プリンセスコネクト!リ・ダイブゥゥゥゥゥゥゥン!!!(ガッチョーン   作:古賀コーラ

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本編はい、よーいスタート


動き出す歯車

 

 

私達がこの街に辿り着き3ヶ月と少し

 

遂にこの日がやってきたというか何というか…

 

「すみません主さま、わたくしの里から持ってきていた路銀が底をついてしまいました」

「いや、むしろよく持った方だよ」

 

私はこの3ヶ月でちょくちょくアルバイトをし小遣い稼ぎをしていた。

 

それは何故かと疑問に思う声もあるだろう、この檀黎斗がアルバイトというものをする姿が思い浮かばないと。

 

それは違う、私はやらなければならないと思った事は必ずする、それはアルバイトでもだ。

 

それにより生活資金から宿泊代までをギリギリ支払ってこれたのだが…

 

「これから先はわたくしも働きに出ようかと思っております」

「まぁ待てコッコロ、別に君が働く必要はない、私がまた違うバイトでも探せばいいさ」

「しかし…」

 

私としても私の関係者でこの様な小さな少女に小遣い稼ぎをさせるというのも何か引っかかるものがある。

 

「ではご一緒に仕事を探しましょう、あそこの掲示板の張り紙にはわたくし達がいつもギルドで受ける依頼とは別の仕事ができるかもしれません」

「ああ、あれか、私も何度か活用させて貰ったことがあるよ。行ってみようか」

 

私達は目の前にある巨大な掲示板に向かって歩みを進める。

 

今日はやけに人が多いな…人をかき分けてまで張り紙を見に行こうとはあまり思わないからな、取り敢えずどこか空いたスペースに…

 

「あ、あわ…あわわわわっ!?」

「ぐあっ!?」

「主さま!?!?」

 

な、なんだ!?し、視界が急に暗く…!!?

 

咄嗟に後頭部を片手で守ることは出来たがどうやら私は転倒してしまったようだ、そして今顔面に何かが乗っている。

 

「あいたたた…やっぱり1人でこんな高い所に張り紙なんて出してはいけませんね、私ったらまたドジをしてしまいましたぁ…」

 

この声、そしてこのドジムーブ…間違いない。

 

「おいスズメ、いい加減私の顔面からこのお尻をどかしてもらえないか、息がつまる」

「ひゃいっ///い、いきなりお尻の下の方でモゴモゴと…ってひゃぁぁぁ!!?く、くくく黎斗さん!?も、申し訳ありません!!こんなはしたない体勢でいつまでも!!」

 

私の顔面に乗っていたスズメは顔を真っ赤にさせながら即座に立ち上がり私から離れる。

 

「あ、主さま…大丈夫でございますか?」

「ああ心配ない、慣れている」

 

スズメのドジに巻き込まれるのはもう両手で数えられない。

 

「ところで…主さま…スズメと仰っておりますが…お二人は知り合いなのでございますか?」

「ああ以前に少しな」

「そうなんです、前に一度親切にして貰ったんですよ」

 

親切というよりは彼女の場合、私は巻き込まれた形に近いが。

 

「スズメ、何故君がこんな所に?張り紙…つまり求人をしているんだ?」

「そうなんです!…まぁ黎斗さんならお嬢様がどんな方か想像がつくと思いますがケ…倹約家な人なのでこういったアルバイトのようなもので資金を調達しようという考えなんです」

「だがしかし彼女は君のドジを警戒して仕事ができる他の人間を募るようにとこの張り紙を出してこいと用意させたんだな?」

「うう…黎斗さんには全てお見通しなんですね…」

 

スズメ1人で仕事をさせるなどむしろ出費の方が多くなる可能性が高いからな、賢明な判断だ。

 

「あ、そうです!興味がおありなら黎斗さん、どうですか?黎斗さんがいてくれるのなら百人力ですよ!!」

「そうですね…引越しのお手伝いですか…報酬の方もかなり良いようですし…主さま如何いたしましょう」

「ふむ…悪くないな、それにスズメが心配だ、下手をすれば人死にが出るかもしれない」

「そ、そこまで酷くありませんよ!!?」

 

私達はスズメの案内で仕事先となる現場に向かう為、馬車に乗り込むことになった。

 

その道中

 

