五等分の花嫁 IF   作:フリードg

1 / 5
可愛いよ! みんな! もうちょっとで終わりそうなのが辛い( ;∀;)


0話

 

 

『先生が言ってたんだけど、瓜を半分に切っても同じ形だから『瓜二つ』っていうらしいよ』

『瓜ってなに?』

『わかんなーい』

『食べ物だって言ってた』

『それならメロンだってそうじゃない?』

『『メロン二つ』は変でしょ』

『だねー』

『うーん……』

 

 

 いつも私達は一緒。いつも5人一緒。それが、私達だから。

 瓜の話は正直どうでも良くて、重要なのはここからだ。

 

『どうしたの? 四葉』

『瓜は5つに切っても同じ形なのかな、って』

『あははは。じゃあ私達は『瓜五つ』だね』

『……うんっ』

 

 

 

 そっくりな事は自分達にっては褒め言葉だから。

 

 

 

 皆一緒。喜びも、哀しみも、怒りも、慈しみも、全てが――五等分。

 

 

 

 そうだと、思ってたんだけどなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二乃と三玖! みんな呼んできて!」

「皆、じゃなくて、一番は誰か大人の人!」

「2人とも落ち着いて! あの子が心配なのは皆同じだから」

「そうっ! わたし、ここで見てるから! 落っこちちゃわない様に、頑張れって言い続けるから!」

 

 

 

 今、見上げてるのは大きな大きな木の上。沢山枝分かれした枝の先に、プルプルと震えてる黒い猫がいた。高い所に上り過ぎてて、降りる事が出来なくなっちゃったんだろう、って事は直ぐに判った。

 今、一花と五月は先に帰ってていなくているのは3人だけ。でも自分達の身長よりずっとずっと大きな木を前にしたら、何にも出来ない。何時、あの子が落ちちゃうか判らない。

 

 あそこから落ちちゃったら、そのまま川に落ちちゃうよ!

 

 

 でも、わたしなら、行けるかもしれない。助けれるかもしれない。

 以前サッカーの試合に出た時、監督が言っていた。一番うまくなってるって。体力も一番あるだろうって。正直ヘボ監督だったから、そんなに強く思ったりしなかったけれど、ひょっとしたら自分なら、と今思ってしまう。だって、あの子を助けたいから。

 

 

「ちょっと四葉! 危ない事、考えないでよ! 直ぐに呼んでくるから」

「登ろうとかコト考えたらダメだからね!」

 

 考えてる事がバレちゃったみたいだ。

 自分が考えてる事なんて、簡単にバレちゃう。他の皆も同じ。私だって解るから。

 

「わ、わかってるよ! 危ない事なんてしないから早くっ!」

「うん! 三玖、いそごっ!」

「うん!」

 

 2人は 思いっきり駆け出した。

 この林道は結構長い。お散歩コースだから人がいない訳じゃないんだけど、今は運悪く誰もいなかった。大きな道路に出て誰かを呼ぶか、直ぐ傍の家に戻ってお巡りさんに電話した後、4人で駆けつけるか。

 

「何にしても、遅いかも……、だって、あの子……っ」

 

 ぷるぷるぷる、と震えてる猫を見てそう感じてしまう。身体全体で震えてて、今にも落ちそうだから。しっかりと爪で枝につかまってるみたいだけれど、時折 ずるっ、と落ちちゃいそうになってるから。

 

「まてない。まってられないよっ……! ……ごめんね、二乃、三玖。わたし、いくから!」

 

 だから、私は決心した。

 ちょっとでも身軽になれるようにカバンを下において、かぶってた帽子も木に引っ掛けて、準備体操だけは忘れずに。

 

「……よしっ! 絶対に助けるからね!」

 

 さぁ、登るぞ! って構えてたら……頭に感触、あったんだ。

 それが帽子だって気付くよりも早く、声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

――待ってろ。

 

 

 

 

 そう一言だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風の様に現れたのは男の子だった。

 するする、とあっと言う間に木に登っていく。落っこちたら危ないのに、怪我、大怪我しちゃう。それに川に落ちちゃったら……、って 何度も考えてたのに、その子に視線が釘付けになっちゃってた。

 

「っ、と、ほっ……、よし」

 

 まるでおサルさん。あっという間に猫ちゃんの所にたどり着いてた。

 

「馬鹿だな。無理して登って、イイことあったか?」

 

 両手をハイ、と広げてる。

 そこに飛び込めば……解決! 何だけど、猫ちゃんも状況が判らないみたい。怖いって気持ちだけが前面に出てて、ただただ震えてるだけだった。

 

 それを判ったのか、男の子は前に出ていった。枝が細くなってて、より危ないのに するすると。それで、猫ちゃんの所について。

 

「あっ、あぶないっっ!」

 

 猫ちゃんは落ちそうになっちゃった。

 助けてくれるんだという事が、猫ちゃんながら判ったんだと思う。だから、身体の力、抜いちゃったんだ。しっかりつかんでた枝も放しちゃって、そのまま下に……。

 

 

「っとと、あぶねっ。ほら、落ち着いて 落ち着いて。直ぐ降りるからな」

 

 

 落ちなかった。

 男の子が猫をキャッチしちゃったから。両足を枝に絡ませて……、まるで鉄棒でもしてる様にぐるんっ、とまわって……、猫ちゃんを片手に、またするっ、するっっ、と降りてきて……、私の前に。

 

「お前の猫か? しっかり躾はしといた方が良いぞ」

「え、えっと、その…… わ、わたしのじゃなくて……」

「なんだ? 違うのか。どっちでも良いか。ほら」

 

 猫ちゃんは、地面に下ろされると、ぴゅっと走って行っちゃった。お礼くらい、って思ったけど、そういうものだよね。でも、最後にこっちを向いて、少しだけ頭を下げたんだ。まるでお礼をしてるみたいで驚いた。

 

 そんな時だ。少し強い風が吹いてきて……。

 

「あっ、わたしの帽子が………っ」

 

 しっかりかぶってなかったから、帽子はふわりと浮いて、風に流されちゃった。それも川の方に。フェンスを越えそうになった所で、またあの男の子。

 

「よ、っと」

 

 いつの間に、なんだろう。本当に凄いと思った。まるで風の子? 風の精霊さん?? 色んな考えが頭の中にあったよ。

 

「結構お前って、ドジなんだな。しっかりかぶってろよ。 ここに落ちたら取れねーぞ」

「あ、うん…… そ、その ありがと……」

「おう。じゃ、オレ行くから」

「ちょ、ちょっと待って! えっと、キミは……?」

「悪い。これからサッカーの試合があるんだ。時間がヤバいから、また今度な」

 

 手を伸ばしたけど……掴めなかった。するっと抜けていっちゃった。ほんとに風みたい。

 

 暫く、私はぼーっとしてた。二乃や三玖、五月と一花が来て、皆が呼んでくれた大人たちも来て…… それで猫ちゃんがどうなったのかを説明して、それでも 私の中にはあの男の子の事だけでいっぱいだった。

 

 

 

 

 

「サッカー……か。あのヘボ監督なら、あの男の子のこと、何かわかるかな?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。