プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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もう既に今の黎斗のガシャットでは対応できてない、インフレが激しすぎる


覇瞳の皇帝 その③

 

「ぐぅっ…くっ…!!!」

 

眩い光に包まれ、瞬時に私は別の空間へと転送されていた。

 

肌を突き抜ける冷たい風、吹き荒れる爆風に衣服や髪が乱される。

 

私は瞬間的に周りを確認する、ここは…エリザベスパーク……山頂付近か…再びここに送り返されたという事か。

 

だが私は地上にいる訳ではない、空中…それもかなりの高度だ。

 

今、私は重力に引っ張られ自由落下を開始している。このままでは確実に私の命はないだろう、だがこういう時こそ冷静に頭を冷やし練れるだけの対策を講じる。

 

周りの遮蔽物の少なさで正確な高さを測ることは難しいがおおよそで高度を測ることは出来る…高度にして約5000メートルと言ったところか、空気密度に関しては現状では分からない為省き、私の身長と体重から考えて最高速は時速190キロにはなるだろう。

 

落下時間は1分と少ししか時間がない。ふむ、高度5000メートルならば空気中の酸素量に問題はない為、意識を失うという事はないだろう、落ち着いて対処をする。

 

私の知る限り高度1万メートルからの落下事故で生存した例は過去に数件あった筈だ、それを踏まえ、今やるべき事を確認し実行する。

 

まずは空気抵抗を大きくし減速する事が必要だ、両手を広げ、背中をやや丸め、頭を上向きにする事で出来るだけ空気抵抗を大きくする。

 

まずは落下地点に良さそうな場所を探す、水面はダメだ、水面への落下はうまく着水出来なければコンクリートに打ち付けられるのと変わらない。

 

ここは山地だ、木々が生い茂っている場所がありクッションには最適だが…下手をすれば枝木が体に突き刺さり死に至る恐れがあるな、1番生存率が高いのは積雪やぬかるみ、時点で芝か、この季節の山地なら芝くらいはあるだろうが。

 

確かエリザベスパークには牧草ロールがあった筈、それも複数積みの奴がな、クッションにはそれが一番最適か、まずはそれを探そう……

 

…ん?牧草ロールを探す為に周りを確認した際、そこで私は目の前を浮遊するガシャットの存在に気づく。

 

「ガシャット…!?そうか…!変身解除した際に飛び出したガシャットか…!!私のガシャットがぁ…!!!」

 

私は咄嗟に手を伸ばす、落下に備えている場合ではない!私のガシャットが落下で破壊されてしまう方が問題だ!!

 

「くっ…この…!!」

 

私は何とか2つのガシャットに手が届くが、くそっ…!肉体のダメージのせいで握力が殆どない…!!ガシャット1つまともに握る事ができないとは…!!!

 

だがしかし…!諦めない!!私のガシャットォォ…!!!!

 

「…っ取ったァァァァァァァ!!!」

 

よぉし!!!!私はガシャットを手元に収めることが出来た!!ふぅ、これで…

 

「あ…しまったァァァァァァ!!!?」

 

周りを見れば、既に高度は300メートルを切った、落下まで残された時間は約6秒程…ガシャットに気を取られ減速もしていなければ落下地点に良さそうな場所も選んでいない。

 

今から変身をするべきか?いや…この負傷した体ではまともにスロットに入れるのはもはや不可能だろう、くっ…ここまでか…!!

 

私は死を覚悟した、しかし、衝突の3秒前、私は地表にある光景を見る。

 

それは超高速で黄金のオーラを纏いながらこちらに近づいてくる1つの影。

 

「…あれは…!!ペコリーヌ…!!!?」

「おりゃぁぁぁあ!!間に合ってくださいよぉぉ!!!!」

 

その速度は時速180キロは軽く出ているだろう、蹴りつける地面は抉れ、土埃が舞い散り、通った道筋の軌跡が見える、まるで除雪機やブルドーザーを彷彿とさせる光景だった。

 

「うりゃぁぁぁぁ!!!!」

 

私と地面との衝突1秒前、彼女が大きく前にヘッドスライディングのような跳躍を見せ、私に両手を伸ばす。

 

その瞬間は訪れた、凄まじい衝突音と煙に巻かれ、あたり一面土煙で見えなくなる。

 

「く…は……」

「あはは〜いや〜凄い衝撃でしたね〜びっくりです、それにしても間に合ってよかった〜」

「ああ…助かったよ、すまないなペコリーヌ」

 

