「空虚の森に避難してから三日が経ちました」
セントラルから持てる限り持ち出した物品の整理を終え、
転々と存在する天幕の一つで、整合騎士と守備軍の代表らは話し合う。
「アドミニストレータ様がお隠れになられている今、我々の代表はアドミニストレータ様の御子息であるカーディナル様であることは事前に皆に通達があったでしょう」
整合騎士団副騎士団長ファナティオ・シンセシス・ツーは集まった人間の顔を見渡し、問題がないと分かると話を続けた。
「現在、僅かな備蓄を崩して民草に食糧を供給し、それでも賄えない分はカーディナル様の御業にて神聖力を食糧へと変換し食糧確保をし行き届かせている現状です。しかし前途にカーディナル様から説明があった通り、ステイシア神様の御加護の届かないこの地表には空間リソースが欠如しています。」
今は薔薇や必要のない物から神聖力へと変換しているが、何れ枯渇してしまうのは目に見えている。
そのことをここにいる全員が分かっているのだろう。
殆どの頭の中に、ならば生かすべき人間とそうでないものを間引くしかないのかという暗い思考が過る。
「……この度、我々が集まったのは『空虚の森』周辺にある人界資源の奪還。余裕がある内に進軍するべきだと我々上位整合騎士が判断したからになりません」
その満を持してファナティオは言った。
どういう訳だか暗黒界の住人はこの地表を知覚出来ないらしい。
希望的観点になるがカーディナル様によればこの空間の周辺にも似たような現象があり、一部の人界を相手側に悟られずに取り戻すことが出きるのではないかという話があった。
「しかし、万が一そのような効果が見られなかった場合、我々はなす術がないのでは?」
不安の声が上がるのも確かだった。
暗黒界の兵士は謎の存在によって超常的な力を得てしまっている。ただの一兵ゴブリンに整合騎士が敗れたのは記憶に新しく、恐らく上位整合騎士ならそのゴブリンも倒せると信じたいが、暗黒界版の整合騎士《暗黒騎士》が更に力をつけていたとすると……数だけが取り柄の、個々で言わせれば『脆弱』とされるゴブリンでそれだ。
どうしようもないのではないかというのが実情である。
「ここに、円卓の騎士が居てくれれば」
ポツリと誰かが言った。
ファナティオも情けないことにその言葉に賛同してしまう。あの暗黒界の軍勢にたった七名で立ち向かい、結果的に全滅こそしたが、見事我々が逃げきるまでの時間を稼いで見せた彼ら。
『人界の未来は貴方達に託しました』
ファナティオは右肩に手をおいた。
「(ガヴェイン師匠、私達にはまだ貴方達が必要でしたよ)」
太陽のように笑う、父のように慕っていた師の温もりはもう感じられない。
あのお方は円卓の騎士でも特別で、ステイシア神様の御加護のある昼間は決して天命の尽きない不死のごとき人であったが、やはり夜中になっても戻らなかったのを見るに死んでしまったのだろう。
自分の神器とガヴェインの神器は相性がよかったことからよく面倒を見て貰ったファナティオからすれば、まさにステイシア神様の化身のようであった彼までも飲み込んでしまった暗黒界の勢力は恐ろしくある。
けれど、彼女には愛する人と守るべき民が残されている。
まだこの恐怖に屈するわけにはいかない。だからどうか、力なき我々を天から見守って下さいと彼女は祈りを捧げた。
それからファナティオ達は何度か議論を重ね、『空虚の森』と同様の効果が及ぶとされる、人界の領土総量の二割を取り戻すことで落ち着いた。
円卓の指導を受けた整合騎士達は原作の数倍強くなっています。当たり前のように連続技にも対応してきますし、アルトリアの記憶から作られた円卓=ほぼ型月英霊と遜色ない円卓の騎士から指導を受けているので下手をすれば宝具を使ってきます。
〈おまけ〉
ユージオ「僕は」
アリス「私は」
「「戦う(たい)」」