TG部は僕にとって、とても大切な部活だ。
イマイチ、描写するタイミングがないから分かりづらいかも知れないが、こうして生徒会に入ってからも部活には結構顔を出している。
男子1、女子3という比率であるが、そんなこと関係なく楽しんでいる。
この部活に常識は通用しない。
いや、正確には常識を超越したことをやる。
体育祭前に、秀知院TRPGという、校舎全体を使ったことをやっていた。
なんでも旧校舎に眠る古竜を倒すというものだ。
そういうシナリオを作りながら、遊ぶのは別にいい。
僕自身もそういうのは好きだ。
ただ、それを実際に学園内を歩きながら、大きなサイコロを持ってやるのだ。
しかも、結構大声でやるし、普通に周囲に迷惑をかける。
そのために、何度か風紀委員に頭を下げたこともある。
そりゃ、僕だって周りの迷惑を考えなくてもいいならやりたいが、迷惑がかかる以上は止めなければならない。
それでも、止まらない奴ばかりなのだけれど。
まぁ、こういう風に言いはするが、部員の皆は好きだ。
実際、面白いし楽しい人達の集まりだからだ。
それに、普段は別に周りの迷惑を考えない人達でもない。
良識もちゃんとある。
ただ、部活や楽しいことにはその枷が外れるだけで。
意図的に無視することがあるだけで。
これは、僕自身の考えだが、世の中は変な人が居ることで成り立っている。
変人がいるから、世の中は楽しくなっているのだ。
科学の発展にしろ、国家の発展にしろ、普通の人は違う、変なことをする人がいるから成立するのだ。
科学者がクソ危ない実験をしたから、科学は発展したし、変な統治者が斬新な治め方をするから、国家は発展した。
全てが全てそうであるとは言わないが、その側面は確かに存在する。
そう考えると、ここの部活の人達は何かしらのとんでもないことを成し遂げるのかも知れない。
だとしたら、是非とも見てみたいものだ。
…因みに僕は多分、何も成し遂げないタイプだ。
素養はあるかも知れないが、常識の方が先立ってしまうからだ。
***
「第一回、秀知院サバイバル大会!!」
「「「イェ~イ」」」
唐突な始まりになって済まない。
現在は、秋頃の日曜日。
ここ、秀知院学園高等部のグラウンドにて、初等部、中等部、高等部の参加メンバーが集っていた。
総勢なんと200名!
お祭り好きな人やら、面白そうなことが好きな人が集まっていた。
そして、僕こと、鳴山白兎は司会進行役として、壇上に上がっていた。
「それでは、開始は今から30分後スタートとなります。スタートの際はこちらが放送で行いますので、それまでは的を射抜いたり、銃を撃ったりしないでください」
さて、銃という単語を出したが、勿論、それは水鉄砲のことである。
本物ではない。
そして、参加者達が学校内に散った所で、放送室に向かう。
そうして、いつでも放送できるように準備する。
準備を終えると、僕は近くの机に突っ伏した。
「ぐへぇー。疲れた」
***
事の始まりは、新生徒会の発足時期まで遡る。
「みんなで、サバゲーをしましょうよ!」
「「「はっ?」」」
生徒会の役員全員が困惑の声を上げた。
いきなり何を言っているのだろうか、この先輩は。
「おい、いきなりなんだ。藤原書紀」
「だから、みんなでサバゲーをしましょうよ。
ああ、ハイハイ、いつものですね。
いつもの意味不明な行動ですね。
四宮先輩も大体、察したようだ。
また、藤原さんの遊び癖がでましたよ。みたいな顔をしている。
「リアルって、どこかのイベントにでも参加しようって話ですか?」
取り敢えず、聞いてみる。
「いえいえ。そうではなく、この秀知院でサバゲーをやりましょうよ!」
「いや、無理だろ」
白銀先輩のツッコミが飛ぶ。
「そうですよ、藤原先輩。そんな非常識極まりないこと。出来る訳無いでしょう」
石上が追撃する。
「そうですね。そんな現実味皆無のことは、いくら藤原さんでも無理でしょう」
四宮先輩が毒を吐く。
「あのー、流石にそんな意味不明なことは、風紀委員としても、流石に…」
伊井野もフォロー出来ない。
結果。
