プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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大我といえば光

では飛彩といえば…?

そう曇です。曇らせるのがいいのです。
飛彩さんのいつものテーマを流しながら暗い顔してるのが似合いますよね。


涙のsuture!!

 

俺に切れない物はない。

 

今回も必ず俺の手で小姫を救って見せる。

 

何度檀一家に狂わされその度に乗り越えて来たか。

 

今回も同じだ、今までと同じようにするだけ、俺のオペに…狂いはない。

 

奴が提示した小姫との思い出の場所、思い当たるのは聖都大学だ、今にしては苦い思い出があるこの場所。

 

「…変わらないな、ここは」

 

間近にあるとはいえキャンパスに入ったのは何年振りか、意識して見ると懐かしさを感じてしまう。

 

この場所に来て改めて思い出す、小姫と過ごした日々を、楽しかった…とはお世辞にも言えないのだろうが俺にとってはかけがえのない思い出だという事を。

 

「ん?お前は…鏡か?」

 

校内を歩く俺に声をかけてきたのは橘 龍二(たちばな りゅうじ)、この大学で世話になった教師の1人だ。

 

「珍しいな、こっちに顔を出すなんて…」

「すみません、諸事情で今日はここに…」

 

彼が不信感を抱くのも無理はない、平日の昼間に連絡無しでこの場にいるなど常識外れもいいところだ。

 

「…そうか…鏡の事だ、理由は聞かない」

「ありがとうございます」

 

この人程、話を理解してくれる人はいない。俺が小姫との関係でモツれた時も気にかけてくれたのはこの人だった。

 

心のケア…今にしてはライダークロニクル当時俺が小児科医の精神を少しでも尊重できたのはこの人の影響があるのかもしれない。

 

「…そうだな…もう百瀬が亡くなって…いや、消滅だったか。あの日から13年か…俺も歳を取ったな、嫌になってしまうよ」

 

…13年…言葉を聞いて随分と長い時間が過ぎていた事を実感する。

 

この年数の間に何度か小姫と会う機会はあった。いずれもあの檀黎斗、檀正宗に利用された形ではあったが…

 

最後に会ったのは4年前…あの日から俺は前に進めるようになった。

 

何度挫けそうになってもその度に小姫が勇気づけてくれた、今の俺がいるのも全て小姫のおかげだ。

 

「…鏡、お前は仮面ライダーだったな」

「はい」

「……頑張れよ」

 

橘先生は俺が今置かれている状況を知らない、それでも、彼は俺と小姫の事をよく分かっている。

 

「…俺に切れないものは何もないですから」

 

俺がそう言うと橘先生は俺の肩にポンと手を1度置いた後微笑み、その場を去っていった。

 

俺はその後ろ姿を見送った後、歩み始める。

 

向かうべき場所は…食堂、俺と小姫が初めて出会った1番初めの思い出の場所だ。

 

俺が食堂に向かうとまだ生徒の姿はない、お昼には早い時間だからだ。

 

現場に到着するとすぐに俺のズボンのポケットが光り輝く。

 

…察するに檀黎斗が仕組んだものだろう、俺はポケットに手を入れると異物の感触がある。

 

ポケットからそれを引っ張り出すとガシャットが1つ。

 

「…プリンセスコネクトガシャットか」

 

これを使えという事が分かった、ならばやるべき事は簡単だ。

 

俺はガシャットのスイッチを入れ、ドライバーのスロットに挿入する。

 

『プリンセスコネクト!イベントスタート!!』

 

という音声と共に俺の視界は一時光に包まれ見えなくなる。

 

目を開けば、そこは淡い風景に包まれた空間だった。

 

先ほどまでいなかった学生が溢れ返った食堂…俺はここが過去の場所である事を悟った。

 

前回の『マイティノベルX』と同じだと考えて良いだろう。即ち…

 

『えっと…貴方が…鏡…飛彩君…?』

 

