「我が王よ!全裸とは何事か!?」
「も~何なのよぉ~私が何したって言うのよ~」
寝室から引きずり出され玉座にてアグラヴェインの小言を煩わしそうに顔を歪めるのは―――『アンダーワールド』人界で頂点に位置するアドミニストレータその人である。
「―――何でしょうね。この胸の蟠りは」
数十年前。
観測次元の人間の1人を虜にし、整合騎士より使える駒を用意しろ……と、アドミニストレータきっての願いからバイトと偽り呼び出され
彼の王の戦闘データや記憶から集めた寸分違わぬ、Fateで云えば英霊と言っても過言ではない円卓の影法師達が誕生した。
そして廃ゲーマー極まり最早人類の限界を超えた先にある領域に登りつけた彼らは加速された世界の中で、他の整合騎士のよう記憶を抑制されているにも関わらず、アルトリアを中心にSAO時代を彷彿とされる狂ったようにレベリングを開始した。
つまり、防衛任務という名のダークテリトリー攻略をおっ始め、「天命を凍結されているから寝る必要はないな!」
……と、たった数年で上位整合騎士達を実力で屈服させる最上位整合騎士なる地位を授かったのである。
しかし、上位整合騎士と最上位整合騎士との力の差はあまりに大きく……現在進行形で開いていく一方であり、人界の防衛任務にも就けず罪人の捕縛任務は滅多に訪れない為、仕事がないから草むしりをし出す上位含め下位の整合騎士の様には流石のアドミニストレータも思うところがあったようで、最上位整合騎士から円卓の騎士と命名を変え、普段は彼女の護衛任務につき滅多な事がない限りダークテリトリー侵略を未来永劫禁忌とすることで事件は一度落ち着いた。
「あの方は王としての品位が微塵も感じられん!」
そう一度は。
アルトリアに絶対的な忠誠を捧げていたアグラヴェインは記憶が封印された今でも円卓の騎士という一つの枠組みにありながら対等である筈のアルトリアを敬うという異次元の忠義ぶりを見せ、また「我が王なら出来たぞ?」と一日中寝てばかりのアドミニストレータに嫌みでしかない進言してくるのだ。
遠征を禁止してしまった為にその頻度は日を逐うごとに増え、フラクトライトの記憶容量が既に限界に達している彼女は余計な記憶が増えていくのを心底ウンザリしていた。
だが、その煩わしさに目を瞑れば、醜く、不快で、達の悪い遊び癖の目立つ、元老長チュデルキンの百倍は役に立つのだから気安く“リセット”しようにも躊躇われる。
だからと言ってこれ以上レベル上げ……管理権限を上げられるのは彼女にとっても望ましくない。
「(どうしようかしら、王様らしくって出来なくはないけど、それが毎日のように起きて雑務に取り組むって……記憶容量の整理も上手くいってないのに……ハァ)」
息苦しい服に全身を包み玉座で息を吐く。
全裸の何がいけないのだろうか?
アドミニストレータの憂鬱は続く。
余談
“始まり”はアルトリアが居なかったらゲームクリアまで第一階層の『始まりの街』から動かなかった連中です。