演習場内に在った遊園地跡での籠城戦を決めた大洗チーム、廃遊園地へと入った大洗チーム達、隠れる場所はたくさんありそうで逃げながら倒すには最適だ。そんな中で知波単学園チームは知波単の子たちはやはり引くという精神が苦手みたいの様で、
「こんな辺鄙な所まで撤退するとは・・・・・」
「違う、玉田。これは転進だ」
「なるほど、転進ですか!」
と撤退に悔しがって玉田に西は、かつて戦前の日本の大本営の様に撤退を転進と言い換える言葉遊びをして玉田を納得させた。
「面白い戦いになりそうね」
「お言葉ですが、データの上では厳しい戦いになりそうです」
すると砲手席のアッサムが、私物のノートPCの画面に自身が収集したデータを表示させながらそう言って来る。
「覚悟の上じゃないですか」
「運命は浮気者。不利な方が負けるとは限らないわ。ね、隊長」
「はい、私たちは私たちにできる戦いをしましょう」
ダージリンの言葉にみほは頷く。そうだ、まだこちらの方が数が多いし、相手がどんなに強力でも――俺たちは負けない。
「俺もみほさんを出来る限りサポートする。大丈夫、俺たちが一緒に戦えば勝てない戦いはないさ」
「うん、一緒に頑張ろう。秋人さん」
秋人とみほは目と目で合図して、遊園地の中を進軍して行った。
「私たちにできる戦い・・・・・」
「何だろう?」
「突撃?いや違う・・・・・」
1年生達や絹代は自分らしい戦いを考え自問自答する一方、そんな廃遊園地を高地から双眼鏡で眺めている人物がいた。
「全軍、遊園地跡に移動」
『展開としては、隊長の想定通りです。逃げ場のない場所での籠城を採った、これで決まりね』
「いや、逃げ場がないのは大洗も織り込み済みなんだほうから、油断するなよ」
「分かってるわよ』
先行して偵察していたルミからの報告を受けて愛里寿達主力部隊は、一斉に遊園地の廃墟へと向かっていた。
『隊長?』
『・・・・・いや、なんでもない。自分と試合に関わるすべての人に恥じない戦いをしよう』
『はい!』
再び、遊園地跡のみほ達は………
「南正門入り口、配置完了」
「西裏門、こちらも配置済みであります」
「東通用門、こちらも固めたわ」
「中央広場、あと3分で整備終わるよー」
大洗連合が入って来た南正面入り口にまほ達ティーガーⅠ、ティーガーⅡ、T-34/85の計3輌
西裏門に西達知波単、チハ新旧3輌と九五式ハ号1輌の計4輌
東通用門にチャーチル、クルセイダー、マチルダⅡの計3輌が陣取り、防備を固めている。
残りの八九式、三式、ポルシェティーガー、B1、三突、ヘッツァー、M3、ティーガー改、Ⅳ号の大洗は北側に富士山を象った展望台が在る中央広場に陣取っていた。状況に応じ、各所の応援に向かう積りの様だ。展望台の上に陣取ったⅣ号の上で、みほが双眼鏡、優花里が砲隊鏡を構えている。
一方、アンチョビ達CV-33は、ジェットコースターのレールの上を登って頂上を目指していた。
「ドゥーチェ、マジっすか?」
「マジだ」
「敵に見つかりませんか?」
「タンケッテは小さいから見つかりにくい」
「見つかったら、逃げ場ありませんけどね」
カルパッチョの言う通り、もしこの場で敵に発見されれば逃げ道は限られる。
「敵は南正門にまとまって進撃中」
頂上に到達したカルロベローチェ、アンチョビはキューポラから身を乗り出すと双眼鏡で辺りを見渡し、廃遊園地へと近づいてくる土煙を上げる軍団を見つける。無線でまほ達が守備している南正門へと向かっていると言うのだ。
「縦深突破ですかね」
「第一陣は南正門に移動してください。北裏門、東通用門の皆さんも警戒を怠らないようにしてください。サンダースの皆さんは待機」
みほの命令を受け、増援としてポルシェティーガー、T-34/85、八九式、M3リーが南正門へと向かう。
「やれやれ・・・・・・」
カチューシャはそう言って、ティーガーⅡの近くに接近してエリカの方をジーッと見つめて来た。
「なによ、チビッコ。ジロジロと」
「あなたの名前、ロシア風だったらなんで呼ぶか知っている?」
