プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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今回だけで8章の8割消化するという…


破滅の包囲網

「ひぃ、ふぅ、みぃ…数が多いな、まぁ、ここはアタシに任せな」

 

そう言ってムイミが前に躍り出る。

 

「わたしも手伝いましょうか?わたしの王家の装備の出力ならこれくらいの魔物達なら一気に倒せますよ?」

「いいや、ペコリーヌ、君のフルパワーは出来るだけ取っておきたい、ここはまだ出し切る局面ではない」

「そういうことだ…行くぞ!!顕出せよ!!天楼破断剣!!!」

 

地面から半透明の体剣が出現し、それが徐々に色を成していく。彼女の持つ特殊な剣。

 

「前回はいいとこ無かったけど…ここはアタシの見せ場だな!!道を開けな!魔物共!!!」

 

全力で縦に振り抜く、ただそれだけ、それだけで高出力のエネルギーが前方に噴出し魔物達を薙ぎ払っていく。

 

それは魔物だけでなく洞窟の壁面さえも削り取っていく。

 

「ふぃ〜…ザッとこんなもんだな、見晴らしも良くなったしさっさと進むぞ」

「す、凄いですね…王家の装備みたいなデメリットがなさそうなのにこの威力…」

「当たり前だろ?これは前の世界でアタシ専用に作られたチート武器、最高の攻撃力を誇る、天楼破断剣…まぁ今はラビリスタに作ってもらったレプリカで全盛期の頃の強さより劣るけどそこはアタシの技量と根性で補う!」

 

確かに凄まじい威力だ、しかしデメリット無しとは到底思えない。

 

「おい、シズル、リノ、この脱出経路はどれ程の長さがある?」

「えーとね、襲撃者とかに出口を悟られないようにかなり長距離だった筈だよ、ただ…こんなに魔物がいるとなると…脱出までかなりかかっちゃうかも…」

「そうか……ならばムイミ!君もあまり体力と力を使いすぎるな!確実に脱出が出来るとは考えない方がいい!」

 

そう、常に最悪のケースを想定していくことが重要だ。アドリブで状況を打破し続けるのは無理のある行為だ、それを私は痛感している。

 

衛生省にアジトを嗅ぎ付けられ、CRをアドリブで利用したこともあったがああいった手段は本当に奥の手だ。

 

ここは体力の温存、魔物達がまだまだ巣食っているこの洞窟で長距離移動するとなると出口にたどり着いた頃には既に限界に来てしまっているかもしれない。

 

そんな状態で仮に包囲されている場合、待っているのは死だ。

 

「出来るだけ私は変身も強化も避ける!各々体力温存を心がけ魔物を捌き、出口に向かう!!」

 

私の言葉に皆が納得し、最小限の動きで魔物達を撃退し、進んでいく。

 

何時間経過しただろうか、元々長距離ということもあったが魔物達の相手もしていたからかやけに時間がかかった。

 

暗闇の洞窟から出てくると太陽の日の光が私達を照らす、しかし空は既に夕暮れ、それ程までの時間が経過していた。

 

「よ、ようやく出てこれましたね…」

「でもここまで来れば敵も撒けたと思いますよ!」

 

ペコリーヌの疲れた声に対しリノがそんな事を大声で叫ぶ、だが

 

「…いえ、そういう訳には行かなそうですよ…主さま…」

「そうか…君の索敵魔法に引っ掛かったか…数は?」

「…周囲を取り囲まれております、完全にわたくし達の動きが読まれていると考えて宜しいでしょう」

 

…最悪のケース、やはり…か

 

「取れる選択肢は2つ、1つは玉砕覚悟で敵陣に突っ込む、2つ目は諦めて降伏だな…まぁ後者は選びたくないものだ、そんな事をするくらいなら戦場で死に花を咲かせた方がマシだ」

「おばさんの言う通りだぜ、こちとらここまでされる覚えはねぇっての!謝るくらいなら叩き潰した方がいいに決まってるぜ!」

 

クリスティーナそしてダイゴが意気込んでいるが…この数の相手となると、突破はかなり厳しく現実的ではない。

 

