天空中央高校野球部、実力はあるものの高頻度で甲子園に出場できないという事が多い高校と言われているが、いざ甲子園に行くと必ずと言っていいほど決勝に現れるという侮ることが一切できない高校だ。
侮られていないからこそ甲子園に出場できない非は彼女らにないのではという声も上がる。割とそう思われている。
しかし『それはそれ、これはこれ』という言葉があるように対策されたから負けたという言い訳は通用しない。対策されたた上で超えてこそ勝たなければならないのだ。
それだけならよかったのだが…………
「さぁ、見ていてくれ天使たち!僕たちの華麗なる勝利を!」
『『『頑張れマコトさーん!』』』
女性がなかなかモテない世界でモテてると言う光景を見せつけられて相手にイラつきと嫉妬で潰してやろうという気持ちを沸かせると言う行為で余計に強敵を作っていた。
虹谷誠を筆頭にモテる女子らが絶対数の少ない男子を侍らせ現れるのを誰が白い目で見るなというのか。
いや、一人だけいた。
「やっぱりああなのか…………」
「…………逆巻くんはあんなのに引っかかっちゃだめだよ」
「割と本当に近寄りたくない」
逆巻が今まで見てきた虹谷誠と変わらぬモノが目の前にいるのに対してどこか懐かしさを感じている。その生態には一切触れていないが、懐かしそうな眼をしている。
今回みたま高校と天空中央高校は練習試合という事で集まっており、強豪同士の戦いとして注目を集めている。
ただ強豪の戦いだけではない、一年生のデビューとして最も注目高い試合を期待されているのだ。
最も、中学生から有名になっている少女達を見にいているのであって噂程度でしかない上にベンチで座っている逆巻のことなどただの盛り上げ役としか思われていない。
事実、彼がいるベンチは情けない姿を見せまいとエリートとしてのプライドとあわよくばアピールしようとする下心が見えていた。
残念ながら恋色沙汰は逆巻には関係ない、そういうのはパワプロの仕事だ。天空中央高校での出来事?そんなのはない、六股とか言う訳分からないことをしでかしやがった歴史なんてないったらないのだ!
「逆巻さん!壁に頭を打ち付けないでください!価値が!」
「いや、こんなのに価値はないだろ蛇島さん」
「うわあ!いきなり落ち着かないでください!」
「あと価値がないとか言わないの。ほら、さっさと座る!」
突然の奇行をする黒一点をなだめつつ、
試合という緊張と相手の挑発ともいえるパフォーマンスに殺気立っていたが誰かさんの奇行のおかげである程度冷静になったようだ。
入部してからそこまで経っていないはずなのにキャプテンとは種類の違う『精神的支柱』のような位置に彼がいるからこそ…………突如壁に頭を打ち付ける人物が『精神的支柱』になっているのかという疑問は置いといて良い方向に持っていけているのは間違いない。
それだけで場の空気を変えられるとは思えない。
今まで無名という割に目立つ活動もなく、いくら調べても野球に優れていたという話どころかスポーツに優れていたという事もない。それどころか中学生のころから一人暮らしという正気を疑う生活を送っていた。
男が一人でいると襲われかねないこのご時世に事件に巻き込まれたという話もなく奇跡的に貞操も守り切っている点から存在感がないのかと考えていた。
その割には気さくで他人に接することが多いため地味だったから無事という仮説は否定される。
さらに付け加えて御厨を避けている節があるためますます謎に包まれるこの男。それでも調べる時間はまだまだあるが…………
冷静になった逆巻はベンチで集まる選手らの端っこに行きみんなで気合を入れるふりをした。
「よし、侮ってはいけない相手だ完膚なきまで叩き潰すぞ!」
『『『おおっ!』』』
何故なら彼女たちから殺意が漏れていたからだ。流石にここまで露骨だとのマネージャーでさえ引いている。割と見慣れた光景?そんなことはない、抑圧されている彼女たちの本性は教室など公共の場で。
ハーレムの力か、黒一点を崇める者たちか。伝説の物語の始まりと旅路の終焉がここから始まるとはだれも知らない。
みたま高校対天空中央高校、開幕。
次回の試合の内容は大きくカットさせていただきます。理由として主人公の出番がないからです。