プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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まぁまぁオリジナル展開があります。
どれくらい違うかは本編と見比べてみよう!


帰るべき場所へ

 

放たれる殲滅魔法、着弾まで残り1秒。

 

「さてと…」

 

『晶』と呼ばれた女が空間を手で撫でると半透明のキーボードのようなものがまるでホログラムのように出現、そして

 

「まずは時間を稼ぐ」

 

片手で高速でタイピングをし、エンターキーを激しく打ち鳴らすと、私達の足元、半径約3メートルほどの魔法陣が出現、それと同時に降り注ぐ殲滅魔法が一時的に停止する…これは…っ!!

 

「『時間が…停止している』…!?」

 

私を含む、この場にいる晶を中心とした側にいる人間以外の時間が停止している。

 

「まぁ、そんな所、そこまで便利な代物ではないんだけどね、めっちゃ簡単にデメリットを説明したげる、1つ、少しの間しか時間は止められない。2つ、停止している間、動いてる方と止まってる方は一切干渉できない。3つ、こうやって時が止まっていない部分は半径2、3メートル範囲内だけ、そこから出ようもんなら発動したアタシでさえも止まっちゃうね。4つ。それに何度も連続して使えるようなものではない、ほら制約まみれでしょ?」

 

恐らくクロノスの原理と同じくゲーム内をポーズさせているのだろう、ただクロノスと明確に違う所は私達はプレイヤーとして認識され、ポーズをしている間、ゲーム内に干渉することはできないという事か。

 

私以外の全員がこの光景に驚き、戸惑っているが、晶は少しばかり焦りながらも話始める。

 

「はい、みんな冷静に!本当に時間ないしヤバい状況に変わりない、ポーズなんて荒技、ガチで何秒持つか分かんないから、うーん、多分もって後1分くらいかな?だから今から簡潔にこの状況を打開する術を話す、みんな、耳かっぽじってよく聞きなよ?」

 

この状況を脱する為には皆の協力が必要不可欠、その為に…生き残る為にこの場にいる全員が真剣に晶の話に耳を傾ける。

 

「作戦は至って単純だ、アタシは『オブジェクト変更』を使ってこの場にいる全員をある一定の範囲まで吹っ飛ばす、所謂、瞬間移動に近い事をやる」

「…いや、でもラジラジの『空間跳躍』は結界で防がれるんだろ?そのオブジェクト変更でも無理なんじゃ…」

 

ムイミが疑問をぶつけるも晶は笑みを溢す。

 

「跳躍と違ってオブジェクト変更は理屈が違う、『アタシ達が飛ぶんじゃなくて世界そのものの方が移動する』、だからその点は引っかからないよん」

 

成る程な、だが

 

「…演算処理の方はどうする、そこまでの事をやってのけるとなるとただオブジェクトを出現、削除するよりも複雑化する筈だが」

「そう、そこだよね、時間が停止している間はあっちには干渉できない、だから動き出してからコードを弄らなきゃならないんだけど…ぶっちゃけ最低でも10秒…いや20秒は欲しいな〜」

 

つまり足止めが必要になってくるという訳か…

 

「…おい、ペコリーヌ、クリスティーナ、それにムイミ、あとは…ラジニカーントと言ったな、あの破壊魔法を何秒足止めできる」

 

私が4人にそう言い放つ、全員が少しだけ嫌な顔をしながらも

 

「あはは…無茶言ってくれますね…黎斗くん…王家の装備を全開にしても…正直2秒もてば良いですかね…」

「坊や、残念だがワタシもそこまで愚かではない、誇張していうつもりはないよ、5秒…最大で5秒だ」

「うーん?いまいち分かんないけど、アタシの天楼破断剣なら何とかできる!!」

「そうですね…私の出力を考えれば……もって3秒程度でしょうか、アレ程強大な魔法を完全に止めるなど不可能です」

 

ふっ、私はつい笑みが溢れる。

 

「いや、単純に加算しても10秒、上出来だ、晶…と呼べば良いのかい?」

「いや、コッチだとラビリスタ、の方がいいね」

「ならばラビリスタ、その演算に私も加わろう、私がいれば10秒以内で処理ができる筈だ」

 

私の提案にラビリスタが目を丸くする。

 

「あはは!本当に面白い少年になったもんだね、いいね!ならお願いするわ、ただマジでコード複雑だから後から泣き言は無しね?」

 