「うわーん~。そんなに否定しなくてもいいじゃないですか~」
藤原先輩は泣き出した。
さめざめと泣き出した。
「なんですか~。みんなして私をいじめて~。ええ~ん」
「まぁまぁ、どうしてそんなことをしようと思ったんですか?」
理由を聞くことにした。
いや、多分、ろくでもない理由だろうけど。
「折角TG部で生徒会役員が二人出ましたし、やりたい放題出来るじゃないですか!」
「「「「却下(です)」」」」
僕も含めて言った。
おい、政治家の娘。
せめて、体裁位は整えろよ。
そんなの却下されるに決まってんだろう。
と、この日はこれで終わった。
次の部活の日。
「ああー。でも、実際に秀知院でサバゲー出来たら楽しそうだよね」
「だねー」
「そうですよねー。ホント、みんな酷くて」
手元でブラックジャックをしながら話している。
ギガ子もマッキー先ハイもこの企画には乗り気らしい。
……いや、正直に言えば、企画自体は僕自身もやってみたいと思う。
この広い校舎の中での打ち合い。
そこで繰り広げられる闘い。
ワクワクするのは当然だし、ここで盛り上がらないのであれば、TG部ではないとも言える。
だが、現実的には難しい。
やるとしたら、どれだけの手続きと交渉が待っているか分からない。
もしかしたら、生徒会長位になればその辺も押し通せるかもしれない。
この学校の生徒会長には、その位の権利がある。
その分、責任も重いのだけれど。
しかし、只の平会員に過ぎない僕には厳しいことが多い。
「でも、やるのが大変なのはそうだよねー」
「それに、不治ワラは口では言いつつも、実際に動くのは鳴滝ぽい」
「そ、そんなことないですよ!?ちゃんと私もやりますよ!?」
変に動揺する不治ワラ。
どうなんだろう?
イマイチ、どっちか判断つかない。
まぁ、楽しいことには全力な人だからやると思いたいけど。
それにしても、どことなく寂しそうだな二人とも。
……どうしようかね?
「二人はもしも本当にやれるならしたい?」
二人は少し顔を見合わせた後、
「「うん。したい」」
と、答えた。
……不治ワラは兎も角、この二人は本気でやりたいぽいな。
いや、不治ワラもやりたいのは本気だろうけど。
「あ、21だわ」
「「「ええー」」」
本日の部活の勝者は僕のようだ。
夕方になり、部活を終えて、勝者への褒美として唐揚げを買ってもらった。
そして、帰り道。
部活のメンバーで歩きながら帰る。
その道中、僕は言う。
「よし。秀知院でサバゲーやろっか」
「えっ、どうしたの?」
「そうですね!やりましょう!」
ギガ子とマッキー先ハイは疑問を浮かべつつも、どこか期待のこもった顔を浮かべて、不治ワラは、いい笑顔で同意した。
「いや、僕もやりたいなーって正直思ったし、二人もやりたいなら一肌脱ごうかなーって思った」
「そうです!やりましょう!」
「不治ワラはちょっと黙って」
「黙る訳ないじゃないですか!先に言ったのはこっちですよ!」
不治ワラは当然の権利のように言う。
まぁ、この場合は確かにその通りなので、言い返さんが。
「でもいいのか?多分、かなり大変だぞ」
「そうだよ。別に無理をしなくても…」
TG部のメンバーにしては、珍しささえ感じる遠慮だ。
実際、そのレベルの実現するのに大変なことではある。
だが、
「難しいこと程チャレンジする甲斐があるし、今までも散々と不完全燃焼で終わってたから、制限なく楽しめるようにしたいとは思ってたんだよ」
これは、嘘偽りのない僕の本音。
そして、僕は聞く。
「それでどうする?」
二人に聞いた。
二人はそんなに間を置くこと無く、
「「やりたい!」」
良い返事だった。
「それじゃあ、ひと頑張りしますか」
***
そこから、僕のサバゲー企画を通すための奮闘が始まった。
まず最初に、校長先生に交渉にいった。
何故なら、この学校の校長は基本的に自由奔放で遊んでいる。
体育祭の時に、自身がスマホゲーしてる最中に、生徒に注意するということをしている。
それに、前に一回、フランス交流会の準備を3日前に生徒会に要請したこともあったらしい。
正直、校長としてどうなのかと、疑問を持たざるおえないが、この場合は好都合だ。
