プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン 作:古賀コーラ
私は既にランドソルに辿り着いてから約3ヶ月程度の月日が経っていた。
私の世界と同じく1ヶ月が約30日だとするならばだが。
コッコロいわくこの街ランドソルは、ただの通過拠点でしかないとの事だったのだが結局長居をしてしまった。
そもそも私達の目的とは何なんだ?という根本的な部分が明らかになっていない。
私はなぜこの少年の体に憑依しているのか、この少年の目的は何なのか、どうすれば元の世界に戻れるのか、それすら分かっていない。その為、無闇やたらに行動するのは控えるべきと判断しこの街にとどまっている。
さて、この3ヶ月間では私はさまざまな人物と出会ってきた。
類似点としてはその殆どが女性であったという事くらいか。
そんな事があり得るのかと私は考えた。これもまたこの肉体の持ち主の才能ともいうべきか、あまり面倒毎に巻き込まれるのは好ましいとは考えていない私でもこの肉体が勝手にその方向へと出向いてしまう事が多々あった。
結果として私の交友関係はその女性達を繋いだ。
頭の隅に引っかかる「仲間を信じなさい」という言葉…何やら誰か神がかり的なものの手のひらで踊らされている感覚に陥り癪に触る。
それはさておき私とコッコロはこの3ヶ月の間で「美食殿」なるギルドに所属し活動する事となった、メンバーは初期に出会ったペコリーヌ、キャル、コッコロそして私だ。
経緯は流れのように決まった為、あまり深い理由はなかった筈だ、この街ではギルドと呼ばれるものに所属する決まりがあるのだとか何とかでな。
このギルドの目的は「食べ歩き」適当に集まり、適当に街中で店に入り食事をするというなんともまぁ平和的なギルドだった…最初のうちだけはな。
どういう事かというなら、活動を開始して間もない頃、ペコリーヌが幻の食材なるものを探すと言い始め、危険なダンジョンに足を赴く事が多くなり結局「食べ歩き」というよりはただの冒険者ギルドとなった。
私としてもこの世界での経験はゲーム作りに活きると考え、拒まなかったが…最初期はこの身体の体力の無さを痛感し後悔したこともあった。
そのような事もあり私は自身の体を鍛えとりあえずは1人で物事をこなす事は容易となった訳だが、まだまだ厳しい所がある。
反射神経やら何やらは私の精神だからかある程度は補えるのだが体がまだ追いついていない、故に戦闘面ではまだまだ万全とはいかない。
そこで私は考えた、それを補う為にもゲーマドライバーを製作しようと。
しかしその際に問題が発生した、それは何か
「ゲーマドライバーが作る事ができない…」
素材が無いだとかそんな事ではない、神の才能がある私にとってはそんな問題は無いに等しい。
では何か、それは「作るという事自体が不可能」という事だ。
この世界ならば十二分にも作る事は可能なはずだ、魔法という便利な素材もある、それなのに何故作れないのか。
答えは簡単だ、この世界にゲーマドライバーは「初めから設定されていない」
武器、衣服、食事、建築物…それら全ては職人が知恵を絞り考え、オリジナルで作られている様に思えるが、しかしそれらは全て初めから設定されているに過ぎない。
つまりどういう事か…ふむ、ゲームで例えるのならゲーマドライバーという物体は初めから「実装されていない」と置き換える方がわかりやすいか。
だからこそ素材があろうがそれを作るだけの技術があろうがこの世界では作り出すことはできない。
まさかこんな形でこの世界の真相を掴むことになるとは…いやはや私の才能には恐れ入る。
そして同時にその可能性を導き出す事が今の今まで出来なかった事に腹が立つ。
「…間違いない、この世界は『ゲームの世界』だ」
ゲームに携わり、ゲームを統べるといってもいいこの私が言うのだから間違いない、ここは仮想現実世界だ。
限りなくリアルに近いがそうではない世界…私が生み出した「幻夢VR」に匹敵する程の精巧かつとてつもない技術で生み出された世界。
こんな世界を作れるだと?私以外の人間が…断じて許せない…!!
