鳴山白兎は語りたい   作:シュガー&サイコ

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展開に悩む今日この頃。


ちかガールズトーク

藤原さんは私にとって親友です。

普段からぞんざいな扱いをしているように思われるかもしれませんが、いえ、実際しているんですが、それでも彼女は私の親友です。

中等部の頃から、周りが私を避けるようになった中で、藤原さんだけが私のそばにいた。

最初は周りがそうであったように、私が四宮の人間だから、私と仲良くしようとしているのだと思った。

だけど、会長との出会いもあって、藤原さんも打算なしに私のそばにいてくれてるんだって気づいた。

胸は邪魔だし、会長との恋愛頭脳戦でも意図しない妨害ばかりするし、色々と面倒だと感じる時も多々あるけれど、それでも彼女は私にとって、大切で、必要で、そして憧れる存在でもあります。

だから、私が藤原さんと距離を取ることはありえません。

なぜなら、私は大事なものは手元に置いておくタイプだから。

 

***

 

「ドキッ☆、女子だけのミコちゃん歓迎会~!!」

 

藤原さんの宣言と共に、それと同時にクラッカーが鳴る。

 

「すみません。私のスケジュールに合わせて頂いて…」

「ミコちゃんは風紀委員と兼任ですし、遅くなるのは仕方ないです!」

 

と、そんな風に会話が進む。

実は、男子も交えた普通の歓迎会は既に行われている。

だって、そうじゃないと鳴山くんが可哀想ですし。

彼自身も陽がでている間は、時間があるらしく、普通に参加していた。

そこで彼が意外とアニメを知っていたり、ゲームをしていたり、読書家であることもしれたが、全体的に無難な感じでした。

伊井野さんも、元々一学期からちょくちょく来ていたから、新発見というか、新しい一面は知れませんでした。

……否。

伊井野さんが石上くんに向けて、熱い視線を送っているのを送られている当人以外が気づいるというのがあった。

つまり、そのことに気づいた全員が伊井野さんの気持ちを察している。

ということは、この歓迎会という名の女子会の議題は、

 

「そりゃもう、決まっているじゃないですか~。コイバナですよ。コイバナ!」

 

そう、藤原さんならこのタイミングでそれをチョイスする。

しかも彼女。場合によっては好きな人として、私を仮定して話す恐れもあるのよね。

実はこの辺は、鳴山くんの入れ知恵なんだけど、

 

『ですから、仮に好きな人のイニシャルがSと言われても、白銀会長だと思わない方が良いですよ』

 

と、ご丁寧に言ってくれたわ。

全く。この私がその程度の可能性にも気づかないとでも思っているのかしら?

舐められたものだわ。

 

「ですので~。まずは、ミコちゃんの話から聞きましょうかね?」

「ふぇっ!?な、な、何を言うんですか!?私、別に好きな人なんて…

「いいんです。いいんです。隠さなくて。ミコちゃんが石上くんのことが好きなことは本人以外の生徒会の人全員にバレてますから」

「ホントですか!?!?」

 

私も藤原さんも頷くと、伊井野さんは恥ずかしさの余り、ソファーの上で丸まってしまった。

体がビクビクと震えている。

耳まで真っ赤で、本当にお可愛いこと。

少しの間、その状態だったのが、チラッとこちらを見て、

 

「いっ、いつからですか?」

「私は歓迎会の時ですね。かぐやさんは?」

「私もその時ですね。会長も同じだったと思います。鳴山くんはその前から知ってたそうですよ」

 

ふぇぇぇぇ、とさらに顔を赤くしてしまった。

 

「バレても、鳴山とこばちゃんぐらいだと思ってたのに」

「あら?親友の大仏さんはともかく、鳴山くんにはバレると思っていたのね」

「……ええ、まぁ。元々、あいつが石上と私を仲良くさせようと色々していましたし、それに結構勘もいいから」

 

なるほど。確かに人のことを見抜く能力は比較的高い部類よね彼。

でも、洞察力なら石上くんの方が上なのよね。

なのに、なんで石上くんは気づかないのかしら?

……いえ、石上くんはここまで悪意や非難などのネガティブな感情ばかりに触れてきたから、好意などには鈍感になりがちなのね。

 

「それでー、石上くんって正直、恋愛対象としては産業廃棄物級じゃないですか?それのどこが好きになったのかなって」

「藤原さん。産業廃棄物級は流石に言いすぎです」

 

えー。そんなこと無いですよ。と、詫び入れる様子も無い藤原さんを見つつ、伊井野さんの様子を見る。

どこから話せばいいのか、分からない様子だった。

 

