秋人達は、辺りを見回せる丘を陣取り秋人は双眼鏡で辺りを探っているとドカーンと爆音が聞こえて来た。爆音のした方を見ると林の中で幾つかの煙が上がっていた、如何やら何処かのチームが接触し交戦に入ったみたいだ。しかも、同じ所から同時に煙が上がっている恐らく敵戦車は2両以上いる事になり3チームが同時に接触した可能性が高い。
「始まったか!?こうしちゃいられない!ミーナ行くぞ!」
「行くわよ!」
秋人がそう言ってミーナはティーガーを発進させ向かう。そして秋人は、地図を見てあの3チームと現れるであろう場所を距離と時間を計算した。
「よし、ミーナ!この先に川があった筈だ。その川沿いを少し登った所に橋があるそこで迎え撃つ!」
「了解!」
「良、何時でも撃てる様徹甲弾を装填しておいてくれ!」
「おう!」
一方のBチームとCチームの両方から追われているみほ達は、
「危ない!」
とみほが叫ぶと、寝ていた女子生徒は起き上がり迫って来たⅣ号戦車の車体に向かって大きくジャンプしたが着地に失敗し掛ける。
「痛!!」
そして、掛けた女子生徒の顔を見て今朝秋人に負ぶさっていた少女だった。
「あ、今朝の!」
すると、キューポラが開き中から武部が顔を出して
「あれ、麻子じゃん!?」
「沙織か?」
「あ、お友達?」
「うん、幼馴染み。何やってんのこんな所で!?授業中だよ!」
「知っている」
「はぁ〜」
冷泉の幼馴染みである武部は、冷泉がまた授業をさぼったなと思い溜息をつくと。後ろで爆発が起こった。
ドカーン
「「「うわわぁ」」」
「あの!危ないから中に入って下さい!!」
と砲塔から頭を出しては危ないと判断したみほは、車体の上に乗る冷泉も一緒にⅣ号の中に入れる。
「はぁ〜酸素が少ない〜」
「大丈夫ですか?」
「麻子低血圧で・・・」
「今朝も辛そうだったもんね」
「麻子と会ったの?」
「うん、今朝日向さんに背負って運ばれている所に偶然会ったんだ」
「だから二人共遅刻したんだ」
ドカーン
「もう〜いやだ〜どうすればいいのよ!!」
相手チームからの砲撃に取り乱す武部。すると、みほが砲塔横の扉から身を乗り出して前方の方を見ると吊り橋があった。
「停車して下さい!」
とみほは、そう言って五十鈴はⅣ号を停車させるとみほは戦車から降りる。
「今出たら危ないです!」
「二発目までは多分時間があるから大丈夫!」
そう言ってみほは、錆びて古めかしいワイヤーの吊り橋に行きⅣ号が載っても大丈夫か確かめて、
「ゆっくり前へ!」
みほは、Ⅳ号が吊り橋を渡れる様に先頭に立って誘導する。Ⅳ号はゆっくりと吊り橋を渡ろうとしたが、その間も橋はギシギシと不穏な音を立ている。Ⅳ号が左に寄って履帯がワイヤーの手すりに擦れた状態で前進し摩擦で手すりが切れてしまいⅣ号の車体の重量で橋は大きく左に傾いて行く。
「落ちるー」
「いやだー」
と橋から落ちそうな恐怖に絶叫を上げる五十鈴と武部。
「撃てぇー!!」
そしてチャンスと言わんばかりに三突の長身の48口径75mm砲が瀕死のⅣ号目掛けて砲撃する。砲弾はⅣ号戦車の車体後面に命中するも爆発はせず撃破判定も出なかった。
「五十鈴殿!」
「華!大丈夫!」
「操縦手失神!行動不能!」
秋山と武部が操縦席を見ると五十鈴が気絶していた。如何やら先の砲撃の衝撃で気を失ったみたいだった。
「居た!見た!撃った!」
装填手のカエサルがそう言う。そして、三突は八九式と協力してⅣ号にとどめを差しに掛かる。
