プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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即刻キャル虐は中止せよ!繰り返すキャル虐は中止せよ!


覇瞳の皇帝

 

 

 

「ん…んん…?」

 

あれ…あたし…なんで眠ってるんだっけ?

 

硬くて冷たい地面…地面というよりは…床…いつも見慣れた小綺麗な大理石でできた床…って…!?

 

「どうしてあたし『王宮』にいるのよ!?さっきまであの牧場の森の中にいたわよね!?」

 

おかしい…それはおかしな事だわ…!

 

「あれ、黎斗…!?あんたもここに…って気絶してる…?」

 

黎斗は倒れたまま身動き一つしない…もしかして死んじゃってたり…

 

「ちょっと起きてよ、黎斗、ねぇったら…!」

 

あたしは慌てて黎斗を揺するけど反応はない…どうしよう…!あたしのせいで…!!

 

「あんまり揺すっちゃダメよ、命に別状はないけど彼は今、軽いショック状態だから…空間転移に耐えられずに失神しちゃったのね」

「ヒッ…っ!?へ、陛下…っ」

 

あたしは思わずそんな声が出てた。この声…優しい感じがするけどそんなことは一切ない、冷徹であたしを…見ていない聴き慣れた声。

 

「やぁね、この子ったら…ヒッとか言っちゃって…まるで化け物を見たかのような反応じゃない、傷ついちゃうわ〜うふふ…♪」

 

ああ、この目だ…目の奥が笑ってないこの感じ…自然とあたしの体は震えてしまう。

 

「あなたには結構良くしていたつもりなんだけどね…あと『陛下』なんて他人行儀な呼び方はやめてよ、家族でしょう?」

「も、ももも、申し訳ございません!えと…ゆ、ユースティアナ…さま…!」

「『さま』も余計なんだけどね…まぁいいわ、今日の私はご機嫌だから、何せ、まとめて目障りな連中を始末できそうなんだもの、ふふ、お掃除をすると気分がスッキリするわよね?それと同じ感覚だわ」

 

…陛下の例えは凄く…怖い。

 

「とはいえ、私、その子を連れてくるように命じてたわよね?なのにあなた…逆に助けられちゃってるじゃない」

「そ、それは…」

「良いわ、言い訳は聞きたくないし、そんなあなたがあんまり待たせるもんだから待ちくたびれちゃって直接呼び出しちゃったって訳」

 

呼び出した…って

 

「そんな…あたしと黎斗をあそこから…あんな山奥からここまで一瞬で移動させたっていうんですか!?そんなの魔法でだってあり得ない!!」

「あり得なくないわよ、キャルったら私を誰だと思っているの?」

 

ゴクリ…陛下のただならぬ雰囲気にあたしは喉を鳴らす。正直、怖い…ずっと震えが止まらない。

 

「まぁいいわ、キャルにも分かりやすく説明してあげる、『転送ゲート』っていうものがあってね、訳あって封印して一般人には滅多に使わせない代物があるのよ、それの魔術回路に介入して活用したって訳、無駄に魔力を消費しちゃったから少し頭にきているのだけれど」

 

…陛下は魔力を使わせたのはあたしの責任だと思っている、だからこうやって言ってるんだ。

 

「感謝してよ、キャル、あのままあの場所に留まってたら『巻き添え』でお陀仏になってたんだから、まぁそれはそれで良いけどね」

 

…?どういう意味かしら…

 

「…あ、あの…その、黎斗に何か用があったんですか?陛下に命じられてずっと監視をしていましたけど…確かに!なんか…変なやつですけど…その…」

「良い人、とでも言いたい訳?随分と仲良くなったわね〜あなた、それとも彼に惚れちゃった?」

「なっ///なにをおっしゃって…///」

 

か、顔が熱い…!な、なんでよ…!?確かにこいつは良いやつだけどあたしは…っ!!!

