闇野の友人、あべこべ世界に飛ばされるってよ   作:蓮太郎

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 エタってたんじゃないです、死ぬほど忙しいんです(言い訳&絶不調)。



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 2-1、この数字は八回表が終わった時点での成績である。

 

 お互いの投手の能力が良かっただけあって思うように打席が回らず僅かな点差しか開いていないのだ。

 

 天空中央高校のエースである虹谷誠という投手は球速『125km』と高校球児でも上位に食い込む速度のストレートに加えてキレのある変化球で圧倒し、みたま高校のエースの青葉春人は魔球改と呼ばれる変化球で数々の打者を仕留めていった。

 

 しかし、一つの要素が一点の差を広げた。そう、スタミナである。

 

 ここまでほぼ一人で投げてきたために元々高くないスタミナがここに来て尽きてしまったのだ。その影響が出始めたのは六回表から、それまでヒットはあるも得点圏までにはもっていかせなかった彼女のコントロールが悪くなり始め、甘くなってしまった球を打たれて一点。そして七回表ですっぽ抜けたボールを撃ち込まれてしまい一点が入ってしまったのだ。

 

 ランナーがいなかったことだけが幸いだった。序盤で一点を取っていたみたま高校も虹谷から決定的な一打を出せず、ずるずるとここまで引っ張ってしまったのだ。

 

「流石に限界ですか。青葉さん、引き際を誤ってしまい申し訳ないです」

 

「監督…………いえ、俺が抑えきれなかったばっかりに」

 

「いえ、貴女はよく頑張りました。あとは早川さんに任せましょう」

 

 早川あおい、割と窮地での交代が確定した。ベンチから相手を観察しても全部は分からない。

 

「さっきの打席、俺が最後でよかった。早川、さっき俺が投げた感じだと…………」

 

「打者の立ち位置でよく売ってきたのはインコースだったよ。あ、ごめんなさい私の打順回ってきそう」

 

「わかった、ぶちかましてこい」

 

 それでもマウンドで立っていた先輩がいる。彼女たちの情報から最終回でどのように抑えていくかを考えていく。

 

 時間はさほどない、それでもやらなければいけないのだ。たかが練習試合とはいえデビュー戦、いつかは立つことになると分かっていても緊張が伴ってしまう。

 

 だからだろう。

 

 

 カッキーン!

 

 

 最終回で最悪の出だしとなってしまったのは。

 

 肝心なところで連打を叩き込まれて得点追加、5-1と点差を広げられてしまった。

 

 誰もここまであっさりと追い込まれてしまうとは思わなかっただろう。逆巻だって彼女がここまで炎上するなんて思いもしなかった。

 

 ふと、逆巻は『やきゅうのまもの』と言いう単語が脳裏によぎった。何回もループしていると力を抜いていてもなんとなく勝てる試合も分かってくるのだ。全員が全員でないにしろ優秀なチームメイトがいるから信頼という意味での自信なのだ。

 

 それでもふとした時に一気に炎上して気づけば大敗なんてことはまれにあった。

 

 『ーー』率いる恵比留高校も地区大会程度であっさり敗退してしまう事もあったので運が非常に悪いと起きる現象だろうと考えていた。

 

 それが今、目の前で起きてとてもいたたまれない。何度も経験しているからわかるが大炎上したときのマウンドほど居づらい場所はない。

 

 これ、終わった後に大泣きしないかどうかが心配だ。逆巻の記憶の中では恋々高校で大敗を喫してしまった際には悔しさで…………という記憶があった。

 

 このままでは終わらないと願ってはいたが、虚しくそのまま巻き返すことができずゲームセット。非常に残念ながら試合は終わってしまった。

 

 こうもあっさりと終わってしまうのも、また野球。

 

 今回は出場していないため下手な励ましはできないが、数多のループを繰り返した逆巻にはフォローの仕方が神がかっている。たとえるなら選択肢二つから三つに絞ることができるくらいには。この特技を得るのに犠牲になったループは数を知れない。

 

「お疲れ様です。はい、みんなのタオル」

 

 マネージャーよりも率先してタオルを全員に渡しに来た俺にきょとんとした表情で見つめてくる。

 

「今日は負けた。大敗だ」

 

 その言い方に試合に出ていた者たちはむっとした表示になる。無理もない、最終回で失点を重ねたあおいのせいと言いがかりをつけたいところだが、流石にそれはできない。当の本人は顔を下に向けて表情は見えないが、落ち込んでいるのは間違いない。

 

 試合にすら出ていないの奴に何がわかると文句を言いたかった。

 

「地区大会じゃあ間違いなく当たるね。だから、次は勝てる。叩き潰せる。できるでしょ?」

 

 なぜかいつもより軽い感じで彼は言った。練習試合とはいえ負けは負け、負けとはいえ練習試合なのだ。

 

 次がある、という言葉は彼女たちには麻薬に等しかった。もしかしたら運が悪かっただけと勘違いしてしまう可能性は否めないが少しでも顔を上げてくれるのなら問題ない。

 

 逆巻にとってもここで落ち込まれて次に悪影響が出た場合、地区大会で早々に負けて経験点を稼げない可能性をつぶしておきたかったのだ。

 

「っしゃあ!帰ったら反省会だ!今日は消灯時間までとことんやるぞ!」

 

 それに乗っかって青葉が暑苦しい副キャプテン(実際この世界では女性なのに暑苦しさが増している)が声を上げる。

 

 地区大会だってあっという間に来てしまう。ここで小さいことを引きずってはいけない、立ち直らねばと葵も顔を上げる。その顔は少し目元が赤かったが涙はもう流れていなかった。

 

 

 

  天空中央高校と練習試合を行った!

  筋力ポイントが10上がった。

  敏捷ポイントが10上がった。

  変化ポイントが10上がった。

  技術ポイントが10上がった。

  精神ポイントが10上がった。

 

 

「むむむ、なんだか向こうのベンチに男子マネージャーがいないかい?」

 

「ふむ……………僕の見間違いじゃなければいるね」

 

「なんだ、この勝ったのに感じる敗北感は……………しかし、崩せたのはあの時だけか」

 

「何かが足りないんだ。モチベーションを上げる何かが!このままでは気を抜いたら負けてしまうかもしれない」

 

「らしくないな虹谷、とりあえず帰ったらナンパと反省会でもするか?」

 

「ナンパだけで時間が無くなりそうだけど、いいね」

 

 天空中央高校の三馬鹿は今日も男あさりに励むのであった。

 

 

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