ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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ボコミュージアム

翌日、みほ達あんこうチームと秋人は買い出しのためにⅣ号戦車でコンビニに買い出しに向かっていた。

 

「まさかコンビニに戦車で行くことになるなんて〜、朝から悪いわね、麻子。日向さんも一緒に付き合わせちゃってごめん〜」

 

「構わないさ、どうせ俺も買いたい物があったからな」

 

「気にするな、戦車の免許が役に立ったな」

 

「免許の写真くらい、目パッチリ開けて撮りなよ。あたしのなんてお見合い写真にも使えるよ!」

 

沙織の言う様に麻子の免許の写真は目が半開きで如何にも眠そうな顔だった。対して沙織の免許の写真はなぜ無駄にキラキラと輝いており華が沙織の免許を車内に入れると薄暗い車内が明るく照らされる。

 

「すごいー、車内をてらせます。どうなってるんですか?」

 

「いや〜、写真になっても私の魅力は色褪せないのかしら」

 

「ムダに気合入ってますね」

 

と相変わらず華は辛辣である。

 

「あ、コンビニ前から茨城町方面のバスが出てましたよね。時間調べとかないと」

 

「何で?」

 

「一度親の所に戻るんです。転校手続きの書類に親のハンコがいるみたいで」

 

優花里は転校手続きのためのハンコを必要なため実家に帰ると言う。その言葉にみほの表情が曇る。

 

「保護者・・・・・」

 

「おばあのとこに行かなきゃね」

 

「面倒だな、また説教されるだろうし・・・・・」

 

「あたしも、うちに戻んなきゃ」

 

みんなも一度家に帰る様だった。

 

「みほさんは?」

 

「一緒に行こうか?」

 

「西住流家元も見てみたいですし」

 

「ううん、大丈夫一人で帰れる」

 

「そうですか・・・・・」

 

みほの家の事情を知る彼女らはみほを気遣うがみほは大丈夫と断る。

 

「また今度、遊びに来てね」

 

「はいっ!」

 

「わたくしはあした、家に帰ります」

 

「わたしもそうしようかな」

 

「私も、あ!止まってください。そのままバックして」

 

すると、何かを見つけたみほは麻子に停車させて後退ささるよう指示する。

 

「どうしたんですか?」

 

何事かと華が問うとみほは、道路沿いに設置されているひとつの看板に目をキラキラと輝かせていた。

 

 

その後みほ達が到着したのは、まるでお化け屋敷の様に荒れ果てている建物だった。

 

入り口の看板にはこう書かれていた………

 

『ボコミュージアム』と。

 

「知らなかった!こんなとこがあるなんて!」

 

「今までで、1番テンション上がってるよ」

 

(ボコミュージアムか・・・・・・・・・・愛里寿ちゃんが知ったら喜びそうだなぁ)

 

そんな荒れ果てたミュージアムを前に、見た事がないくらいテンションが上がっているみほ。

 

そう、このボコミュージアムは、みほが愛して止まないキャラクター、『ボコられグマ』、通称『ボコ』のミュージアムなのである。そして、ボコミュージアム・エントランス………

 

『おう、よく来やがったなお前達、オイラが相手をしてやろう!ボッコボコにしてやるぜ!!』

 

開幕にそんな物騒な売り文句を入り口で叩きつけて俺達を出迎えたのは、もちろんあの包帯ぐるぐる巻きの熊、ボコである。

シュッシュッとシャドーボクシングも交えて、テーマパークのキャラクターが客を出迎える時の歓迎とは到底思えないんだが。

 

「生ボコだぁ…可愛い!!普通のボコよりちょっと細いんだね」

 

だがみほ的には大満足らしい、なんかもう精神年齢が一回り幼くなってないこの子?

 

「しかし…よく出来てんなこれ」

 

見た感じ中の人が居るような着ぐるみではなくロボットなのだろうか?

 

『うわっ!なにをする!やめろぉ…』

 

「何もしてないわよ」

 

とか思っているとボコが急にびくんびくんしだした。

 

『やられた〜、覚えてろよ!!』

 

「だから何もしてないって」

 

「イキがる割に弱い」

 

そのまま身体をぴくぴくさせると、やがてぐったりと動かなくなる。

 

「それがボコだから!!」

 

「それがボコなのかぁ…」

 

なんかもう、それで納得するしかない気までする。しかし建物はボロボロなのに、ここだけ力の入れようが違う。ひょっとしてこのボコに予算全振りしてない

 

「イタリア軍の第十軍みたいですね」

 

