「第二回戦は、バーサーカーヒールのアスナ!vs円卓の特攻隊長モードレット!
またもや新アーサー王伝説にその名を連ねるビックネームの到来だぁぁぁ!!」
実況の声に共鳴して歓声が跳ね上がる。
「一応確認するが、他人の空似とかじゃねぇよな?」
「貴方こそ、本物……?
なんというか、小さいのだけれど」
両手剣を握るモードレットはアスナの腰ほどまでしか背丈がなかった。
これでは子供、もとい幼女である。流石のアスナもゲームとはいえ幼女に剣を向けるのは気が引けたか若干の及び腰で問い掛ける。
「は、別にどうだっていいだろうが」
「その憎まれ口は本物……?
いや、でもその位の年齢なら反抗期ってことも?」
『カウント5秒前』
確信の得られない中、鞘に手を添えるアスナと両手剣を抜刀するモードレット。
『4』
『3』
『2』
『1』
『――0』
俺はあの男が嫌いだった。
父上の栄光を横から掠め取って我が物顔で英雄を名乗るキリトとか言うクソガキが心底気に食わなかった。
「オゥラ!」
「――くぅ!?」
例えそれが逆恨みなのだとしても、父上があの時見せた顔が忘れられない。
『……そうか、犠牲者が出たのか』
破笑した表情から一変して哀愁に満ちた顔。
父上にそんな顔をさせたのは誰だ。
父上の努力を水の泡にしたのは、自身の命すらさらけ出した信念を汚したのは……あの七十五層の攻略に荷担した、己が目立ちたいなどという薄汚い欲望を持ったアイツら全員だ。
「死に腐れ!」
大降りの一撃をレイピアで受けたアスナは大きくノックバックを受けて大きく後退する。
「この剣筋……やっぱり、貴方はあのモードレッドなのね」
アスナは額から一筋の汗を足らす。
どうして彼女がそのようなアバターを使っているのかは不明だが、かつて戦った時よりも格段に強くなっている。
円卓の爆発力はSAOで嫌と言うほど味わったが、このALOにはレベルの概念がない。
装備の優劣は多少あれど、前よりは食い下がれると思っていたが、やはり円卓の真髄は圧倒的戦闘センス。
SAOに閉じ込められるまで竹刀も握ったこともなかったアスナが一年弱という期間で磨き上げたそれよりも、彼らは総じて天才的な剣の腕を誇る。
勿論、円卓全てがそうであるというわけではないが、ギルドマスターのアルトリアを中心とした7人組は、文字通り格が違う。
トリスタンやベディヴィエールが使う得物は剣でないため、剣の腕が凄いというわけでないが、彼らと同じ武器で戦い打ち負かせるとしたらそれは同じ円卓だけ。
元の才能と、それを磨き上げる時間と心の在り方が根本的に異なる。
「(前のように、隙をつく暇もない)」
アスナは五十層の大会で引き分けた時と同じようにモードレッドの剣の癖から生まれる一瞬の隙を突こうと考えたが、前回より一回りも、二回りも強くなったモードレッドの攻撃を防ぐのに手一杯で、粗探しをする余裕なんてとてもない。
細剣ソードスキル《リニアー》
最も単純な突きに特化したソードスキル。
苦し紛れに放ったそれで少しでも相手が引いてくれればと思ったが、モードレッドは全く怯まずに下から上へとアスナの斬撃の軌跡をずらしてアスナの懐に蹴りをお見舞いした。
「か、こほっ!?」
視界が急速に回転する。
これが現実世界だったのなら確実にあばらの何本かは折れていたのだろう。横目に映るHPバーが僅かに減少し、荒い息を繰り返してアスナは膝をつく。
「勝負あったわね」
会場の客席からそれを眺めていた青髪に肩に弓を掛けた
「どうしてそう思うんだい?
まだ二人のHPは殆ど残ってるよ」
「戦闘技術が違い過ぎるわ。素人目に見たら二人が互角に斬り合っているようにも見えるのだろうけど、実際はチビッ子の方が終始優勢、決めようと思えばいつでも終わらせられる筈」
紫色の髪をした
「へぇ~、僕にはぜんぜん分からないや。シノンさんは凄いね。
あ、ちなみになんだけど、僕があの二人と戦ったらどれぐらい持つかな?」
「…あの
チビッ子は、無理……いえ、頑張れば四割ぐらい削れるんじゃないかしら」
シノンと呼ばれる彼女は、
先ほどの分析に比べてモードレッドとの勝算は随分と自信がなさそうだった。
「へへ、《絶剣》の名も安くないってね!
シノンさんの言うとおりにならないようにもっと頑張らなきゃ!」
彼女はそれを自分の強さをシノンがそれなりに評価してくれているからだと納得して笑顔になる。
自分としてはあの子ぐらいならギリギリ勝てなくもないと思うのだが、自分で言う《マザーズ・ロザリオ》のように、彼女も特殊なオリジナルソードスキルを持っていたらまた話も変わるのだろうと己に言い聞かせた。
「(ミユウと戦うまで僕は誰にも負けられないんだから!)」
ALO最強《絶剣》ユウキは自身を倒し得るかもしれないモードレッドの戦いに集中する。