我が王はヒースクリフに勝利なされた。
それは円卓の騎士の評価を上げる一方で血盟騎士団の名に傷を付ける事になる。経験談から言って今回の試合後、血盟騎士団のギルドメンバーのうち何名かは円卓の騎士に流れてくる筈だ。
中規模ギルドの血盟騎士団からすればかなりの痛手。あの娘はまた近いうちに抗議にくるだろう。
「だからどうした。我が王こそが全て。それ以外の光など」
「アグラヴェイン卿?」
「…………何でもない。王を迎えにいくぞ」
「「ハッ」」
『私は誰一人円卓を欠かすことなくこのゲームをクリアする。アグラヴェイン、お前は円卓になくてはならない存在だ。再び私の剣となれ』
あの日から一年。求められなければ、はじまりの街から動く事のなかった天才軍師が味方である攻略組すら蹴り落とす冷血非道な――
「アーサー王をイメージした特製パフェ限定20個早い者勝ちだ!」
「…………おい、金を渡すから食べる用、鑑賞用、保管用、布教用、4つ買ってこい」
「は?」
円卓一のアルトリアガチ勢であることを知る者は少ない。
「ハァ……ハァ……何とか勝てた」
『爆弾押すと見せかけてお前を殺す!』アルトリアの師匠が、超一流の相手に勝つために教えてくれた秘奥義の一つである。
一度、アホ毛“脱”の恐ろしさをヒースクリフに見せた事があり、『筋力・敏捷力』の50アップ。ソードスキル撃ち放題のこれのヤバさを知っている彼なら絶対に止めにくるだろうと避ける事だけに全神経を集中させていた甲斐があった。
ヒースクリフが止めに来なかったら、アホ毛“脱”を発動させることが出来ても効果時間が切れるまで盾で守り通され、約十秒の硬直時間中にやられていた可能性が充分あり得たので本当に危なかったが、何とか今回も勝ち星を拾えた。
「父上!さっすがだぜ!」
そう言えば、モードレッドとアスナさんとの対決は引き分けだったそうですが、閃光の名は馬鹿に出来ませんね……最低でも二十はレベルが離れていた筈のモードレッド相手に引き分けに持ち込むなんて私からしたら、裸でレッドギルドに飛び込むような物です。
唯一円卓から黒星を上げた月夜の黒猫団のキリトさんと初期の頃仲良くしていたそうですが、デスゲームが始まるまで一般人だった彼らに何が起きれば中高で剣道部だったらしい(大会で優勝したこともあるぞ☆)ランスロットに、釘バットを装備しないと殺されるような世紀末高校へ通っていたと噂の(オレの島荒らす奴は殺す!)モードレッド相手に張り合えるんでしょう?
育ちの良さそうな顔して彼らも、リアルじゃゴリゴリのスポーツマンか喧嘩に明け暮れる学生なのでしょうか?
「私なんか、ただ習ってるだけで大会出たことないし……リアルだとボコボコにされるんだろうな~」
打ち明げとかしたらモードレッド辺りにしごかれないかな?
少しだけゲームクリアした後の事が怖くなったアルトリアであった。
【円卓の騎士】ギルドメンバー
アグラヴェイン…円卓一のアルトリア信者。現役軍人。根は真面目で指揮官としての腕は一級品である。
本人曰く、アルトリアの勧誘がなければ始まりの街から動かなかったそう。
「やぁマーリン先輩だ!今回は次回予告ではなく彼女の名誉の為に参上したぞ!……と言っても彼女は滅茶苦茶強いぐらいしか言うことがないのだがハハッ!私の言う超一流がオリンピックとかそう言う次元ではなく“英雄”そう呼ばれる次元の中での話だと思ってくれているだけで今は構わない。」