プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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キャル虐は禁止です、コロ虐はもっと禁止です!!!!


黒鉄の騎士

 

 

 

「とは言ったものの、合図はまだだね〜」

 

つい先程の緊張感ある雰囲気は何処へやら、現在私達はシズルのクレープ屋の手伝いをしている。

 

どうやらムイミ達の作戦の合図があるまでは現場待機との事だった。

 

「いや〜それにしてもいつもはお客さんなんて全然来ないのに、今日は繁盛してるな〜流石はお祭り」

「わたくし、こういった経験は初めてです、中々楽しいですね」

 

コッコロは初めての客商売なのだが元々丁寧な話し方をしているおかげか難なくこなしている。

 

「…既に1時間はこうしているぞ?いつになる」

「そろそろだと思うんだけど…あっ!ほら見て!空が輝いたよ!」

 

シズルの指摘通り、一瞬空が白く光った、アレは…

 

「…ムイミの…確か天楼破断剣とかいう武器による攻撃か?」

「そうそう、ノウェムちゃんの武器ってよくわからないエネルギーがドバーって出るでしょ?アレを合図にしようって決めてて」

「あの、作戦とは一体なんなのでございますか?」

 

とコッコロが質問したすぐ後に、人々の悲鳴が木霊する。

 

何かから逃げるように大量の人々が走ってこちらに向かって来ている。

 

「ほら、始まったよ」

 

シズルがそう言うと、私達の前に大剣をブンブンと振り回しながら歩いてくるムイミの姿があった。

 

「やいやい!そこのけ!悪党様のお通りだ!!!」

 

…成る程な

 

「陽動作戦か…」

「そういう事、手順は簡単だよ、今この国には沢山の人々が集まってる、だから王宮騎士団(ナイトメア)の人達も王宮から出張って来て警護にあたってる、それをノウェムちゃんが暴れる事で注意を引く」

「確かに…ムイミさまはオクトーと呼ばれた方に名指しで狙われてる身…王宮騎士団(ナイトメア)が黙って見ている訳がございませんね」

 

そうやって話している間もムイミが訳のわからないこと言いながら人々を追い立てている、何故か笑顔で。随分と楽しそうだな。

 

「それだけではないな?カルミナのライブの最後はこの国だ、2週間前にカルミナのライブが魔物に襲撃された件もあり彼女たちのライブの警護は相当数配置される…それらも引っくるめるという訳だな?」

「そうだよ、流石黎斗君!!とにかく王宮内の兵士さん達を外に連れ出す為にカルミナのプロデューサーにあのクリスティーナって人を抜擢したんだから!まぁ…殆ど偶然の産物なんだけどね」

 

アドリブを効かせつつちゃんとした作戦を練るとはやるじゃないかムイミ。

 

「では移動はどうするのでしょうか?王宮まではここからかなり距離がありますし…」

「そこで私の出番というわけです」

 

不意に背後に気配を感じる。

 

「ふぁ…!?あ…ら、ラジラジさま…急に現れると驚いてしまいます」

「失敬。私はどうやら影が薄いようなのでたびたび注意を受けます。それより私の力を使えばあの王宮までなら瞬時に移動できますよ」

 

彼には『空間跳躍』と呼ばれる権能がある。それがあれば一瞬でここからあの王宮へ向かう事ができるだろう。

 

「この期間を狙ったのもそれです、各国から人々が来るこの祭りの期間ではあまり凶悪な魔法結界は敷かれることはありません、とはいえ流石に王宮内に直接跳ぶことは避けますが…」

「いや、それでいい、さて…ムイミの陽動もあまり長くさせてはかわいそうだ、さっさと行こう。シズル、流れは把握してるな?」

「勿論!私とリノちゃんで王宮内部の陽動、ダイゴさんとマサキさんの2人で洗脳装置ってやつを破壊、黎斗君とコッコロちゃんでペコリーヌさんの救出、これが王宮内の大まかな流れだよ」

 

…よし、では早速向かうとしよう。

 

「ラジニカーント…頼めるな」

「勿論です、しっかりと私に近寄ってください…では…跳びます」

 

 

眩い光に包まれるとそこは王宮の目の前。

 

「では、私はシズルさん達を空間跳躍で連れてくるので、ここから先の潜入はあなた方お二人でよろしくお願いします」

「分かった、行くぞコッコロ」

 

私達は走り出す、向かうべき場所はペコリーヌが拘束されていると思われる地下牢獄だ。

 

