プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン 作:古賀コーラ
現状、テント村に人の姿はない、気配も感じられない。
「うーん?どこかに行ってしまったのでしょうか?」
「まさか、魔物に襲われてしまったとかでは?」
「いや、それは無いだろう、魔物の襲撃ならもっと場が荒れている」
テント村は荒れておらずむしろ綺麗な方だ、コッコロの発言よりもペコリーヌの方が今回は正しいだろう。
「さて、ではどこに行ってしまったか、だが…」
私はテント村にある焚火の後に近づきしゃがむ、見ればまだ微かに煙が出ており先程まで人がいた痕跡が残っている、大体1時間くらい前までは現場にいたようだ。
「ふむ、考えられる選択肢は2つ、1つはランドソルに下山した、これは昨日の破壊魔法の影響でこの場が危険と判断され避難した場合だ。2つめはパークに戻った、これも先ほど言った破壊魔法の影響、これにより逆に危険ではないと判断された場合だな」
「そうでございますね、しかしランドソルに戻ったのならばサレンさまや、えと…そのパークに所属している
ふむ、中々冴えてるじゃないか、確かにその通りだ、サレンが戻ってきている場合は勿論、救護院に戻ってくるだろう、
それに1時間程度しか時間が経過していないのならば…この山道は商業用の登山道が1つあるだけだ、わざわざ危険を犯して道外れを使い山道を下るという選択肢はないだろう、つまり下山しているならばどこかしらで私達とすれ違っている筈だ。
よしよし、コッコロもまた私の影響を受け思考力が上がってきているようだな。
「賢くなったなコッコロ」
「えへへ…そんな頭を撫でられるほどではございません…♪」
「あはは、本当にお二人は仲良しさんですね〜こうしてみると本当に兄妹みたいです」
兄妹か、私は一人っ子だった為あまり実感がないが、世の兄妹とはこういうものなのか?…まぁいい、結論は出た。
「…私達の目的地はエリザベスパークという事になった訳「うわぁ〜寝坊したっス〜!!」
私達の方へ近づいてくる声が1つ、特徴はかなり元気で活発さを感じさせる少女の声だった。
「…ん?誰っスか?見たところエリザベスパークの人達…ってわけじゃないっスよね?」
そう訊ねてきた少女は短髪で所謂ボーイッシュさを感じさせる風貌をしていた、恐らくは獣人だろう、頭にキャップをかぶっているが特徴ある耳部分を隠し切れていないうえ虎の尻尾が尾てい骨部分から生えている。
「ああ、私達はエリザベスパークの人間ではない、そのパークの人達と交流のある者だ、そういう君は?」
「あ!申し遅れたっス!!ヒーローたるもの!挨拶は基本っスよね!!コホン、改めて自己紹介させてもらうっス!!トラタイガーに憧れヒーローを目指すマツリっていう者っス!よろしくお願いするっスよ!!」
そう言いながら腰の鞘から剣を引き抜き決めポーズをするマツリ、どうやら彼女はヒーローを夢見る少女のようだ、私の世界でもライダークロニクルの際に仮面ライダーに憧れる少年が多数いた訳だが、女の子が憧れるとは珍しい。
トラタイガーと呼ばれるものはこの世界における仮面ライダー…のようなものだ、特撮でこの世界で放送されているヒーロー番組のヒーローである。
変身ベルトで変身し別の姿へと変貌する…まさに仮面ライダーそのもの、どの世界でもそういった類の存在はいるという事か。
「そうかマツリ、私は檀黎斗、そっちにいるのが私の従者コッコロ、そしてそこにいるのがペコリーヌだ、どうだろう?君はここにいたであろうパークの人達がどこにいるか、分からないかな?」
「主さま、このような子供が知っているとは思えませんが…」
「いいやコッコロ、それはないな、彼女はここに来る時『遅刻した』と言っていたろう?つまりなんらかの関係者の可能性が高い」
私がそう言うとコッコロは納得したように頷く。
「黎斗くんってどんな言葉も聞き逃しませんよね、凄いです」
「情報は最大の武器だ、些細な言葉、行動をよく観察しどんなものも見落とさない聞き逃さない事が非常に重要だ、コッコロも先程の観察眼は優れていたがもう少し精進するといい」
「ご指摘ありがとうございます、流石は主さまです」
私達の会話を横で聞いていたマツリが何やらキラキラとした目でこちらを見てくる。
「ほあ〜!かっけぇっス!知的っス!!まさにトラタイガーのようなお人っス!えっと黎斗さんって言ったスよね!?もしかしてヒーローなんスか!?」
…ヒーロー…か
「…さぁ、果たしてどうだろうね」
「うひゃ〜!ミステリアスな所もヒーローっぽいっス!!」
「それより、知っているなら教えてくれないかい?」
「おっと、そうだったっス!エリザベスパークの人達なんスけど、昨日にあった爆発の影響で街に避難って話も出てたんスよ、でも爆心地からも離れてて大した影響もないって、今朝方判断されてつい先程パークに戻った筈っスよ」
やはり私達の見立て通りか。
「それで君はその手伝いの筈だったのだが、寝坊し遅刻をしたという事か」
「うう…そうっス…不甲斐ないっス、これでも
「かぁわいいですね〜って…
…ペコリーヌのこの反応は…まずいな、面倒な事になりそうだ。
「む、その名を聞いて後ずさるとは…お姉さん、悪者っスか?