小姫だ、俺と小姫が初めて出会った頃だ。

 

こうやって客観的に第三者の目線で見ると、俺の無愛想さがよく分かる。よく小姫はこんな態度をしている俺に話しかけてくれたと思う。

 

小姫が話しかけている間も過去の俺は彼女をほとんど見ていない、目だけはたまに小姫の方を見ているだけ。

 

自分の記憶と照らし合わせても確かにこんな感じであったと思うが、やはりこうやって実際に見ると目も当てられない光景だ。

 

この頃の俺はドクターになる事を第一に考え過ぎて周りが見えていない、孤立しようがお構い無し。

 

そんな俺に構ってくれたのが小姫だった。

 

 

《この時の彼女の印象は?》

 

→素敵な人だ

→鬱陶しい奴だ

→救いの天使だ

 

 

選択肢…これも前と似たようなものだ。違う点は自分自身が過去に思っていた事という所だが。

 

この時、というのはこの映像に映っている当時の俺、この場面の時の俺の心境だ。

 

だとすれば…

 

俺は2番目の『鬱陶しい奴だ』を選択した。

 

この時の俺は、先ほども言った通り、勉強一筋で他の事などに時間を割くつもりなど無かった。

 

そんな中で話しかけてきた小姫は鬱陶しかったと記憶している。

 

しかし、小姫は諦めなかった、孤立する俺に何度も話しかけ、俺はそんな彼女に惹かれていった。

 

いつしか俺達は付き合い、行動を共にし将来を誓い合った。

 

だが、当時の俺は変わらなかった。そこまでしておいて俺は彼女に向き合う事をしなかった。

 

いや、心のどこかで安心しきっていた、俺が変わらずとも小姫は離れていかないと。

 

そして失ってから気づいた、変わるべきだったのだと。

 

この光景は、過去に何度も俺の心を蝕んだ、それを利用され1度は小児科医達を裏切った。

 

だからこそ向き合わなければならない、何度でも、過去を認め、その上で未来に進む。

 

それが4年前に小姫と約束した事だ、過去の未練を断ち切り未来を掴む。

 

それが俺の人生の執刀だ。

 

『イベントクリア!!』

 

音声が流れ、俺はゲームエリアから脱出する。周りは再び人気のない食堂となった。

 

「1つ攻略したが…まだ変化は無し…これを何度か繰り返す必要があるのか」

 

となれば、次の目的地の設定が必要になる。

 

次……次か…、小姫との思い出となる場所…

 

俺の頭に過った場所、そこは再び俺にとっては苦い場所となる。

 

現場は聖都大学から程近い、廃工場だ。

 

ここは、檀正宗が小姫のデータを消し去り俺が過去の未練を断ち切った場所だ。

 

今でも思い出すと胸のどこかが痛み出す、この場所に近づくと歩みが遅くなる。

 

だがここは絶対にイベントスポットがあると確信できる、俺の運命を変えた大きなターニングポイントである事は間違いないからな。

 

俺が現場に近づくとガシャットが輝く、やはりここがイベントスポットだったようだ。

 

少しだけ…ガシャットを起動する事を躊躇ってしまう、あまり思い出したい記憶ではないからな。

 

自分勝手な理由でドクターである仲間を裏切り、人々の命を弄ぶ人間に付き、小姫の最後の願いすらも破ろうとしてしまった時の記憶。

 

今でも鮮明に思い出すほどの苦い記憶だ、それをわざわざ掘り返したいと思うほど、俺は強くない。

 

しかしやらなければ進まない、小姫を助ける事はできない。

 

俺は意を決してガシャットのスイッチを入れる。

 

 

先程の音声と眩い光に包まれると、俺は再び灰色のゲームエリアの中に入る。

 

目の前には檀正宗、小児科医、そして俺…

 

『世界で1番のドクターになって』

 

小姫が壊れたラジカセのように繰り返しその言葉を言い続ける。

 