「でもなんでバレたんでしょうか!?こんなのフクロウネズミですよ!!?」

「袋の鼠、ねリノちゃん」

「単純にしらみ潰しだろう…広範囲に索敵魔法を仕掛け、更にはここら辺一帯の地理を把握しどこにどう繋がったダンジョンがあるのか、どこから私達が出てくるのかをおおよそで判断した」

 

恐らく可能性の1番高いのはこの場所だけでなくそれ以外の出入り口にも魔物や兵士達を配置しているだろう。戦力は分散しているとはいえ、この数か…途方もないな権力という奴は。

 

王宮騎士団(ナイトメア)は腐っても国家権力…歯向かったワタシ達を処罰する為ならばこのような大規模作戦を企てる…とんでもない金の使い方をするな陛下は」

「はいは〜い、お取り込み中失礼するよ〜」

 

不意に私達以外の声が響く、魔物の群れの中に1人、見慣れた男の姿。

 

「…オクトー…!!」

「やっほ〜ムイミちゃん、僕の大事なものを無くしてないみたいだね、よかったよかった」

「おやぁ?ワタシには挨拶は無しか?オクトーの坊や、お前を世話してやったつもりなんだが…ワタシを不愉快にさせると後悔するぞ?」

「あはは〜あんまり僕が出しゃばっても上から怒られちゃうし〜ここは僕は一歩下がらせてもらうね〜?後は頼んだよ『陛下』」

 

オクトーの『陛下』という単語に周りがざわつく、私でさえも内心、驚きを隠せない。

 

奴が…千里真那がここにいるというのか?

 

「オクトー、私は『陛下代理』であって陛下ではありません、仰々しい敬いはやめてください」

「は〜い」

 

現れたのは千里真那ではなかった、私達のよく知る声。

 

「えっ…どうして…キャルちゃんが…?」

「どういう事でございますか…?キャルさま…?」

 

キャルの顔には何か不可思議な漆黒の仮面を取り付けていた、衣服も少しだけ変化があり、肩を露出し黒いファーが取り付けられている。

 

「反政府組織ラビリンスあなた方を王宮騎士団(ナイトメア)の正義の名の元に断罪します、降伏は認めません。…ペコリーヌ、コッコロ…そして黎斗、あなた達にも加担した罪が問われています、もし身柄をこちらに引き渡すというのであれば命だけは取らないで置きましょう、1分間待ちます…身の振り方を冷静に考えてください」

「どうして…!キャルちゃん!!」

「キャルさまがわたくし達にそのような事をするとは思えません!ちゃんと説明をしてくださいまし!!キャルさま!!」

 

…何か引っ掛かかる。別にキャルが陛下代理になった事に対する疑問ではない。

 

『何故わざわざキャル自身が姿を見せた?』という事だ。

 

彼女の力は前衛向きではない、魔物を指揮する力、私達を殲滅することが目的ならば尚更出てくる必要はない。

 

それでも彼女は私達の前に姿を現した、ペコリーヌやコッコロの前に…かつての仲間を裏切り、ただ名残惜しかったから…?違う、彼女には何か考えがある。それを探る必要がある。

 

「ほう?随分とお優しいじゃないか、キャル…私達なら助ける?甘すぎる考えではないか、やはり君には向いていない、敵キャラというのはね」

「黙ってください、あなた達の発言は身柄をこちらに渡すか渡さないかの2つのみ、それ以外の発言は認めません」

「なら分かっているのだろう?私達をよく知る君なら答えが」

「…っ」

 

仮面の奥の表情が崩れる、やはり彼女は向いていない。

 

「ねぇキャルちゃん、恥ずかしがり屋の可愛いキャルちゃん…いつもみたいに照れ隠しでそんな事を言っているんですよね?そんな…わたし達を脅したりなんてキャルちゃんはしませんよね?」

「…1分、経ちました…身柄をこちらに渡す意思は無いと判断します、全軍進撃!魔物共は奴らを食い尽くせ!!」

 

キャルの号令で動き出す、360度、全角度から一斉に敵が攻撃を仕掛けてくる。

 

