鳴山白兎は語りたい   作:シュガー&サイコ

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文化祭編5日目。


せいとかいフェスティバル 其の伍

今日も今日とて、クラスの出し物であるコスプレ喫茶で働いている。

これが結構楽しい。

きちんとこちらも尊重されるのが嬉しい。

 

「注文は以上で…

 

ガラッ

 

と、ドアが開く音がすると、かぐや様が入ってきた。

寂しそうな顔をしている?

 

「早坂……、ちょっと来て」

 

そうして、かぐや様は私の腕を掴むと引っ張っていこうとする。

 

「えっ……?かぐやちゃん?」

 

皆にも見られている。

私達が下手に仲良くしていると、関係性が露見する恐れがあるのに…。

かぐや様がそういうことをするということはそれ程の自体ということなのでしょうか?

そうして、屋上前の階段に来て、かぐや様の話を聞いた。

 

「そうですか……。会長が留学を……」

「まぁ海外の大学は10月入学。3年の自由登校期間を考えれば1年近く無駄な時間が出来ますし、飛び級は合理的な判断よね」

 

……確かに、理屈ではそうなりますが、

 

「いいんですか?本当に…」

「スタンフォードは私でも入るのが厳しい大学。そのチャンスを不意にする意味なんてないでしょう」

 

かぐや様は寂しそうな顔をしている。

それでも、まだ表情を無理矢理抑えているようですね。

 

「勿論…、少しは拗ねたい気持ちもあるわ。この私と過ごす高校生活よりもそっちを優先するんだもの。でも、これは凄い事なのよ。笑顔で送り出すのが筋でしょう」

「今日はやけに素直ですね、かぐや様」

「こんな所で、意地を張っても仕方ないでしょう?」

「それはそうですが……」

 

やはり、気になる部分はあそこだ。

 

「…かぐや様的には遅くても2年生の間には付き合い始めて、3年は恋人として楽しく学園生活を満喫出来るかもーみたいな考えで、今まで出来なかったあんな事やそんな事を思う存分…をするつもりなのかと……、あっ、やっぱりそうなんですね」

 

かぐや様は恥ずかしそうに口を隠す。

本当に、分かりやすい人ですね。

 

「でも、それは別に今からでも遅くないですよ。今日から会長がいなくなるまでの10ヶ月間にかぐや様がしたかった事全部すれば良いんです」

「……そうね。私も全く同じ事を考えていたわ」

「分かっているとは思いますが…、その為の条件がたった一つあります」

「ああもう、何が言いたいか想像がつくわよ!」

「今日、会長に好きだって言う!告白すればいいんでしょう!」

 

……長かった。

かぐや様がここまでくるまで、どれ程の時間がかかったか。

 

「でも……、告白なんてどうしたら……」

「お任せください。既に完璧でロマンチックな告白方法を……」

「早坂先輩、ストップ」

 

ふと、男の声が聞こえた。

声のした方を見ると、案の定、鳴山くんが居た。

 

「盗み聞きとは感心しませんね」

「デフォルトで盗み聞きの人に無茶を仰る」

 

そう、鳴山くんは詫び入れもせずに言う。

やり慣れているんでしょうね。

まぁ、そういう職種というのもあるんでしょうが。

私と同じで。

 

「それで、何が問題なんですか?」

「早坂先輩のは、あくまであなた好みのロマンチックでしょう。多分、趣向が合わないと思いますよ」

「知った風に……」

 

なんというか、遠慮なく言ってくるようになりましたね。

秘密が明らかになったからというのもあるのでしょうが。

 

「まぁ、シチュエーションは二人きりにする位でいいでしょう。告白の言葉も、その時になったら自然と出てきますよ」

「えっ、でも、それは……」

「適当過ぎました?う~ん、じゃあ、告白の言葉位は考えますか」

 

そう言って、議題を出す。

本格的に私のプランを潰す気ですか。

 

「それじゃあ、取り敢えず告白の言葉をどうぞ」

「えっ、ええと、会長が付き合ってくれって言うなら付き合ってあげてもいいですよ!

「「不正解」」

 

私と鳴山くんの声が被る。

いや、流石に、ねぇ?