とはいえだ、この私がこの世界で何も出来ない、というのは些か不愉快だ。
それにこの世界がゲームの世界というのであればそれを逆手にとってやる。
まずは…バグが必要だ、この世界にはいくつか綻びがあることはこの3ヶ月の生活で分かっている。
確か「シャドウ」といったか…奴らを利用させてもらおう。
…
ー王宮 王の間ー
「…?」
玉座の間に座る1人の女性…いやそのものに性別など意味をなさないのかもしれない。
その人物は狐の獣人の姿をしていた、白髪で白を基調とした衣装を身に纏う20代後半の人間。
「何かしら…シャドウの方で何か違和感が…」
その者は眉間にシワを寄せる、何か想定外のことが起きたからだろう。
「…この世界に何か異物がいるのかしら…」
そう言って怪訝そうに天を見上げるのだった。
…
「やはり…私は天才だ…っ!!!ヴァーッハッハッハ!!!アッハッハッハッ!!」
シャドウをとっ捕まえ、ハッキングを掛けた。
どうやってだと?私を誰だと思っている、いや正確には私の存在というものがどういったものなのかだ。
私はこの少年の体に憑依した精神体だ、だが基本は「バグスター」だ。
それも個体ナンバー9610、檀黎斗ネットワークを統治していたブレイン中のブレイン。
電子ネットワークの中で発達したバグスターが電子ネットワークの世界で出来ないことなどない。
カラクリさえ見抜いたこの世界でハッキングを掛けること自体は容易い。
ただ…
「思ったよりも複雑ではあったな…というよりこのゲーム世界内からのハッキングでは私の才能を持ってしても全てを掌握するのは不可能だ」
それにこのバグの存在であるシャドウ自体も不安定すぎる…逆に何故存在しているのかさえ疑問に思うレベルだ。
とにかく私が今やったことは私の…檀黎斗9610のデータネットワークに存在するゲーマドライバーやガシャット、バグスターなどのデータを無理やりシャドウに流し込んだ形となる。
簡単に言えば不正なデータをこのゲームに流したという事だ、正直その影響でこの世界に何が起こるかは見当もつかないが私にとっては些細な問題だ。
後は正常にこの世界で動くかどうか…試してみなければならないな…
私は早速行動を開始する。
ー翌日ー
「あの…主さま…?」
「クックック…できた…出来たぞォ!!わたしのガシャットとゲーマドライバーがぁ!!やはり…私は天才だぁ…!!何度でも繰り返してやる…私は…ッ天才だぁ!!!!ヴァーッハッハッハ!!」
私の手元には既にゲーマドライバーとマイティアクションXのガシャットが存在した。
先日まではこの世界に存在することさえなかった不正のアイテム達…永夢そして檀正宗、私はこの世界にて原初のバグスターになる事が出来たようだ。
「それは一体何なんでしょうか?」
「これかい?これは私の戦闘力を補助する優れものさ、このまま君達の足を引っ張るような真似はできないからね」
私はガシャットをコッコロに見せびらかしながら答える。
「足を引っ張るなどとそんな…!主さまがいるだけでわたしく達はパワーアップ致します、それだけでも主さまの存在は欠かせないものです」
「それでも人並みに戦えるようになった方がいいだろう?」
そう、人並みに…だ、今の私の戦闘能力はこの世界基準ならば下の下、更に能力を使っている最中は更に落ちると考えるとこの力は必要になる筈。
恐らくだが私がこのマイティアクションXで変身したとしても劇的なパワーアップは見込めないだろう、あくまで戦闘を補助する程度だ。
コレは下手をすればこの世界に異物、エラーとして認識されかねない代物。
今手元に存在するのはこのマイティアクションXのみ、理由としては他のガシャットをシャドウに読み込ませる前にシャドウは消滅してしまったからな。
そもそも不正な大量のデータを読み込ませた場合、とてつもない程のバグが生まれこの世界そのものが歪みかねない。
もし仮にこの世界が「幻夢VR」のような物だと仮定して、コッコロやこの少年がプレイヤーでゲームシステムに繋がれている場合、その際の歪みで脳の神経系が焼き切れるなどというリスクがある。
それだけは流石の私でも避けなければならない、私がゲームというものにおいてそこまでのリスクは犯せない。
「さて…とコッコロ、少しコレの試運転をしたい。付き合ってくれるね?」
「勿論でございます」
「よろしい、では行こうか」
私達はランドソル近辺にある平原へとやってきた。
勿論、報酬の出るクエストを受注してある。
「主さま、ここら辺一帯に出るといわれるウッドソウルやゼラチナなどの掃討が今回のクエスト内容でございます」
「まぁ、かなり難易度の低いクエストではあるが、試運転には丁度いい相手だろう」
「…む、主さま、既に周囲の魔物の気配を感じます、どうかお気をつけて」
コッコロが風と共に槍を出現させ構えをとる。周りを見れば十数体の魔物の群れが私達を取り囲んでいた。
「よし…試運転開始だ」
私はまず自身の腰の鞘から剣を引き抜き地面に突き刺す、その後ゲーマドライバーを腰に装着しガシャットのスイッチを入れる。
『マイティアクションエェックス!!』
いつものようにタイトルロゴが私の背面に…ん?