 

「それに『美食殿』だっけ?妙なギルドにも入っちゃってさ?」

「そ、それは潜入工作です、仲間になれば油断させられるかなって」

「うん、わかってるわよ、かわいいキャル、私のキャル…♪」

 

ゾクっとあたしの背筋に悪寒が走る。陛下が笑顔の時はいつも何か得体の知れない恐怖があたしの体を包む。

 

「言ったでしょ?あなたは私の一部みたいなものなの、あなたの気持ちなんか手に取るように分かるわ」

 

そう言って陛下は笑顔のままあたしを見る。

 

「ねぇ、お友達が欲しかったの?ううん、愛されたかったのかしら?分かるわ〜ひとりぼっちは寂しいもんね」

 

でもね、と区切り陛下の笑顔は消えた。

 

「キャル、神さまに友達も恋人もいらないのよ」

 

その言葉は今まで以上に冷たかった。全身に氷を引っ付けられたみたいにあたしの体は冷えていく感覚に陥る、さっきまで馬鹿みたいに震えてた体が一瞬でピタリと止まる。

 

怖すぎると人の体の震えは止まっちゃうんだ…

 

「たったひとりで完結し、万物を支配する。それが私たちの在り方よ、あなたは私の一部の筈なのにそんなことも弁えていないのかしらねぇ?」

 

次の瞬間だった、一瞬、陛下の指先が光り輝いたと思ったらあたしの体に雷撃が迸る。

 

緑色に発光した、魔力で形成された電撃はあたしの全身をくまなく駆け巡り神経を撫でていく。

 

「あぐっ!?あがぁっ!?!?」

 

まともな声が出なかった、息が苦しい、二つの足でしっかりと立っていることもできない。

 

その場で倒れ、何とか四つん這いの体勢で踏ん張りをきかす、意識が途切れそうだけど途切れない、陛下がそうやって調整してるってすぐに分かった。

 

「あーあ、失敗だったわ、やっぱりこの世界線だと『未来予知』も全然信用ならないし…」

 

陛下は欠伸をしながらもあたしへの電撃をやめない。

 

「勘違いしないでよね、これはお仕置きですらない、あなたは何も悪くないの、私の命令をなに一つ達成できず、醜態を晒し続けてたけれど、それはあなたの責任じゃないわ」

「あぐっ…!!!うぁぁっ!!!くぅぅぅっ!!?!?」

 

陛下の言葉が全然入ってこない、痛い、体が痛い、血液が沸騰してるんじゃないかってくらい熱くて痛くて苦しくて……流れる涙は電撃ですぐに蒸発して消える。

 

「かわいいキャル、良い子のキャル…私が甘かったのよね、あなたの事を人間扱いし過ぎていたわ、あなたは単なる道具なのに」

 

…道具…?そこだけは何故かハッキリ聞こえた。

 

「『プリンセスナイト』の力は強大すぎるしあなたの肉体が耐えられないと思って、ちょっとずつ慣らしながら与えてきたけど、結果としてあなたは魔物を制御できず、役目を果たせなかった」

「あうっ!?!?」

 

電撃の威力が更に増していく。どうして意識が保ってられるのか不思議なくらい…早く意識が飛んで欲しいって心の底から願った。

 

決して血が出る様な事はない、決して内臓が飛び出すような事はない、決して皮膚が焼け爛れる事はない、けれどその電撃は確かにあたしの体を蝕んでいた。

 

「それでも、ちょっとずつ経験を積んでいけばいつか成果をあげるって期待してたけど、なんかもうめんどくさくなっちゃったしそんな時間もないしね、だから今、『プリンセスナイト』の力を全部与えるわ」

 

陛下の言葉は本当に退屈そうで、本当にどうでも良さそうで、本当につまらなそうに…

 

「まぁ、これであなたが壊れちゃってもまた作れば良いんだもんね、トライアンドエラーは繰り返すのが成功の秘訣よ、『次のキャル』はもっと使える良い子かも知れないし?」

「な、なんで…?どうしてこんな…酷いっ!!やめ…やめてぇぇぇえぇぇ!!!!」

 

あたしは激しい痛みとその心の無い言葉に思わず叫ばずにいられなかった。

 

誰か…誰か助けて……あたしを…誰か…………

 

 

 

 

「…あら…?」

 

陛下の…そんな声が聞こえた…あ…あ…れ…?痛みが…急に…無くなって……どうして……?

