『それでは、全車パンツァーフォー!』
「よし!取り敢えず指定された場所に移動するぞ。ミーナ行くぞパンツァーフォー!」
「了解!」
秋人達ティーガーチームは誰よりも先に戦車倉庫から出て指定された場所に向かう。そして、Ⅳ号では、
「ふへへへ!いよいよ戦車を動かす時が・・・」
「あのどうやって動かせば?」
「まず、イグニッション入れって」
「これですか?」
とみほに言われて五十鈴はイグニッションと思うスイッチを押すとエンジンが起動して大きく唸りを上げる。
「やっほぉー!最高だぜー!!」
「え!?人が変わった?」
「パンツァーハイ・・・・」
とⅣ号のエンジンが掛かると秋山が突然叫びながら豹変した。
「すみません。あの、それからどうすれば?」
「後は、アクセルを踏んだら前進前のレバーが操縦桿で右がシフトレバー」
「う〜ん・・・重いです。ふーん」
と五十鈴は座席の右にあるシフトレバーを力一杯引っ張ったら戦車のエンジンの振動が止んだ。
「止まっちゃたじゃん?」
「どうしてでしょう?」
「クラッチを静かに繋いでからアクセルを踏んで」
「分かりました!」
と五十鈴はみほに言われた通りにするといきなりⅣ号戦車が後退し始めた。武部がキューポラから身を出してⅣ号が後退していると伝える。
「うわぁ!!下がってる!下がってる!」
「ブレーキ踏んで!」
「あ、はい!」
と言われてブレーキを踏んだのでギリギリの所でⅣ号が止まりなんとか壁に衝突せずに済んだ。
「はぁー」
「大丈夫、落ち着いて」
「はい」
そして、みほの指示に従いながら五十鈴はⅣ号戦車を操縦して戦車倉庫から出る。
「何かお尻がぶるぶるする」
「音も凄いです」
「これがいいんですよぉ!!」
と武部と五十鈴はⅣ号の中での振動と騒音等と文句を言うが秋山はそれが戦車の良いところなのだと言う。一方の一年チームは、
「分かった!前へ進むにはギアを一束に入れてアクセルを踏むんだって」
「ギアってどれ?」
とネットの口コミで戦車の操縦を調べていた。一方のバレー部チームは動かせてはいるが幾度も木などの障害物に衝突していた。
「ブロックされた!」
「バックトス」
「どうやるの!?」
「根性ぉ!!」
そして生徒会チームは、
「会長、快調に進んでいます」
「座布団一枚〜」
と河嶋が洒落のつもりは無かったのだろうが角谷はまたしても座布団一枚と言う。そして、歴女達は、
「どちらぜよぉ」
「フェスティーナレンテ」
分かれ道に差し掛かりどちらに行くか決めていた。一方のみほ達は、順調に指定の位置に向かっていた。
「うわぁー!!ちょっとぶつかる左!左!」
キューポラから上半身を出していた武部は木の枝にぶつかりそうになったので五十鈴に左に曲がる様指示するも曲がらず慌てて武部は車内に入り込んだ為ぶつからずに済んだ。
「左って言ったのに!!」
「すみません!聞こえなくて」
「車長が足で方向を合図してあげて」
「足?」
「操縦手の肩を進む方向に蹴るの」
「親友にそんな事出来ないよぉ!!」
と幾ら指示が聞こえないからと言って親友を蹴るなんて非情な事はできないと武部は無理とごねる。
「思いっ切り蹴って下さい」
「えぇ、じゃあ左!」
と武部は五十鈴に言われた通り五十鈴の左肩を思いっ切り蹴った。
「うわぁ、あのもう少しお手柔らかにお願いします」
思い切り蹴ってと言ったものの今の武部の蹴りは相当応えたみたいだった。
そして各チームは指定された位置に到着する。
『皆スタート地点に着いた様ね!ルールは簡単全ての車両を動かなくするだけ、つまりガンガン前進してバンバン撃って!やっつければいい訳。分かった!』
そして、蝶野は無線でルールを説明するが、流石に説明がシンプル過ぎる。