俺にとって、当時この言葉は信念であり同時に呪いであった。

 

世界で1番のドクターになる…俺はその為に1度は小姫を諦めた、諦めなければ小姫を裏切る事になると思ったからだ。

 

檀正宗が小姫のデータを消す、今見ても俺の中で何かがざわつく。

 

決心してこの場にやってきたとはいえ小児科医がここにいてくれなかったら俺の心は折れていただろう。アイツの存在はこの場において最も重要だった。

 

 

《この時何を抱いた?》

 

→檀正宗への憎しみ

→百瀬小姫を助ける事ができない哀しみ

→前へと進む事を選んだ勇み

 

 

…選択肢が出た、しかし俺はすぐに選ぶ事ができなかった。

 

選択肢の全て…この時思っていた事だったからだ、檀正宗の事を憎しみ、小姫を助けられず哀しみ、それでも前へと進もうと勇んだ。

 

「俺にどれを選択しろと言うんだ…!!」

 

思わずそんな言葉を口に出てしまう。檀黎斗の事だ、正解は1つしかない、そして間違えれば俺は消滅する事になるだろう。

 

考えろ、当時の俺はどう思っていたのか、感じていていたのか、それを思い出せば良い。

 

…俺はいつもそうだ、他者を執刀する時は揺るぎがない、だが自分自身の事となると腕が鈍る、判断が遅れる。

 

何年経とうとそこは変わらない。変わりたくても早々に変わるものではない。

 

…ああ、そうだ…思い出した。

 

自問自答したおかげで思い出す事ができた、俺が選択するべきものが。

 

「…俺は小姫を助けられなくて哀しかったんだ」

 

この時はそうだった、人はすぐには変わらない。例えどんな覚悟を持っていたとしても、この時、哀しかった、辛かったという感情が決して消えたりするわけではない。

 

だから俺は全てが終わった後、小児科医を先に行かせた、そして俺の心は耐えきれなかった。

 

俺の涙に呼応するように雨が降り始め、生まれて初めて俺は膝から崩れ落ち、この日俺は涙にピリオドを打ったんだ。

 

『イベントクリア!!』

 

俺は現実に戻されると呆然と少しの間だけ立ち尽くした、当時と同じように。

 

「…切り替えなければな」

 

イベントはクリアしたがまだ終わりではない、次に向かわなければならない。

 

…足が重い、このゲームを進めれば進む程、過去の記憶が俺の足を絡め取る。

 

乗り越えた筈の過去が俺を…

 

俺は頭を横に数回程振った後歩き始める、このままではいつまで経っても変われない。

 

…開業医に「変わってて欲しいか?」などと言ったのにも関わらずこの様か。

 

変えなくては…俺の運命を、小児科医がよく口にしていた「俺の運命は俺が変える」という言葉。

 

アレがいかに難しい事なのか、今になって分かる。小児科医は何度も運命を変えてきた、俺もそうだ。

 

…改めて俺はやる、4年前も8年前もそうやって来た、再び俺はこの問題に向き直さなければならない。このゲームを経てな。

 

俺が次に向かった場所はここだ、ここしか無い。

 

聖都大学附属病院から徒歩数分という公園だ。ここは4年前小姫と最後にあった場所。

 

思い出があるとすればここしか無い。

 

「…あまり気は進まないが」

 

先の2つの事もありガシャットを起動をする為の手が鈍る。

 

1度俺は息を大きく吐いた後、ガシャットを起動する。

 

音声が鳴り響き、俺は3度目の灰色の世界に訪れた。

 

この日、俺の心はズタズタにされた、檀黎斗の策略により小姫が一時的に復活しラヴリカに洗脳されていた。

 

洗脳されていた彼女は俺に対して正論を突きつけた、彼女を1度は諦めた事、何もしなかった事。

 

否定できない事実だった、だからこそ俺は何も言えなかった。

 