「っち…!ペコリーヌ!!体を止めるな!!奴らが動き出したぞ!!」『マ〜イティアクショ〜ン!シャカッとリキッとシャカリキスポーツゥ!!』

 

流石の私も即座に変身し対応する、迫る魔物や騎士達を腕や足で迎撃し打ち払う。

 

「ペコリーヌさま!今のキャルさまは様子がおかしいです!恐らくあの仮面に何かあるのかもしれません!!!…しかし、それよりも敵への迎撃を優先してくださいまし!」

 

コッコロも既に戦闘へ参加している、他の皆もそれぞれの対応で忙しい。

 

この場でペコリーヌのみ、何かを考えているのか動きが止まっていた。…この時、私はもっと早くに考えつくべきだった。

 

何故、キャルがわざわざ私達の目の前に現れたのかを。冷静に考えれば簡単な事だった筈。

 

彼女は…キャルは私達をよく『観察』していた、私達の癖や性格を完璧に把握していた。

 

彼女が私達の前に姿を現した、あらかさまに目立つ謎の仮面を取り付けて現れた。

 

コッコロならばそれにいち早く気づきそれを指摘する、その指摘を聞いた場合…ペコリーヌならばどう行動するか、キャルは知っている。

 

「っち…!!ペコリーヌ!!安易な行動はよせ!それは罠だ!!!」

 

私がそれに気づいた時、既に遅かった、ペコリーヌは飛び出し、魔物の群れの中に1人突っ込んでいってしまう。

 

ペコリーヌの悪い癖だ、これだと信じ込んだら人の話を聞かず突っ走る…キャルの狙いはコレか…っ!!!

 

私はトリックフライホイールを投げつけ魔物を吹き飛ばしペコリーヌを追うのだが次々迫り来る魔物達に行手を阻まれる。

 

「ペコリーヌさま!!…っ完全に分断されてしまいました…!!」

「最悪、あのお嬢ちゃんは置いていく判断をしなければならないな、この状況で助けに行くのは無謀だぞ?」

 

コッコロの微かな望みもクリスティーナの正論に打ち崩される。

 

しかし

 

「っ分かっている、だが今ペコリーヌの戦力を失うのはこちらにとって大きな損失だ…!ここで見捨てるわけに……」

 

その時、私は更なるキャルの策略に気付いてしまった、いや、『私だから気付いた』

 

それの意味する答えは簡単だ、キャルはペコリーヌやコッコロの事をよく理解している。

 

つまり『私』の事も当然理解している。

 

私はある一点を見る、私の額から冷や汗が流れ出てくるのを感じる。

 

「主さま…一体どこを見て…アレは…っ!?」

 

コッコロも私に続き、遅れてソレに気付く。

 

「やだやだやだ!こっちに来ないで〜」

「うわーん、誰か助けて〜!!うぅ…にいちゃーん!」

「うぇ〜ん怖いよぉ〜お兄ちゃ〜ん!!!」

 

3人の小さな少女達がこちらに向かって走ってきている、魔物の群れに追われながらだ。

 

「あれは…キョウカにミソギ…それにミミか…!!ちっ…やってくれたな…キャル…っ!!」

「っ主さまっ!!?いきなり飛び出されては…いえ、そうでございますね…見捨てるわけにはいきませんよね!!…やぁぁ!!」

 

私が飛び出すと同時に風魔法の支援で魔物達を吹き飛ばす、私はすぐに彼女達の元へと駆けつけ、迫る魔物達を蹴りと拳で迎え討つ。

 

「ひえっ!?あ、あなた誰ですか!?ふしんしゃさんですか!?」

「私だキョウカ、とにかく私に掴まれ」

 

ゲンムの姿を初めて見るキョウカは最初こそ身構えたが、私の声を聞くと安心して張り付いていた表情が緩む。

 

「えっ!!?その声にいちゃん!?なんかカッコよくなってる!」

「うわーい、お兄ちゃんだぁ〜ミミすごく怖かったよぉ…」

 

私は淡い紫髪のツインテールのエルフの少女キョウカを背に、オレンジ髪のサイドテールの活発少女のミソギを右脇に、ピンク髪のおさげにウサギのフードをかぶった少女ミミを左脇に抱え、駆け出す。