「ペコリーヌさまは何か犯罪に手を染めているのですか?」
「い、いえ、言ったじゃないですか!わたしは王宮から直接指名手配されてるって!だからあまり
とはいえだ、その反応は彼女の正義感とやらを刺激してしまうだけ、まぁ相手は子供、自分で撒いた種だ、今回はペコリーヌ自身に処理をしてもらおう。
「む、何を話してるっスか、逃げる為の作戦会議っスか…そんな事はさせないっス!!まずはえーと…事情聴取ってやつっス!大人しくして欲しいっスよ!!」
そう言ってマツリは剣を構えペコリーヌ目掛けて駆け寄って行く、中々身体能力に優れているな、流石は獣人であり
「わわっ!?いきなり襲ってこないでください!?というか事情聴取じゃないんですか!?まさかの実力行使!?」
ペコリーヌは瞬時に王家の剣を出現させ、マツリの縦振りの剣を受け止める。
「むむっ!大人しくするっスよ!」
「お、大人しくって…!!そんな剣を振り回しながら言わないでくださいよ〜!!」
マツリは剣をブンブンと振り回しながらペコリーヌを追いかける、一方ペコリーヌは相手が子供だからか攻める事は一切ない、バックステップで適切な距離を取りつつ剣で攻撃を弾きいなしていく。
「く、黎斗くん!見てないでなんとかして下さい〜」
「…なぜ私が君に手をかさなければならない?君があらかさまな態度を取らなければそんな状態にならなかったろう、君は今まで指名手配犯になっていた筈だ、それなのにポーカーフェイスの1つもできない自分を恨みたまえ」
「そ、そんな〜ってわわっっ!?」
やはり攻められないというのが問題だな、若干押されている。
「そこで何をしている!!」
不意に声が響いた、マツリではない、別の少女の声、全くつくづく似たような展開が続く。
現れたのは銀髪でローポニーテール、割と派手な衣装をしたこちらもどちらかと言えばボーイッシュな少女だ。
「あ!トモねーちゃん!丁度良かったっス!この悪者を逮捕するのに協力して欲しいっスよ!!」
「逮捕って…君はまだ見習いなんだから逮捕権なんてないよ…でもまぁ、相手はかなりの手練れのようだし、僭越ながら助太刀させてもらうよ!!」
トモと呼ばれた少女は抜刀する、それはレイピアの様に細く長い剣…細剣と呼ばれる物だろうか。
実は細剣と呼ばれる武器は現実には存在しない、創作物では広く親しまれている武器種だが現実ではレイピアのような『相手を貫く』事に特化した武器しか存在しないというのは面白い所だ。
ゲームなどでの細剣の特徴といえば高速の連続攻撃というイメージだが果たして…
「ちょっっ!?」
マツリが身を引くと同時に一瞬でペコリーヌの間合いに入り込む、低い。
彼女の体勢は低かった、その体勢から構え
「ミクマ流奥義…阿修羅…!!!」
高速の斬り上げ、某格闘ゲームの昇竜拳を豊富とさせるそれはペコリーヌの喉元を斬り裂こうと下から上へと斬り込んでいく。
「っっ!!」
間一髪ペコリーヌは仰反ることで回避するも体勢が大きく崩れる、対してトモは冷静にトントンと軽くジャンプする、これは格闘技や剣技で行われるルーティンに非常に酷似している。