面白い、私がそんな事を言うと思っているのか。

 

「さぁて、そろそろ時が動き出すよ、構えるんだ、ここから先は失敗が許されない!失敗した時、全員ゲームオーバーだよ!!」

 

そして時が動き出す、膨大なエネルギーの波が押し寄せ、再び私達は危機に瀕する。

 

その瞬間、4人が前へ一斉に飛び出し、その光輝くエネルギーに自身の武器を突き立て押し返す。

 

「フンギギギ…っ!!んにゅぅぅぅぅ…!!」

 

ペコリーヌは王家の装備を全開、眩い黄金のオーラがまるで翼のように背中から噴出され、ロケットのエンジンのように絶え間なく放出されている。

 

「ちぃっ…!!全く今日は厄日かなぁ…?それともラッキーデイか!!ははは☆これ程愉快な事はないぞ!!」

 

クリスティーナは能力をフルで使っているのかホログラム状の数字のようなものが身体中から湧き出ている、アレが彼女の能力が自動で行うという演算を可視化したものか。

 

「うひゃぁ…!?こ、これヤバっ…!!?」

 

ムイミは自身の背丈に似合わない大剣を召喚し対抗したのは良いが、前2人に比べればムイミはかなり力負けしている様子。

 

「っ…やはり無防ですね…私達の生存率は10%…!!」

 

ラジニカーントはカーテンのようなマントを脱ぎ捨てるとそこから複数の機械の腕が出現、それはまるで複腕の仏像を彷彿とさせる見た目だった。

 

それらの腕を使い、謎のエネルギーを吹き出させ、殲滅魔法を食い止めている。ついでに吹き飛ばされそうになっているムイミの背中を支えている。

 

「時間ないよ黎斗くん、ガチのマジで一瞬で決めるよ」

「…良いだろう」

 

ラビリスタが自身のキーボードの他に私の方にも半透明のキーボードをスライドさせてくる、そしてホログラム状のPC画面のようなものが映し出され、そこにはかなりの量のコードが羅列されている。

 

「さぁ、0.1秒も無駄にできない、やるしかないよ黎斗くん」

 

確かにとんでもない量だ、ここから私はありとあらゆる情報を得て、選択し、計算し、コードを変更していく。

 

0.5秒…1秒…1.5秒…2秒…2.5秒…3秒…着実に時間が過ぎていく、その間も私達の目の前を閃光が迸り、膨大なエネルギー同士の衝突による爆風が吹き荒れる。

 

私とラビリスタに会話はない、時間稼ぎをしている4人を心配している余裕もない、互いにどこの処理をしているのか画面をチラリと確認する程度だ、それ以外は常に指先と脳を動かし続ける。

 

「も、もうもちません…っっ!!!」

「くっ…限界か…っ!!」

「あ…アタシしんだ…」

「す、すみません…!!力不足です…!!」

 

10秒持たずにして彼女達の限界が来た、8秒、稼げた時間はそれだけだった、しかし

 

「よくやった君達!!十分だ!!」

「黎斗くん!仕上げだ!!アタシを君の力で強化するんだ!」

 

その言葉と同時に時間稼ぎの4人の体勢が崩れる、私は瞬時にラビリスタをフルパワーで強化…ぐぅ…この満身創痍の肉体では負荷が半端ではない…が

 

ラビリスタが高速で再びタイピングをしエンターキーを弾く音が響き渡った。

 

 

ハッと気がつくと私は既にランドソルに居た、不可思議な感覚だった。

 

その感覚に慣れずにいるが、まずは状況を確認する為、周りを見渡すと

 

「…ペコリーヌ、君は私と同じ場所に飛ばされたようだな」

「はい〜…つ、疲れました…」

 

私の近くにいたのはペコリーヌのみ、他のメンツは別の場所に飛ばされたようだ。

 

その時、ドンッと音が響く、比較的小さな音ではあったが明らかに破壊音だ。

 

「…今、音が響いたという事は、どうやらいまだに奴の殲滅魔法は放たれているという事か」

「街からは結構離れてるのにここまで音が響くなんて凄まじいですね…」

 

核兵器と自信たっぷりに言い放っただけはある。しかし街に被害が及ばないのは彼女が入念に準備した結界とやらのおかげか、彼女自身も街で騒ぎを起こすつもりはないらしい。

 