開業医は自分の過去に決着をつける為、文字通り死ぬ気でクロノスとなった、俺も小姫も救おうとしてくれた。

 

奴には感謝をしてもしきれない、口下手な俺はそれを口に出したことはないが心の中ではずっと感謝をしている。

 

『…ずっと応援してるよ』

 

…これが小姫が洗脳状態から解かれ、俺に掛けてくれた最後の言葉。

 

彼女の言葉に答える為に俺は4年間向き合って来た、いや…つもりなだけだったのかもしれない。

 

もしそうでなければ小姫も消滅してしまった患者も治療が完了し元の生活に戻っていたかもしれない。

 

《この言葉を聞いて貴方はどう思った?》

 

→必ず小姫を取り戻す

→もう2度と悔やまない

→世界で1番のドクターになる

 

 

俺はこの選択肢を見て『必ず小姫を取り戻す』を選択し掛けた、だがそれは安直すぎやしないかと疑問に思った。

 

いや、自分の事なのだから安直も何も無いが、当時の俺は本当にそう思っていたのか。

 

…そもそも小姫を取り戻すというのはこの時に思っていた事ではない、彼女が消滅してしまったあの日から少なからず思っていた事だ。

 

つまり他の2つに比べこの選択肢は決定力に欠ける。

 

『世界で1番のドクターとなる』…これも同じだ、この時を境に改めて思う事ではあるが俺のこの信念はこれより以前から揺るぎない。

 

…となると、2つ目『もう2度と悔やまない』これが当時の俺がこの時に感じていた事だ。

 

そうだ、俺はこの日から真の意味で小姫を助ける意味を理解した、過去に縛られず己の道を踏み出すきっかけになった。

 

自分が進むべき道を正しいと、小姫が今でもそばにいて支えてくれているのだと分かったからだ。

 

『イベントクリア!!』

 

音声が流れ、俺は現実へと戻ってくる。3度のイベントを経て俺は小姫に対しての想いを再度確認できた。

 

しかしどういう事だ?あの檀黎斗のゲームにしてはまとも…むしろこちらにとってメリットがあるようにしか思えない。

 

姫との絆を紡ぐ…奴らしからぬゲーム条件、しかし甘い蜜には必ず罠が仕掛けられている、特に檀黎斗という男ならば尚更。

 

そう考えているとガシャットが光り、どこかを指し示すように光の線が出現する。

 

「今までとは違う、これが最後という事か」

 

最後に待っているものは何か、それが何であろうと俺は切り開き進む、それが俺の執刀だ。

 

早足で光の線を辿ると、ある場所に行き着く。

 

「…再生医療センター」

 

何故ここに……俺と小姫との思い出がある場所とは思えない。

 

ここに小姫と来たことは1度もない、俺自身最後に訪れたのは3年前、何か俺にも出来ることはないかとここに来た。

 

勿論、管轄外の俺が手伝える事など何も無い、ただ見ていることしかできなかった悔しさと不甲斐なさ、それは今でも感じている。

 

「檀黎斗の当て付けという事か」

 

奴らしい、最後の場所が…俺が小姫に対して何もしてやれなかった場所だとは。

 

俺は歩き出す、この施設の中に奴が残した『ゴッドマキシマムマイティX』と消滅してしまった人達のデータが保存された『プロトガシャット』がある。

 

恐らく最後のイベントはそこにある。

 

俺が中に入ると職員が俺に気づく、俺の顔はここにもよく通っている為、ちょっとした手続きを済ませば入る事を許された。

 

「…ふぅ」

 

ここに入ると少しばかり体が重い。足、腕と来たら次は体全体か…

 

今日はつくづく体に悪い日だ、明日が休みでよかったと思う日が来るとは。

 

ここを任されている八乙女紗衣子も今日はいない、明日の準備とやらでな、逆に都合がいい。

 