「なんか、わたくしたちの他にお客さんいないみたいですけど・・・・・」

 

華の言う通り辺りを見渡せば俺達以外にお客の姿が見えない、

 

「さびれっぷりがひどいというか・・・・・建物もかなり傷んでいるな」

 

秋人も廃墟寸前の建物の劣化状態を見てそう言う。

 

「きっとボコに合わせた作りになってるんだよ」

 

「え、そうなの?」

 

「わかんない、かわいいね!」

 

「ちょっと落ちつこうか」

 

ボコに夢中でそう言った所は深く考えないみほ

 

「あ、そうだ!秋人さん、ボコと一緒に写真撮ろう!!」

 

「まぁ…いいけど」

 

携帯を取り出したみほに言われて少しボコから離れると、シャッターチャンスだ!!

 

「…えぇっと?」

 

だが肝心のみほが何故か動こうとしない、困惑気味にチラリとこちらを見ている。

 

「みほさん、もうちょいボコに近付かないと写真撮れないんだが…」

 

「その…あのね、秋人さん、えぇっと…」

 

もじもじと何か言いたそうなみほに首を傾げていると、ポンポンと肩を叩かれた。

 

「日向さん」

 

沙織が手をこちらに差し出している。『携帯を渡せ』とでも言いたいのか。

 

「沙織さんが写真、撮ってくれるみたい!!」

 

「あぁ、悪い」

 

みほがそんなに嬉しそうに言うもんだから、携帯を沙織に渡してしまう。そうなると秋人とみほと並んでボコの前へ。沙織は身振り手振りで秋人みほがもう少し近付くように合図をしてくる。

 

「秋人さん、もうちょっとこっちだって」

 

「…みたいだな」

 

二人で少しずつ距離を縮める、それがなんとも気恥ずかしく思い。しかしこれ、なんか秋人とみほがボコをボコった記念写真みたいになってないか。写真を撮りボコミュージアムへ入ろうとする。

 

「ほらーみぽりん。いつまでもそこにいないで、中入るよ〜」

 

ボコの可動式人形に夢中のみほに沙織が声を掛けて、一同はミュージアム内へと歩を進め始める。

 

「『ジャンボコクルーズ』ジャングルに住んでいるボコを観察できるんだよ!夜にはナイトクルーズができるって」

 

「それ客来んのか?」

 

まず、最初のアトラクションに『ジャンボコクルーズ』と言う船のアトラクションに乗り

 

「『ビッグサンダーボコンテン』雷が落ちるほど大きな聖なるボコ『サンダーボコンテン』!ゴールドボコッシュの時代、大勢の鉱ボコ夫がこの地に集まって鉄道を走らせたの」

 

「そんなアトラクションがあるんだ・・・・・」

 

コースターに乗って鉱山夫姿のボコ達を見るアトラクションや、

 

「「カリブの海ボコ』最初に倒れている海ボコが見られるんだけど!なぜそうなったのかを過去に遡って見ていくというストーリー仕立ての作りで・・・・・」

 

「へ、へぇ・・・・・」

 

と、海ボコの過去ストーリーを体験できるアトラクションと、

 

「『スターボコーズ』3D映像でやられてるボコの疑似体験ができるんだよ!この場面はTVシリーズのシーンに合わせてあるんだけど!臨場感を出すためボコ目線での専用撮り下ろし映像が作られたの」

 

「ボコって毎回こんな気分なのか・・・・・」

 

みほのアトラクションの説明に秋人がツッコミを入れて行く。

 

「『イッツ・ア・ボコワールド』、『ボコーテッドマンション』、『スペースボコンテン』」

 

など、某夢の国のアトラクションを彷彿とさせる色々と危ないミュージアム内のアトラクションを回り、次はどこを回ろうかと優花里がパンフレットを見ていると

 

「えっと次はどこを回ります?」

 

「次はね、劇場でボコショーが始まるから!」

 

みほがボコのショーを見たいと言ったので次に行く場所が決まった。

 

「俺はちょっとここで休憩しているから、先に行ってたくれ」

 

「じゃあ、私たちは先にボコショーに行ってるね」

 

秋人は、アトラクションに結構乗って疲れた為ベンチで休憩を取ることにした。

 

ボコショー・ステージ………このミュージアム最大の目玉である『ボコショー』のステージへとやって来た。

 

『おい!今ぶつかったぞ気を付けろ!!』

 

『あぁん?』

 

ステージ上でボコが猫とネズミ相手に啖呵を切っている。みほの待望のボコショーの開演である。

 

『生意気だ!!やっちまえ!!』

 