正面から行くのは流石に不可能、事前にネネカから情報提供を貰い侵入経路を導き出してもらっている。

 

「ふっ…まるで怪盗にでもなった気分だな、面白い体験だ」

「そうでございますね、このような場所から侵入するとは思いもしませんでした」

 

その場所はゴミ捨て場、定期的に王宮からゴミが排出されるこの場所は1番警備が少ない場所。

 

ネネカもここから脱出してきたらしい、私達はゴミが排出される場所からよじ登り中へと侵入する。

 

「…すんなりと入れて良かったな、だが警戒は怠るな、陽動があるとはいえまだこの内部には兵が配置されている」

「中は流石に広いですね…」

 

白に統一された内装は不気味な程、歪さがない。

 

人気が少ないこの場ではただだだ気味の悪さが際立つだけ、コツコツと地面を歩く音が静かに響き渡るのもよりそう思わせる。

 

「とにかく移動を楽にしたいところだな…丁度いい、奴を利用しよう」

 

私達の目の前に兵士が1人、私達は隠れてこちらに来るのを待ち…

 

「ふん…!!」

「ぐえっ!?」

 

私は奴の首元に手をかけてこちらに引き寄せ顔を地面に叩きつける。

 

「それでは、失礼致します、えーい!」

「がはっ…っ!?」

 

コッコロがその隙に召喚した槍で思い切り後頭部を殴りつける、すると兵士はグッタリとし意識を失った。

 

「さてと…コイツは適当に隠して…」

 

私はこの兵士から鎧を剥ぎ取り、身に付ける事でこの兵士になりすます。

 

「ではコッコロ、少しいいかい?」

 

私はコッコロの体を縄で縛り上げる、そして片手で縄を持つ事で側から見ればコッコロを拘束してきたように見えるだろう。

 

「これならば堂々と歩くことも出来るし地下牢獄に向かう事も怪しまれる事はない」

「そうですね、体力の温存もできますし…では行きましょう、主さま」

 

少女を縄で縛った状態で引き連れて歩き、主さまなどと呼ばれている絵面は非常に道徳的にまずい気がしなくもないが今はそんなことを考えている暇はない。

 

歩を進めていると私の向かいから別の兵士が歩いてくる、出来れば接触は避けたいところだったが…

 

「おい、お前!まさか…捕らえてきたのか!?」

 

私は声を出す事はできない、もし知り合いだった場合、声で怪しまれる恐れがある、兵士1人1人が誰だか分かるように胸部分にイニシャルが掘られているからだ。

 

私は黙って頷くと、向かいの兵士はうんうんと頷きつつ。

 

「お前も大変だな、今日は急遽他国からのお偉いさん達が大量に来て、兵士達が駆り出され人手が足りない…王宮全体の警護もままならないよな」

 

…他国からのお偉いさんか…クリスティーナが手を回してくれたようだな。

 

「それより…お前なんで喋らないんだ?」

 

その質問に対し、私はフラリと足元がおぼつかない演技をした後、喉を指し示す。

 

「ああ…そりゃそうだな、お前ここんところ働き詰めだろう、仕方がない、しかしそれの手柄は大きいぞ、ソイツを地下牢獄に連れて行き次第休みを取るといい」

 

私は黙って頷き、その場を後にした。

 

「うまく行きましたね…主さま」

「ああ、このまま何事もなければ良いが…」

 

私達は地下牢獄に続く階段を発見し、降っていく。その間にコッコロの縄は解かせている、いつまでもやっていてはかわいそうだからな。

 

ジメジメした空気が流れ、光源は壁にかけられた燭台のみで薄暗い。

 

「待て、コッコロ…誰かいる…」

 

私達は足を止め壁際から覗く、そこには

 

「…何やら強そうな人が牢獄に続く階段を塞いでおりますよ…」

「…ちっ…アレはジュンか…」

 

そこにいたのはジュン、漆黒の鎧を身に纏った王宮騎士団(ナイトメア)の団長だ。

 

「主さまのお知り合いの方ですか…?では話し合いでこの場をなんとか…」

「それは無理だろうな…洗脳装置とやらでジュンも操られていると考えた方がいい…恐らく彼女の揺るぎない正義感が増長している」

 

つまり、悪である私達を決して許す事はない、例え知り合いだとしてもだ。

 

「ではどう致しましょう…」

「そうだな…流石に私も彼女と真正面から戦いたいとは思わない」

「…そこにいるの誰だ」

 

…っ…!!感づかれた…!!流石は王宮騎士団(ナイトメア)団長…!!