 

「あなた、目を覚ましていたのね…」

 

這いつくばって、ボロボロで、惨めなあたしの目の前には、剣を片手に陛下の電撃を斬り裂いて立ち塞がる黎斗の姿があった。

 

「黎…斗…?」

「…随分と楽しそうじゃないか…神の才能を持つこの私を差し置いて…」

 

黎斗はそう言って剣を陛下に向ける。ああ…黎斗はいつも…こういう時に……あたしが望んだ時に…あたしを助けてくれる……本当にこいつは……

 

 

 

「はぁ、全く…キャルが下品な声を出すから彼が起きちゃったじゃないの」

「何を勘違いしている、私は別に気絶などしていない、初めから意識を保っていたさ」

「…なんですって?」

 

ユースティアナ、キャルは彼女をそう呼んだ、この人物は何か物語の鍵を握っている、私は直感でそう感じた、だからこそ

 

「何か有益な情報が貰えるのではないかと考え気絶しているフリをしていたが…ふっ、どれもこれも退屈でつまらない話ばかり…」

「…あなた…本当に何者なのかしらね、キャルから聞いてた通り姿形は彼そのものだけど…何か不自然なのよねぇ…」

「当たり前だ、私はお前の知るこの少年とは違う、私は檀黎斗……この世界でも名乗らせてもらおうか…最高神とな」

 

私の言葉に目を丸くするユースティアナ、しかしすぐに平常に戻り。

 

「ふーん…檀黎斗ね……確かに前のあなたとは別の名前ね、少し考えれば誰か他の人格が憑依したとかって考えるのが普通よね、でもそれも何か違う気がするのよ、今のあなた」

「…何?」

 

流石にその返答は予想をしていなかった、私が少年に憑依している存在ではないとしたら私という存在は一体…?

 

「まぁ、いいわ、黎斗くん、あなたは違う人格と捉えてもいいわね、でもね、根本的なところは変わってない、だってそうでしょう?例えキャルが壊されちゃったとしてもどうでもいいのなら狸寝入りしてればいい話だもの、でもあなたはそうはしなかった、それは相変わらずのお人好しさがあるから」

「違うな、私がキャルを助けたのは最早有益な情報が得られないと踏んだからだ」

「あらそう、ならそういう事にしてあげるわ」

 

…一々癪に触る奴だ、私の最も嫌いな人種のタイプ。

 

先のキャルのやり取りからも読み取れる彼女の性格、精神は私の嫌いな人間と同じだ。

 

他者を自身の道具としてしか見ず、自分の利益の為に他者を利用し、挙句は自分が世界のルールだと信じ込む。

 

「お前は先程、自分を神だと言ったがそれは違う」

「何が違うのかしら?」

「神は私だ。お前ではない」

 

それに、と続ける。

 

「…お前は神は1人で孤独だと言った、それの何が面白い?神は人間を導く存在だ、人間達を導き、アップデートし概念を超越させ、そして私と同じ才能を持つに至る者を増やしていく、それが神である私の務めだ」

 

…この答えは恐らく、以前の私なら見つけることができなかっただろう、ライダークロニクル、マキナビジョン、別世界融合、ゾンビクロニクル、マイティノベル…様々な経験を経て、私が導き出した答えなのだから。

 

私はゲームクリエイター、ゲームを作ることが仕事であり趣味であり生きる意味だ。そしてそれにはゲームをプレイするプレイヤーが必要だ。

 

プレイする人間がいなければ私のいる意味はない、つまり私1人では決して完結する事はない。

 

ゾンビクロニクルに挑戦した、たった1人のプレイヤー九条貴利矢だったり、永遠に私に挑戦すると言い放った永夢だったり、誰か1人でも挑戦する者がいなければ…私の才能に食らいつく存在がいなければ、神であったところで意味などない。

 