さて、その内容はというとボコが猫とネズミ相手にひたすら蹴りを入れられ続けているバイオレンスアクションだった。

 

『おもしれぇ、返り討ちにしてやらー、うおー!』

 

まだ軽く流し見したくらいなので詳しい全容はわからないが、だいたいは毎回ボコが因縁吹っ掛けて喧嘩してボコボコにやられる。

 

『口ほどにもないやつめ、ヘッヘッヘッ!」

 

『くそっ、このっ、みんな、オイラに力をくれ!!』

 

「ボコ!頑張れ・・・・・」

 

それを見ていたみほが小さな声を出す。

 

『もっと力をくれぇ…』

 

だがステージ上のボコはまだボコボコに蹴られ続けている。入り口のロボットとは違って中に人が入ってるんだろうけど大丈夫なの?

 

「が………」

 

「頑張れー、ボコーっ!頑張れーっ!!」

 

煽られるかの様にそう求められ、みほが大声で応援しようとしたところ、それを遮る様に叫ぶサイドテールの少女の姿が在った。

 

「「がんばえー!!」」

 

「ボコさん、頑張って」

 

「ボコ、いけー」

 

「ファイトー」

 

『きたきたきたー、みんなの応援がオイラのパワーになったぜ、ありがとよ!!』

 

ボコられていたボコがみほの他に優花里達みんなの声援で立ち上がる。

 

『さぁ、お前らまとめてボコボコにやっつけてやるっ!………あらっ!?』

 

立ち上がったボコは再び6人に向かう。しかし、途中でずっこけてしまい、そこにまた猫とネズミがひたすら蹴りを入れ続ける。 

 

『パワーもらってその程度かよ!』

 

『オラオラ!』

 

「何コレ?」

 

「結局はボコボコにされるんですか」

 

「それがボコだから!」

 

呆れる沙織と優花里だが、みほは満足そうな顔でそう言う。

 

『また負けた…、次は頑張るぞ!!』

 

去っていく猫とネズミの中、スポットライトを浴びたボコが決め台詞と同時にショーの幕が無慈悲に閉じた。

 

 

その後、みほ達はミュージアム内に行った売店を訪れていた。

 

「すごく頑張ってたね、ボコ」

 

「そう?」

 

相変わらずテンションが高い様子のみほに、沙織は戸惑うばかりである。

 

「あ、残り1つだって」  

 

とそこでみほが、最後の1つとなっている激レアボコのぬいぐるみに気づく。

 

「そういう手だから」

 

「でも、かわいいし!」

 

沙織がそう言うが、みほは激レアボコに手を伸ばす。するとその手が、横から伸びて来た別の手と重なる。

 

「「あ………」」

 

「あっ、いいのいいの」

 

するとみほは、その激レアボコを少女に手渡す。

 

「私はまた来るから」

 

「…………」

 

と、少女は何かを言おうとした様子を見せたが、やがて逃げる様にレジへと向かって行った。

 

「せっかく、みぽりんが譲ってあげたのにお礼も言わないなんて」

 

「きっと恥ずかしいだけだよ」

 

沙織がそう言うが、みほは気にしていない様子でそう返す。

 

「おーい、ショーは見終わったか?」

 

そこへ休憩を終えた秋人がみほ達と合流する。

 

「あ、秋人さんうん今見終わったところ。あ、そうだ!ねぇ、みんなでもう1回ボコショー見ようよっ!!」

 

「「「「えっ!?………」」」」

 

するとそこでみほからそんな提案が挙がり、優花里達は思わず固まる。

 

「今度は秋人さん一緒に見ようよ、良いよね」

 

「ああ、構わない………」

 

みほが秋人にも尋ねると、秋人は苦笑いを浮かべながら頷く。

 

「じゃあ、行こうっ!!」

 

そこでみほは、優花里達の返事を待たずに、再びボコショーのステージへと向かった。それに続く秋人。

 

「皆さん、覚悟を決めるしかありませんね」

 

「その様ですね………」

 

そして、何やら悲壮な決意を固め、2人の後を追い始めた優花里達だった。

 

 

 

大洗町・ボコミュージアムのみんなの広場で、

 

「ボコがんばってたね」

 

「その話何度目・・・・・」

 

未だにテンションが高いみほ、沙織は何度も同じ事を聞かれたみたいだ。

 

「おみやげも買いましたし、ちょっと遅いですけどお昼にしましょうか」

 

時計を見ればもう正午過ぎだ、みんなボコミュージアムに来る前によったコンビニで買った弁当を持っている。

 

「グッズもどれも良心的な値段だったね!」

 