「ええと、ですね。私、石上のことをずっとただの不良だ。って思ってんです」

「でも、一学期の終わり頃に、あいつは生活態度が変わって、真面目な感じになって」

「それは嬉しいことのはずなのに、どこか寂しくて」

「そんな折に、石上の中等部での事件のこととか今まで私が実は裏から助けて貰っていた事を知って」

「もう、今までのように見ることが出来なくなって」

「それで、説教とかなしに純粋に石上と話すと心が弾んで、仕方なくて」

「それで、生徒会選挙の日にあいつは自分が倒れそうになる位に頑張って、背中を押してくれて」

「申し訳無さをとても感じて、でもそれ以上に燃えたぎるように熱い感情が溢れてきて」

「それで、気づいたんです」

「私、石上のことが好きなんだなーって」

 

………ハッ。

つい、黙って聞き入ってしまった。

伊井野さんの純粋さを凄く感じて、恋をすると人はこんな風になるのね。

藤原さんも凄く赤くなってるし、下手なからからかいが出来ない感じになったわね。

…そうね。

私も一つ、聞きたい話があったのよ。

 

「ねぇ、伊井野さん」

「はい。なんでしょうか?」

「この前、石上くんと水族館にデートに行ったのよね。その時の様子が聞きたいわ」

「へっ!?ええと、あの時は」

 

***

 

『おまたせ』

『おう。……妙に気合が入ってるな?』

『そ、そんなこと無いわよ。所であんたはいつ頃から来てたの?』

『うん?まぁ、10分前ぐらいだな。こういう時に女子を待たせちゃ駄目だろ?』

『ま、まぁ、そうね』

『何動揺してるんだよ。そろそろ中に入るぞ』

『そうね』

 

「で、それから水族館入って、色んなお魚さん見てたんですよ」

「それで、あの魚は何?って聞くと、石上が解説してくれて」

「あいつ、停学の時の授業を受けていないのが原因で下位に沈んでるだけで、そこを取り戻せばもっと良い順位にいくと思うんですよ」

「まぁ、それはいいとして、イルカショーを見たんですよ」

「イルカはとても可愛くて、二人で可愛いなって言い合ってたんですよ」

「そしたら、イルカの着水で水しぶきが飛んできちゃって」

 

『うう、ビショビショになっちゃった』

『ほら、これ』

『これってタオル?こんなもの持ってきてたの?』

『ああ。イルカショーで濡れるかもなーで一応、持ってきたんだよ』

『ふぅーん。て、あんた、自分の分は持ってきてないの?』

『いや、浴びても少量かなって思ってたから』

『だったら、あんたが使いなさいよ!』

『いや、お前が使えよ。その…、ちょっと、服が透けそうだし』

『へっ!?キャッ!!どこ見てんのよ!!』

『仕方ないだろう!!自然と視界に入っちゃったんだから!』

『もう、、』

『取り敢えず、売店で服でも買うか』

 

「それで、服を買って着替えたんですけど、そのー、ペアルックみたいな感じになって」

「周りの人から可愛いカップルだねーとか言われて」

 

『その、ごめんな。僕なんかと噂されて嫌だろう?』

『そ、そんなこと無いわよ。べ、別に私はあんたと噂されたって…』

『そ、そうか…』

 

「て、ちょっと気まずい感じになって」

「それで、その後も魚を見たんですけど、会話もぎこちなくなって、帰ることになったんですよ」

「で、その帰り道」

 

『伊井野。さっき言ってたことだけど…』

『ふぇっ!?う、うん』

『その、嬉しかった。ありがとう』

『そ、そうなの?』

『……おう』

『そうなんだ…』

『………』

『………』

『それじゃあ、また学校で』

『うん、さようなら』

 

***

 

「ていう感じだったんですけど。て、あ、あれ?お二人ともどうしたんですか?」

 

 

……なんというか。

こっちが恥ずかしいぐらいに青春してるわね。

本当に、羨ましい限りだわ。

…私も会長とそんな風にデート出来たら……

って、違う!!そりゃ、憎からず思ってますけど、そりゃあ、人間的に尊敬してますけど、それだけですから!!

藤原さんも今の話を聞いて、悶えているわね。

 

「わ、私も話したんですから、お二人も話して下さい!!」

 

伊井野さんから、そんな風に言われた。

とは言われても、正直、これ以上のものなんてないのよね。

私は勿論、藤原さんも。

 

「そのー、それ並の話は流石に無いんですよ」

「でも、それだと不公平です!せめて、好きな人ぐらいは言ってくださいよ」

「そんなこと言われても、好きな人がいませんし」

「それなら、好きなタイプとか教えて下さい」

 

うーん。そうですね。

 

「色々あるけれど…。まずは勉強が出来る人ね。それでいて優しさもあって…、この人なら自分と自分の子供を一生、守ってくれそうって感じる人かしら?」

「なんというか、会長みたいな人ですね」

「んんーー!?まぁそうねーー??」

「はは、ミコちゃん。四宮さんが会長のことが好きな訳ないじゃないですか~」

 

藤原さんはそういう所、本当に鈍いですよね。

まぁ、それに助かっている部分も…

……いや!だから、別に会長のことなんて好きじゃないんですけどね!!