 

「キョウカ、私は君たちを担いでいる間攻撃ができない、君を強化する、それで迎撃するんだ」

「は、はい…!やってみます!!えーい!アイスランス!!」

 

背に乗るキョウカが杖から水を圧縮し氷に変化させた魔法を放ち、私達に迫る魔物を粉砕していく。

 

コッコロ達の元へ無事戻ると私は3人をその場に下ろし。彼女達の目線に合わせるように片膝を地面につく。

 

「良いかい?君達は決して私達から離れるな、ミミ、君は迫る魔物だけを対処しろ、ミソギ、君は爆弾やトラップで敵を足止めだ、キョウカ、君は魔法で私達やミミ達を守れ、出来るね?」

 

3人は頷き、それぞれが魔物達を迎撃する。すぐに私は立ち上がり再び魔物達と激突する。

 

「しかし何故この子達はこんな場所に…偶然とは思えないな」

 

近くで魔物を斬り飛ばしていたマサキが問う。

 

「…全てはキャルの計算通りさ…」

「どういう事でございますか?主さま」

 

私達は魔物達の攻撃を捌きながら話を進める。

 

「彼女は私達の事をよく知っている、ああすればこうするという事をよく分かっている、キョウカ達がここに来たのは偶然じゃ無い、こんな辺境の場所に子供たちだけで来れるはずがないだろう?」

 

私は続ける。

 

「それに魔物に追われていたというのも不自然だ、子供達の走力なんて魔物に比べればウサギとカメ程の差がある、わざとここに来るように追わせていたと考えるのが自然だ」

 

そして問題はここからだ。

 

「…彼女は…キャルは私の交友関係を知っていた、その中で最も非力なこのリトルリリカルの子供達を選び、それがこの戦場におびき寄せられたともなれば…私が取るべき行動が決まる…」

「…っ最初から主さまがこの子達を助ける、というのもキャルさまの計算のうち…っ」

「それだけでは無い、助けたが最後、私達はこの子達から離れられない…即ち、孤立したペコリーヌを助けにいくことが実質的に不可能となった」

「そんな…それではまるで……っ」

 

そう、コッコロも気付いている、キャルの本当の目的が。

 

「それではまるで…『最初からペコリーヌさまのみがターゲットだったみたいではございませんか…!!』」

 

この大規模な作戦は勿論、私達の排除だ、だが本当の目的は一点のみ、ペコリーヌの捕縛。

 

ペコリーヌには王家の装備が備わっている、その力は絶大だ、そして何よりも1番捕らえる事がたやすい性格をしている。

 

簡単に誰かを信じ、簡単に策略にハマりやすいペコリーヌを孤立させ捕まえる、これがキャルの思い描いたシナリオ。

 

「だがしかし…何故ペコリーヌのみを…?どう考えても千里真那の指示とは思えない」

 

仮に千里真那が今、ラビリスタと同じ状態だった場合、彼女の復活の為に何かしらでペコリーヌを利用する算段だとしても、何故ペコリーヌのみなんだ?

 

そこには何か…キャル自身の思惑があるようでならない。

 

「…考えている暇はない、コッコロ、残念だがこうなってしまった以上、ペコリーヌは見捨てる、退くぞ!!」

「そんな!!主さま…!!」

「駄々をこねるな!私の従者ならば状況を冷静に判断しろ!!!この状況下での独断はこの場にいる全員を危険に晒す!!これ以上、キャルの思惑にハマるというのはこの私が許さない!!!」

 

私の叱責にコッコロの顔が歪む、とても辛そうな表情でペコリーヌの向かっていった先を見つめる。

 

「…安心しろ、恐らくだがペコリーヌは殺される事はない筈だ…キャルの性格を考えるならば…な」

 

キャルが私達をよく知るように、私もまた彼女をよく知っている、彼女の甘さは美食殿の中でも飛び切りだ。

 

勿論、コッコロを安心させる為の言葉でもあったが、この推測は間違いではない筈。

 

「…っ分かりました、行きましょう…主さま…!!」

 

コッコロが決意を固めた瞬間だった、私達の前数百メートル先で強大な魔法によるエネルギーが上方に向かって放たれているのを確認できた。

 