檀黎斗の名を出すと彼女はあらか様に機嫌が悪くなるからな、かく云う俺もあまり奴の名を出したいとは思わないが。

 

「…ここか」

 

俺の目の前には『ゴッドマキシマムマイティX』と10種の『プロトガシャット』、それらは複数の配線によって繋がっており今も尚ここの研究者達の手によって研究が進められている。

 

これだけの設備、これだけの優秀な人材、それらを持ってしても檀黎斗という人間1人の才能に辿り着くことができない。

 

奴は最低最悪の男だ、だが同時に才能を認めざる得ない、紛れもなく奴には神の才能があった、いやあるという現在進行形にした方がいいのだろう。

 

俺はプリンセスコネクトガシャットを手に取ると光り輝くソレのスイッチを起動する。

 

ここが最後、これで俺のオペは完了する。

 

 

 

俺が目を開くと、広がる風景は異なっていた。

 

「…どこだ、ここは?」

 

見知らぬ土地…俺の記憶が正しければこのような場所に1度も来た過去はない。

 

現実の世界とは言い難い、ファンタジーのような世界観をしたゲームエリアだった、何故最後がこのような場所なのか今までの流れからは想像もつかない。

 

「…なんだ?」

 

俺の前に人影が1つ、それは見知らぬ少女だった。

 

歳は十代前半、黒いロングの髪に開業医のように前髪の一部分が白い、メッシュのように見えるが恐らく違う、アレは地毛だ。

 

開業医もそうだが過去に強いストレスを受けると髪はああやって白くなる、あそこまで一部分に集中するという話はあまり聞いた事がないが。

 

更に目を引くのは見た目、別の世界の魔法使いを思わせるような風貌はコスプレというものだろうか、それに頭には猫の耳、尾骶骨あたりから本当に猫の尻尾まで生えている。

 

「君は…」

「あたしは姫を守る守護者…外敵であるあんたを姫には近づけさせない」

 

『インフェクション!!ザ・バグスター!!』

 

「バグヴァイザー…!!」

 

彼女は檀黎斗が用意したバグスターという事か、バグヴァイザーを使い、バグスターの怪人体へと変貌する。

 

「術式レベル2…変身!!」

 

『タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!!』

 

俺は仮面ライダーブレイブとなりガシャコンソードを構えて飛びかかる、奴は先端に本が取り付けれた杖を召喚し応戦する。

 

何度か弾き合いをしたが相手の方が1枚上手、ソードを弾かれ何度か俺は殴りつけられて吹き飛ばされる。

 

「くっ…強い…っ」

「違うわ、あんたが弱いのよ」

 

奴は杖をこちらに向けて挑発をして来る。

 

「あんたは偽りの仮面を付けてる、だから弱いの」

「なに?…ぐぁぁっ…っ!!」

 

奴が魔法を唱え、闇色の雷が俺に降り注ぐ。数多の雷が俺の体を貫き、電流が走る。

 

「ぐぅ…俺に偽りの仮面だと…?」

「そう、あんたは過去に仲間を裏切った。裏切ってまで大切なものを取り戻そうとした」

 

そうだ、俺は当時の小児科医達を裏切った、だが

 

「大切なものを取り戻す前に俺はドクターだ、人の命を救う事が最優先であり、それが小姫との約束だった!それが間違っているというのか!!」

「間違ってはいないわね、でも今のあんたはどうなの?」

「なんだと?」

 

奴は再び魔法を唱える、今度は球体の雷エネルギーを複数生成し俺に向かって放つ。

 

何度かはソードで切り裂く事ができたが右肩、左脇腹と次々と被弾し俺は吹き飛ばされる。

 

「今のあんたは何かしてあげたの?小姫さんに対して何かを」

「…ぐっ…」

 

俺は這いつくばりながら考える、4年前も似たような問いを投げ掛けられたことがある。

 