 

「さて、私は話しましたよ!!次は藤原さんね」

「えー。そうですね」

 

そう言えば、藤原さんの好みとかは聞いたことがないですね。

どんな人が好み何でしょうか?

 

「私は、出来ないことがあってもひたむきで、みっともなく挑戦し続けるそんな頑張り屋さんな人ですかね」

「なんか、それも会長ぽいですね」

「ああ、確かに会長ぽいですけど、会長は無いですかね」

 

ほっ。良かったわ。

これで藤原さんが会長のこと好きだったら、好きだったら、…

その時は、私はどうしていたのかしら?

恋と友情だったら、恋の方を選ぶとは思うけど……

でも、確実にそうであるとは言えない。

藤原さんとの関係も私にとっては、大切なものだから。

ふっ。良かったわ。

藤原さんが会長が好きじゃなくて。

 

「後は、どんな人が相手でも怯まずに、搦手を使ってでも目的を果たそうとする人ですかね」

 

藤原さんはいい笑顔でそう言った。

…あれ、本気の顔してません?

もしかして……

 

***

 

後日談。というか今回のオチですね。

どうやら、藤原さんには好きな人がいる、かもしれない。

とは言っても、確信は無いですし、分からないですね。

 

「そんな訳で、ミコちゃんの惚気やかぐやさんの好みも知れたことですし、ここらで終わりですかね」

「そうですね」

「は、恥ずかしかったです」

 

伊井野さんがそう言っていたけど、どちらかと言うと、そのエピソードを聞かされた私達の方が恥ずかしかったです。

いやまぁ、聞いたのは私達なんですけど。

 

「おお、四宮達も帰りか?」

 

下駄箱まで来ると、そこには会長達、生徒会の男性陣が居ました。

どうやら、三人で柏木さんの彼氏の恋愛相談をしていたようです。

三人とも、なんだかイライラしているようでした。

 

「うん?伊井野、なんだか顔が赤いけど、熱でもあるのか?」

「えっ!?そ、そんなことないわよ!」

 

石上くんは伊井野の顔が赤いのを気にして、近寄ったわ。

しかも、額に手を当ててる。

ああ、ああ、更に伊井野さんが赤く…

うわ、逃げ出した!

 

「石上くん、追って!」

「は、はい!」

 

さて、どうなるんでしょうね。

石上くんの足なら普通に追いつくと思いますが。

 

「前途多難だな。あの二人は」

「ええ。そうですね」

 

いつの間にか、会長も近くに来ていました。

 

「でも、多分。そんなにかからずに二人は付き合うと思いますよ」

「どうしてそう思うんだ?」

「女の勘です」

 

会長は不思議そうに首をかしげる。

まぁ、この辺の感覚は女性にしか分かりませんか。

 

「そう言えば、あの企画どうなってます?」

「ああ、今校長先生に申請中です。通ると良いんですけどねー」

「それにしても、やるなら内緒でやると思ってましたよ」

「いやいや、むしろ学校の行事としてやった方がこの場合はいいですよ。人数は多いほうが良いですし」

「そうですね。楽しみですね」

 

あっちもあっちで盛り上がってるわね。

部活の話かしら。

正直、TG部の主催でやる行事というのは、危険のような気もしますが、まぁ、私達も監督しますし、鳴山くんが中心でしているから大丈夫でしょう。

……大丈夫ですよね?

 

「それにしても、こういう騒ぐ系は好きじゃないと思ってしたよ。だって、中々部室の外でやるゲームには否定的じゃないですか」

「そんなことないですよ。皆で楽しめる行事は好きですし、そのためなら多少厄介な仕事でもやりますよ。それに部室の外でやるのは、周りへの迷惑がかかるからであって、それ自体は嫌いじゃないですよ」

「迷惑かけてないと思うんですけど」

「かけてますよ。まぁ、出来るだけ僕も迷惑かけないような方法を考えますけど」

「……そういうところですよ」

「うん?何か言いました?」

「いいえ!なんでもー。ほら、帰りましょうよ!」

 

そういって藤原さんが走るのを、鳴山くんは追いかけていきました。

…まさか、ね。

()()()()()()では無いと、思いたいです。

だって彼、相当な曲者だから。

 

「あっちもあっちで何か起きそうだな」

「ええホントに、大変です」

 

これから考えることも増えそうですが、まぁ、そろそろ体育祭も近いですし、頑張っていきましょう。

 




ルーティンまでの流れは、ほぼほぼ白かぐで完結するので、カット。
石上優は目を閉じた②は、そもそも誤解もステラも終わっているので、この物語には存在しないです。
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