「コッコロちゃんって言うんですか〜可愛いですね〜黎斗さんの妹さんですか?」

「い、いえ…わたくしは妹では…わたくし、黎斗さまの従者でございます」

「従者…?黎斗さんってお嬢様と同じ貴族なのですか?」

「いいや、私はしがない旅人さ」

「へ〜…お二人はなんだか複雑な関係なんですね〜」

 

そんな会話をしながらようやく馬車へとたどり着いた。

 

どうやらスズメが…というより彼女の主人であるお嬢様が手配した馬車らしい。

 

彼女自身は勿論の事、私とコッコロを馬主に伝え乗り込む人数による金額を用意しているようだ。

 

数分後、私達は馬車の荷台に乗り込み、スズメは自前の鞄からサンドイッチケースを取り出しながら話し始める。

 

「す、すみません、少し受付に手間取ってしまいましたぁ…あ、これ今朝作ったサンドイッチです、お口に合うかどうかわかりませんが…」

「まぁ君が鈍臭いのは今に始まったことではないから別に大して気に病む必要はない」

「うう…相変わらず黎斗さんは辛辣です…」

 

私とコッコロはスズメが用意したサンドイッチに手を伸ばし口にする…ん?これは…

 

「…おや?このサンドイッチ…独特な風味でございますね」

「あ、あの、口に合わないようでしたら無理に食べなくても大丈夫ですよ?」

「いえ、わたくしがこの地域の味付けに不慣れなだけでしょう、主さまは食べておられますし」

「いやスズメ…このドレッシングは自作のものだろう?おそらくその調味料を間違えている」

「へ…?ま、まさか…」

 

そう言ってスズメは自身で作ったサンドイッチを頬張る。そして顔が青ざめ始め…

 

「あう…や、やってしまいました…すみません!!お二人共、無理に食べずに吐き出してくれても構いません!」

「…別に食べられないという程悲惨なことにはなっていない、それに私達は食事に対価を支払う程のお金も持ち合わせていない、これ以上の贅沢は求めないさ」

「ふふ、主さま…っとおや?」

 

私達が食事を進めているとコッコロが何かに…

 

「わたくしの食べかけのサンドイッチが何処かに…主さま何かご存知ありませんか?」

「…どうやら私達以外にも客がいるらしいな」

 

私はそれに気づき、座った状態である一部分…私の正面にある木箱を思い切り蹴り込む。

 

「グエっ!!?」

 

木箱は少しだけ開いておりその部分を閉めるように蹴り込んだ、するとまるで何かが挟まったかのような感触を足で感じ、辺りに珍妙な声も響く。

 

「い、いきなり何するんだ!!ゲホッゲホッ!無茶苦茶だな!?」

 

 

出てきたのは少女だった、それもコッコロと変わらない年齢くらいの少女、私がこの3ヶ月で出会ったことのない見知らぬ少女だった。

 

「って…ん?お前…どこかで見たことあるぞ?」

「へ?私ですか…?私はスズメですけど…」

 

彼女が木箱から出てきたと思ったら横にいたスズメに注目し始める。

 

「そう…スズメ…そんな名前だった…!ここであったが100年目…!!…じゃなくてお前、アタシの事覚えてるか!?」

「え?…えぇ…っとお初にお目にかかるんですが…ってあまり揺らさないでください〜」

 

スズメは両肩を掴まれて体を揺らされ目を回している…それにしてもコイツは何者だ?

 

「うう…どうしましょう、無賃乗車は犯罪ですし…かといってこんな小さな女の子を下ろすのもかわいそうですし…」

「小さ…っ!?アタシは小さくないぞ!!」

「犯罪は犯罪だ、小さい子供だとかそんなに甘やかす必要はない、何より私の従者の食事を奪ったんだ、それ相応の罰を与えるべきだ」

 

私は両腕を組みながら彼女に向かって言い放つ、するとようやく私たちの方へと顔を向けた彼女が目を丸くしながら私に近づいてくる。

 

「お前……お前!!!こんな所にいたのか!?全然姿を見せないから心配したんだぞ!?」

「…話が見えないな」

 

…この少女は以前のこの少年の知り合いか…?