私はペコリーヌにお姫様抱っこの形で抱き抱えられ生存していた、かなり不格好ではあるが、今は生存していた事を喜ぼう。

 

「お姫様抱っこで申し訳ありませんね、本来なら私と黎斗くん、逆の立場って感じですもんね」

「そうだな、絵面的には見るに耐えないだろう」

 

ゲーム的な演出でもこの絵面はプレイヤーが冷めかねない。

 

「そうですよね〜、でもいつか黎斗くんが逆にわたしのことを抱っこしてくれる日を楽しみにするって事で今回は貸しにしましょう!」

「そうしてくれるとありがたい…つぅっ…」

 

体が痛む、ユースティアナとの戦闘によるダメージはまだ色濃く残っている。

 

奴の力…やはり侮れない、ゲンムに変身しているのにも関わらず私の肉体にこれ程のダメージを与えるとは…。

 

「どこか痛みます?大丈夫ですか?それに…黎斗くんボロボロです…一体何があったんですか?」

「…君こそ、よく私に気がついたじゃないか、落下している私に気づくなど…しかもこの夜間でな」

「それがですね、最初は何処かで爆発音が聞こえたんですよ、それでそれの調査に行こうとしてたら上空でピカッと光ったので王家の装備の力で視力をめちゃくちゃ高めて見たら黎斗くんが落ちてきたんですよ」

 

そういう事か…ふむ、それにしても王家の装備か…彼女の身に付ける特殊の装具だと聞く…点と点が繋がったな。

 

「うーん、仲睦まじいねぇ、だが少し緊張感が欠けるんじゃないか?」

 

ペコリーヌの軌跡から遅れてやってきたのはド派手な衣装を身に纏う王宮騎士団(ナイトメア)副団長クリスティーナ。

 

…そこで思い出す、ユースティアナの発言を…『まとめて目障りな連中を始末できそうなんだもの』…まさかとは思うが…

 

わざわざこんな山奥に私を転送したのは彼女の対象となった人物をまとめて削除する為だとするのなら…

 

「緊張感はありますよ!なんせあなたみたいな人が近くにいるんですから!」

「それは失敬、だがしかしこちらに何者かが近づいてきているぞ、先ほどの爆発、どうやら近くの『ラビリンス』の基地の1つが爆破でもされたようだからな」

 

クリスティーナの言葉通り、何かの気配が2つ、こちらに接近してきている。

 

「止まれ、ラジラジ…何かいるぞ、警戒しろ」

「はい、止まれと言われれば止まりましょう、今はあなたの言葉に従います」

 

私たちの目の前に現れたのは1人は見覚えのある少女、ムイミ。もう1人は見たことのない男だった、体全体を覆うまるでカーテンのようなマントを身につけた褐色肌の男…どこか薄気味悪さを感じる、何故だ?

 

「ん?そこの男…貴様……どこかであったか?うーん?何か引っかかるな…ワタシは記憶力の良い方だと自負していたんだがな」

「私のことを知っているのでしょうか?生憎私は記憶が混乱しておりまして、ノウェム、あなたは知り合いですか?」

「へ?ってクリスティーナじゃないか!!」

 

…どうやらムイミとクリスティーナは知り合い…それにクリスティーナの反応…このラジラジとか呼ばれた男も何か特別な存在と見ていいか。

 

「ん?貴様は確か…馬車に追い込んだ…オクトーの坊やに追われていたお嬢ちゃんじゃないか」

「その認識ってことは…アタシの事覚えてないのか……仕方がないよな、今は説明してる時間ないし…ってそこにいるのは…!!」

 

ようやくムイミは私の存在に気付いたようだ。

 

「無事だったようだな、ムイミ…いやノウェムと呼んだ方がいいかな?」

「あはは、別に今更どっちでも好きに呼んでくれて構わないよ、それにしても…おまえそんなキャラだったか?なんか変というか…聞いた話じゃ記憶を失って今は黎斗って名乗ってるんだって?」

 

どこからの情報かは察しが付く、おそらくはリノかシズルだろう、彼女達は以前の私を知る人物、以前の私の名前を覚えている訳ではなかったが違和感を感じてはいたからな。

 

「ああ、出来ればそっちの名前で呼んでくれれば幸いだ」

「じゃあアタシの方もムイミでいいよ、なんつーかお前はアタシの名前を馬鹿にしたりしないからさ」

 