その昔はボクシング選手などで多く見られたステップの1つだ、色々とあるが基本は小刻みに前後に軽くジャンプステップをし相手の行動にいち早く反応し対応する、今ではあまり見られないもの。
着地と同時の瞬発力を利用し前へ後ろへと動く事が可能とされている動きだ、そして重要なのはリズム、完成されたリズムはそこからの流れを決める、例えるならドラマーがドラムを叩いていない時でもリズムを取るようにその時のリズムを掴み、頭の中で次にするべき行動を決める。
それにしても彼女のステップは垂直に跳ね、それも綺麗すぎる程綺麗だ、ステップ間隔も一定、トーン、トーンといった余裕のあるものだ。彼女独特のルーティンといった所だろうか。
「っ中々手強そうな相手が出てきてしまいました…ねっ!!」
ペコリーヌが動く、それと同時だった、トモが一定間隔で跳ねていたそのルーティン、着地と同時に瞬時に近づく、先程よりも速い。
「なぁっ!?」
「…ミクマ流奥義…
横薙ぎが振るわれる、左から右へ、彼女は右利きの為左肩から右方向へと薙ぐ形だ。
その大振りはペコリーヌに通じる事は無かった、その速度で放たれた攻撃も対応できた、しかし
その横薙ぎはフェイント、本命はここからだった、そこから彼女は回転し、連続で縦に剣が振るわれる。右回転で回り、その勢いのままペコリーヌには背を向けるような体勢から剣が振り下ろされている、それも超高速でだ。
ペコリーヌはその勢いの前に後退せざる得ない、凌いでこそいるが圧倒されている、勿論、こちらが手を出さないとはいえペコリーヌがここまで一方的だとは…
「ふふ、中々凌ぐじゃないか、でもあなたの剣は乱雑、型も無ければ技もない、まさに喧嘩の剣…そんなものでは由緒正しいミクマ流には勝てない」
「け、剣術ですか!?た、確かにわたしにはそういうものはありませんが…信念と根性だけはあります!!」
「そう、根性ねぇ…ならミクマ流の剣術48種と奥義28種…全てが試せそうで楽しみだよ」
「そんなに多いんですか!!?」
ふむ、ペコリーヌと彼女とでは圧倒的に『技』というものの差が出ているな、決められた技と技のルーティンを絶え間なく連続でこなす事でまさに1つの流れが完成している。
一方ペコリーヌにはそういったものがまるでない、1つ1つ対処をする事で精一杯だ。仮に彼女が全力で対応したとしても力のごり押しになるだけでそれを見切られれば今のこの劣勢状態と変わらなくなるだろう。
「お次はこいつだ…ミクマ流剣術 陣風!!」
「ううっ!!?」
高速刺突剣撃がペコリーヌを襲う、私が目で追えたのは4発程度だが実際は8発程は打ち出されているだろう、ペコリーヌは辛うじて回避と防御に成功しているがこのままだと本当にまずい事になりかねないな。
「ちょっ…!本当に待ってください!!えと…その!ここは穏便に平和的な解決っていうのは出来ないんでしょうか!!?」
「ほう?悪人にしては珍しい物言いだね、こちらとしてもそれが1番なんだけど…陛下が病に伏せている今、少しでも怪しいと感じた不安の芽は先に断ち切っていく必要があるからね…手加減無用さ!!!」
…病に伏せている?あの偽物のユースティアナが…?