操縦手の五十鈴が気絶してしまい代わりに誰かが操縦しなければならない。
「操縦手は、苦手だけど私がやるしか」
とみほが代わりに操縦手をすると決めた瞬間、突然Ⅳ号が動き出し落ちそうになっていたⅣ号がバックして橋の真ん中に移動して体勢を立て直した。皆が操縦席の方を見ると冷泉が戦車の操縦方法を記したマニュアルを見ながら操作していた。
「麻子、運転出来たんだ!」
「今、覚えた」
「今!」
「流石、学年主席」
冷泉の並外れた学習能力の高さに秋山は驚き武部は感心する。
「兎に角撃ち込め!」
エルヴィンは、次の砲撃に備え様とし、
「連続アタック!」
「「「それそれそれ!!」」」
一方のバレーチームは八九式に搭載されている九一式車載軽機関銃をⅣ号に向けて発砲する。Ⅳ号は、攻撃を受けながらもバックしていた。
「麻子、後ろに下がってるけど!」
「分かっている」
更にⅣ号に追い討ちが掛かる前方から生徒会のEチームと一年生のDチームが迫って来ていたのだ。生徒会チームもⅣ号チームを潰しに来た様だ。Dチームはその場の成り行きで付いてきたみたいだ。これで、完全に挟まれ逃げ道を失った。
「回り込め!」
「取り敢えず付いて行こう」
その間もBチームとCチームからの攻撃は続く、冷泉は操縦桿を前に倒して戦車を前進させ砲撃を交わす。
「外れた!」
「「次だ!次!」」
冷泉の操縦でBチームとCチームの砲撃を交わしている中で、今まで気絶していた五十鈴が爆発の衝撃で目を覚ます。
「えぇ!え!え!え!」
「大丈夫?」
「はい、すみません」
「うんうん、少し休んでて」
「いえ!大丈夫です!」
そう言って五十鈴は皆が頑張っているのに自分だけ休んでいる訳にいかないので自分の出来る事をする。それを見てみほは、笑みを浮かべ安心する。
「秋山さん、砲塔を回転させて!」
「了解!」
みほの指示で、秋山は砲塔を三突に向けて旋回させる。三突の方も急いで砲弾を装填し発射に向けて調整していた。
「早く回って!撃たれる前に撃ちゃってよ!」
「はい!」
武部に急かされながら秋山はハンドルを目一杯回し三突に照準を合わせようとする。
「発射用意!」
発射準備に入る為Ⅳ号は、停車する。
「撃て!」
とみほが発射命令を出すと、秋山は引き金を引いた。先に発砲したのはⅣ号だった。だが、砲弾は三突を逸れて後ろの方で爆発し敢なく不発に終わってしまった。
「すみません!外してしまいました」
「ええっ!そんな!!」
「どうしましょ!」
と折角の反撃のチャンスが未遂に終わってしまったのだ。そして、撃破を免れた三突は、
「外れたか、この勝負もらった!」
とエルヴィンが言い、今度は三突がⅣ号を砲撃しようとした。Ⅳ号では、皆がもう終わりだと諦め掛け目を瞑ったその瞬間・・・
ドカーン
爆発が起こり1両の戦車が撃破判定のフラグが立った。しかし、それはⅣ号のものでは無かった。みほ達は、恐る恐る目を開けて見てみると其処には煙を上げ撃破判定のフラグを上げた三突だった。
「え!?何!?何がどうなってんの!?」
「どういうこと?」
「何が起こったのでありますか?」
と皆何が起こったのか分からず混乱していた。そんな時、みほがキューポラから顔を出して辺りを見回していると、左側の数十メートルの川沿いに純白で頑丈な車体に大口径の主砲を搭載したティーガーがそこに居た。
「日向さん・・・」
とみほは、キューポラから顔を出している秋を見てそう言った。
「如何やら間に合った様だな」
と秋人が言う。そう、この時三突を撃破したのは秋人達なのだ。