「なにそれ?知るわけないじゃない」
「おー、怖い。ピリピリしてるわね」
「うるさいわね、そっちだってさっきまで荒れてたくせに」
と先までカチューシャもノンナ達がやられて一人になっていた落ち込んでいた事を指摘し、ぐうの音も出ないカチューシャは顔を引きつる。
「う・・・・・・でも、カチューシャはもう切り替えたんだから。あなたも私を見習っていいのよ」
「ふん」
「あなたを見てると、まぁちょっとだけ昔の自分を思い出すわ」
「は?一緒にしないでくれる」
「どうかしら、なんならあなたの今の気持ち言い当ててあげましょうか。自分のこのモヤモヤした胸の内はなんなのだろう。この思いをこの先もずっと抱いて行かなければならないのか。どうすれば解消出来るのか、カチューシャに教えて欲しい?」
カチューシャからそう言われたエリカはくってかかる。
「モヤモヤなんてしてないわよ!なに勝手なこと!」
「あっ、そう?ならいいけど、でももしそうでもこの試合には持ち込まないことね」
『こちらドゥーチェ、敵部隊到着までおよそ3分』
「さて、お喋りはここまでかしら。あなたがどうであれしっかり働いてもらうわよ、大洗を勝たせる、カチューシャはその為に来たんだから。んまっ、まずはカチューシャに名前を呼ばれるくらいの働きをする事ね」
「ふん!偉そうに」
アンチョビの通信から敵接近の知らせが入ったので話はここで中断される。
「あと3分くらいかな」
「にしても、あいつら。随分、かっ飛ばすしてますね〜」
「あえて大げさに土煙りを立てる様に走って、威圧感を出そうとしているのかもしれないな」
「ハッタリかましてるんすね、うちのマカロニ作戦みたいなもんだ」
「違うと思います」
ジェットコースターの頂上から土煙をあげて接近してくる大学選抜チームの部隊を見ながらペパロニとカルパッチョの二人でそんな話をしている。
『戦闘準備』
「来るよ、みんな落ち着いてね」
みほから戦闘準備の号令がかかると梓が一年生チームにそう言って車内にはいる。やがて、土煙が両部隊の前まで達すると………相手側の方からの先手が来た。それにこうする様に
「撃て!」
まほの号令一下、戦車部隊と対戦車砲兵隊が一斉に砲撃を開始した。ティーガーⅠやティーガーⅡ、高火力戦車部隊の砲撃が、容赦無く大学選抜機甲部隊が存在する土煙の中へ叩き込まれる。
「んー、くそ。全然見えないぞ」
「いーなー。うちらもド派手に戦いたいなー」
「でも変ですね、雨が上がって間もないのに、あんなに土煙り・・・・・」
どうやら、敵はまほたちが守りを固めている南正門に集中しているらしい。しかし、南正門からの情報を整理するとどうも、攻撃が緩いというか消極的なのだそうだ。妙に思っていると、偵察をしていたアンチョビさんから通信が入る。
「これは、土煙りじゃないぞ。くそっ、騙された!隊長!陽動作戦だ。あの煙は煙幕だ!」
派手に土煙をあげて南正門に大軍を送っているように見せたのはフェイク。本命は別のところからというわけだ。
「兵法第6計『声東撃西』ですね」
「へーほー?」
カルパッチョの言う声東撃西(せいとうげきせい)とは、中国の兵法書『兵法三十六計』の第6計に定められている、東で騒ぎを起こして油断させ、実際には西を攻撃する「陽動作戦」のこと。読み方:としては、せいとうげきせい(東に声して西を撃つ)で敵の注意をわざと一方向(東)に引きつけて混乱させ、油断や隙が生まれた本命の場所(西)を急襲する戦術です。効果: 敵に「どこを攻めてくるか分からない」という錯覚を与え、戦局を有利に進めること。
「南正門でないとすると相手の狙いは西か東になりますね」
「でも、東の通用門は大部隊が通るには狭すぎる・・・・・・」
敵の主力が南正門でないなら、東西どちらかになるがみほの言う通り東の通用門は戦車1輌がギリギリ通れるぐらいの幅しかない。みほは通信を入れ、絹代の知波単学園に繋がる。