「・・・・・在庫処分だったのでは」

 

「言ってやるな」

 

そして、沙織が公園の芝生にビニールシートを敷こうとすると

 

「シートこの辺でいい〜〜?」

 

「沙織さん、そこだとボコ像が見えないから」

 

「あ、ゴメン・・・・・」

 

みほがそこだとボコ像が見えないからと位置を変える様お願いする。

 

「じゃあ、こっち?」

 

「そこだと向こう側のボコが逆光に・・・・・」

 

だが、沙織がみほを気遣い場所を移すがみほは別方向のボコの見える角度などでお気に召さないらしい。

 

「これは長くなりそうですね」

 

「そうだな、みほさんの拘りがあるんだろう」

 

「じゃあその間に私は飲み物買って来ますよ」

 

「私も手伝おう」

 

「はい、助かります」

 

優花里と麻子の二人は6人分の飲み物を買いに行った。そんな、麻子を見送る沙織の表情はどこか浮かなそうだった。

 

「麻子、やっぱりちょっと元気ないみたい」

 

「え?」

 

「そうなんですか?」

 

「幼馴染だから分かることがあるんだろ」

 

麻子は気丈に振る舞っていた様だが幼馴染みの沙織には、分かってしまっている様だ。

 

「いつもより働き者だし」

 

「?、働いてると元気ないの?」

 

「うん、えーっとたとえばみぽりんに私たちには相談しにくい悩み事があったおするじゃない」

 

「うん」

 

首を傾げるみほに沙織は例え話で分かりやすく解説しようとしつつちゃんとみほの事を気にかける。

 

「でも、遠慮しないで相談してよね!」

 

「う、うん、ありがと」

 

「で、まぁ、悩んでるけど話せないとするじゃん。そんなときみぽりんが私たちと一緒だったらどう接する?」

 

「え〜〜っと・・・・・心配させたくないからできるだけ普段通り・・・・・あ・・・・・」

 

みほは、自分だったらどうするかと考え悟った。

 

「麻子も一緒ね。周りに心配かけさせたくないから、いつもりより愚痴も少なくなって働き者になるの。でもそれが、いつもと違うサインになっちゃってるのよね」

 

「はー」

 

「沙織さんよく見てるんですね」

 

「まあ付き合い長いから」

 

「素晴らしいです」

 

「良いことだ」

 

「たぶん温泉で『学校なんて無くなっちゃえばいい』って口にした事を気にしてるんだと思う。・・・・・本当の事になっちゃってるし、言霊ってやつかな気にしなくていいのにね。口にしたことが本当になっちゃうんなら、私なんて今頃世界中の男性から求婚されちゃっててんてこ舞いの毎日だよ」

 

「沙織さん、口にしたところでそんな未来は永劫にやっては来ませんよ」

 

後半からジョークを飛ばす沙織だが、華の言葉の暴力が返される。

 

 

その後、ボコミュージアムを出た秋人やみほ達はⅣ号戦車に乗り待機場へと帰宅していた。

 

「今日は楽しかったね!」

 

「う、うん」

 

「西住殿が楽しそうでよかったです」

 

「またみんなで来よ・・・・・あ・・・・・」

 

「何度でも、来ればいいじゃありませんか」

 

「で、でも転校でバラバラになっちゃうかもなんだよ」

 

「廃校にならなかったとしても、卒業すれは離れ離れになるかもしれないじゃないですか。そうなったとしても、私はこの先みなさんと月一度年に一度でも集まりたいです。その時はみなさんが咲かせている花を私はこれからもずっとみていきたい、だから大変な時でも何度だって立ち上がるんでしょ。ボコさんは、ほら」

 

華に言われて方向を見ればそこには、茜色に染まった夕陽を見つめる様にボコミュージアムの天辺に聳え立つボコのモニュメントがあった。みほは、ボコに向かって大声で叫ぶ、

 

『ボコーーッ!ボコーーッ!』

 

「短気なの少しは改めなさいよーっ、そんなんじゃ彼女できないんだからねー」

 

「あ、でもボコ殿彼女いたみたいですよ」

 

「そうなのか!?」

 

優花里からボコに、彼女がいたみたいと過去形から今はいないらしい。

 

「えっ!?」

 

「どうも逃げられたっぽいですけど」

 

「沙織さんより進んでますね」

 

「ほんと、五十鈴さんの言葉ってトゲがあるよな」

 

別れたとは言えアニメキャラに先を越されている事に沙織はショックを受けていた。そうして、みほ達は待機所へと帰宅するのだった。

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