「根本的なことをわかっていないお前に神を名乗る資格などない、この私が剥奪し、この私こそがこの世界の神となる」

「…面白いこと言うわね、身の程を知りなさい」

 

私達は互いに睨み合い、対峙する。一触即発の状態だ。

 

「黎…斗…けほっけほっ…」

「君は少し休んでいろ」

「で…でも…」

「はぁ、キャルは私のペットよ?あまり気安く声をかけないでもらえる?…私としては黎斗くんには色々と聞きたいことがあるの、あなたとお喋りがしたいのよ、だからキャル、そこで這いつくばってないでさっさとお茶の準備でもしなさい」

 

その威圧感は対象ではない私でさえ身震いがする程の圧、成る程、キャルが不慣れな暗躍などをする理由がわかった。

 

「う…うぅ…は、はい…わかりました…だからもう酷いことしないで…」

「…本当に私をイラつかせるな…君達は」

「黎斗…?」

 

私は無理に1人で立ち上がろうとするキャルの肩を抱き寄せながら立たせ体を支える。

 

彼女を見ていると昔の自分を思い出す。利用されていることは分かっている、それでも私は自分の為にとゲームを作り続けていた。

 

永夢の発想に酷く嫉妬してしまった事も、檀正宗からの圧力も全て自分の為だと信じて突き進んだ。

 

結果は分かる通り。全て檀正宗の掌で踊らされていた、そんな自分に腹が立つ、今のキャルを見ていると当時の自分と重ねてしまい余計にだ。

 

「本当にお優しいんだから…反吐が出るくらいにね、例え元の記憶がなくなって他者の人格になろうとも根本的な所は何も変わらない」

「お前との問答は最早無意味、私を苛立たせたんだ…今すぐに削除してやる」

 

『マイティアクションエェックス!!』

 

「…グレード0…変身」

 

『マイティジャンプ!マイティキック!マ〜イティアクショ〜ン!エェックス!!』

 

私はゲンムの姿に変身した後、傍のキャルを強化する事で体のダメージによる負担を軽減させ私から離れさせる。

 

「これで少しは楽になっただろう、早く私から離れろ」

「ま、まって黎斗っ…!あんたじゃ陛下には……っ」

「2度は言わない」

「………分かった」

 

『ガシャコンブレイカー!!シャ・キーン!』

 

私は召喚したガシャコンブレイカーを瞬時にブレードモードに切り替え、構える。

 

「…それがキャルの言っていたものね、確かに私が組んだプログラムの中にそんなものはなかった…成る程、あなたがシャドウに何かしたって事ね」

「そうか、私が組んだ…か、君もまた『ゲームマスター』の1人か」

「…あら、そこまでちゃんと知ってるのね…こっちの記憶が無くてもあなたには知識があるって事、なら今のこの世界の現状もなんとなく、分かるんじゃないかしら」

「…っ!?」

 

私は驚いた、何故なら奴は既に私の背後に回り込んでいたからだ、つい先ほどまで玉座に鎮座していた筈の奴は私の背後に立ち、扇で口元を隠すような所作をしている。

 

「ちぃっ!!!」

 

私は振り返りと同時にブレードを横に振るう、しかし簡単に扇で切っ先を止められてしまう、かなり力を加えているのだがふるふると震えているのは私の刀身のみ…こいつ…

 

「さて少しお話ししましょうよ、黎斗くん」

「…何?」

 

扇を手首のスナップで軽く動かした程度なのに私の剣は大きく弾かれる、直感でレベルの差を痛感する。

 

「話だと?」

「あなたは感じた事がない?この世界の歪さを、生活に必要なものでさえまともに整っておらず、政治なんかもまともなものはまるでない、それなのにやたら魔物の詳細だけは事細かに記されてる…他の動植物だっているのにね」

「…お前はどこまで知っている?」

「全ての事、かしら。どう?興味出た?少しはお話しする気になったかしら」

 

私は適切な距離を保ち、ユースティアナと対峙する、ここからが正念場だ。

 

 




マイティノベルの実写化を待ち続けます
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