 

しかしどうする、彼女の実力は本物だ、ここで体力を消耗するのは得策ではない。

 

「…姿を見せる気がないというのであれば、こちらも容赦はしないが」

 

私は壁の影から歩き出る、コッコロにはまだ待機してもらい、兵士の装いをしている私が先に姿を現した。

 

「ん?なんだ君は私の部下の………とでも言うと思ったか?そこにまだもう1人いるだろう、それに君の纏う雰囲気も違う、誰だ」

「やれやれ、流石ですね、ジュンさん」

 

私は兜を脱ぎ捨て、コッコロをこちらに手招く…さて、ここからどういう展開になるか…

 

「…黎斗君か、どうしてここに?」

「…諸事情がありまして」

「…言うつもりは?」

「無い」

 

静寂が流れる、額から嫌な汗が出てくるのを感じる、どうしたものか…

 

「そうか、ならば仕方がないな…ここには何人たりとも近づかせないという決まりがある、例え黎斗君であろうとこの場で斬る」

「お、お待ち下さい!えと…ジュンさま!!お話を聞いてもらえないでしょうか!」

 

割って入るのはコッコロ。

 

「話?」

「主さまのお知り合いならばここは穏便に…」

「それは無理だな、そもそも君達は代理閣下から名指しで捕らえろと言われている『悪』この私の『正義』が君達を裁く」

 

即答だった、やはりこうなるようだな…仕方がない…

 

私は決意を固めガシャットを手に取ろうとした瞬間だった、ジュンに違和感を感じる。

 

彼女はこちらに話しかけてくる間、『一切身動きを取らなかった』。

 

いや別にそれ自体がおかしいという訳ではない。

 

確かに彼女は王宮前で鎮座している間、あまり動かないことに定評があり、遠目で見れば鎧の飾りだと勘違いする人もいる程だったらしいが

 

私には分かる、何度か彼女と立ち話をした仲の私なら…これは…!!!

 

「コッコロ!!先に行け!!!っがはぁっ!!?!?」

「主さ…ま…っ!!?」

 

私の意識が途切れかける、真後ろから突然殴られたからだ、素手ではない、鈍器のような感触、恐らく彼女の持つ大剣の柄で殴られたのだろう。

 

私はコッコロの背を押し、牢獄の方へと向かわせる。

 

私はその場で倒れ込み、身動きが取れない、意識こそ保っていられるが体の機能を再起動させるには少々時間がかかりそうだ。

 

「よく気づいたね、流石は黎斗君か」

「な、何故…貴方がこちらに…っ!あちらは…」

 

コッコロはチラリと後方を確認する、そこには未だ動かないジュンの姿。

 

しかし眼前には鬼気を放ち動くジュンの姿。

 

つまりあちらの動かないジュンはフェイク。

 

「魔法石って知ってるかな?その中でも声を石同士で伝達できるものがあるんだ、それを使えば少し離れた位置から声を届けて、あたかもそこから声を出しているように聞かす事もできる、こんな風にね」

「っ…主さまをよくも…っ!!」

「私としても子供を痛めつけるのは心苦しいんだ…できれば斬りたくない、さぁ、帰るのなら今のうちだよ」

 

コッコロは槍を出現させ、臨戦態勢に入ろうとしている、しかしコッコロではジュンに勝つことなど不可能、今取るべき行動はそうではない。

 

「…っくぅぅ…!!」

「ん?おっと…そうはさせないよ」

「ぐはっ!?」

 

私がガシャットを起動させようとした瞬間、ジュンに首根っこを掴まれそのまま持ち上げられる、その後直ぐに思い切り腹部に鋭い強打を受け………

 

 

 

「主さま…!!!!」

 

何ということでしょう、わたくしを庇ったばかりに主さまが…!!!

 

「まぁ、黎斗君は今はこれで良いか、さて残るは君だ」

 

ポイっという効果音が付きそうな程、乱雑に主さまが地面に投げ捨てられる。

 

本来ならば…主さまの言っていた通り、この方を無視して階段を駆け下り、ペコリーヌさまを救出した方が良いのでしょう。

 

しかし、このまま逃げたとしても追い付かれる、牢屋を直ぐに破り共に脱出を図る事は現実的ではないです。

 

…ならばここで倒してしまいましょう、そうしましょう…主さまのお知り合いの方だろうと関係ありません。

 

何より、この心の奥底から湧き出てくる怒りが…収まり切れませんから。

 

