順調だ。
順調である。
順調に事が進む。
六十層に到達し、七四層も先週到達した。
残り二十六層。終わりは近い。
何も起きなければ今年中にアインクラッドはクリアされるだろう。
そして、今日は七十五層の攻略日だ。
七十四層のボス部屋が結晶無効空間になっていたことから久しぶりに円卓以外の攻略メンバーも集まり、さぁ勝とうぜ!
「よぉ、姉貴!今日も元気に人殺してるかい?」
「………PoH」
……と、一人盛り上がっていた私は
今は亡き殺人ギルド『ラフィン・コフィン』の長と二人っきりである。
――――
「だから言っただろう、理由のない殺人は駄目だと!折角円卓と同盟組んだのに血盟騎士団に喧嘩売って壊滅とか馬鹿なのかお前達ラフィン・コフィンは!?」
「だってよぉアイツら、俺たちと同じ人殺しの癖に正義者気取りでムカついたんだよ……あぁ何だけっ?クラディール何とかは特にうざったくてさ、レッドまで切り刻んでやったら、鼻水垂らして何と、仲間に入れろとかほざきやがる!ついっカッとなってぶっ殺しまった俺が悪いと思うかい?」
「あぁ……それは仕方ない」
PoHとアルトリアの会話は斬り合いの中で行われる。脳筋は戦うことでしか分かりあえないとよく言うが、PoHとアルトリアは殺し合う事でしか同じ目線で話せない変わり者だった。
「っおわ!」
アルトリアのカリバーンを友切包丁で受け止めようと構えるも、押し込まれると悟ったPoHは慌てて距離を取る。
「良いねぇ、姉貴が俺に共感する度、姉貴の剣は重くなる。そう言やぁ、姉貴に初めて斬られたのは不可侵同盟を結んだ時だったかぁ?あん時は痛かったぜ~」
「痛覚の遮断された、アインクラッドっで痛みとは?」
「心だよ、こ、こ、ろ!」
そう言って麻痺毒の塗られた投擲用のピックを投げつけたPoHは蹴りで弾き飛ばしたアルトリアに苦笑する。
「お前、レベル上げサボってたな?」
「俺はエンジョイ勢だからな。PKを楽しめたらそれで充分だったんだよ!」
両手剣とは思えない斬撃の嵐に嬉しいような呆れているような悲鳴を上げるPoHのHPはレッドに差し掛かる。
「おいおい、このまま行けば俺は死ぬぜ!」
「残念だが、PKは初めてじゃない!死にたくなければ全力で抵抗することだ!」
「そうかい!」
剣と剣がぶつかり合う。
PoHは変わらず防戦一方で、アルトリアの独壇場だ。だが、何故だろう……この戦い後三度、剣を交えれば終わる筈が間に合わない?そんな
ゲームはクリアされました―――ゲームはクリアされました―――ゲームは――
「ハァァァ!?」
――サブタイトル『殺人鬼と話してたら全部終わりました』
???「ヒースクリフは倒れたようだが、SAO編はまだ終わりではない……」
PoH
元殺人ギルドのギルド長
散歩してたら偶然アルトリアを見つけて久しぶりに話そうと(殺し合おう)と思ったらゲームが終わってた。
アルトリアには近い物を感じていて親しみを込めて姉貴と呼んでいる。
次の話
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今回の話の続き
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ALO編スタート
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マーリン先輩お見舞いに来る
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円卓の病室
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SAO最後の時、アルトリアと茅場が話す