明日になっても、そのまた明日になっても、あの風の様な男の子の事が忘れられなくなっちゃってた。
だから、皆を連れて……また、やってきたんだ。あのサッカーをやってる所に。
私達はいつも一緒にいなきゃいけないから、皆で一緒に行く。……ちょっと 何だか複雑な気分だったけど、きっと気のせいだよね。
「おおっ! よく来てくれた! 本当にマジでよく来てくれた! 今日も助っ人を頼む! 連続してきてくれたって事は、サッカー将来頑張るんだろうっ!? 助っ人と言わず、今日から我がチームに入ってくれ!」
いつもの監督が大はしゃぎしてた。 そんなに前勝てた事が嬉しかったのかな? とちょっとだけ思ったけど、今はわたしの中ではあの子の事しか考えれなかったんだ。
「助っ人参戦とは違うよー。ちょっと聞きたい事があって来たの」
「四葉が来たいって言ってたから私達も一緒についてきたの」
「「「うんうん」」」
「えぇ……。サッカーに興味持ってくれたんじゃないのか……。あんなに上手くなったのに、もったいないぞ……、ああ、もったいないぞ……」
すっごくがっかりした様だけど、ごめんね、ほんとに今はサッカーよりも サッカーをやってる、って言ってたあの男の子の事しか考えられないんだ。その、お礼もまだ言えてないから。
「ま、それはもう良いか。それで聞きたい事ってなんだ? おおっ!? ひょっとしてお母さんへの次のプレゼントの相談か!? 病気が治ったお祝いの次は、いつもありがとう、貴女をいつも見守ってます! 的な!? よろしい、この私が相談に乗り、更に選んであげましょう」
「……ちょっと何を言ってるのかわからないです」
『…………』
聞きたい事 聞けないし、わたしを含めて皆も全然興味なさそうにしてた。真顔っていうのかな?
「うぐおおっ、わ、悪かった。悪かったから、5人でその顔するの止めてくれ……」
いつもの悪口より監督にとっては嫌だった見たい。……次も、この顔 やってみようかな? って、早く聞かないと。
「聞きたい事は男の子の事なの」
「男の子?」
「ちょっと前に、えーっと ほら 前に助っ人にきた日、だったかな? この辺りで会った子で……え、えーと うーんと」
色々と聞いてみようにも、名前も知らないから、何をどう聞けば良いのかわからなくなっちゃった。とりあえず、思った事を聞いてみることにしたよ。。
「つまり、風のような男の子です!」
「へ?」
「あ、あとは おさるさんみたいに、木を登るのがじょーずな子です!」
色々と言うけど、頭に沢山《?》を造っちゃってるみたいだった。
「四葉~ さすがにそれだけじゃわかんないんじゃない? だって、ヘボ監督だし」
「こ、こら、三玖! 大人だって傷つくと言った筈じゃないか。それに オレじゃなくたって無理でしょ……? これだけじゃ」
「ブー」
「なぬ!?」
「私は二乃でした」
「うごああああっ!! こんどはそうきたか!?」
この間は、確か三玖がヘボ監督って言ってたんだ。確か。今日は二乃が言って、やっぱり解んなかったみたい。やっぱり私達はそっくり!
「うーん……、でもそれいじょうどう言えば……どういえば良いかな……、どういえば……、うぅーーん……」
「ふむふむ 何の事なのか、さっぱりだが 今日の相手は男女混合のチームなんだ、サッカーしてるっていうのなら、ひょっとしたら、相手側にいるかもしれないぞ?」
「えっ!? ほんと??」
「ああ。と言っても 向こう側も助っ人男子で1人しかいないから、一発勝負だけど」
一瞬すっごく期待したんだけど……、やっぱり損しちゃった気分だったよ。仕返しされた、って事かな? ………お母さんに言いつけたら、良いかな?
「1人だけって、あのゴールキーパーしてる子だけ? おー なんか凄いよ~」
「え、どれどれ一花!」
「ほらあれ、あ、また止めた!」
五月と一花の視線をわたしは追いかけた。 正直、期待なんかしてなかったんだ。だって、たった1人だけ、って言ってたし。男の子のチームだって沢山あるの知ってるから。
「あっ…………」
でも―――。
「(アイツ、先週の猫のヤツだ)」
「おーい、ゆーくん! よそ見してないでパスパース! こっちこっち!」
「おう」
「よっし、次も頼むねー!」
「そっちこそ頼むぞ みさと」
「おーけー! まっかせといてー!」
思い切り投げたボールを上手く拾って走っていく みさとを見送った後 オレは視線をあの賑やかな所へと向けた。
さっきから向こうの監督は自分達のチームの事をみようともしてない。そういうの、どうなんだ? って思う。……だけど、今のオレには関係ないか。違うチームだし。
でも、あの賑やかな連中には見覚えがある。それで似た様な顔が5つもあって驚いた。
「おぉぉーー! 中野姉妹が入ってきたら、こっちのもんだよ! 次こそ、決めてやるんだからね!」
「なかの姉妹?」
「ふふ~~ん。あの子達のこと! あの子達が入ってきたときのうちの勝率凄いんだから! 次こそゴール! だもんね! 皆が決めてくれるよ!」
「……そこは自分で決める、と言った方が良くない」
「うっ……、き、決めれるなら決めてるもんっ! 何本も止めちゃったのは、どこのドイツだよーー!」
「ああ、それは ここの
「四葉? 勿論! エースストライカー! この間なんか、ハットトリック決めたんだよー!」
「ふーん」
「反応がたんぱく……。むぅ、見てろよっ! 謙遜してるけど、あの子たちほんと凄いんだから!」
「凄いのはわかった。楽しみにしとく。……でも、まずは、ボール取返しに行けって。決められるぞ、みさとに」
「わぁ! まずっっ」
視線を戻すと もう敵陣奥深くまで入っていってた。慌てて戻ってるけど、まぁ 多分無理かな。2点目入るだろう。
それはそれとして、あの姉妹たちの中に四葉って名のヤツがいるんなら、オレも少しだけ用がある。
「………拾われたのがオレで良かったな。って、まだ決まった訳でもないか」
オレのポケットの中に、財布が入ってる。
その財布にあった名前が《なかの よつば》だったから。