ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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最後の別れですっ!

戦車道チームの面々が解散した後、杏達生徒会は書類の整理などの片付けを行なっていた。

 

「こんな形でこの学校と別れることになるなんて、思わなかったね・・・・・・・もう、決議案や予算案の書類・・・・・・・いらないのかな?」

 

「できるだけ持って行くぞ、これは我々の・・・・・・・歴史だからな」

 

「この椅子も持っていくからな〜!・・・・・・迂をもって直となす、最後までできることをやろう。小山、書類作ってもらいたい大至急だ」

 

柚子は決議案や予算案の書類を悲しそうに見つめながらそう言い、桃は自分たち大洗の歴史として残そうとする。そして、杏はキャスター椅子に凭れ掛かりそう言うと

 

「会長!」

 

「任せてください!」

 

桃と柚子の二人は、笑みを浮かべる。

 

 

一方、秋人達は寮に一度戻り身支度を済ませて大洗に戻る事にした。

 

「遅くなっちまったな」

 

大洗学園の校門前についた時、校門に設置されていた【大洗女子学園高等学校】の看板は外され、取り外しに使ったとされるバールは無造作に立て掛けられていた。

学校の看板なんて普段は目にも止まらないはずのものが、それがそこに無いだけで逆に一際存在感を放っている。

文科省が看板だけ先に持っていったのか。生徒の心を折るという意味では効果的なんだろう。

戦車倉庫に向かうとそこには

 

「あ…、秋人さん」

 

みほはすでに倉庫前に来ていた。

 

「やっぱり隊長達も」

 

「みんな来てますよ」

 

戦車倉庫を前に並べられた大洗学園の戦車、そして各チームが自分達の戦車の前に集まっていた戦車倉庫を前に並べられた大洗学園の戦車、そして各チームが自分達の戦車の前に集まっていた。無論、ティーガー改もだ。

 

「ちっちゃい身体で頑張ったよな」

 

「短い間だったけど、本当にありがとう」

 

そう言って頭を下げているのはバレー部連中だ。八九式…、カタログスペックだけを切り取れば決して強いとは言えないだろうに、その活躍ぶりは最早逆スペック詐欺に等しい。

 

「お前のサンダース戦の一撃はすごかった」

 

「プラウダ戦も良かったぞ」

 

そう言い、自分達の戦車の健闘を称えたのは歴女チーム。Ⅲ号突撃砲、火力の乏しい大洗にとってその存在は頼もしく、試合の勝敗を左右する戦略の要にもなった。 

他にも大洗戦車道メンバーの各々が、自分達の戦車に語りかけている。

 

「みぽりん、日向さん、いたー!」

 

「お部屋まで行ったんですが・・・・・・こちらに向かわれたあとだったんですね」

 

「皆さんもお揃いみたいで・・・・・・」

 

沙織、優花里、華、麻子がやって来た。

 

「みんな、戦車にお別れを言いに来たんですね…名残惜しいですね日向殿」

 

「そうだな、これで戦車とも別れだからな」

 

ぽつりと嬉しそうに呟いたのは秋山だ。確かに、この光景は戦車道のなかった時の大洗から見れば想像もつかないものだろう。

風紀委員のそど子さんが大事そうに抱き抱えているあれは【大洗女子学園高等学校】と書いてあった。

 

「なぁ、あの看板って」

 

「そど子がさっきバールで無理やり取り外していた」

 

「あぁそう…」

 

バールのようなもので無理やりこじ開けたの文科省じゃなくて風紀委員だった。

 

「それで、冷泉さんはなんで枕持って来てんだ?」

 

風紀委員の所業も気になるが、麻子が何故か枕を持参して来ている。

 

「もう…お別れかもしれないからな」

 

ぎゅっと枕を抱き締めながら麻子が答える。もしかしてここで寝るつもりだったのか…。

 

「別に枕が無くてもどこでも寝れるだろ、君は」

 

そもそもここで寝るつもりだった事へのツッコミを入れた方が良いのでは

 

「眠りの質が全然違う、せっかくなら一番気持ちよく寝たいんだ」

 

違うらしい。何この睡眠に対する飽くなき欲求心、

 

「そんなにも違うものなんですか?」

 

「もちろんだ、ちなみに一番気持ちよく眠れるのは沙織の膝だな」

 

華の疑問に頷くと麻子はさらに話を進める。

 

「え?私!?」

 

「あぁ、ぷにぷにした肉感が寝心地抜群だな、もっと自信を持って良いぞ、沙織」

 

急に枕扱いされて驚く沙織に麻子はうんうんと頷いて答える。

 

「持たないわよ!それだとなんか太ってるみたいじゃん!!」

 

枕は枕でも膝枕の話ね。ぷにぷにした肉感が寝心地抜群と。

自然と視線が沙織の膝に向かうのは快適な睡眠への探求心からくる学術的興味な訳で嫌らしい意味は全くない。

 

「…太ってないよね?」

 

「いや、知らんし…」

 

