翌朝、目が覚めた秋人は、まだ時間に余裕があったのでゆっくりと朝の身支度をして軍服を着用して軽い朝ごはんを食べてから部屋を出た。ミーナ達には先に行く様言っておいたからのんびり行こう急いだって仕方ない。暫く、歩いていると目の前にふらついて歩く大洗女子学園の生徒がいた。どこか具合でも悪いのだろうか本来人とあまり接触してはいけないが困っている人を見捨てる様な薄情な奴ではないため心配した秋人は、その女子生徒に声をかける事にした。
「おい!あんた大丈夫な?どこか具合でも悪いのか?」
「辛い・・・」
「は?」
「生きているのが辛い・・・・これが夢の中ならいいのに・・・・」
「おい!あんたしっかりしろ!」
「だが、行く!・・・・行かねば」
どうやら、彼女極度の低血圧の様だな、それでも登校しようとするその根性は褒めてあげるよ。しょうがない。
「肩は・・・・無理か。仕方が無い」
肩を貸そうとしたが秋人と彼女の身長の差は開き過ぎるため断念して、秋人は彼女の前に出て屈む。
「乗れ、途中までおぶって行ってやるから」
「・・・すまない、親切な人恩に着る・・・・」
と彼女は、遠慮なく秋人の背中におぶる。女性って意外と軽いんだな今まで背負った事なかったが、それにしてもいきなり声を掛けて親切にした男に気を許すとは・・・警戒心ゼロなのか今の日本の女性は?そんな事を考え暫く歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「日向さん!!」
「西住さん?」
声のした方に振り返ると西住さんが走ってやって来た。どうやら寝坊して慌てて来た様だ。みほは、秋人の背負っている女子生徒を見て事情を聞いて来た。
「どうしたんですか?この人背負って!?」
「あぁ、実は学園に向かう途中この子が貧血でふらついて歩いていんで学園まで手を貸してあげているんだ」
「そうだったんですか。やっぱり日向さんは、優しい人です。五十鈴さんが怪我をした時もこの人が困っている時も日向さんは助けてくれる優しい人です」
「よしてくれ、俺はそんな大層な人間じゃない」
そんな風にみほと会話して歩いていた。背負っている彼女は、ほぼ寝ている状態だった。そんなこんなで学園の校門の前まで来ていた。
「西住さん、後はこの子の事頼めるか?」
「はい!分かりました。それじゃあ後で」
「あぁ」
秋人は、彼女を下ろしてみほに彼女の事を任せる事にした。そして、別れ際彼女から声を掛けられた。
「親切な人・・・あんた名前は?」
「日向、日向秋人だ」
「覚えた。日向さんこの借りは必ずいつか返す」
別れ際に彼女から学園まで運んでくれた恩を返すと言われた。他人に受けたを恩をきっちり返すとは義理堅いだなぁ。そう思い秋人は、人気のない裏門から学園内に入る事にした。そして、校門の前には風紀委員の腕章を付けたおかっぱ頭の少女園みどり子が校門前に立っていた。
「冷泉さんこれで連続245日の遅刻よ」
「朝は何故来るのだろうか・・・」
「朝は必ず来る物なの!成績がいいからってこんなに遅刻ばかりして留年しても知らないよ」
「えっと西住さん。もし、途中で冷泉さんを見掛けても今度からは先に登校する様に」
「あ、はい」
「・・・そどこ」
「何か言った?」
「別に・・・」
と冷泉は、反発する様に園みどり子の名前を略してそど子と呼んだ。聞こえたみどり子は、キリッと睨みつけて言うと、冷泉は先言ったそど子呼びをはぐらかしてみほに担がれながら校内に入って行く。結局冷泉は、秋人に背負って貰ったのにみほと揃って遅刻確定だった。
「あんたも悪かった・・・・」
「あ・・・・いえ」
「いつか借りは返す」
と秋人だけではなく、みほにも礼を言って借りを返すと言って二人は教室へと向かった。
その後、午前の授業が終わり午後に成り戦車道履修生達と秋人達が戦車格納庫に集合していた。
「遅いから心配しました」
「寝過ごしちゃって」
「そう言えば秋人も遅かったわね。何かあったの?」
「何って・・・人助けってやつだ」
「教官遅〜い焦らすなんって大人のテクニックだよね」
すると、空からジェットエンジンの独特の轟音が聞こえて来た。上空から航空自衛隊の『C-2改』飛んで来た。C-2改は低空飛行を開始すると後部のハッチを開けてそこから陸上自衛隊の最新鋭10式戦車が空挺降下して来た。着地した10式戦車は、駐車場に停めてあった赤い車に激突し赤い車はそのまま吹っ飛ばされる。
「学園長の車が!」
「あ〜やっちゃったね〜」
そのまま10式はバックして赤い車を踏み潰してぺしゃんこにしてしまう。あの戦車の乗員いつか学園長から訴えられるんじゃないか?