それは即ち、キャルがペコリーヌに対して攻撃をしたという事に他ならない。決着はついた。

 

「ペコリーヌさま…っ」

 

コッコロはそれから目を背けるように退避を始める。

 

「マサキ!子供達の先導を頼みたい!私は他の面子と共に道を切り開く!!…コッコロ、君も子供達を守りながらで良い、マサキと共に退避してくるんだ」

「分かった!!子供達は私に任せたまえ黎斗君!!」

「承知しました主さま…主さまもどうかお気をつけて…!」

 

私はガシャットをシャカリキスポーツから爆走バイクに変え、バイクを召喚し跨る。

 

一気に加速し、100メートル程前方(どこを基準に前方と言っていいのか不明だが)にいるダイゴ、クリスティーナの元へと向かい魔物達をバイクで轢き薙ぎ払う。

 

「うおっ!?なんだそりゃ!?」

「また珍しい力を持っているな黎斗の坊や!」

「前線…いや退路確保の状況はどうなっている」

「ふむ、ノウェムとラジラジが道を切り開いている、それを支援しているのがリノとシズルだ、状況は良いとは言えないがな」

 

私の問いにクリスティーナが答える、状況はやはり厳しいか…

 

「私もムイミ達に合流する、君達は後続のコッコロとマサキ、子供達を頼むぞ」

 

クリスティーナなら問題はないが、背中にラビリスタをくくり付けたダイゴにとってこの乱戦状態の戦場はかなり厳しいだろう、その負担を私が背負うしかないのだが…

 

私はバイクで加速しムイミ達のいる前線に向かう、ムイミ達のいる場所はクリスティーナ達の地点から更に200メートル程先の地点だった。ムイミは天楼破断剣で道を切り開こうとしているようだが魔物や兵士達の数が一向に減らない。

 

しかしムイミは笑っていた、何か活路を見出したように思える。

 

「ここら辺までくると魔物達の動きが鈍い、恐らく操れる魔物に使役制限範囲が決まってるんだ!」

「どうやらそのようですね、ここさえ突破できれば、私の空間跳躍も発動し範囲外に飛び出す事ができます、多少私はダメージを受けますが、範囲外にさえ出れれば治療を受けられますからね」

 

2人は見つけ出した最後の希望に向かって最後の力を振り絞る。

 

「私もそれに加わろう、どれくらいの距離で空間跳躍は使える?」

「距離にして50メートル…あの地点ならば魔法結界の威力も弱い筈です」

 

50メートル…たった50メートルならば、ここら辺一帯の敵を排除し後続が合流次第、空間跳躍で退避が可能だ。

 

だがしかし、私は想定していなかった。

 

最悪の事態に見出した微かな希望、それに目を取られ、本当の意味での最悪の事態を…考え得る最悪のケースを、私はあれ程警戒していたというのに完全に抜け落ちていた。

 

「お兄ちゃん!どうやらシャドウが複数確認出来ますよ!!」

「シャドウだと…?」

 

リノの言う通り、魔物や王宮騎士団(ナイトメア)の兵士に混じり冒険者の姿をとった人間の姿が確認できる。

 

「えっ!?どういう事?シャドウって自然発生した存在なんじゃないの!?」

「…シャドウはバグの存在だ…千里真那ならそういう存在を自分の手で操る事も出来るってことだな」

 

シズルの疑問にムイミが答える…これで合点がいったぞ、前回大量のシャドウに襲われたのも全て千里真那の策略か…

 

そして、その『最悪の事態』が訪れる。

 

「お兄ちゃん!そっちにシャドウが行きました!気をつけてください!!」

 

リノの言葉に私は振り返る、するとそこには思いがけない存在が佇んでいた。

 

「なっ…まさか…っ…!!?」

 

その思いがけない存在を目にした私は、1歩後退してしまう。

 

「…ゲンム…お前を攻略する」

 

私の目の前にいたシャドウ…それは…

 

宝生永夢だった。

 

 

 

 

 

 




多分ここがこの作中の黎斗が1番窮地に立ってる状況だと思うんですけど(凡推理)

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