「いやぁ〜随分ざっくりスね〜」
「会長に言われたくないんじゃぁ」
と苦笑いをする小山。
「本当適当ね」
「シンプル is ベスト」
とミーナも俺も呆れる。
『戦車道は礼に始まって礼に終わるの、一同礼!』
『よろしくお願いします!!』
『それでは、試合開始!』
と全員が挨拶をして蝶野が試合開始の合図を出して試合開始だ。
「先に誰から倒しておくの?」
とミーナに言われて秋人は、地図を見て、今いる地点から出会す可能性が高いのは、Ⅳ号Aチームと八九式Bチームと三突Cチームだ!となれば話は早い。
「まず、三突のCチームからだ。あれは厄介だからな」
「先にⅣ号じゃないの?確かに三突は脅威だけど乗っているのは大した実戦や実力も無い子達ばかりじゃない」
「確かにそうだが俺は言ったはずだ誰が相手であろうとも油断怠慢はするな!と、西住さん達のⅣ号はD型だ、主砲は砲身の短い24口径75mm砲歩兵支援用の榴弾しか飛ばせない。それに対して三突の長砲身48口径75mmと車高の低さを利用されて待ち伏せを喰らう可能性がある。先に潰しておいて損はない不安の芽は摘んでおくに限る」
秋人の言う様にⅣ号D型は当時主力だったⅢ号戦車の火力支援の為に作られ主砲の砲身が短く榴弾を飛ばす事が主でティーガーの様な装甲が分厚い重戦車には歯が立たないのだ。対して三号突撃砲は高速の48口径75mmを搭載しているがそれでもティーガー改の厚さ25cmの正面装甲が弾を弾く。三突がティーガーを倒すにはティーガーの側面を350m近くの距離から砲撃するしかない。だが、2000m先からでも戦車を撃破出来るティーガーに近付くのは至難の技なので三突の車高の低さを利用して林に身を隠してティーガーの側面装甲を砲撃してくる事を警戒していた。
「成る程ね、分かったわ」
「さあ、狩りの時間だ!」
そして、ミーナは操縦桿を握ってティーガーを動かして敵を求めて発進する。
一方のみほ達は、
「いよいよ攻撃開始ですねぇ、取り敢えず撃ってみます?」
「え、闇雲に撃っても・・・・」
「ねぇ!真っ先に生徒会潰さない?教官女の人だったんだもん!!」
「まだ言ってるんですか?」
「でも、日向さんが入ったからいいんだけど、やっぱり純粋な乙女の心を騙したからやっぱ許せない!だから、私が決めていいんでしょ!車長なんだから」
「・・・うん」
「じゃぁ、生徒会チームのいる方へ前進!で、どっち?」
と武部は戦車道の教官が女性だった事に対して生徒会に根に持っているようだった。そうしている時、突然爆発音と振動がⅣ号を襲った。みほが砲塔横の扉から身を出して見ると、前方にバレーチームの八九式中戦車が居た。如何やら先の爆発は八九式の57mm砲の砲撃の様だ。
「凄い音!」
「今、空気震えたよ!」
「こんなスパイク打ってみたい!」
「まずは、Ⅳ号Aチームを叩く!!」
そして、八九式に功をするように三突の歴女達もⅣ号を狙って来た。
「まずは、八九式に協力してⅣ号だ!秘密協定は締結済み!」
「賽は投げられたか」
BチームとCチームの二つのチームから狙われたみほ達。
「怖ーい!!逃げよぉー!!」
Ⅳ号は、急いで急発進してその場から逃げて行く。
「獲物を捕らえた!」
「南無八幡大菩薩!」
尚も逃げるⅣ号を三突は強力な75mm砲で追撃してくる。
「どうしましょう?」
「挟まれた!あっちに逃げよ!」
「聞こえません?」
「右斜め前!」
武部は五十鈴の右肩を蹴る。みほ達Ⅳ号チームは、バレーチームの八九式と歴女の三突の攻撃を受けるも掻い潜りながら森林を走破していく。そしてみほが砲塔横の扉から身を乗り出していると前方で、切り株に横たわり本をアイマスク代わりにして寝ている女子生徒が居た。
「危ない!」