小姫に対して俺は何もできていない事は事実だ、だがそれでも小姫は応援してくれると言ってくれた、その言葉が俺をまた前に進ませてくれた。

 

「…それの…何が悪いって言うんだ!!」

 

俺は叫びソードを構えて立ち上がり斬り込む、しかし奴は簡単に杖で弾き、俺の腹部に一撃、杖を打ち込む。

 

3歩程俺が後退すると、その隙に至近距離から雷弾を発射し俺は大きく吹き飛ばされてしまう。

 

これは檀黎斗が仕掛けたゲーム…俺の過去を徹底的に調べ上げ、俺が最も苦しむ部分を突いてくる。

 

乗り越えた過去も進むべき未来も奴が再び試練のように頑固たる壁として用意する。

 

だからこそ俺は4年前に覚悟を決めた、過去の鎖を断ち切り、未来へと進む覚悟を。小姫の応援が何よりの証拠だ。

 

「…俺は…そういった過去を断ち切った、俺に切れない…ものは…無い…!!」

「…それが間違ってるって言ってんのよ」

「…なん…だと…?」

 

俺が…間違っているだと?

 

根本的なところを打ち崩されるような感覚だった。何故ならば、だとするのならば…それは…4年前から間違っていたと言う事になるからだ。

 

いや、下手をすれば8年前、小姫を1度は諦めてしまったあの日からずっと、俺は間違い続けてきたことになる。

 

そんな事はあり得ない、あり得てはいけない。あり得てしまったなら…俺は…

 

「…俺は…乗り越えていなかった、というのか?」

「乗り越えた、乗り越えてなかったっていう問題じゃないのよ、あんたは」

 

奴は巨大な雷弾を出現させ、こちらに放ってくる、俺はそれを確認後すぐに飛び退き回避を試みるもあまりにも巨大で強大な1撃は俺の体を吹き飛ばした。

 

「ぐっ…がはっ…くっ…」

「…あんたはあたしと似てんのよ、素直じゃないし自分の使命に囚われてる」

 

吹き飛ばされうつ伏せで倒れる俺に近づきながら話を進める。

 

「誰も彼も心のままには生きられない、そんな事は分かってる。だからあんたは自分に嘘をついてる、無意識の内に」

「…っ…!」

「俺に切れないものはない、あんたはそう言った、でも本当にそうなの?」

 

…俺に切れないものはない、昔から俺が俺である為に口に出していた、口癖だ。

 

未来に進む為にと過去を断ち切り、その癖自分は何も出来ないと勝手に決めつけ、何もせずただ待ち続けるだけの日々。

 

それが切り捨ててまで掴んだ未来なのか?…違う、俺の望むものはそうじゃない。

 

「ブレイブなんて大層な名前よね、今のあんたには勇敢さなんて1つもない、暗闇の道を突き進む勇気なんかないのに」

「俺は…っ」

 

…そうか、単純な事だった。小姫を諦めてしまった過去も、共に歩む未来も、小姫も含めた消滅者の復活を願う今も

 

「ん?…答えは出たのかしら?」

「……ああ…そうだ…切り捨てる必要はない…今も過去も…未来も…俺が全て『縫合』する!!!」

 

答えは決まった。俺は…消滅してしまった人達も含めて必ず俺が…俺自身が救い出す!

 

俺自身が何も出来ないからやらないのではない、やらなくてはいけない。

 

ゲーム病治療だって初めの頃はそうだった、俺はゲームなんて一切出来なかった、それでも俺はオペであることに変わりはないと出来ないこともやってきた筈だ、

 

なら今回だって同じだった筈だ。俺はきっと心の中で少なからず諦めていた。

 

「へぇ、それがあんたの答えね」

「ああ、もう待つのはゴメンだ、俺が小姫を迎えに行く、傲慢だろうと身勝手だろうと、これが俺の…縫合だ」

 

俺は懐からタドルレガシーガシャットを取り出す。

 