「ロゴが…乱れている…?」
…少し思考した後、結論が出た。それもその筈、この世界ではコレは異物、バグアイテムだ、表示が乱れるのは当たり前か。
「これは…一体…?」
コッコロがそれを見て目を丸くしている、ふふ、そうだもっと驚くといい。
「グレードゼロ…変身」
『ガシャット!!ガッチャーン!!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マ〜イティアクショ〜ン!エェックス!!』
セレクト画面から投影されたマイティのイラストに包まれることで私の姿は仮面ライダーゲンムレベル0の姿へと変身する。
「変身は…何とか出来るようだな」
ジジ…ジジジと変身した直後は私の体、ゲンムの鎧がまるで砂嵐のように一部乱れる。
これも恐らくバグとして認識されているからだろう。
私は傍の剣を引き抜き構える。
この世界に送ったデータはこのプロトマイティアクションとゲーマドライバーのみ、ガシャコンアイテムは残念ながら送っていない為、私の武器はこの剣だけだ。
「なんと…主さまのお姿が変わりました…なんと凛々しい…」
「まずはコッコロ、君に強化をかける、それで私の体調にどう影響を及ぼすか試す」
私はいつも通り味方を強化する能力を使う、よし、体への負担がだいぶ減っている、これなら満足に動くことができるな。
「さて、後はどれほどの力が発揮できるか…運動性能を試させてもらう…はぁ!!」
私は前進し斬り込む…見える、奴らの動きが手に取るように、動体視力、筋力、肺活量など全てにおいてのパラメータの数値が上がっている。
襲い来る魔物を斬り裂き、叩き潰し、引きちぎる。
「主さま…見違える程お強く…!」
コッコロも周囲の魔物を相手しながら私の活躍を見ていた。
「これも試してみよう」
『ガシャット!キメワザ!マイティクリティカァルストライク!!!』
私は少し走った後そのまま真横、水平方向に飛び蹴りをするとキメワザの力によりジャンプと同時に加速し膨大なエフェクトを撒き散らしながら魔物を蹴散らしていく。
そして着地と同時に私の後方で爆発を起こし、それに巻き込まれた魔物達は消し飛ばされる。殲滅完了だ。
「よし、上々だな、特に不具合もなく掃討出来た」
『ガッシューン…』
私は変身を解除しコッコロに近づく。
「主さまのそのお力は一体なんなのでしょうか?アメスさまからの託宣でもお聞きになったことがない力です」
「ん?これはガシャットと呼ばれるものさ、簡単に言えば私を強化するアイテム、さっきも言ったが私としても私自身が戦えなければ意味がないからね」
「凄まじいお力です、これならば味方を強化する力と相まって百人力でございます」
とはいえ、このガシャットを使ったとしても私の実力はコッコロよりも頭一つ分抜けた程度でしかないだろうな。
馬鹿みたいに強いペコリーヌや魔力全開のキャルのような存在を相手に想定した場合、一対一ではまず勝てないだろう程度の実力でしかない。
彼女達をライダークロニクルのレベルで換算するのならペコリーヌはレベル100、キャルはレベル80、コッコロはレベル30程度の実力だろう。
私はレベル0…数値で見るのならレベル40かそこらのパラメータだ、これらは全てパラメータのみでのレベル換算だ、ここから個々の戦闘能力や何やらで変動はする。
例えるならレベル5でレベル30を倒した鏡先生やレベル50でグラファイトやクロノスなどと戦い抜いた花家先生がいい例だろう。戦闘能力というのは簡単にレベルやスペックで測り切れるものでは無い。
「これはあくまで私の補助、コッコロの期待に添える程実力が跳ね上がったわけではない」
「ご謙遜を…はぁ…♡先程の主さまはとても雄々しく勇しく…わたくしは主さまを更に深く尊敬いたしました」
全く困った娘だ、私が何をしようと何を発言しようともこの子は肯定してくる。
私としてもそれは嬉しい事なのだが、1ヶ月間毎度の事コレだと流石に調子が狂うし面白味は何もない、まぁ言って直るものでもないだろうから諦めるしかないが。
「さて、私達のやる事は終わった、街に戻ろう、確か午後からは美食殿の集まりがあるのだろう?」
「その通りでございます。この後はペコリーヌさま達との食べ歩き…というより今回は樹海にあるといわれる幻の果実を取りに行くとのこと、飛空挺の手配は既にしてあるとペコリーヌさまは仰っておりました」
「そうか…それはまたキャルが嫌がりそうな内容だな、私としてはこのガシャットの戦闘データを調整できるからな、申し分ないな、」
私達は適当に魔物達から素材を剥ぎ取り、素材を入れる袋に詰めて街へと戻る、美食殿の活動する為に。
次から本筋っしょ〜!!
暇があったら番外編したりするかもしれないです。
ちなみに女の子達との出会いはキャラエピとほぼ変わらなく黎斗ムーヴをしているって考えて貰ってもいいです。