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「ううん…………ここは?」
「時空と時空のはざまだよパワプロ君」
「闇野!それに…………
「どうしてって君ねぇ…………」
ここまでのあらすじ、恵比留高校の暗躍に各校で有名な高校選手たちが次々にスランプを起こし始めた。暗躍に気が付いた円卓高校の野球部は被害にあっていない高校から事情を話し引き抜いた。パワプロと逆巻もその一員であり、数々の困難を乗り切り甲子園決勝で恵比留高校と対峙した。
だが決勝戦が始まる前日、逆巻はある告白をしていた。自分は闇野、『――』の親友だったと。このことを知っていたのはキャプテンの阿麻と黒聖良と途中参入した赤原だけで新たな裏切りかと大いに不信感が持たれてしまう。
しかし逆巻は闇野との関係、闇野が行っている時間逆行の秘密と闇野との衝突で自分も闇野が時間逆行をするたびに同じく時間逆行して様々な学校へ転々と回っていたこと、そして今こそ決着をつける時と先発を赤原と秘密裏に調整していたことを明かした。
彼の確固たる意志と阿麻の後押しによってみんなから改めて受け入れてもらい、彼らは恵比留相手に戦い抜き勝利した。
闇野の悪あがきにも事前に阻止され闇野を捕らえるだけという時に闇野のヘルメットが暴走、御厨をかばったパワプロと逆巻が巻き込まれてしまった。
「ふん、巻き込まれるとは運がなかったな」
「あはは…………」
「しかしどうするんだ?向こうに戻ってから色々やらなきゃいけないぞ」
「…………お前は何を言っている?」
「いや、ここから脱出した後の話だけど」
「俺はあれだけのことをしたのに許そうというのか?正気か?」
逆巻の発現に闇野は困惑した。自分のしてきた所業は決して許されるものではないのにこの二人は許そうというのか?
「なあ『――』、色々あったけどさ、御厨みたいにやりなおせるさ」
「…………おい、その名は」
「やっぱり忘れてたか。まあ無理もないよね、何千何万も繰り返してたら忘れちゃうよね」
「こいつめ、俺が許されるとでも思ってるのか?」
「勿論だとも、そのために俺はお前と共に繰り返してきた」
そう言って逆巻は、いや、逆巻とパワプロは闇野に手を伸ばした。
だが彼等には大きな問題を残していた。そう、帰る手段がないのである!
闇野の持つエビルキャップで来たのは良いが、暴走したエビルキャップはこのように時空のはざまにいる限り脱出できるのは一人だけ。そのことをエビルキャップを使用し一番に理解している闇野が語る。
「そんな!いや、ほかになにか方法があるはずだ」
うんうんと唸るパワプロに苦笑しつつ逆巻と闇野はなんてことないように告げる。
「パワプロ、悪いけど脱出するのは君だ」
「ああ、俺が罪を償うというならお前がここから脱出するのが一番だろう」
「えっ、何を言ってるんだ!絶対みんなで…………」
「俺達はズルして強くなってたからね、これ以上は野暮ってもんでしょ。それに永遠に続く高校三年間も飽きてきたことだし」
「なら!」
「つべこべ言わずに行ってこい!ほら『――』やっちゃって!」
「ああ、分かった」
合図と共に闇野がエビルキャップを発動、パワプロの姿が徐々に光の中へと消えていく。その光景にパワプロは二人との永遠の別れを予感した。
「待ってくれ!闇野!逆巻!」
「向こうに帰ったらみんなにごめんって伝えといてくれる?甲子園優勝の最後までいられなくてってさ」
「逆巻ぃーーーーーー!」
パワプロは最後に、共に戦った仲間と宿敵が昔からいる友人のように並んで見送っている姿を見た。その時に彼は何を思ったのだろうか、逆巻はそんなことを考えて光の中へ消えていったパワプロを見送った。
「よかったのか?お前もアレで帰ることもできたはずだ」
「いやー、だって君昔から寂しがり屋でしょ?こんなところで独りぼっちは寂しいと思うんだ」
「…………そうか、お前はそいう奴だった」
「思い出してくれたか?」
「思い出すも何もお前のような奴を忘れてたまるか」
「「…………ふふっ、アッハッハッハ!」」
何十年、何百年、何千年の時を重ねようやく二人の時が再び交わった。今は絶望的な状況でも彼らの心には親友と共にあるという心の余裕がある。
脱出もしばらく後でもいいだろうと逆巻は楽観視していた。
少なくとも、闇野は、『――』はそう思っていなかったことに逆巻が気づくことはなかった。
「逆巻、さっきはエビルキャップの全ての力を解き放ってパワプロを追い出したが、実はまだエネルギー源がある」
「マジで?じゃあ何とかなるじゃ…………待って、魂をエネルギーとするソレにエネルギー源?君、まさか」
「さすがは親友といったところだ。そのまさかだ」
もはや用済みとなったと思っていたエビルキャップが、ソレを抱えていた闇野と共に輝き始める。
魂は今ここにあるのだ。それも数多の魂を啜ったエビルキャップ好みの邪悪で肥大化した魂がここに一つるのに気づいていなかったのは逆巻のみだった。
「ここまで堕ちた俺を倒すのではなく救いにきたという馬鹿はそうそういない」
「やめろ!そんな事したら君が消えてしまう!」
「…………もういいんだ。お前が生きていてくれたら、それだけで俺が生きた証を残せるのなら喜んで魂を投げだそう」
「よせっ!『――』ーーーー!」
いくら手を伸ばそうとその先にいるのは満足そうに微笑む『――』のみ。その笑顔を見て彼が何を思ったのかを悟り、光の中に飲み込まれていく。
気が付くとそこは
「あの…………馬鹿野郎め」
すべてが終わったことを受け入れるのにベッドで数十分はかかり動けなかった。
しかし、持ち直しがいいのは彼の長所である。伊達に時間逆行の回数をこなしていないのだ。時間逆行がいつもと微妙に違うせいか戻る時間も微妙に違っており、丁度甲子園の中継がしている時間だった。
だからだろう、無意識に甲子園をテレビ中継で見ようとしたのは球児として当然だった。
しかし、そこに映っていたのは
「……………………あっれ?」
女性ばかりの甲子園で
「…………あっれれ?」
周りにちょうどあった雑誌を見ても女性ばかりで
「え、ちょ、もしかして」
割と気にっていて定期的に買っていた漫画の主人公も女性になっていて
「世界…………間違えた?」
時間逆行し終えた超人球児、男女比を間違えているのではないかという世界に来てしまう。