 

「あなた…主さまのお知り合いでしょうか?」

 

そう言ってコッコロが私と彼女の間に割って入ろうとした時

 

「っお前は知らん!邪魔だ!!」

「あうっ」

「…」

 

コッコロは少女に突き飛ばされ尻餅をついてしまう。

 

「アタシは探してんだよ!お前を!「プリンセスナイト」のお前を…って…ん?」

「無賃乗車は犯罪だ、それに私の従者を傷つけるということは主であるこの私への挑発と受け取る、君には悪いがここらで退場してもらう」

 

私は少女の首根っこを掴み、そのまま馬車の荷台から放り投げようと考える。

 

「あ、あわわわわ!ど、どうしましょう!どうしましょう!!」

「お、落ち着いてくださいまし主さま!わたくしは平気です!それに馬車は動いていますし…そのまま放り投げては怪我ではすみません!」

「ちょ、ちょっと待て!!お前そんなヤバい奴だったか!?」

 

以前の少年の事など知らない、私は私だ、檀黎斗だ。

 

「っと…ん?アレは…」

 

首根っこを捕まえられ宙ぶらりんの少女が目を凝らしながら馬車前方を見る。

 

「お、おい!お前!降ろせ!!罠だ!爆裂魔法が組み込まれた爆弾がある!!」

「なに?」

 

この状況を打開しようと嘘をついている可能性もある、私は目でコッコロに合図を送るとコッコロが精神を研ぎ澄まし辺りを索敵する。

 

「主さま、前方200メートル程先に確かに微量な魔力を検知しました、彼女の言っていることは真実かもしれません」

 

200メートルか…この速度なら30秒程度しかないな、動けるチャンスはここだけか。

 

「コッコロ、君はスズメを頼んだ」

「承知しました主さま…さ、スズメさまお手を」

「へ?」

「グレードゼロ…変身」

 

『マイティアクショ〜ンエェックス!!』

 

私は変身を完了させ、すぐに前方の馬主を片腕で抱き抱え、馬車から飛び出す。するとその直後に馬車は爆発を起こし馬そして荷台は木っ端微塵に砕け散る。

 

流石に二頭の馬を助け出す程余裕はない、人命優先だ。まぁそうだなペコリーヌの言葉を借りるなら肉片は後で馬刺しにでもしてやろう。

 

私は馬主と首根っこを掴んだままの少女を抱えつつ岩陰に隠れ下ろす、コッコロも同様に近場の岩陰に隠れスズメを下ろした。

 

「お前…なんだその姿…」

「黙っていろ…これが罠だとすれば近場にそれを仕掛けた人間が必ずいる、息を殺せ」

 

私の姿を見て驚きを隠せない少女、しかし今はそんなことに構っている余裕はない。

 

「コッコロ」

「わかっております…爆発系のトラップ魔法が複数ではなく単独…となると必ずや近くに使用者が居る筈です、罠にかけ妨害する事が目的ではなく対象者を殺す事が目的の可能性が高いですから……今わたくしの風魔法で微細な魔力の流れを辿っています」

「流石は私の従者だ」

 

ちっ…こっちには名も知らぬ少女と使えない馬主、それにド緊張状態のスズメがいるとなると果たして守りながら戦えるかどうか怪しいな。

 

最善策は退避だが…こんな遮蔽物の少ない岩石地帯で3人抱えて退避するのは得策ではない。

 

コッコロが早めに敵を索敵できれば状況は変わるが…

 

「…!主さま、風上から風下の方に大量の魔力を検知しいたしました…どうやらこちらに迫ってきている様子」

「…数は分かるか?」

「正確な数までは…しかしおおよそでも20から30…」

「そ、そんなにですか!?もしかしてここら辺一帯を縄張りにしている盗賊なのでは…?」

 

…数でも圧倒的に負けているか…流石の私でも単独無双は少々難しい…

 

そうこうしている内に私達は取り囲まれている…もう逃げる事は不可能と見た方がいいな。

 

「さてと…両手を上げてその岩陰から出てきて欲しいなぁ〜別に手荒な真似をしたい訳じゃないからさ〜」

 

1人の男が言う、かなり軽装だがあの発言力から察するにこの面子の中では1番の実力者か…

 

「僕達の狙いはそこにいる『ムイミ』っていう子だけ…君達には危害は加えるつもりはないよ〜」

「…オクトー…!!」

「気安く名前を呼ばないでよ、仲良しだと思われちゃうじゃん」

 

オクトーと呼ばれた男とこのムイミと呼ばれた少女。

 

先の私やスズメへの突っかかりから察するに彼女は何かしらの記憶を保有している、だがそれは私には何も関係のない事だ。

 