そう言って彼女は笑う。無意味…か、確かに縁起がいい名前の響きではない。

 

「とにかくアタシはそこのラジラジのおかげで『ラビリンス』から脱出する事ができた、体もピンピンしてるし、今のうちに逃げて…」

「ノウェム、警戒してください、上空に…ただならぬ気配を感じます」

 

ラジラジと呼ばれた男が顔を上げる、それに合わせ、現場にいた皆が上空を仰ぐとそこには…あの狐の獣人、ユースティアナの姿があった。

 

奴は更に姿を変化させる、今度は露出度が高めで漆黒の鎧を身に纏う、頭にはまるでペコリーヌの王家の装備であるクリスタルの冠の対をなすかのように漆黒の冠が取り付けられている。短剣状の武器も切っ先が伸び色もまた鎧に合わせた赤紫に発光したものとなる。

 

そして帯びるオーラもまた禍々しく強大なものへと変化する、まさにラスボスといった雰囲気だ。

 

「…ユースティアナ…!!」

「あの人は…っとと…黎斗くん!?無理に立たないで…!!」

 

私はペコリーヌの静止を聞かずに立ち上がる、かなりしんどいがな、ガシャットを構え戦闘態勢に入る。

 

「ふぅん、『誓約女君』のクリスティーナに『跳躍王』のラジニカーント、それに近くには『晶』もいるだろうし『七冠(セブンクランズ)』の半数が集まったって事ね、自分で仕組んだ事だけど上手く行きすぎて笑えちゃうわ」

 

それに、と付け加え

 

「ノウェムに…黎斗くん、うふふ、懐かしい顔ぶれが揃ってるわね、同窓会みたいだわ、最初で最後のだけどね」

「黎斗くんの怪我…それに黎斗くんのこの警戒心…まさか、黎斗くんが怪我をしたのってあなたのせいですか…許せません…!!」

 

ペコリーヌもまた私に続き立ち上がり、王家の装備である剣を出現させ構える。

 

「あら?なんであなたがいるの?別にあなたを呼んだ覚えはないのだけれど、優先順位だってかなり低いし?まぁ、邪魔であることは変わらないしここでまとめて一緒に消しちゃおうかしら」

「勝手な事を…!!」

「おいおい、待ってくれ、そこにいるのは…陛下、で間違いないな?その禍々しい雰囲気はなんだ?それに…聞き間違いでなければまとめて消す…とワタシの耳がそう捉えたのだが、つまらない冗談だとすれば即座に叩き斬るぞ」

 

クリスティーナもまた片手で大剣を構え、ユースティアナに向ける。

 

「叩き斬る?無理よ、ただの人間が神に敵うわけないじゃない」

「無理かどうかは…やってみなければ分からないだろう…っ!!」

 

私がそう言い放ち、ガシャットのスイッチを入れようとした時、手元からポロリとガシャットが滑り落ちる、手に力が入らない。

 

「あはは!よく言うわ黎斗くん、あなたは既に満身創痍、減らず口を叩いたところで今のあなたなんて脅威でもなんでもないわ」

「やっぱりあなたが…わたしの大切な人を傷つけたんですね…ここで決着をつけてやります!!!」

「はぁ…分からないのね、神と人間との差が…愚か者のお姫様には少し黙っててもらおうかしら、断罪の槍(コンビクト・ランス)

 

一撃は予想外のところから放たれた、それはペコリーヌの真後ろ、一部の空間が歪み、そこから謎のエネルギーが一直線にペコリーヌの肩を貫いた。

 

「なっ…っ!?」

 

気配を感じなかった、魔力による兆候も見えなかった…この力、私と戦った時よりも更に圧倒的な力を奴は宿している…!!

