「……んっ。あぁ、もう終わったのですか?」
微睡みから覚めたアルトリアはガラス張りのドアを片手で押し上げ、酸素カプセルのような半球体の器械から体をおろした。
「ありがとうすっ、これでバイトは終わりですから口座に今日の給金は振り込んでおくのでお疲れ様した」
「そうですか。お疲れ様でした。」
VRMMO『アンダーワールド』そのゲームのボスキャラである整合騎士とやらと戦闘を行い、武装完全支配術や記憶解放術などFateでいう真名解放した宝具のようなド派手な必殺技を使う時には冷や汗をかいたものの……何かビームが出た。
そのゲームの仕様なのだろうか、ゲーム内で用意された武器が黄金の光を纏って『約束された勝利の剣』……出来てしまった。
何故に?
と疑問に思ったものの、対城宝具は整合騎士達を蹂躙せしめ見事勝利を収めたのは彼女である。
ゲームシナリオに習い整合騎士に勝利するとアドミニストレータという最高司祭という地位に位置付けられたNPCと面会することになり、数事言葉を交わしてゲームは終わり。
エクスカリバーァァァ!!!
……出来たのは謎だったが、今時剣からビームが出る程度珍しくもなんともないだろうと自己完結し、金を受け取って帰路についた。
その翌日、バイト代を使いモードレッドを誘って評判の良い喫茶店を訪れた。
「見てるこっちが胸焼けしそうだぜぇ……」
もきゅもきゅとホールサイズのケーキを頬張るアルトリアは自身を半目に見つめるモードレッドのため息に首を傾げる。
「食べないのですか?」
見ればワンサイズのショートケーキをつついて手が止まる彼女だ。
食欲がないわけではないが、この量でも時間をかけて食べるタイプであるらしい。
同じアルトリア顔なのにここまで胃袋に差があるのは不思議である。
「――そう言えば父上は知ってか?
近々…ALOでソードスキルありの大規模な大会があるらしいぜ」
「もぐもぐ……ごくんっ。
知っていますよ、ユウキ達が参加すると言っていた大会ですね。雌雄を決しようではないかとこの前誘いを受けましたのでエントリーしました」
「げっ!マジかよ!じゃあまだエントリーしてねぇの俺だけじゃねか…」
「おや、その様子だとアグ君達も参加するのですか?」
「あぁ、上位を円卓で固めるのもあれなんで、代表を絞って浮気野郎とアグラヴェイン、ケイが参加するって言ってたな。一応、“始まり”は全員出て良いって話だったけど、ゴリラと鳥野郎は降りるらしいぜ。自分達の戦いは民衆向けの小綺麗な物じゃないとか何とか……父上が出るなら俺も出ようかな」
ぽりぽりと頬を掻くモードレッドは伏し目がちに私の顔を覗き見る。何を躊躇う事があるのだろう?
出たければ出ればいいではないか。
「そのぉ……父上って有名だろ?テレビとか新聞に出てたし顔は隠れてたけどキャメロットのアーサー王って言ったらSAOもALOも同じ訳だし……だからさ、提案なんだけど」
「提案、ですか?」
「ほらっ父上ってアミュスフィアとナーブギア二台持ってんだろ?
ベータ版のアバターは消えた訳じゃねぇし二機目のアバターで……」
ベータ時代のアーサー王になってみたらどうだろうか。
そしてそのアバターで大会に出る。
円卓の規模が大きくなったのはデスゲームと化した後の話だったし、そのアバターなら始まり以外はアルトリアだと分かるまい。
「ほほぅ、つまり仲間内でも全力戦えると」
ニヤリと笑みを深めるアルトリア。
別に戦闘狂ではないが、前々から彼らとは本気で闘ってみたいとは思っていたのだ。
王として臣下に剣を振るうのは躊躇われたし彼らも私に剣を向けるような事はしたくないとpvpは今の今まで始まりとしかやった事がなかった。
だが、別人としてなら……
モードレッドの真意は単に父上の父上が見たいという若干下ネタにも聞こえる欲望の所にあるのだが、実に良い意見だと首を縦に振るう。
「いいでしょう!ナイスアイデアですよ!モードレッド!」
「統一デュエル・トーナメント第一回戦!!!!!
キリトvsアーサーァァァ!!!!!」
…だからと言ってこんな展開は望んでないぞ。
アルトリアのデータから英霊召喚!
アドミニストレータ「最強のサーヴァント達を引き当てた!」
整合騎士「俺たちの立場が……」