 

「ツンデレ告白はなしですね」

「眞妃様を連想しましたよ」

「何よ!仲良く声を揃えて!」

 

かぐや様は不機嫌になっている。

でも、今の告白はないですよ。

 

「じ…、じゃあ…、会長……好き!

「あり」

「全然駄目ですね」

 

今度は私と鳴山くんで意見が別れた。

 

「どの辺がありなんですか?どう考えても、情報量が少なすぎて告白が失敗するのが目に見えてますよ」

「いやいや、会長だってそんなに鈍いわけじゃあないんですから、普通に分かりますよ」

「今までの戦歴を考えれば、勘違いオチになる可能性のほうが高いですよ」

「そんな引き伸ばしにはいったラブコメじゃあないんですから、決める時はキッチリ決まりますよ」

「ですが…」

「なんで、当事者の私が蚊帳の外のなのかしら?」

 

そんな風に言うかぐや様を無視して、私達は意見をぶつけ合う。

 

「もう良いじゃないですか!『好きです。付き合って下さい』で良いでしょう!!」

「エモさが足らない!」

「もう!いい加減にして下さい!!」

 

かぐや様が大きな声を出す。

確かに、置き去りにし過ぎましたかね。

 

「本当に仲良くなりましたね。でも、ちょっといい加減にして下さい!!これは、私の話ですよ!」

「そうです。だから、最後に決めるのはあなたですよ、四宮先輩」

「その通りです。会長のどこが好きなのかをきちんと言葉にして下さい」

 

鳴山くんの言葉に続く。

そう、これはかぐや様の話。

何にしても、かぐや様が声を出さなくては何も始まらない。

かぐや様は少し詰まると話始めた。

 

「大勢で歩く時…、列から離れて歩く人がいると、ちらりと振り向く時の横顔が好き」

「心配になる位眠そうな目元とか難題にぶつかった時の引きつり笑いとか」

「嫌味な位実直で、地味に負けず嫌いで、人は頑張れば何にでもなれるとおもわせてくれる姿が、好き」

「前に進もうとする会長が好きなのよ」

「だから」

「海外に行かないでーなんて、絶対に言えないでしょ…?」

 

かぐや様は涙を流す。

私はそれをそっと抱きしめる。

 

「……ごめんなさいかぐや様。告白。絶対成功させましょう」

 

***

 

かぐや様を見送った後、鳴山くんは言う。

 

「それじゃあ、キャンプファイヤーが始まったら、四宮先輩に伝言を頼んでいいですか?」

「……なんでしょう?」

「紙に大した意味はないと」

 

鳴山くんはそう言う。

一見すると意味不明ですが。

……ここまでの、学校の怪盗騒ぎや会長の進路のこと、そして、この伝言。

 

「……鳴山くん。あなた、会長と通じてますね?」

「今更ですよ。とっくに気付いていると思ってましたが」

 

詫び入れもせずに言う。

彼はそういう所があっさりとしている。

悪いとも、あまり思っていない。

 

「……そんなに睨まないで下さいよ。結局の所、どっちから告ったって大差ないんですから」

 

少なくとも外野からは、と鳴山くんは続ける。

 

「四宮先輩の性格は知っています。だから、僕と四宮先輩は利害関係()()を築いてきたんです」

 

そう彼は言う。

確かに、彼はかぐや様とは互いを利用するような関係にしようとしていた。

けして、心を通わせようとはしていなかった。

しかし、

 

「それでは、私を助けたのは……」

「それは普通に早坂先輩が気にかかったからですよ。他意はないです」

 

彼は真顔で言う。

 

「僕は嘘をつくことも騙すことも躊躇いませんよ。それが、誰かの助けになるのなら。それだけです」

 

そう言って、彼は歩いていく。

なんだかんだ、彼には色々と助けれてはきましたが。

……やっぱり、厄介な人ですね、彼は。

 

***

 

「はーい!そこまで!!」

 

時間終了の声が響く。

私は手に持っていた空のお椀を積み上げられているお椀の上に置く。

 

「76,77,78,79,80!合計80杯!」

「おおーーー!!」

 