「っつぅ…お互いにボロボロだな、ここら辺は………丁度いい、近くに私が世話になっている救護院がある、君も来るかい?」

「うう…本来ならご迷惑をおかけしないようにしたいんですけど…今…凄く疲れてまして…お願いします」

 

それは同感だ…私も正直立っているのがやっとだ、近くとはいえサレンディア救護院に歩いて帰るという事さえ憚られる程に。

 

「…肩を貸そう、ペコリーヌ」

「へ?そんな!黎斗くんだってボロボロなのに…っ!!」

「なぁに、心配するな…というより私も1人で歩くのは少々厳しいからね」

「えへへ…そういう事でしたら、一緒に歩きましょう!」

 

私達は互いに支え合い、歩く事数十分、ようやく救護院に辿り着いた。

 

私達は救護院の扉を開く、しかしスズメやサレンの姿は見当たらない、スズメは奥の方で何やら作業をしているようだな、ガサゴソと音が響いている。

 

サレンは恐らくまだ帰ってきていないのだろう。子供達は既に就寝しているみたいだな。

 

疲れている私はスズメに声をかける気にならず、すぐに部屋へと直行し、扉を開け…

 

倒れるようにベッドに飛び込む、ペコリーヌも同様だった、互いに満身創痍、瀕死だ。

 

「も、もう…一歩も動きたくありません…」

「…同感だ…寝よう」

 

私とペコリーヌは一瞬で眠りについた、それ程までに疲れが溜まっていたのだから仕方がない。

 

睡眠を開始してから1時間くらいが経過した時、再びあの声に起こされる。

 

「ってえぇえぇ!?!?」

 

この声は…間違いない、スズメだ。

 

「い、いつの間に帰って来てたんですか!黎斗さん!?みんな心配してたんですよ!?そ、それに…なにか見覚えがある光景が…というか前より酷くなってますよね…!?」

 

前より酷く…?私が薄目で横をちらりと見ると

 

「うへへ…もう食べられませんよぅ…」

 

右側にペコリーヌが私に引っ付いている、まぁ彼女は共に眠ったから分からなくもない、が

 

「うへぇ♪主さまぁ…♪」

 

左側には何故かコッコロが引っ付いている、いつの間に…

 

「ち、ちょっと!黎斗さん!言ったじゃないですか!女の子と…それも今回は2人だなん…ぷぎゃっ!?」

「うるさい」

 

私は枕をスズメの顔面に向かって投げつけ、黙らせる。

 

「私は今、凄く疲れているんだ…あまり騒ぐと君を削除するぞ、スズメ…さっさと部屋に戻れ、この部屋から出て行け」

 

私はそう言って再び目を閉じる、既に彼女に構う程の余裕はない。

 

「う…ううぅ…黎斗さんが今月一の辛辣発言をして来ましたね…わかりました…明日事情を聞かせてもらいますね…あと…枕お返しします…」

 

彼女は枕を私に返し部屋から出て行った、ようやくこれで安心して眠りにつける…

 

 

 

 

翌朝、目を覚ますと既にペコリーヌの姿はない、隣で寝ているコッコロを起こさないように静かに起き上がり、私は下の階の広間に降りると台所から音が聞こえる。

 

「…ペコリーヌ、もう起きていたのか」

「ああ、黎斗くん!おはようございます!っと家主の人に内緒でシャワーをお借りしてしまったのですが…」

「それは仕方のない事だ、私達は汚れた状態で寝ていたわけだ、そういう私も今少々気分が悪いからな、シャワーを浴びてくる予定さ」

 

ベッドの方も今日は洗わなければな。

 

「ところで君は今…料理を作っているように見えるのだが…」

「ええ、そうですよ、朝ごはんです!…やっぱり人の家の食材を勝手に使うのはまずかったですかね?」

「いや、そうではない、君は…サレンの言葉を借りるならお客さんの立場だ、逆に料理をしても良いのかい?体を休めた方が今はいいと思うが」

 

そう言うとペコリーヌは微笑みながら

 

