が変わるための手伝いも出来ない」
僕の話を四宮先輩は黙って真剣な目で聞いていた。そして、聞き終えると先輩は立ち、会長の席付近に行きながら言う。
「現状石上くんはそれを望んではいないわ。それでもするの?」
「……結局、動くのは石上自身です。僕自身の考えを無理に通すことは出来ません。それでも本人がそれを願ったときに手助け出来るようにはしたいです」
「……そう」
そう言うと彼女は会長の席の引き出しからある紙を取り出すと、僕に渡した。
「この紙は、石上くんの調査のときに作った資料よ。これを読み解いていけば、自ずと答えは出る。期限は一日よ。
それまでにこの資料を読み解いて、明日返しに来なさい」
……どうやらヒントはくれるらしい。しかも結構どでかいヒントを。
僕は感謝を述べてから、部屋を出る直前に四宮先輩は聞いてきた。
「あなたの理由は本当にそれだけなのかしらね。他にも理由があるんじゃないかしら」
……気づかれてたのか。おそらくここではぐらかしてもこの人からの評価が下がるだけだ。
あまりに下がると、四宮財閥の情報網で裏口入学のことやら
ならば、ここは正直に答えておこう。
「僕が人を信頼するのには、相手への不安要素、つまり
それだけを言うと、僕は生徒会室を出ていった。
***
後日談というか今回のオチ。
僕はあの後、家に帰るとすぐにその資料を見て、真相の究明に勤しんだ。
普段は10時位に寝るのにこの日は最終的に1時寝になり、絶賛寝不足である。
そして一時間目の終わる頃に石上は登校してきた。どうやらまだまだ校則を守ることはしないらしい。
軽く伊井野からのお小言をもらったようで、結構ゲンナリしていた。
「石上、おはよう」
「う~す」
えらく長いうっすが返ってきた。そこで昨日たどり着いた真実を思い出し、他の人に聞こえないように小声で石上に言った。
「石上、お前はおかしくなんてないぞ」
それを聞くと石上は驚いた顔で、なんで、と聞いてきた。
僕は笑顔でこう答える。
「友人だからな。日頃から思ってることを言っただけだ」
石上はそれを聞くと、驚いたような顔をしてから、呆れたようなそれでも嬉しそうな顔をして、ありがとうと言った。
今は生徒会との関わり少なくて原作のネタが使えない(悲)。