アルトリア・オンライン   作:ら・ま・ミュウ

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ユージオォォォ!!!

ALO最大規模の大会『統一デュエル・トーナメント』は全三日に分けて開催される。

私やモードレッドは初日だったが、幼馴染のユウキや他の円卓ギルドメンバーは翌日からになるらしい。

 

「今日はもう予定もないですし、ログアウトしますか」

 

済ますべき用事も終わったことだし、道場で体を動かそうかとログアウト画面を開く。

 

「――おーい、アルトリアさんちょっといいかな!」

 

そんな私を呼び掛ける声がして、顔を上げれば『月夜の黒猫団』団長のキリトさんが此方を向いて手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

「成る程、キリトさんも『アンダーワールド』の試作プレイのバイトを為さるのですね」

 

「ああ、割が良いいし『レクト』って言ったらやっぱVRMMOの総本山じゃないか。

……まだ先の話なんだけど将来はあそこに就職することも考えてて、ちょうどいい機会かなーと思ってさ」

 

「うん。いいと思いますよ」

 

どうやらキリトはアルトリアでいう須郷伸之ようにレクト側に知り合いがいるようで、その人の提案で以前アルトリアが受けた新作VRMMO『アンダーワールド』の試作プレイのバイトをするらしい。

 

あのバイトは学生からすれば瞠目するような高額報酬である割に、好きにプレイさせられ、最後にプレイヤーからの動作確認を得るだけなので危険はない。

四、六時間ほどぶっ続けでログインせねばならないという普通の感性の人からすれば少し苦痛に感じるものもあるかもしれないが、我々SAOサバイバーからすれば一日の四分の一程度、レベリングに集中していればあっという間に過ぎてしまう。

 

それに『アンダーワールド』は今までのVRMMOとは何かが違う。

言葉に上手く表せないのはもどかしいが、キリトがVRMMO関係の仕事を目指すなら、その未知を一足先に味わっておくのは悪くない。

 

「ですが、何故私などに相談を?

こう言ってはなんですが我々が肩を並べた時などフロアボス戦などでしかなかったでしょう」

 

最後まで聞いておいてなんだが何故自分がそんな話をされているの分からない。

SAO時代では互いに認知こそしていたが殆ど会話を交えたこともなく、強いていえば結成まもなき黒猫団を偶然救ったことがある程度。

 

「はは、実をいうと俺も偶然声をかけただけなんだ。

あの時のお礼も出来なかったし、今日はその……君の要望に答えることが出来なかったから」

 

あの時とはトラップ部屋のことだろう。

要望とは……二刀流のことだろうか?

SAOでは珍しい剣使いもいるものだと興味を引かれていて、今回見れるものなら見てみたいと思っていたが、彼は片手剣だけの装備で表れ、結局最後までもう一本の剣を使うことはなかった。

 

アルトリアのオリジナルソードスキル《秘技・燕返し》

 

所詮猿真似に等しく本物には遠く及ばないこれは二刀流なら恐らくは耐えきれたのだと思う。だからこそ、アルトリアは少し残念に思う気持ちもあった。

 

キリトも一ゲーマーとして舐めプを噛まし、相手に不快な思いをさせて更に敗北するというのは後味の悪い話だった。

 

だから、今すぐ再戦を――と、それは流石に無礼な話だろう。

 

「フレンド登録をしてくれないか?」

 

「それぐらいなら請われるまでもありません」

 

キリトとアルトリアのフレンド欄に互いの名前が加わった。

 

「変に話に付き合わせてしまって申し訳ない。今度何かしらで埋め合わせはさせてもらうよ」

 

「それは楽しみですね。

私はかなりの頻度でレクトに訪れているので、もしバイトの時に見掛けたら声をかけて下さい。珈琲ぐらいなら奢りますから」

 

「こりゃ参ったな。埋め合わせするどころか年下の君に奢らせるようじゃ俺の立場がない」

 

ポリポリと頭の裏を掻くキリトに、レクト内にあるレストランならタダで利用出来るのですよとアルトリアは笑いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………あれ?

 

…キリト君!……誰………車!

 

 

……………で! …………………キリッ…

 

 

……あ………………………………………大……………

 

 

……あ、そうだ思い出した。

 

 

それから俺はアスナ達とエギルの喫茶店に出掛けて、帰り道でラフィン・コフィンの残党に襲われたんだ。

何とかサチとアスナは守ったけど、肩に打ち込まれた薬品のせいか、酷く意識が混濁とする。

 

不味いな、埋め合わせをするって約束したのに。

 

アルトリアは俺の大切な人達を助けて貰った返しきれない恩が沢山ある。

やっと、これから返していけると思ったけど……どうやらそれは難しいらしい。

 

 

ピーポー、ピーポーとサイレンの音がする。

サチ達が呼んでくれたのか……かすれる意識の中、手を伸ばしたキリトは誰かが握り返してくれた温もりに頬を緩めて、そして…………

 

 

 

「君は誰だい?」

 

朗らかな太陽の下で鮮やかに咲き誇る花畑。

そこで俺は小麦色の髪をした青年と向き合っていた。

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