「良いんです、好きでやってる事ですから、それに疲れた〜といってずっと休んでる方がわたしらしくありませんよ!」

「…そうだな、確かに今の君が君らしい」

「えへへ〜、あ、そうだ量はこれくらいで大丈夫ですかね?ここは救護院っていうくらいですから人も多いんですよね?」

「ああ、主に子供達だからそれほどの量はいらない、さて…私はシャワーを浴びてくる、そろそろコッコロやスズメも起きてくる頃だからな」

 

私はそう言い残しその場を後にする、十数分後、私がシャワーから出ると既にスズメやコッコロ、それに子供達が起き出し、広間に集まり朝食をとっていた。

 

「さぁさぁ♪召し上がってください〜!」

「で、では頂きます…申し訳ございません…お客様に料理を振る舞ってもらうなんて…」

「あはは、黎斗くんにも同じことを言われましたが、良いんですよ、好きでやってるので」

 

私も席につき、食事に手をつける、鳥肉を薄くスライスしたものが入ったサラダに様々な種類のサンドイッチ、茹で卵に更にスープまで付いている、朝食にしては贅沢だし、ホテルの朝を思い出す。

 

「もぐもぐ…うーん♪おいしい!スズメが作る料理よりもずっと!」

「うう…アヤネちゃん…一応私も練習とかしてるつもりなんですけどね…」

「スズメの場合は味はともかく卵の殻や味付けの間違いを直すところから始めるべきだな」

 

そう、スズメの料理は決して不味いわけではない、それ以前の問題だ。

 

「はい、コッコロちゃん、卵の殻、剥いてあげるね?」

「あ、ありがとうございます」

 

コッコロの隣に座るクルミはコッコロの世話をしている、このサレンディア救護院に来てからは見慣れた光景ではあるが常に私の世話をしてくるコッコロが逆に世話をされているところを見るのはやはり新鮮だ。

 

「はい、コッコロ、お塩だよ」

「すみません、何から何まで…ありがとうございます、アヤネさま」

「『さま』は余計だよ、家族なんだから、アヤネお姉ちゃんって呼びなさい!」

 

ふっ…コッコロはこのサレンディア救護院でも比較的年齢が若い、こうやってみると年相応なのだと実感する。

 

昨日の命のやりとりがあったせいか、こういった日常の光景すらどこか愛おしく感じてしまう…やれやれ、私も歳を取ったという事か…バグスターである私に歳の概念など無いが体感というものかな。

 

「申し訳ありません、いつまでも他人行儀が抜けなくて」

「ふふ、コッコロちゃん、愛されてますね〜かわいい光景です、ね?黎斗くん」

「…何故私にフる」

「んふふ〜なんででしょう♪」

 

…分かってて言っているなコイツは…

 

「それにしても主さま達は昨日、何やら大変な事件に巻き込まれたご様子、わたくしが部屋に戻ればペコリーヌさまと2人で同衾…わたくしは正直、超びっくり致しました」

「そういえば…コッコロちゃんは昨日、自警団(カォン)のお手伝いの後、どこに行ってたんですか?黎斗さんと一緒という訳ではなかったんですよね?」

「はい、わたくしはその後、神殿でお祈りを捧げていました、少し気になったことがあるのでアメスさまから託宣を頂きたく」

 

アメス…何度か彼女とは出会っていることを朧げながら記憶している。

 

どうやらアメスとやらは夢の中でしか出会うことができず、しかもこちらにもって来れる記憶はごく僅か、しかし何度も何度も…それこそ私が人と出会うたびに交信してくる為、流石に私の記憶にも残った。

 

コッコロは自身の神さまとして崇めている存在だが…私にとってアメスとは一体どういった存在なのかは不明瞭だ。

 

「はぁ…本来なら主さまの体温を久々に感じたく、眠りにつきたかったのですが…2人きりで」

「…アレ?わたし意外と邪魔もの扱いされてます?」

 

…そこは何故か否定も肯定もしないコッコロに場の空気が微妙に冷える。

 

「そ、それよりも!お二人がどうして一緒に寝ていたのかとか!色々聞きたいことがあるんです!…その…よろしければ聞かせてもらえませんか?」

 

その冷えた空気を変えようとスズメが話を切り出す、ふむ、では少し話しておこうか、私としても色々と整理をしておきたいと思っていたところだったからな。

 

 

 

 

 

 




ちょっとした時系列

黎斗達が部屋で就寝し起きる1時間の間にサレンか帰宅、サレンはアキノの飛空挺に乗りエリザベスパークに向かいました。

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