「術式レベル150(ワンハンドレッド フィフティー)

『タドルレガシー!!アガッチャ!辿り着いた世〜界!神々〜のレガシー!!』

 

俺はタドルクエストに更にタドルレガシーガシャットを挿入する事で俺はタドルクエスト レガシーゲーマーレベル150へとレベルアップする。

 

「繋ぐ…ね、あたしもそれで救われた」

「そうか、ならそれが正しいと今、証明してやる」

 

ガシャコンソードを手に俺は連続剣撃を仕掛ける、杖と剣が交わり、火花を散らす、攻めは俺の方が有利、徐々に押し始め奴の体に何度か剣撃が当たる。

 

「これならどう!!アビス・バースト!!!」

「はぁ!!!」

 

俺は片手を前に突き出すと翼の生えた盾を召喚、それが奴の魔法を全て吸収し翼をはためかせると1つ1つの羽が攻撃となり猫型バグスターを攻撃する。

 

「俺は仮面ライダーブレイブ…小姫を救う…真の勇者だ!!」

 

俺は大声で叫んだ、自分自身を鼓舞するように。

 

この歳になってこんな事を叫ぶことになるとは…だが勇気が湧いてきた。心の奥底からふつふつと。

 

「見せてみなさい!!あんたの勇気を!!!」

『ガシャット!キメワザ!タドルクリティカァル!!フィニィッシュ!!!』

 

彼女の言葉と同時に俺はソードのスロットにレガシーガシャットを挿入。

 

炎熱をソードに溜め込み…

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

彼女の放つ魔法を斬り裂き進み、炎熱剣を彼女の腹部に当てる。

 

「はぁ!!!!」

 

そしてすれ違うように腹部を斬り裂きエフェクトが飛び散る、俺の背後でバグスターは爆発を起こす。

 

爆炎の中から怪人体から人間体に戻った少女が転がり出てくる。

 

「…」

 

俺は変身を解かないまま彼女に近づいていく。

 

「まさか俺がバグスター…それも君のような少女に教わる事になるとはな」

「今まであんたは我慢して切ってきたんだから……頑張って繋ぎとめなさい」

「…ああ」

 

俺がそう言うと猫耳少女は淡い光に消え、代わりにそこにいたのは…

 

「小姫…!!」

 

倒れている小姫に駆け寄り、俺は抱き抱える。

 

「小姫…小姫なのか…!?」

「飛…彩……ずっと…見てたよ…」

 

小姫はそう言って笑った、ずっと見てた…あのバグスターの少女の中に小姫はいたという事か。

 

「…飛彩は強くなった、昔よりずっと」

「…今の俺がいるのは今まで出会ってきた数々の関わりのおかげだ、ソイツらにも感謝しなければならない」

 

俺は彼女に微笑んだ。変わっていくものと変わらないもの、ソレが俺の心に確かにある。

 

「俺はもう、自分には何もできないからといって諦めたりはしない、小姫も…消滅してしまった人達も、必ず俺が救う。わがままだろうと俺はそう決めた、心のままに生きてみると」

「…うん、飛彩ならできるよ、だって世界一のドクターだもん」

 

ああ…やはり小姫の口から直接この言葉を聞くと、俺はちゃんとドクターをやれているのだと実感できる。

 

そしてまた、俺は1つ成長することができた、これから先もきっと、俺は曇り空を晴天に変える努力を惜しまないだろう。

 

いや…俺の心には2度と雲がかかる事はない。

 

『GAME CLEAR!!』

 

俺の決意に呼応するように音声は鳴り響き、終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ー次回の仮面ライダーエグゼイドは!!ー

「ポッピーは…僕にとって…」

────迫られる選択!!

「…バグスターにも心があるから」

────永夢が導き出した答えとは!?

「僕が…ポッピーを…差別してるって言うのか…っ!?」

────永夢の運命は!?

ー次回『自分を変えるDestin!!!』
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