そこら辺を利用して、企画を通そうと思う。
まぁ、元々、石上の件とか、色々と鷹揚で理解のある人物でもある。
なので、意外と企画自体への理解も持たれるとも思う。
だが、流石にただやりたいという理由だけでは、企画は通せないだろう。
なので、企画としては初等部から高等部まで、色んな世代間で楽しく交流しようという企画となった。
異なる世代で交流することで、初等部は高等部の憧れを、高等部は初等部の頭の柔軟さを、中等部はその両方を学ぶことが目的、ということにしてる。
この辺を実際に学べるかどうかは、その人達次第だろう。
というか、企画を通すための屁理屈の要素が強いだ。
まぁ、そこはなんとか許可を頂いた。
ただ、やはり前例などないし、監督責任も発生することを強く言い含められた。
まぁ、分かっていたことではある。
そうして、責任のことを話した後に、校長先生は教師に説明しに言った。
僕はというと、生徒会と風紀委員などの生徒陣営への許可を貰いにいった。
まずは、生徒会。
丁度、会長だけだった。
「ーということで、どうでしょうか?」
「ふむ。まぁ、校長の許可も得ていることだし、行っても良いとは思うが、こうなるとかなりの範囲で審判が居るだろうし、大きな責任も発生するだろう。その辺はどう考えている」
「はい。まず、審判の人員に関しましては風紀委員にお任せしようかと思っております。日頃の活動で、反則行為などに対する目は強いでしょうし、トラブルが発生した際にすぐに対応出来るという強みあると思っております。そちらには、この後に交渉するつもりです。責任も基本的に僕が背負います。言い出しっぺの立ち位置でもありますし」
「そうか」
会長は少し考えるような素振りをしたが、
「そうだな。確かに、責任はお前が取るのが普通だろうが…、お前に生徒会を辞めるようなことにはなって欲しくない」
「ハハ」
思わず笑った。
ここでそれを言いますか。
「むしろ、生徒会辞める程度ならまだいいんですよ。よっぽどのことが起きたら、僕、退学になりますよ」
「そうだろうな。だが、お前は優秀な人材だ。それに、四宮の情報のリークもしてくれる。いなくなるのは惜しい。だから、個人的にはやらないで欲しいと思っているが…」
「やりますよ。部員に約束しましたから」
「そうだろうな。そうして頑張れるのはお前の美徳なのだろうな」
「自己満足ですけどね」
「そんな謙遜するなよ」
会長はそんな風に言う。
本当に、良い会長だ。
そりゃ、副会長も惚れる訳だ。
「ところで、他の部員はどうしているんだ?」
「ああ、他のメンバーはルールの方の整備をお願いしています」
「普通一年生にこの辺をやらせるか?特に藤原書記こそが、言い出しっぺだろうに…」
「一年生である以上に生徒会ですから。藤原先輩の方は、マスメディア部を通しての宣伝の交渉の方に回って貰ってます」
「そうか、分かった。こっちも出来るだけ手伝ってやる」
本当に心強い会長様だ。
「ありがとうございます。それじゃあ、風紀委員の方に交渉にいってきます」
「待て、鳴山庶務。お前はどうして、人の為にこんなに動こうとするんだ?」
聞かれてみて、考えてみた。
だが、まぁ、答えなんて
「やりたいからやっているんですよ。自己満足で」
そう言って、僕は風紀委員室に向かう。
風紀委員の交渉の方はかなり難航した。
まぁ、風紀が乱れるというか、騒ぎたい放題に近い形になるのは確かである。
最終的に、伊井野の助けもあって、審判兼監視員としての役割があることを合わせて、どうにか許可を貰った。
「ありがとうな、伊井野」
「別に良いよ。鳴山には、選挙の時に助けて貰ってるし」
風紀委員の許可を貰い、それを白銀先輩に報告する帰り、伊井野と話していた。
「そこまで言うほどでもないだろう。それ言ったら、お前は石上にどんなお返しするつもりだよ?」
「鳴山にも十分に助けて貰ったよ。それこそ、石上の事も含めて。石上に対してのそれは、その、私も、どうやって返せばいいのか分からない」
顔を赤くしている。
正しく、恋する乙女だ。
少し、からかいたくなる。