ここは安全を考えこのムイミとやらを渡したほうがいいだろうな…安全を考えるのならな。

 

「忘れちゃったのかよ…!本当に何もかも…!!」

「はいはいそう言うの良いから、僕としてはそれを返してもらえれば良いだけだし、それは僕の母親から貰った大切な形見なんだ、返してもらうよ」

「…形見…お前一度もそんな事…知らなかった、そんな大切なものをアタシに…」

「言う訳ないでしょ?泥棒相手にさ」

 

その言葉にムイミが吠える。

 

「泥棒なんかじゃない!お前から貰ったんだ!!お前は忘れちゃってるかもしれないけど…本当の誕生日を知らないアタシに…お前が…『だったら今日を誕生日にしよう』って…」

「妄想の話でしょ?やめてよね〜そういう寒い話はさ」

「そうだな、そんな茶番は別にどうでも良い」

「主さま…!!」

 

この2人の会話に私が割って入り、前に出る。

 

「…んー?なにこの黒い鎧を着た変な人…」

「私は檀黎斗…神の才能を持つ者さぁ…」

「うーわ、また変な人に絡まれちゃったなぁ…」

「お、おい、お前…どうして…」

 

私の片腕を軽くつまみ話しかけてくるムイミ、それに対し私は1度だけムイミの方を向いた後、軽くため息をつきながらオクトーの方へと向き直る。

 

「君達は彼女を狙っているのだろう?名指しで狙われるという事は指名手配されている大悪党か…はたまた特別な人間のどちらかだ」

 

私は話を続ける。

 

「仮に大悪党ならば生死は問わないにせよ、このランドソルでは法律上必ず生きたまま捕縛する事が決まりだ、だからこんなコスい手で命を奪うなど到底あり得ない、ならば答えは1つだ」

 

私はムイミの頭に片手を乗せる。

 

「この娘が特別な人間だからだ、なら黙って引き渡すのは面白味に欠ける、ゲーム的にいうのならこの少女はイベントの要、簡単に捨て置けないだろう」

「ゲームって…お前…」

「ふぅん、それじゃあ邪魔するって事で…良いんだね?」

「勿論だ」

「今の声って…!!おーい!!黎斗!!そこにいるのか!!?」

 

その時だった、不意に別方向から声が響く、聴き慣れた声だ。

 

「…この声は…マコトか?」

「って、うへぇ!?く、黎斗…で良いんだよな?なんだその姿…」

「鎧のようなものだ、あまり気にするな」

 

十数人の獣人達を連れてやって来たのは狼の獣人の少女マコト、以前知り合った少女の1人だ。

 

「…また主さまのお知り合いの方…それもまたもや女の子…アメスさまの託宣通り節操無しです…ぶつぶつ…」

 

コッコロが背後で何かを言っているようだが、今は無視だ…ふむ、マコトか…これならば無傷でこの場を脱する事が出来るかもしれない。

 

「てか馬車に乗ってたのってお前かよ!!本当によかったぜ…危うく友人殺しになっちまうところだったよ」

「あなたが爆破などしなければ平和な馬車の旅だったのですが…」

「し、仕方ねぇだろ!?仕事なんだからさ!そ、それにオクトー先輩が勝手に…!!」

 

コッコロの辛辣な発言に言い訳をしているマコトだが、ここで選択を誤らなければあのオクトーとやらを丸め込みここから退避を…

 

「…!!」

 

マコトが何かを察知したコンマ数秒後に私も気付く、マコトの後方、私の正面…かなり遠方だ、変身し強化された私の視力でも見えない。

 

そこから飛んできたのは1本の矢、それがマコトの首に向かって飛んできたのだ、それをマコトは振り向きもせずに頭を左に傾ける事で回避。

 

回避したことにより私に飛んできた矢を私は右手で掴み取る。

 

「一体なんなんだ…?」

 

マコトが疑問に思っているが…この矢の挙動…私には身に覚えが…

 

「黎斗…!!また来るぞ!!お前達も!!」

 

マコトが獣人達に指示を飛ばす、その瞬間、とてつもない数の矢が私達に降り注ぐ。

 

「コッコロ!!私が強化する!!風魔法を展開しスズメ達を守れ!!」

「承知しました!!!」

 

私は剣を構え、迫りくる矢をはたき落としていく、やはり…間違いない…この矢は…

 

この矢の挙動に感づいた私は新たな局面へと移行する。

 

 




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