 

ガクンと膝をつき肩を押さえるペコリーヌ、致命傷ではない、今の攻撃は奴のお遊びだ。

 

「ふぁ〜…だから言ったでしょ?神と人間じゃ実力に天と地の差があるの、あくび程度の魔法ですら対応できないんだもの、戦いにすらならないのよあなた程度では」

「く…うぅ…そんな…」

「あなた達に先に教えてあげるわ、既にこの近くには私が用意しておいた王国の魔術師達が取り囲んで『結界術式』を組んである、そこにいる『跳躍王』の力を使ったとしても結界の力で遮断されまともに機能しないわ」

 

どおりですぐに姿を表さないと思ったよ、つまりコイツは初めから準備をしていた、私達をここで確実に削除する為に。

 

「それで、どうするつもりだ?まさかペコリーヌにやったような攻撃魔法で私達を一人一人始末するつもりか?」

「まさか、黎斗くん、あなたの頭を持ってすれば私がやりたいことくらい分かるんじゃないの?こんな大それた計画を立ててる時点で…ねぇ?」

 

…ペコリーヌに見せた圧倒的な力もまた私に対する当て付けか、これくらいは余裕、というね。

 

大規模な結界、主要人物と思われる人間を複数集める、そして見せつけた圧倒的な力…これらから導き出される答えなど簡単だ。

 

「私達をまとめて消せる程の強力な魔法を放つ事、それも回避も防御も不可能な程、強力かつ広範囲の一撃、私達を確実に殺せるという保証があるもの」

「そうよ♪流石は黎斗くん♪あなたなら分かる表現で言ってあげるわ、今から放つ魔法は殲滅魔法っていうかなり特殊な魔法…その中でも私のとびきりの奴をあなた達に与えるわ、その威力は核兵器にも匹敵する、骨も残らないから安心してね♪」

 

核兵器だと…?冗談で言っているのだとしたら大したものだが…奴の力ならそれも容易く行えるだろう。

 

何か対策を講じなければ、だが現状でどうする?そのレベルの攻撃など防げるとすれば不死身のデンジャラスゾンビか完全無欠のムテキ、時を止めるクロノス、あらゆるゲームを生み出すゴッドマキシマムなどの特殊なガシャットくらいだ。

 

しかし現状でそのようなガシャットはない…ちっ…!どうする…!!!

 

「なになに〜?何のお話?アタシもちょっと混ぜてよ〜」

 

その時、不意に別方向から声が響いた、女の声だ、初めて聞いた声のはずだが何故か聞き覚えのある声をしていた。

 

赤く長い髪に眼鏡をかけ、これまた赤い衣装を身につけている。

 

「ようやくお出ましね『晶』、今は『ラビリスタ』だっけ?まぁどっちでもいいけど…どう?私からのプレゼントは」

「プレゼントってあの強襲隊の事?あれほんとやめて欲しかったわ〜おかげさまで基地の1つはアボン、『オブジェクト変更』も楽じゃないんだからあんまボコスカやりたくないっつぅのが本音なのにさぁ〜?」

 

この女は軽口でそんな事を言い放つ、『オブジェクト変更』…コイツがシズル達の言っていた『マスター』…『ラビリンス』のボス格の人物か。

 

「ま、シズルちゃん達は強いし多分余裕で生きてると思うからそこらへんは信用してもいいかな、とまぁ、そんな事は今はどうでもいいや、現状ヤバい状況でしょ?だからここはみんなで手取り足取り…協力して危機を脱しようって話」

 

晶と呼ばれた女はユースティアナから背を向け私達に話しかけてくる。

 

「この状況を打開できる術があるのか?」

「ああ、君が黎斗くん?シズルちゃん達から聞いてるよん、確かにあの少年と同じ顔だね、実に面白い状態になってるじゃない、っと今は雑談してる場合じゃないか、無駄に別の話に脱線しちゃうのがアタシの悪い癖だな〜、ともかく君には渡したい物があるからさ、まだアタシも君も死ねない」

 

私に渡したいもの…?

 

「さてと、そんじゃま、さっそくだけど全員力を合わせるよ、ミスったら即死だから注意ね〜ほら、もう来るよ〜」

「全く、相変わらず軽口は変わらないようね、晶」

「…悪いけど、アタシあんたのことわかんないや、記憶力は良い方なんだけどね〜特に人の名前はさ、ほら、アタシ人間のこと大好きじゃん?」

「…そういうところ昔から反りが合わないわ」

 

その言葉を最後にユースティアナが剣を構える、そして光がその剣に集結していき

 

殺戮の理想郷(ユートピア・オブ・デスティニー)

 

眩い閃光が放たれる、それは直径にして約30メートルはあろう巨大なエネルギーだった、それ自体に当たれば確実に私達は消しとばされるだろう、そうでなくとも余波で身体を保つことが出来ない。

 

迫り来る確実な死、私達の行動次第でこの物語の結末が決まる。

 




覇道と覇瞳ってダブルミーニングなんすね〜
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