だからそうやって膝を隠そうとしてスカートの裾抑えない、それで膝が隠れるとか、もうスカートがすり落ちる時だから…。

 

「えぇっと…枕は柔らかい方が眠りやすい、って事かな?」

 

「みぽりんまで!?」

 

「いや、その日の気分で固い枕が恋しくなる時もある」

 

「わかります、私も普段はドイツ戦車が好きですが、時にはイギリス戦車が恋しくなる時もありますから」

 

「なにそのおせちもいいけどカレーもね、みたいな感じ」

 

うんうんと納得したように頷く優花里だが。要はこれ、結局は麻子のその日の気分次第って事だろう。

 

「日向さん」

 

「…ん?」

 

ふと麻子が口元を隠すように抱き締めていた枕を少しだけ上げて、小さく呟く。

 

「…たまには、固い枕が恋しくなる時もあるんだが」

 

と睡眠へ対する麻子の飽くなき探求心とか、学術的興味の為なんだろう。

しかし、それにしたって麻子は、様子が妙にしおらしいというか…いつもはもう少しふてぶてしくなかった。

 

「そういや、戦車直ったんだな」

 

「あ、うん…」

 

エキシビションマッチでの最後にダージリンさんのチャーチルから砲撃をくらったはずのⅣ号なんだが。最初は夜も暗いせいで単純に見えないだけかと思ったが、こうして近くで見てみると整備されたてのようにピカピカしている。

 

「…いつの間に直ってんだ?」

 

「自動車部の皆さんが頑張ってくれましたから」

 

「最後になるかもしれないから、なるべく綺麗にしたいって、みんな戦車を直してくれて…」

 

「日向さんが来る前にみんなで戦車を洗車してたんだから」

 

見ればⅣ号だけじゃなく、並べられた大洗の戦車全てがピカピカに整備されている。

 

「おーいみんなー、これに書いていかないかー」

 

すると、倉庫の奥からスズキとツチヤが『ありがとう!大洗女子学園 戦車道チーム一同。』と書かれた黒板を持って来た。

 

「寄せ書き・・・・」

 

「本当にこれで終わりなんだもも・・・・・・」

 

「私達も行こうっちゃ・・・・・・」

 

それを見て俯くアリクイチームすると、

 

「に、西住さん、日向さん、私たちがやってるゲームとかアカウント情報、メールで送っておいたからあとで確認しておいてほしいんだにゃー」

 

「猫田さん?」

 

「ネトゲならいつでも会えるから、もし寂しくなったらいつでも参加してほしいにゃー」

 

「おお!」

 

「西住さん、日向さん、私たちいつでも待ってるぴよ!これでねこにゃー包囲網がより堅固になるずら!」

 

「んえっ!?」

 

ねこにゃーは、タブレットからみほと秋人の携帯にゲームアカウトなどの情報を送信し離れ離れになってもゲームで会おうと誘う。

 

「ありがとう」

 

「Danke」

 

そんなアリクイのみんなにみほと秋人は礼を言う。

 

「えーなになに、なんの話?」

 

「ネットゲームに誘われちゃった」

 

「あ、私も参加させてください!」

 

「みぽりん、日向さん、中毒に注意よ。中毒、1日1時間までね」

 

「真面目か」

 

「武部さんって時々、お母さんみたいなことを言うよな」

 

それからみんなそれぞれ黒板にお礼や別れのメッセージなどを書き綴って行く。そして、最後にみほの順番が回ってくる。

 

「みほさん、どうぞ」

 

と華からチョークを受け取ったみほは、黒板にメッセージを書き込む。

 

「私たち・・・・・・これからどうなっちゃうんだろう・・・・・・」

 

「転校・・・でしょ。でも戦車だってなくなっちゃうし、戦車道ある学校かもわからないんだよね」

 

「・・・・・・ていうか、そもそもみんな一緒なの?」

 

「ええ〜〜っ!?バラバラになっちゃうの〜!?」

 

「クラス単位で転校先が振り分けられるとかなら、そうなっても不思議じゃないよね」

 

「そんなぁ・・・」

 

一年生達は、大洗が廃校になり自分達はこれからどうなるのかと不安になっていた。大洗がなくなれば各々違う学校へと転校だろうがその学校に戦車道はあるのか、またみんなと一緒になれる保証はない。

すると、空からジェットエンジンの独特の轟音が聞こえて来た。こんな事前にも一度あったと思い空を見上げた秋人。

 

「・・・・・・航空機」

 

そこには、蝶野が乗って来た『C2改』よりも大型の飛行機が低空飛行をしながらこちらに向かって来た。

 

「まさか着陸するのか!?」

 

秋人がそう言うと、グランドが一斉にライトアップされその明かりを目印に大型機は着陸体制に入る。

 

「な、なによこれ!?」

 

「でか!?」

 

「サンダース大付属のC-5M、スーパーギャラクシーです!!」

 

秋山が変わりに答えてくれた。

 

 

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