「ポテチ・・・」
「ああ・・・ありゃ完全に廃車だな」
学園長の車をお釈迦にしたにも関わらず10式戦車はこっちに向かって来て停車する。そして女性が上半身をキュウーポラが出して挨拶して来た。
「こんにちは!」
そして、みんなはそれぞれのチームで整列をし、その前に戦車道の教官が立つ。
「騙された」
「でも、素敵そうな方ですよね」
と武部は女性の教官だったので落胆し五十鈴がフォローする。普通戦車道の教官なんだから女性だろ。
「特別講師の戦車教導隊蝶野亜美一尉だ」
「よろしくね。戦車道は初めての人が多いっと聞いていますが、一緒に頑張りましょう」
と蝶野がそう言うって周りを見渡していると俺達の方を見てやって来る。
「君達が過去からタイムスリップして来たって言うのは、角谷さんから聞いているわ。初めまして私は、日本国陸上自衛隊戦車教導隊蝶野亜美階級は一等陸尉よ。他国では大尉に相当するわ」
「どうもはじめまして蝶野一尉。俺は、ドイツ第三帝国国防陸軍第2ウクライナ方面軍南方軍集団第57装甲軍団装甲擲弾兵師団『グロースドイチェラント』グロースドイッチュラント戦車連隊第3戦車大隊大隊長日向秋人階級は少佐です」
「し、失礼しました!日向少佐殿でしたか!!」
秋人の自己紹介をすると、蝶野は慌てて秋人に敬礼する。時代・出身・年齢・所属する組織が違えど秋人の方が蝶野より階級は1つ上なのだ。秋人の胸には数々の勲章を付けている事からも上級将校である事は覚悟していたが、まさか年下の人物が自分よりも上の階級だった事に驚いた様だ。
「かしこまらなくって構いませんよ。今の俺は教え子で蝶野一尉が教官と言う立場ですから」
「そう言っていただけると助かります」
「そして、こっちに居るのが俺の部下の」
と秋人は、他の第3戦車大隊のメンバーを蝶野に紹介する。
「第3戦車大隊副隊長の紅月ミーナ階級は中尉です」
「第3戦車大隊所属佐山良階級は少尉」
「第3戦車大隊所属成瀬幸也階級は少尉」
「第3戦車大隊所属香坂綾乃階級は少尉」
「よろしくね」
とそれぞれ第3戦車大隊のメンバーを紹介して、蝶野が周りを見て回るとみほの方に目が止まった。
「あれ!?西住師範のお嬢様じゃありません?師範にはお世話になってるんです。お姉様もお元気?」
「あぁ・・・・はい」
「西住師範って?」
「有名なの?」
と周りが騒めくと蝶野が西住流について説明する。
「西住流って言うのはね、戦車道の流派の中でも最も由緒ある流派なの」
「教官!教官はやっぱりモテるんですか!?」
そんな中みほの顔は暗くなって行く察した武部は手を挙げて蝶野に質問をする。武部の質問に蝶野は首を傾げる。
「うん・・・・モテると言うより狙った的を外した事はないはないわ!!撃破率は120%よ」
「「「「おおお!!」」」」
と蝶野の言葉に周りが驚く。狙った的って蝶野一尉は何の的を狙って射抜こうとしているの?と言うか撃破率120%って一体何?そして、次に秋山が手を挙げて練習内容を聞く。
「教官!本日はどの様な練習を行うのでしょうか?」
「そうね。本格戦闘の練習試合。早速やってみましょう」
「え!?あの、いきなりですか?」
いになりの実戦に焦る小山。
「大丈夫よ。何事も実戦!実戦!戦車なんてバーっと動かしてダーっと操作してドンっと撃てばいいんだから。それに日向少佐達の実力も知りたいしね」
と蝶野の説明にみんな不安そうな顔をする。何が大丈夫なの?そんな下手な説明で戦車を操縦出来れば誰も苦労はしないと思うが、こんな説明俺の士官学校の教官でもしなかったぞ。
「それじゃあそれぞれのスタート地点に向かってね」
そう言われて各チームは、皆自身の乗る戦車に向かう。
「どうやって動かすのこれ〜?」