周りの歓声が響く。

しかし、少し恥ずかしい。

目立つのはそんなに得意じゃない。

私は、大会が終わるとすぐに教室をでた。

そして、部屋の外に居た石上と合流した。

 

「しっかし、随分と食べたなぁ…」

「…なによ?悪いって言いたいの?」

「いや、凄いなぁって」

 

石上は感心したように言った。

周りも似たような感じだ。

別にわんこそば80杯位なら、普通にいけるんだけど……。

 

「石上はどの位食べれるのよ?」

「俺?やったこと無いから分からないけど……、50杯いければ良いんじゃないか位じゃないか?」

「……私を大食いと言いたいの?」

「いや、それはそうだろ」

 

石上はさも当然のようにそう言う。

確かに私は食べるのが好きだけど。

他の人よりも食べているのは確かだと思うけれど。

 

「その言い方はデリカシーがないんじゃない?」

「……確かにな、ごめん」

「……まぁ、良いけど」

 

正直、石上がこういう嫌な事実を突きつけてくるのは今に始まったことじゃない。

なまじ、正論だから否定できないし、その人が気付いて終わることが多い。

主に藤原先輩がだけど。

 

「次はどこ行くか…」

「そうね。つばめ先輩の劇はもう見たし……」

 

石上とは、1時間位前から回っている。

元々は私の石上に知られたら死んでしまいそうな位に恥ずかしい勘違いが元なのだけれど、それでこいつと、その、デート、が出きたと考えるなら、恥をかいた意味も……ないわね。

元々、私がちゃんと誘えば良かっただけだし。

 

「ああ、そうだ。つばめ先輩のクラスでも見に行くか」

「……いいわね。行きましょう」

「今の間はなんだよ」

 

言えない。

昨日の今日で恥ずかしい勘違いをした相手と会うのが気まずいなんて言えない。

 

「ほら!いいから行くわよ!」

「おい、ちょっと待てよ」

 

私が早足で歩いていくと、石上は慌ててついていく。

昨日のこともあって、いつもよりも意識している気がする。

そして、つばめ先輩のクラスに着く。

中はどうやら、屋台系のようで、まとあてだったり、かたぬきだったりがある。

 

「石上はどれをやる?」

「じゃあ、まとあてにする」

 

石上はそう言うと、まとあての所に行く。

店員さんからボールを貰うと狙いをすまし、投げる。

そのボールは一番上のハートの部分に当たった。

あれ、そこって確か……。

 

カラン、コローン

「100点出ました~」

 

「「「おお~~~」」」

 

皆の驚く声が響く。

いや、でもこれは…。

 

「流石だね!石上!」

「おう。いや自分でもビックリだわ。玩具屋次男坊の面目は保てたかね」

「あんまり関係ないような気がするけど」

 

どちらかというと、石上が器用だからなのが大きいと思う。

運動も出来るし、会計処理も出来るし、プレゼン能力もある。

勉強の方も徐々に成績が上がってるし……、こうして考えると石上は思っている以上にスペックが高いのでは…?

 

「景品好きなの一つどうぞ!」

「………じゃあ、その大きいクッキー…」

「巨大クッキー出ました~」

 

私が考えている間に、石上はあの大きなクッキーを選んだらしい。

あのハート型の大きなクッキー。

確かに、奉心祭の伝説のこともあって、そういうものを出した方がウケはいいと思う。

それにしても、本当に大きいクッキーねぇ。

石上は食べ切れるのかしら?

 

「ねぇ、石上。それ、食べ切れるの?」

「俺1人だと難しいかも…」

 

じゃあ、なんで選んだんだろ?

景品には普通サイズのクッキーもあったし、なんなら、食品じゃないのも置かれてたのに。

というか、石上、なんでちょっと緊張して、

 

「だから…、その、一緒に食べないか?」

「へぇっ?」

「一緒に食べないか!」

 

石上は大きな声で言う。

えっ、でも、石上は伝説を知っている筈で、その上で言っているのだとしたら…。

石上は今……。

 

「いや!別に他意は無いんだけどな!1人じゃ食い切れないってだけで!!」

「そ、そうよね!はぁーー!ビックリした!!」

 

二人揃って、不自然な位に大きな声で言う。

いや、ホント、ビックリした!