「私をプレゼントとか?」
「なっ!?そんなスケベなこと、するわけないでしょう!!」
「冗談だよ」
「冗談でも言わないでよ!!」
「ごめん。ごめん」
いやー、本当に可愛いわ。
後ろで仲良さそうに話してるなーと、軽く嫉妬混じりに見てる男も含めて可愛いわ。
***
その後、書類を大量に書いたり、会場設営したり、流れの台本を作ったり、色々した本番の日。
僕は、放送室でのアナウンスが今日の役割だ。
風紀委員の方々には、審判兼監視を、生徒会の方々には、企画の進行を手伝って貰っている。
本当にありがたい限りだ。
そして、肝心のTG部。
今回、TG部のメンバーは、3チームの大大将として戦う。
僕は企画・運営に動く分から参加しない。
まぁ、流石にそれはということで言われもしたが、
「体力的にもキツいし、皆に楽しんでもらうのがメインだからいいよ」
と、言って追い返した。
大体本音だが、これはこれで変な同情を誘うなーと言ってから気づいた。
この辺で僕は馬鹿なのだ。
下手な遠慮は相手にとっても不快になるしな。
まぁ、ウダウダ言っても仕方ない。
そろそろ時間だ。
『これより、ゲームを開始します。5秒前。4、3、2、1、スタート!』
さぁ、ゲーム開始だ。
***
ここで、今回のゲーム説明。
チームの数は3チーム。
それぞれ、不治ワラが大将の赤、ギガ子が大将の黄色、マッキー先ハイが大将の青である。
それぞれのチームに初等部、中等部、高等部が均等になるように入れる。
参加者には、それぞれのチームの色の的を付けて貰っている。
的は前と後ろの二箇所の胴体に付けて貰っている。
どちらか一方でも破れたら脱落。
また、ゲーム開始から、的を外すのも禁止だ。
チームの大将の的が射抜かれた時点でそのチームの敗北である。
支給されている水鉄砲は、ハンドガンサイズ。
小回りは効くが、射程は短い。
なので、如何に相手に気付かれないように接近するかが鍵だ。
また、一定の時間になると、宝の地図と宝が学校の様々な所に置かれ、宝の中には戦いを有利にするものが入っている。
この
因みに宝の設置をするのは、生徒会メンバーだ。
学校の掲示物の類は全て外してある。
着替えとタオルを持ち込むように指示しており、着替え場所として更衣室も準備してある。
以上がルールだ。
…まぁ、放送室にいる僕は、報告を聞くだけで実際の風景を見ることは出来ないのだが。
「後からマスメディア部の写真の検分とかもあるから、様子は分かるか」
独り言のように呟く。
いや、実際に独り言なのだけど。
「ねむー」
眠気が凄い。
だが、眠る訳にはいかない。
仕事があるのだから。
しなければならないことがあるのだから。
コンコンと音がする。
どうぞと言う。
入ってきたのは、白銀先輩だった。
「ようー。…凄い眠たそうだな」
「…ええ、まぁ。常日頃から目の下に隈が出来ている会長には及びませんけど」
「…それを言うな。地味に気にしてるんだ」
どうやら、会長は寝不足によって出来る自身の強すぎる眼力を気にしているようだ。
実際、結構な威圧感の原因にはなっているが、
「そんな気にすることはないと思いますよ。むしろそれは、努力の証です」
実際、四宮先輩はその目が好きだしね。とは、言わない。
それは、本人たちが恋人になった時に話すことだ。
部外者の言うことではない。
「そうか。だが、お前も少しは寝てて良いぞ。放送ぐらい、こっちでも出来るし」
「いやいや、責任者がきっちりしなかったら駄目でしょう。起きて放送しますよ」
「…大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃなくてもやりますよ。言い出したのは、自分なんだから」
そう、自分で言ったのだ。
だったら、きちんとやらなくては。
「…本当に最初に言い出したのは、藤原書紀なんだがな。だが、無理はするなよ」
「ええ」
そう言って、白銀先輩は出た。
***
後日談。というか、今回のオチ。
「結果発表。優勝は青チーム!」
「「「イェーイ」」」
なんで、急に結果発表になっているかだって?