「…随分と怖い顔をするじゃないか、鬼気迫るとはこういう事を言うのかな。なら私もそれに…答えよう」

 

ジュンさまが構えます、綺麗な構えです、大剣を両手で持ち自身の体の前に出す、前にどこかの書物で見た「サムライ」と呼ばれる人達の構えにそっくりでした。

 

「精霊達よ…」

 

ポツリとわたくしは呟き…瞬時に懐に潜り込みます、この距離なら1秒掛からず辿り着くことができます。

 

一瞬の加速により半歩遅れて衝撃波が辺りに広がっていく、わたくし達を中心に円を描くように突風が吹き荒れます。

 

「やぁぁぁ!!!!」

 

その後は連続の突き、確実にここで息の根を止めるという覚悟を持って、ジュンさまを攻撃します。

 

「小さいのによく鍛えられている、凄いね君は……でも」

「…っ!!?」

 

全てを簡単にイナされ、逆に大振りの一撃がこちらに振り落とされる、わたくしはそれをバックステップで回避するのですが…

 

「何も攻撃は武器によるものだけではないよ、騎士の鎧というのはね…『全身が凶器だ』」

「あぅぐぅっ!!!?!?」

 

縦振り攻撃からの流れで彼女が行ったのはタックルでした、わたくしとジュンさまとでは圧倒的に体格差があります、そこから放たれる渾身のタックルをまともに受ければどうなるか。

 

「あうっ!!がっ…くぅっ…!!」

 

受け身もろくに取れずに硬い地面を何度か跳ねながら吹き飛ばされます、辛うじて武器を手放す事はしませんでしたが…

 

「君は勘違いしている、怒りなどの気持ちだけで状況が転じられる程、現実は甘くできていない、最悪の状況を覚醒なんかで打破できるなんていうものは創作物のお話だけだ」

「…それでもわたくしは…主さまを守る為なら…覚醒でもなんでもしてみせます」

 

再び立ち上がり、わたくしは構える、強い…圧倒的です。

 

相手の底など到底見えない、それこそ赤子の手を捻って遊んでいる程度の実力しか見せていないでしょう、ですが…!!

 

「わたくしの槍は…!!信念は!!!消して折れる事はありません!!!」

「そうか」

 

バキンッという音が鳴る、わたくしの高速接近からの渾身の突きは簡単に弾かれました。

 

「決して折れる事はない、確かに折れなかったね、でも君自身の握力の方が持たなかったみたいだ」

 

ジュンさまは軽く振るっただけ、それなのにわたくしの全力は防がれ、それどころかわたくしの武器がクルクルと空中を虚しく舞っている。

 

手がジンジンと痛み、熱を帯びる、手が小刻みに震えてもいます。

 

「あうっ…っ!!!!!?」

 

カランカランと槍が地面に落ちた音と共にジュンさまがわたくしの首を片手で掴み、そのまま空中に浮かせてきます。これも体格差から為せる技でしょうか、いいえ、先程主さまにもやっていましたし純粋に筋力が異常なのでしょう。

 

喉が閉まり、息が…苦…し…い…っ

 

「…ふんっ…」

「かっ……はっ…っっ…!!」

 

そのま…ま…ジュンさまは…わた…くしを…壁に叩きつけます…背中を強打し…更に呼吸がっ……

 

「君はそこそこ戦えるようだからね、ここは確実に戦意を無くしてもらわなくちゃ後々困るな、申し訳ないけど死ぬ寸前まで痛めつけさせてもらう」

「か……ふ…っ!!」

 

更に…締め付ける力…が……強くなる、わたくしは……無駄だと分かっていても……両手でジュンさまの手を…掴む。

 

それだけじゃ…ありま…せん…言葉を…紡が…なくて…は…

 

「────」

「ん?何を言っているんだ?」

 

ジュンさ…まが…聞き耳を立てる…ようにこちらに…顔を…近づけます…

 

「ウィン…ド…オペ……レート」

「…っ!!!」

 

ジュンさまはすんでの所で気づきました、掴んでいたわたくしを投げ捨てるように離し、真横に回避する。

 

ガキンッとわたくし達がいた場所の壁に、わたくしの槍が突き刺さっています、わたくしが風の精霊を操作し、ジュンさまの背後に落下していた槍を思い切り射出させたのです。

 

「かは…っ…はぁ……はぁ…えぅっ…っ…はぁ…はぁ…んく…っ」

 

なんとか息を整えます、軽い酸欠状態の為か視界が揺らいでいます…でも、まだ戦えます…

 