『西裏門の西さん、敵が回り込もうとしています。サンダースの皆さんが応援に向かいますので、戦闘準備、お願いします』
「かしこまりました」
「よーし、敵が見えたら全力で突っ込んでやる」
「先ほどの面子を果たす時が来た」
「知波単名物、総突撃!」
みほからの戦闘準備の指示が下ると、いつもの様に知波単学園名物の突撃をかまそうとする玉田と細見に、福田が
「恐れながら申し上げます!いたずらに突撃して全滅しては、それこそ知波単の面目に関わるかと」
「何だと!」
「福田、伝統を蔑ろにする気か!?」
学園伝統の突撃作戦にこだわる玉田と細見は、無謀な突撃をして撃破されてはそれこそ面目が立たないと意見した事で2人から反感を買ってしまう。
「申し訳ございません!」
「まあ、待て。福田、何か策があるんだな」
謝る福田に絹代は、玉田と細見を宥めて福田の考えを聞こうとする。
一方、東通用門のダージリン達は
「来る」
アッサムがそう呟くと東通用口のシャッターが、爆発と共に吹き飛んだ!!
「チャーフィーッ!いざ尋常に勝負ですわっ!!」
途端にローズヒップのクルセイダーが一番槍とばかりに、単騎で突っ込み、ティムが思わず声を挙げる。そんなティムの事など目に入らず、ローズヒップのクルセイダーは、粉煙の中に居ると思われるチャーフィーに向かって発砲した。
しかし………
ガキィンッ!と言う甲高い音がしたかと思うと、クルセイダーの放った砲弾は、明後日の方向へ弾かれる。チャーフィーで最も装甲が厚い箇所は、防盾で38ミリ。
アレ程の近距離ならば、クルセイダーの6ポンド砲でも余裕で貫通出来る。つまり、今ローズヒップが相対しているのはチャーフィーではないと言う事になる……… それを証明するかの様に、粉煙の中から、チャーフィーの75ミリ砲よりも明らかに巨大な砲身が姿を見せる。
「ハッ!戻りなさい、ローズヒップ!」
「うう?」
すぐさまダージリンが叫ぶと、ローズヒップのクルセイダーは車体を滑らせて横に逸れた。
直後にそのお化けの様な主砲が火を噴く!
その威力は、発射の余波でローズヒップのクルセイダーが僅かに動かされ、ダージリンの乗るチャーチルが遮蔽物にしていた建物を、1発で跡形も無く吹き飛ばした程だった。やがて、粉煙の中からゆっくりと姿を見せるその巨大な主砲の持ち主………
迫った東通用門を、その巨体と重量で無理矢理崩して押し広げて侵入して来た様である。
『T28重戦車』
ドイツ軍のティーガーⅡに対抗出来る戦車を作る為にアメリカが開発した試作車両達である。異次元の重装甲と巨体を誇る故に、規格外の車重を有し、またそれを支えるために四つの履帯駆動を備えた意欲作でもある。
その破格の防御力を打ち破ることの出来る車両は高校選抜チームには存在せず、また怪物の名にふさわしい攻撃力に耐えることの出来る車両も皆無だ。重戦車の名に相応しい装甲と、T28が105ミリ砲
『何てこった・・・・・・T28重戦車がいるぞ』
「T28って、どれ〜?これかな?」
「重戦車だからこちらでは?」
Ⅳ号の車内では、アンチョビからの無線で車種を聞いた沙織は『戦車でーた』のノートを広げて探して、ソ連の多砲塔戦車であるT-28中戦車を指差すが、華の指摘で隣のページのアメリカの超重戦車の方を指す。
東通用門では、
「私達もトータスを持ってくればよかったわ」
「持ってませんけど」
散乱した瓦礫を文字通り挽き潰しながら、巨体が少しずつ前進する。ダージリンの皮肉交じりの軽口を受けて、オレンジペコが呆れたように言葉を返す。散乱した瓦礫を文字通り挽き潰しながら、巨体が少しずつ前進する。ダージリンの皮肉交じりの軽口を受けて、オレンジペコが呆れたように言葉を返す。が、彼女らが長の抱く気持ちそのものには共感しきっていた。
『こちらドゥーチェ、こりゃ間違いなくこっちが主力だぞ!』
「増援の皆さんは東通用門へ向かって下さい!」
アンチョビの言う様にT28の背後には数台のパーシングが列をなしていた。みほはすぐさま、ケイ・アリサのシャーマン、ナオミのシャーマンファイアフライを東通用門への増援に向かわせる。