いや、僕自身はゲームに出てないし、会長からの定時報告以外はゲームの様子を知れないのだから、描写の仕様がない。
もしかしたら、番外編で誰かの視点でゲームの様子が語られるかもしれないが、それは皆さんの希望次第だ。
という訳で、見事優勝したのは、マッキー先ハイ率いる青チームだ。
どうやら、相当エゲツない手も使ったらしい。
何をしたのやら。
そんな感じでどうやらトラブルの類もなかったようで安心した。
そこから、閉会式を終えた後に片付けがあるのだが、白銀先輩が気を回して、放送室の片付けが終わったら仮眠していいと言われた。
放送室は片付けるものは殆どないし、実質、皆の片付けが終わるまで寝てて良いのと変わらない。
抵抗もあるけれど、眠いのは確かだし、それにそれくらい甘えても良い気がした。
そして、放送室の片付けを終えて、眠る。
眠る中で思う。
僕は成長しているのだろうか?
…その答えは、分からない。
…………
………
……
…
トントンと軽く肩を叩かれる。
目が覚める。
「よう。起きたか」
「うん。おはよ」
どうやら、石上が起こしてくれたようだ。
仮眠のつもりが、大分深い眠りになっていたようだ。
はぁ、全く情けない。
まぁ、取り敢えずは、
「お前も色々手伝ってくれてたな。ありがとう」
「別に僕は何もしてないよ」
「そういう謙遜はお前の好きな人にそっくりだな」
そう言うと、石上が動揺して顔も赤くなった。
バレバレなんだよ、バーカ。
「お、おま!?いつから!?」
「選挙の時には気づいてたよ。体育祭で自覚したのも知ってる」
「そこまで!?」
見てて面白いぐらいに動揺してる。
えっ、いや、えっと、石上は慌てふためいている。
ふっ。
可愛い奴だよ。ホント。
「…言うなよ」
「言わねぇよ。そういうのは、自分で言わなきゃ意味がない」
「…そうだな」
そう言って、二人で放送室を出ると、
「えいっ♪」
水鉄砲を打たれた。
見事に濡れた。
いや、近くに精密機械があるから、止めて欲しいんだけど。
「なんですか?藤原先輩」
「いえいえ、鳴山くんだけ参加できないのは可哀想なので、ゲームとは別に生徒会で水遊びしましょう」
先生の許可も取ってあります。と藤原先輩は言う。
見渡すと、TG部も生徒会の人達もいた。
石上も笑ってる。
……成程、お前も仕掛け人か。
はぁー、全く。
これだから、この部活は、この生徒会は、好きなんだよ。
「良いですよ。本気でいきますからね」
僕は、笑顔とやる気に満ちた顔で言う。
「ええ、負けませんよ!」
と、不治ワラは言う。
そこからは校庭に出ての水鉄砲大会だった。
的確に射抜きにいく四宮先輩。
それに負けじと対抗しようとするも、あらぬ方向に水が飛ぶ白銀先輩。
四宮先輩に射抜かれて、水で濡れて冷たそうにする伊井野。
伊井野にタオルをかける石上。
そんな二人のスキをついて、二人に水鉄砲を当てるマッキー先ハイ。
更にそこを狙うギガ子。
僕を狙う不治ワラ。
そんな様子を見つつ、不治ワラと四宮先輩との三つ巴戦に突入する僕。
そんな、童心にかえりつつも楽しい、こんな日々が僕は好きだ。
早坂周りの話をどうしようかと悩むんだけど。