そうよね!石上がこんな所で告白とかして来ないわよね!

こんな公開告白とかするタイプじゃないもんね!

うんうん!

全く、人騒がせなことするんだから!

もう、私が見てないと駄目ね!

 

ジィィィーーーーー

 

ふと、周りの視線を感じる。

うぅぅ、人の視線が苦手なのもあるけど、これはそういうものじゃない。

取り敢えず、

 

「急いでここから離れない?」

「そうだな」

 

そうして、私達は急いでこの場から離れた。

後に、鳴山から聞いた話では、この時に周りにいた人達は、

 

『可愛いカップルだなー』

 

と思れていたらしい。

恥ずかしい!

 

***

 

文化祭もそろそろ終わり。

後夜祭のキャンプファイヤーを灯す時間になった。

会長に点火を見て貰うつもりだったのに、結局見つからなかった。

一体どこにきえたのかしら……。

大体、私の晴れ舞台なんですから探すまでもなく、自分から良い席をを取りに来るみたいな考えがあって当たり前じゃないですか?自分は私に好かれているなんていう的外れな……、いや、確かに好きですけど、認めますけど!だからって、そういう態度を取られたら私だって拗ねますし、嫌いにも…、なりませんけど!でも、会長には何の得にもならないですよ!はっ!もしかして、これは恋の駆け引きというやつなのでは!?

早坂の所に戻り、私は言う。

 

「会長ってちょっといじわるな所あるわよね……?」

「この場でよくそこまで自分の世界に入り込めますね」

 

まぁでも、これはあくまで導入!

ここから、会長を見つけて、そして…

そう考えていていると、上から紙が舞っている。

 

「3枚目の犯行声明です!」

 

そこには、『文化祭は頂く arsene』と書かれていた。

 

「あっ、あれ…?龍の、龍の玉が!?」

 

その人の指を指した先には、会長の作ったオブジェの龍の玉がなくなっていた。

ていうか。

人が勇気を出して頑張ろうって時に……、誰ですか!?

こんな悪戯をするのは!!

 

「いま人影が!怪盗さんはまだ屋上に居ます!追いかけましょう、かぐやさん!」

「えっ、ちょっと…!」

 

藤原さんに手を引かれて行く。

こんなことをしている場合ではないのに…

早く、会長を見つけなければならないのに!

ああ、もう!

昼間はあんなに順調に事が進んでいたのに!

ピンポイントでこんなことを起こして!

誰かの意思が働いているようだわ!

 

「いない…、逃げられましたか」

 

ずっと、元気のいい藤原さん。

なんでそんなに元気なのかしら?

 

「藤原さんはなんでそんなに元気なんですか?」

「だって怪盗さんが待っていますからね!」

「いや、待っては…」

「待ってるんです!全ての怪盗はいつだって探偵に見つけられたがっているんですから!」

「そういうものですか…」

 

確かに、こんな行動を起こすなんて、よっぽどの目立ちたがり屋でもなければしませんよね。

それこそ、藤原さんみたいな。

 

「そう言えば、この暗号も解けてないんですよね。法則というか特徴は見つけたんですけど」

「へぇ…、どんな特徴なんですか?」

「この暗号、202315と15145が何回も出てくるんです。しかも、一桁の数字を挟むように」

 

数字を挟むように?

手元の数字を見る。

確かに、202315と15145が何度も出てきていて、残っている数字は2,0,1,2,1,2,5,7,1,1,3,5,3,1,2,2,1,2で……、あれ?これって…

 

「変換……」

「変換?……ああ、そういうことですか!」

 

藤原さんが閃いたようだ。

 

「どうかしましたの?」

「いえ!この暗号の解き方が分かったんです!取り敢えず、紙とペンを取りに行きますよ!」

「は、はい!」

 

そう言って、藤原さんと他の2名は去っていった。

そこに、入れ替わる形で早坂は来る。

 