「もう向かってるよ」
『大洗のチームも増援へ』
「ウチもT28改造キットほしいな〜」
「売ってません!」
更に八九式、M3リー、ポルシェティーガー、三式、三突、ヘッツァー、B1、ティーガー改など南正門の部隊を引き抜いて向かわせる。
「まるでジャバウォッキーです」
「というよりもバンダースナッチね」
オレンジペコとダージリンはイギリスの作家ルイス・キャロルが1871年に発表した児童文学『鏡の国のアリス』に登場する、不可思議な空想上の怪物およびそのナンセンス詩のタイトル。やルイス・キャロルのナンセンス詩『ジャバウォックの詩』(1871年)や『スナーク狩り』(1876年)に登場する架空の凶暴な怪物と言ったT28を小説の中の怪物に例える。
「お待たせ〜〜」
「うわ、デカい!」
ダージリン達のもとに増援が到着する。
「ここまでのようね。2ブロック後退――」
T-28の火力と硬さは凄まじく、おおよそ弱点を見つけることが出来ない。
ダージリンさんの指揮がなくては、特に彼女たちはバラバラになっていただろう。やはり、強固な守りに定評のある聖グロリアーナ女学院の隊長だ。この人が味方で心強い。
「あら、秋人さん。私の顔に何かついてまして?」
「いや、ダージリンさんが味方で良かったって単純に思っていただけです。だってこんなに美しくてきれいな(指揮)んだから」
「…………」
「ちょっとダージリン、ティーカップを落としてますわ!」
アッサムさんの怒声が聞こえる。
ダージリンさんが手を滑らせてティーカップを落としたみたいだ。なんか、前にもこんなことあったような……。
『こちらメグミ中隊、東通用門突破。予定通りZ地点に向かいます』
「了解」
T29の後方から数輛のパーシングがぞくぞくと狭い通用門を出て広間に出てくる。
「しかしながら敵の意図がよくわからない。ここ東通用門付近は入り組んだ構造物が多く、大部隊での侵攻に適してはいない。基本的に一両通ることが出来るか出来ないかという道幅だ。ましてやあの巨体、小回りなど絶対に利かない上に先頭の車両が撃破されたら後続部隊は立ち往生するだけだ」
秋人の分析に対して、隣で聞いていたダージリンは「そうですね……」と一定の同意を示した。だが、それに自身の戦略眼を付け加えるかのように口を開く。
「おそらく後続の部隊の盾になっているのでしょう。背後のパーシングやチャーフィーたちの姿を隠すことで、閉所におけるこちらの待ち伏せを無力化しているのだわ。向こうもこちらを攻めることは殆ど出来ないけれども、装甲火力の差を鑑みれば、持久戦に持ち込めば持ち込むほどあちらの有利。短期決戦を狙っている私達の意図を読んでいるのかもしれないわね」
「でしたらこうして徐々に後退を続ける私達の戦い方は悪手になり得ませんか?」
通信でアッサムの焦りを含んだ言葉に、ダージリンは頷いた。
「はっきり言ってその通りよ。だからこそ何かしら手を打たないといけない。けれども、今の時点で有効な一手は何もないわ。でもね――」
そこでダージリンは一度言葉を切った。オレンジペコとアッサム、それぞれが不安げに振り返る。ただ、視線を受けたダージリンだけが涼しげに微笑んでいた。
「そろそろ彼が爆発しそうな予感がするの。どうしてかしら。あくまで今回は裏方だというのに、良い意味でさっきから鳥肌が止まらないの。私を追い落とした彼の存在がどんどん大きくなっている。私はその先の未来に賭けてみようと思うけれど、あなたたちは如何かしら?」
などとそう言うダージリン。
秋人達は何とか主力部隊の攻撃を流しながら、敵の戦力を削っていた。これならなんとか、まとまって行動し続けることは可能だな――。
(いや、待てよ、現在は超重戦車によって圧倒されている気もするけど、主力部隊が来て、まだ1両も撃破されていないなんて変な気がするなー。他のチームもほとんど被害を受けてないのは、単純にこちらが上手くまとまっているからだけなのだろうか?)