「…やっぱりそうだね、君は戦える子だ…」

 

ザワッと空気が変わる、重くのしかかるような感覚が肌身に触る。

 

ユラリとジュンさまが回避した体勢からこちらに顔を向き直す、その動きはまるでこちらを今にも食い殺そうとする大型の魔物のような動き。

 

この場の雰囲気がそういうイメージを持たせてしまっているのでしょうか…いえ…違います、これは本当に…

 

「少し…厳し目に行くとしよう」

 

ジュンさまがこちらに片手で大剣の切っ先を向けたと思った瞬間でした。

 

ガコンという音、先程わたくしの槍が地面に落ちた音よりも重い音が響きました、それは…ジュンさまの大剣が地面に落下した音でした。

 

「かぁっ…っ!!?」

 

そう認識した時には既にわたくしの腹部にジュンさまの手が深くめり込んでいました。

 

速い…っ!!わたくしのソレと変わらない程の速さ…!!それにこの構え…っ!!

 

わたくしは勢いよく後方へ弾き飛ばされ、地面を数回転がりながら停止します、息が苦しく、口から唾液を垂らしてしまいます、痛みで口元が緩んでしまい自分では止められません。

 

「あの大剣は凄く重くてね…殺さないようにって考えたら(こっち)の方がいいと思って…もっともこの鎧を脱いだ方がもっと機敏に動けるんだけど」

「けほっけほっ…っ…武術ですか…っ…!!」

 

わたくしはお腹を押さえながら立ち上がる。

 

「ああ、まさか王宮騎士団(ナイトメア)が剣しか振れない集団だと思っていたのかい?それは違うよ、武器がなくても戦えるよう日頃から訓練している。それに殺しちゃいけない相手と戦わなくちゃいけない状況だってあるだろう、こんな風にね」

 

バチィン!とわたくしの視界が揺れる、再び高速接近してきたジュンさまの右拳がわたくしの顎を捉えました。

 

ギリギリでわたくしは頭を振ることで衝撃を逃す事ができましたがそれでも重いダメージです、何度も受けるわけには…

 

「っ!?!?!?」

 

次の瞬間、乱打が押し寄せてきます、目で追えないスピードの拳がわたくしの右や左、体格差からか上からも下からも拳が押し寄せてきます。

 

わたくしは手や足を駆使して頭部や腹部を守る為、身を小さく丸くしダメージを最小限にします…が

 

「ちゃんと前を…敵を見なくちゃダメじゃないか」

「っ…!?」

 

守る事で精一杯のわたくしは前を見ている余裕などありません、再びタックルを受けてしまいます、それも先程のようにぶつかってきただけではございません。

 

わたくしをそのまま壁まで運んで行き叩きつけ、ジュンさまと壁に思い切り挟まれる形となりました。

 

バキバキバキと背にした壁にヒビが入っていく程の衝撃、わたくしは気を失いそうになってしまいます。

 

「あ…が…ぁぁ…っ!!!?」

「ふむ、これで戦意は喪失したかな?」

 

ジュンさまがタックル体勢を解除し、半歩後ろに下がると、わたくしは板挟み状態から解放されそのまま重力に逆らわずにズルズルと下がっていきます。

 

お尻から地面に落ちた後、力なく肩で呼吸をする事しか出来ません。

 

「心が痛むよ、君のような子供をここまで痛めつけなければならないなんて…でもこれも仕方がない事なんだ、『正義』の為だからね」

「…そんな…『正義』…なんて…」

「ん?」

 

わたくしは…プルプルと震えながら立ち上がります…戦う力はもう、殆どありません…でも

 

「わたくしの大切な人達を弄ぶような……そんな『正義』なんてクソ食らえ…です!!!」

「…それは残念だ」

 

わたくしは目を瞑る、ジュンさまが拳を構えたからです、もう限界でございます…主さま…申し訳ございません…!!

 

『デンジャー!デンジャー!ジェノサイド!!デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビィ!!wooooo!!!!』

 

「っぐはぁっ!!?」

 

わたくしに攻撃が届く事はありませんでした、何故ならば不可思議な音声と共に現れたソレにジュンさまが思い切り蹴り飛ばされたからです。

 

ああ…主さま…わたくしの主さま…

 

「それ以上、私のコッコロに怪我を負わせる事は許さなァい、断じてなァ!!!」

 

白と黒のモノトーンの騎士がわたくしをお守りしてくれる…

 

 




書いていて思いました、やり過ぎました。

でも…書いていてその…下品なんですが…ボッ
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