「書記ちゃん達、行っちゃいましたけど、良いんですか?」

「ええ、大丈夫よ」

「それと、かぐや様」

「何かしら?」

「すぐに怪盗騒ぎがあったので言いそびれていましたが、鳴山くんからの伝言です。『紙に大した意味はない』と」

 

……成程。

これで全ての謎が解けました。

 

「取り敢えず、着替えに行きましょうか」

 

***

 

「まったく…、お茶目な悪戯だわ…」

「どういうことなんですか、かぐや様?」

「全ては会長と鳴山くんによって仕掛けられていたことだったのよ」

 

鳴山くんがどの程度、介入しているかは定かではありませんが、まぁ、謎の部分を担うぐらいには関わっているんでしょうね。

 

「この暗号。藤原さんが言った通り、202315と15145が繰り返し出ている。さらに、その間に一桁の数字を入れている。そして、もう一つの特徴。()()()()()()()()()()()()()()()()()。ここでこの数字を50音順またはアルファベットの順番で考えれば良いと仮定すれば、大体見えてきたわ。202315と15145をアルファベッドの順番に()()した時に出てきたのは、twoとoneでした」

 

これだけ出れば、もう十分。

 

「twoを表す202315が二回連続で出るということは、その一桁の数字は組み合わせるという意味なのだと予測がつきます。その上で、改めて数字を組み替えると、20,1,2,12,5,7,1,13,5,3,12,21,2。これを、さっきと同じように変換すると」

「どうなるんですか」

「table game club」

「TG部、ですか」

「ええ」

 

TG部。

確かに、怪盗騒ぎを起こしそうな部活ではある。

しかし、それを中心になって動く側になりそうな藤原さんが謎解き側にまわったということは……。

 

「この件にTG部全体が関わっている訳ではない。それに、この暗号の文だけは『アルセーヌの使い』という差出人になっていた。つまり、この暗号はそのアルセーヌの使いがよこしたもので、その使いの正体は…」

「鳴山くん。という訳ですか」

 

そう、鳴山くんがこの暗号を作った犯人。

ただ、

 

「恐らくこれは、藤原さんを翻弄する為の餌。本命は始めからこの怪盗の名前」

「名前ですか」

「arsene。ギリシャ語で『男らしい』という意味。どこかで誰かが言ってた言葉です」

「なるほど……」

 

鳴山くんがわざわざ紙に大した意味がないというのを伝言として残したのは、私に余計な誤解をされたくないのと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

これは私に対する裏切りに近い行為をしたことを告白している。

その後に、それ相応の対応が待っていることも分かっているでしょうに。

……いえ、違うわね。

彼は別に私を恐れていない。

今回の行為は、私に対する当てつけ。

自分はもう手伝わない。

ここからは自分の力でやれ。

そういう当てつけ。

全く、どちらの方が立場が上なのか、まるで分かっていない。

庶民である彼を飛ばすぐらい、わけないというのに。

あるいは、こういう所に藤原さんは惹かれたのかも知れない。

全く、厄介だわ。

ともかく、

 

「ここからは1人で会長を探すわ。早坂は残りの文化祭を楽しんで頂戴」

「ですが…」

「ここからは全くのノーヒント、会長がどこに居るかの手掛かりは何一つない。それに…

 

『全ての怪盗はいつだって探偵に見つけられたがっているんですから!』

 

……そうですよ。

 

これは『会長の考えを読んで会長を探せゲーム』なんです。私一人で挑むべきでしょう」

「わかりました。しかし、本当に大丈夫ですか?」

「心配いらないわ。ちゃんとハートを渡して、……気持ちを伝えてきます」

 

そうして、私は廊下を歩く。

会長の居場所についてはノーヒント。

私は試されている。

四宮かぐやは白銀御行を本当に理解出来ているのか?

わかりますよ。

ずっと見てきましたから。

いつだって皆の心配して、星が好きで、ロマンチストで、いつだって上を目指す人ですから。

恐らくはこの学園で最も空に近い場所。

時計台の上に会長は居る!

さて、ハートは……

 

ゴソゴソ

 

はれ?

 

ゴソゴソゴソゴソ

 

無い!?

どこかで落とした!?

そんな!?

た、助けて早坂!!

 




次回、文化祭編ラスト。
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