秋人は外の様子を見つつ、頭の中の全体の地図と今ある情報を照らし合わせて、未来の動きを予測する。右手で前髪(髪の生え際あたり)を掴むようにして触る仕草をする。
これが、こっちに動いて……、そして、こう攻めると――。
詰め将棋のように一手ずつ、ジグソーパズルのように1ピースずつ、相手の狙いを考えてみる。このまま行くと・・・・・・その先はあそこだ!この仮説が真ならば、連中の狙いはマズイ……。一見派手だけど、手ぬるい攻撃の意図、それは・・・・・・)
何か閃いたのか?秋人はみほに通信を繋ぐ。
「みほさん、急ぎの話だ。これは俺の仮定の話なのだが、聞いてくれるか――」
秋人はみほに自分の考えを話した。ちょっとだけ、人よりも空間を見渡す力があるからこそ、今のこの状況にざわついてならない。自分達は現在、地獄へと誘われているのでは?そんな仮説が秋人に出来上がったのだ。
「アンチョビさんなら、この仮説が当たってるかどうか。多分わかるはずだ!すぐに確認を頼む!」
『うん、もうCV33に通信は繋げてるよ』
『日向!ビンゴかもしれんぞ!上から見ると連中は確かにYO地点に誘導して、包囲網を敷こうとしてる可能性がある』
「やはり……。だが、これはチャンスかもしれない。みほさん、この状況を逆に利用できるんじゃないか?」
『うん、恐らく、相手もこんなに早くこちらが狙いに気付いているとは思わないはず。気づかれないように伏兵を忍ばせて――』
ちょっとした無茶振りだと思ったが、みほは秋人が感じたちょっとした仮定から、見事な作戦を考えてくれた。
南正門に残って交戦しているまほ達ティーガー、ティーガーⅡ、T-34の3輌は、南正門でのパーシングとチャーフィー数台と交戦を続けていた。
「4輌しかいないわね。私たちを引き付けておくだけみたいだけど、どうする?」
「わかった、行こう。エリカ。頼む」
『は、はい!』
まほから攻撃に移ると合図が出るとエリカは返事をする。
「カチューシャ合わせられるか?」
「誰に言ってるのよ」
そうして、エリカのティーガーⅡが先陣を切って敵の方向に向かう。左斜めから砲撃してくるパーシング2輌の内1輌を撃破すると同時に撃破されたパーシングの黒煙からティーガーⅠがドリフトしながらもう一輌のパーシングの側面を砲撃して仕留める。
そして、残り二輌のパーシングとチャーフィーの内、カチューシャのT-34/85がパーシングを撃破して白旗が上がり、チャーフィー一輌だけとなった。勝ち目がないと悟ったチャーフィーは砲撃を潜り抜けて逃げて行った。
「残敵は見当たらず、追うぞ」
「了解、なかなかやるじゃない。黒森峰の副隊長さん」
「は?」
「まあ、及第点ってところかしらね。行くわよ、エレオノーラ」
「ふん」
まほは逃げたチャーフィーの追撃を指示し、良き働きだったのかカチューシャはロシア風の名前でエリカを回りくどい形ではあるが褒める。