2、1…………0
『スタート!!!!』
応援席の何処かから実況役の声が響き渡る。アルトリアとヒースクリフはその言葉が終わる瞬間にはぶつかり合っていた。
「シイッ!」
「ほうっ」
カリバーンの重い一撃。もしかしたらレベル差によるゴリ押しで盾を弾き飛ばせるなんて、この男は甘くない。
「これは80、いや90はレベルを上げていたか」
一歩下がると目線ギリギリまで剣の軌跡が描かれる。避けなかったらこれで終わりだったかもしれない。
「…………ふぅ」
ヒースクリフ。改めて思うと厄介な相手だ。レベル差も剣士としての技術もこちらが上の筈なのに、私が嫌がる戦法を確実にとってくる。
あの男の強みは剣の腕でも武器の優劣でもない…場の支配力。剣を交える戦場において知略のみで奴は強者になったのだ。
「あぁ、本当に嫌になる」
それは正に超一流の戦士の一角なのだろう。
リアルの師匠に「剣の腕は一流だが超一流ではない。万能のキミは、ある程度の物事をそつなく凡人以上に成し得てしまうが、決して一流以上の超一流に勝ることはない。金メダルと銀メダルのような物だ。そこを勘違いしてはいけないよ?」耳にタコが出来るほど聞かされた言葉が脳裏を過る。
一度目は奇跡、二度目は敗北
そうなる事が必然なのに、諦めきれないとは。
「アーサー王!」
「頑張れー!」
「負けるなー!」
ケイ「負けたら休みは無しだ!」
モードレッド「カンストするまで付き合って貰うからな!」
くそっ!負けてたまるか!(涙目)
数度斬り合い、お互いの呼吸も読めてきた頃
空気が変わった。
アルトリアの瞳に暗い物が落ち、剣を握るもう片方の手で髪に手を伸ばす。
「させるか!」
エクストラスキル『アホ毛“脱”』の発動を見抜いたヒースクリフはソードスキルを発動させ突進によるキャンセルを試みる。
これは茅場もアルトリア本人も知らない事だが『アホ毛“脱”』は急揃えのエクストラスキルである為かバグが発生し、本来の意味を離れカーディナルの補助を受けられるようになっている。
ヒースクリフのこの判断は正解だった。アホ毛“脱”のアルトリアは彼の※※すら突破しHPを全損しうる可能性を秘めていたのだ。
「……そう、来ると思っていた」
だが、ヒースクリフはここで致命的なミスを犯す。
突進系のソードスキルは(化け物クラスでは)避けやすく隙が大きいのだ。
ヒースクリフはアルトリアを通り過ぎた瞬間その言葉を耳にする
「
…………
……
背中に赤いドットを散らすヒースクリフは「やはり、君には勝てない」そう呟く。そしてHPが
WINNER Arutoria
『勝者騎士王アルトリアァァ!!!!』
オォォォォ!!!!
「やはり、君には勝てない」
ヒースクリフさんは負ける事が分かっていたのでしょうね。
HPが半分切った所を見たことない人からレッドになった所を見たことない人へ進化