「知ってそうな友達に訊いてみようか?」
「ネットで聞いた方が早いんじゃない?」
戦車に触れた事も増して乗った事もない一年生チームが操縦出来るはずもなく戸惑う。一方でバレー部チームは、
「ここで頑張ればバレー部は復活する!!あの廃部を告知された日の屈辱を忘れるな!ファイトォー!!」
「「「おおお!!」」」
バレーチームは戦車道で、悲願のバレー部を復活させる為に、キャプテンの磯部を中心に皆一致団結する。また、歴女達は、
「初陣だぁー!」
「車篝の陣で行きますかねぇ〜」
「ここはパンツァーカイルで」
「一両しかないじゃん」
と相変わらずブレない様だった。そして秋人達は、
「いいか、お前達!俺達の未来での最初の任務が大洗のガールズ達とこの試合で勝つ事だ!俺の目的は何だ?殲滅だ!1機残らずの殲滅だ!この試合は、戦死者の出ない戦いだ!だが、だからと言って備えを怠り慢心せず常に万全の状態で俺達は戦う!勝利を我が手に!Sieg Heil!」
「「「「Sieg Heil!!」」」」
と秋人達は、右手を挙げるナチス式敬礼をして『Sieg Heil』"勝利万歳"と当時のナチスの合言葉を唱える。秋人達は、完全にヒトラーに心酔してはいなかったが国家元首たるヒトラーに対しては忠実であり、『ハイル・ヒトラー』の挨拶も欠かさなかった。
「はい!みんな早く乗り込んで!!」
「我々も乗り込みますか」
「うん」
と手を叩いて指示する蝶野に言われ角谷は、38(t)戦車に乗ろうとしたが、車高が高くて登れなかった。
「河嶋〜」
「は!」
仕方なく河嶋を呼び、呼ばれた河嶋は角谷の所に行くと戦車の前で四つん這いになり角谷は四つん這いになった河嶋を踏み台にして車体に乗る。
「しかし、いきなり試合なんて大丈夫ですか。それに、日向くん達は、本物の軍人ですよ!勝てますか?」
「まぁ、どうにかなるから」
「じゃぁ、各チームそれぞれ役割を決めてくれる。3名のチームは車長と砲手、操縦手。4名はそれに加えて装填手。5名は通信手ね」
とそれぞれのメンバー役割分担を各チームで決める様言われる。秋人達は、
「編成は、いつも通りでいいだろう」
「そうね、と言うかそれしか考えられないよ」
「それじゃあ、俺が車長で、ミーナが操縦手、良が装填手、幸也が無線手、綾乃が砲手だ」
「決まりだな」
一方で、役割についてちんぷんかんぷんの武部。
「何とか長とか何やら手とか何が何だか分からない!!」
「私達のチーム4人しかいないですし」
「じゃぁ、装填手は通信手と兼任ね」
「勿論!西住殿コマンダーですよね!!」
「えぇ!!無理無理!!」
「では、どうしたら?」
「もうくじ引きでいいよぉ〜」
本来Ⅳ号戦車は、5人乗りなのだがみほ達のチームはみほ、武部、五十鈴、秋山の4人しかいない為役割を一人がもう一つ請け負う事になる。そして誰が配置に着くのか決まらず結局武部がくじを取り出してくじ引きで決める事にした。そして、一年生チームは、大野が携帯で戦車の操縦方法をネットに投稿した返事が来て携帯を見る。
「あ!レスあったよ。えっと、型式がわからないと解答のしようがありません。ググれカス!まず、服を脱ぎます。はぁ〜」
と携帯のインターネットに投稿した内容に色々と叩かれている様だった。そしてみほ達が、Ⅳ号に乗り込む。くじの結果、みほが装填手兼通信手、武部が車長、五十鈴が操縦手、秋山が砲手になったらしい。
「鉄臭いです」
「狭い上に暑苦しい。こんなんでドライブすんのぉ〜」
と五十鈴と武部が戦車の中の不衛生さに文句を言う。
『それでは、全戦車パンツァーフォー!!』
と蝶野が無線から開始の合図を送る。戦車履修生達とドイツ軍所属の秋人達の練習試合が始まる。いよいよ戦闘の開始だ。