俺にとって父上は光だった。
太陽のように明るくて温っかくて、誰よりも守りたいそんな存在だったんだ。
ダンッ
―――仮面が砕け、父上が倒れる。
頭が痛い。
分からない、どうして、何で、撃たれた、何処から、アイツ、笑ってるアイツが撃った、あれ、父上が居ない……父上は死んだ?
あ、ぁア、アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
頭が痛い。
声にならない絶叫が気づけば口から漏れていた。
胃から物が逆流し、朝食べた卵とご飯が胃液と共に吐き出された。
頭が痛い。
「ゴハッ……ぅぇ……殺シテヤル!お前ハ絶対ニ!」
「君はこれで永遠となった!」
張りぼての剣を強く握る。敵はライフルを構えた白衣の男たった一人。
頭が痛い。
ランスロットが飛び出しそれに続くモードレッド。柳井はライフルを構え引き金に指を掛けるが―――ヒュイッ
「ぁぁア!?」「私に銃撃戦を挑もうとは百年早い!――行け!」柳井の顔面に装飾から引きちぎった鎖の束が直撃する、アグラヴェインの仕業だ。柳井はたまらず片手で顔を抑えライフルが肩から落ちる。「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!」ランスロットが高く飛び上がり張りぼてとはいえ鉄パイプと同等の固さを持つ剣が柳井に振り下ろされる。
頭が痛い。
頭が痛い、頭が痛い、痛い、痛い!
必殺の一撃となる筈だった。相手は体格も小さく力の弱そうな研究職の人間と言えど銃を持っている。早めに、勝負を決めるのは正しい判断の筈だ。
“ランスロットが危ない!”
“アイツに近づくな!”
頭の中で何かが叫び続ける。
無視しようにもそれは段々と大きくなり、ランスロットが飛び上がった瞬間、モードレッドは限界を迎えた。
「あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
剣を離しランスロットの両足を掴む。そして、思いっきり地面に叩きつけた。
「グハッ!?モードレッド何をッ」パンッ
ランスロットの声に被さりライフルよりも軽い発砲音が響く。
「…………何で分かった!?」
「「「ッゥ!?」」」
見れば柳井が硝煙の漂う拳銃をランスロットが先程まで居た場所に向けているではないか。
「感謝しろよ、自称色男」
“仲間を失う”自分にとって都合の悪い展開を何となくで感じ取った。『直感』としか言葉に言い表せない頭痛からランスロットを助ける事によって解放されたモードレッド。
その顔は妙に清々しく、一段と戦士らしい顔つきだった。
「モードレッド?」
瞬間、赤い稲妻がモードレッドから迸る――ような幻覚を見たランスロット。
「早いッ」
剣の腕なら円卓一と自負する彼ですら追えない速度でモードレッドは動き「うぉぉぉぉお!!!!」「がぎゅっ!?」張りぼての剣で柳井の腹部を殴り打った。
モードレッドの覚醒?
絶対アルトリアの死(んだと思っている)が原因
柳井はこの後、ボコボコにされました。
このメンバーでイギリス異聞帯編を書いたら面白そうだなって思うこの頃。