もうすぐだ……
もうすぐ君に会える……あぁ美しき
美遊……
アイツらなんかに邪魔はさせない…………今度こそ、今度こそ…………君を僕の手に…………
……握手会楽しみにしているよ
「よし、握手会は中止にしよう」
トリスタンの正体。
出版社に問い合わせてみれば原稿が送られてくるだけで担当者ですら顔を見たことがないと言い、今まで何度か接触を試みたが、SAOサバイバーとして顔出しNGの一点張りで本が出たのも内容の面白さに編集長がやる気になったからだという…………何とも胡散臭い。
アルトリア達はここ暫くなんとか尻尾を掴んでやろうと躍起になっていたが、鳥山の冤罪が証明されて以来事件に進展はみられなかった。アルトリアや円卓の心情としては鎧などで顔を隠し、安全が保証され
だが、見知らぬ誰かに握手会に出てくれと言われて参加するほど円卓は愚かではない。
『握手して下さいッ残念俺でしたー!』
警備体制がザルな握手会で達の悪い
「オレンジギルド主催の握手会は本当に死ぬかと思いましたね……」
「我が王の機転がなければ全滅していました」
「まさか、ジュースに毒が仕込んであったなんて……」
「圏内だと思っていた所が一瞬で圏外になんなるてなぁ」
染々と
……あの頃は我々も若かった。
軍人としてやはり、それなりの地位についていたアグラヴェインが出版社に圧力をかけに電話を繋ぐ中、縁側で茶を飲む円卓達。季節は秋……夕焼けが眩しい。
「……ハァア!?握手会は中止に出来ないだと!フザけるなよ!!」
アグラヴェインの怒号が鼓膜を揺らす
事件は何一つ解決していない。
「ァァッ茅場も、須郷さんも僕を裏切りやがって!何なんだよアイツらは!折角金を掛けて作った電脳ドラッグも須郷さんがデータを消去したから!全部水の泡だ!
クソックソッ!茅場を見返すんじゃなかったのかよ……アンタはこっち側の筈だろう。俺らみたいなクズが今さら表舞台で輝けるなんて、間違ってるよ……なぁ須郷さん
表舞台って言うのはさぁ……美遊ちゃんみたいな、子にお似合いなのに……ハァ、
美遊ちゃん…………本当に…………可愛いなぁ~」
ソレは新アーサー王伝説の表紙をいとおしく撫で、鎖に縛りつけられるアルトリアの写真を――ねっとり舐めた。
「あ、あ、あっッ!……握手会楽しみにしててね」
体を震わせ光の差さないデスクでソレは嗤う。
ヒント:触手 封印 電脳ドラッグ
こいつの性格なら、今の須郷について行かないだろうなって。