成る程、昨日放った魔法による影響か、ふん、あれ程の事を言いながら1度放てば疲労で動けなくなるとは良い様だ。
…いや待て、本当にそうか?私達を確実に殺す為に昏睡するレベルの魔法を放つというのは分からなくはないが…何か府に落ちない…あの場にいたラビリスタ、奴はコードを変更している際、何か別の事も同時に行っていた…と今にしては思う。
「ミクマ流剣術 燕返し!!」
トモが次に放った攻撃は1度目は右斜から剣を振り落とす斬り下げ、そして瞬時に同じ軌道の斬り上げを放つ。
「くぅっ…こんのぉ…!!良い加減怒りますよ!!わたしだってなんの罪もないのに捕まるなんてごめんです!!わたしの剣技は喧嘩ですって!?違います!わたしの剣技は魔物と生きるか死ぬかで磨かれた実践剣術です!そんなお上品なお座敷剣術に負けま……せん!!!」
次に放たれる剣術に合わせ、ペコリーヌが一撃、まるで裏拳を放つが如く…そうだな裏剣を放つ、その一撃は全力だ、おそらく相手が確実に防いでくれる技量があると信じての一撃、そうでなければ相手は粉微塵になるだろう。
「ぐぅっ!?な、中々重い一撃だね…やるじゃないか」
その攻撃の威力は完璧に防いだ筈のトモを数メートル程吹き飛ばす。
「はぁ…はぁ…全く、話を聞いてくれない割に強いんですから…」
「ふふ、私程度の技量で驚いていたら
「そうですね…あのド派手な人も相当な使い手でしたし…」
さて、ここで関係のない話を1つしよう、少し気になった事だからな。
あのトモが戦闘中に技名を言っているという事に違和感を覚える人は少なからずいるだろう、普通はそんな事言ってないで行動だけしろ、と。
しかしながら口に出す事に何か意味があると私は思う。例えば同じ類では魔法がある、魔法の場合はそう言った技名を口で言うというのは『詠唱』の意味合いがある、それにより威力を上げたり精度を上げたりすることが出来る。
では剣術や拳術などの場合はどうだろうか?ゲーム的に考えればやはり演出面を強調する為、ボイス付きのキャラクターが叫ぶ事でプレイヤーに分かりやすくそしてド派手な演出が見れるという面が強いだろう。現に私のライダーシステムにはキメワザの演出としてカットインと音声が鳴り響くからな。
しかし彼女は48種の剣術と28種の奥義があると言った、それ程までに多い技となると頭の中で整理して次にどれを使い、どう繋げていくかの取捨選択を瞬時に行わなければならない。
そこで口で技名をしっかり言う事で改めて脳が理解し処理を行なっていると考えた方が自然だ。
魔法の場合でも同様。以前キャルの魔導書を拝見させてもらったことがあるが彼女の使える魔法の種類はなんと256種類、それらを覚えそして瞬時にその場で取捨選択し発動するとなるとこちらもやはり口頭確認は重要になる。
簡単な例えを出そう。少学生が先生の言葉を繰り返し口に出して物事を覚えるようなものだ。
後はそうだな…君達にも経験がないだろうか?
周りには勿論、誰もいなく自分1人なのだが、何かをふと思い出した時、「あっそうだ」とか「あ、忘れてた」とか無意識に言葉として出てしまう。ゲームなどでやられた際に「痛っ」とか「えーなんで!?」とかを咄嗟に出してしまう。
これらは技名を口で言う、という事に非常に似ている、言葉にする事で脳が改めて理解を示す、整理できるというのが大きな点だ。
例え魔法のように口に出す事自体にメリットがある訳ではない剣術などにも技を叫ぶ事に意味があると私は考えている。
勿論、気合を入れたり力を込めたりする意味合いもあるのかもしれないがな、物を持ち上げる時に「いっせーの、せっ!」や「よいしょ」と言って持ち上げた方が力が入ったりするのと一緒さ。
「ふふふ!楽しくなってきたね!!」
「ううっ…っ!クールビューティーな子かと思ってたんですが意外と熱血な子ですね…!!」
2人の戦いは未だ続いている、コッコロもまたオロオロと自分も参加しようかと悩んでいるようだが、私の判断に任せているという感じだ。
「っと…あれ?ちょっと待ってもらっていい!?自分から吹っかけておいてなんだけど!!」
その時、不意にトモの動きが止まる、ペコリーヌもまた、戦いたいわけではない為、攻撃を止めてくれるのならば仕掛ける必要はないと判断し動きが止まった。
「えーと…そこにいるのってもしかして…檀…黎斗さん?」
トモは剣を納めながら私に近づいてくる、何やら彼女は私に用があるようだ、ようやく話が進展しそうな気がしてならない。
ペルソナ5Sが楽しみで今はドキドキワクワクで書いてます。