ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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最初の一撃

川沿いを渡って吊り橋付近に到着した秋人達は、身を隠せるところに身を隠し敵戦車が十分近づいて来たところで砲撃を加える隠密奇襲作戦をする。そして、暫く待っていると爆音と戦車の履帯の走行音が近づいて来た。

 

「良、徹甲弾を装填!綾乃は、いつでも撃てる準備をしろ!俺が合図するまで待機!」

 

「「了解!」」

 

と良と綾乃がそう返事をする。秋人は、キューポラから顔を出して双眼鏡で辺りを見回す。そして、林から出て来たのはみほ達のⅣ号戦車だった。ドイツ国防軍で最もよく使われていたⅣ号戦車は、最強の戦車の一つだ。主砲の75mm戦車砲は有効射程距離1800m、前面装甲の厚さは80mmと頑丈だが、側面の装甲は30mmと薄くそこが狙いねだった。そして、みほ達のⅣ号戦車は、側面装甲を晒しておりこちらの存在に気付いていない。狙い目だった。

 

「どうする秋人三突の前に先ずⅣ号から始末する?」

 

「いや待て、Ⅳ号から西住さんが降りたし、他の子達も砲塔や車体から顔を出している今撃てば彼女らが負傷するかもしれないし万が一橋に砲弾が命中した場合西住さん達がⅣ号諸共橋の下に落下する可能性がある危険だ。橋を渡りきってからでいい」

 

「了解」

 

そう言い秋人達は、みほ達が橋を渡るまで砲撃しない事にした。みほは、Ⅳ号戦車が吊り橋を渡れる様に自身が先頭に立ちⅣ号を誘導させる。だが、橋に乗ったⅣ号戦車の重みで左へと傾き左側の履帯がワイヤーの手すりに擦れた状態で走行した為摩擦でワイヤーは切れⅣ号戦車の重量で橋は左に大きく傾いた。

 

「やばいぞ!このままじゃあいつらⅣ号諸共橋から真っ逆さまに落ちるぞ!!」

 

「早くⅣ号の体勢を直さないと!!」

 

と良と綾乃が橋から落ちそうなⅣ号を見て慌てふためいていると、次の瞬間爆発音がし、Ⅳ号は大きく前に押され揺れる。それは、三突の放った75mm砲の砲撃音だった。砲弾は、Ⅳ号の後面に命中したが爆発は起きず撃破判定のフラグも起きなかった為不発の様だ。そして、それに功をする様に八九式中戦車もやってきて三突と共にⅣ号を仕留めにかかる。

 

「あいつら!?瀕死のⅣ号に向かってぶっ放しやがったあいつら正気か!?しかも、二両で倒しに掛かったぞ!!」

 

「秋人このままじゃ、あのⅣ号砲撃の衝撃で橋から落ちるよ。いくら戦車に特殊カーボンが為されていても中の人間は無事じゃ済まないよ」

 

「分かっている!何か、何かないのか!?」

 

と秋人が辺りを見回す。砲撃して助け様にも三突は林で死角になっている為砲撃出来ない、戦車を走らせて砲撃仕様にも間に合いそうにない。秋人は、この現場を打開する案を考えながら探していると、

 

「ん!あれは・・・・」

 

ある物に目が止まった。それは、吊り橋の柱だった。そして、柱と三突は幅直線上に位置していた。秋人は、一か八かある事を思い付いた。

 

「おい、お前達アレをやるぞ!」

 

「「「「アレを!?」」」」

 

と秋人が言うと4人はお互いに顔を見合った。そして、秋人は、双眼鏡を覗くと今まで停車していたⅣ号戦車に動きがあった。Ⅳ号がバックし橋の中央に立ち体勢を直す。それは、先までとはまるで別人が操縦しているかの様な鮮やかな物だ。そしてⅣ号の砲塔が旋回し三突に照準を合わせ砲撃した。これで大丈夫か、と思っていたがⅣ号の砲弾は外れた。そして今度は三突が反撃しようとしている。秋人は、Ⅳ号を助けるべく三突と柱の距離と角度などを計算してミーナに伝え照準を柱に向けさせる。

 

「この瞬間未来永劫二度と現れないであろう最強の戦車兵の誕生だ」

 

そして照準が柱に合わさった時

 

「Fire!」

 

と言うと綾乃が引き金を引き砲弾が発射された。発射された8.8cm砲弾は高速で飛んで行き、そして吊り橋の柱に当たって跳ね返り三突に命中した。

 

 

 

そして、今

 

 

「今の砲撃・・・・もしかして日向さん!?」

 

「どういう事ですか!?日向殿達のいる位置は林で三突は死角に入っている為、ティーガーでの砲撃では・・・」

 

「多分だけど、橋の柱が先見た時は真っ直ぐだったんだけど今見たら少し折れ曲がっていたの。多分日向さんは、砲弾を柱に当てて砲弾の軌道を逸らして三突に当てたんだと思うんだ」

 

「うそ!そんな事出来るの!?」

 

「出来ない事もないよ・・・・ただ、かなり難しい技で、相手や跳弾させる目標の距離や角度の精密な計算をする必要があるし、例え跳弾しても目標に当たらない場合があるんだ」

 

「何それ!?チート過ぎるでしょ!?」

 

「流石、日向殿のグロースドイチェラント師団隊長の名は伊達ではありません」

 

などとみほ達は、秋人の並外れた砲撃術に驚いた。

 

 

「よし、三突を撃破した!良は、砲弾を装填し残りはそのまま待機!」

 

「了解」

 

「いいの、他の戦車を砲撃しなくて?」

 

「あぁ、目的の三突は撃破したし、何より西住さんの実力も把握しておきたいからな」

 

「そう、分かったわ(はぁ〜、始まった秋人の気になる相手を試そうとする秋人の悪い癖が・・・)」

 

ミーナは、秋人のいつもの癖が出た事に内心溜息を吐く。

 

 

 

みほ達は、秋人達が砲撃して来ない事に不思議がっていた。如何やら日向さんの狙いはあくまでも三突の様で、三突を撃破した日向さんは他や私達を砲撃する気は無く、唯砲塔の上で両腕を組んで見ているだけだった。だが、これは、今のうちに体勢を立て直すチャンスだった。三突が撃破された事でみほは、狙いを八九式に変える。

 

「今度は、八九式!」

 

「はい!今度は外しません!」

 

と秋山は、照準望遠鏡を覗きながらハンドルを回して砲塔を旋回させ照準を八九式に合わせる。

 

「来る!来る!フォーメーションB!」

 

「「「はい!」」」

 

Ⅳ号の砲身が八九式に向けられバレー部チームは即座にⅣ号より早く砲撃するも砲弾は外れ、そしてⅣ号の砲撃を喰らって撃破された。

 

「まともに当たって喰らった」

 

八九式の中のバレー部チームは、皆体中煤だらけの姿になっていた。そして、対するⅣ号の中では、

 

「凄ぉ・・・」

 

「ジンジンします!?」

 

「何だか・・・・気持ちいい」

 

と武部、秋山、五十鈴の3人は八九式を撃破した事で彼女らの脳が神経伝達物質のドーパミンを放出したか興奮と快感が彼女らを刺激した。

 

「有効!Cチーム並びにBチーム行動不能!やるわね!そして、砲弾を吊り橋の柱に当てて跳弾させ戦車を撃破させるなんて・・・・驚いたわ日向少佐」

 

と蝶野は、観測所から双眼鏡で試合の全貌を見ていた。

 

 

「あ!また来る!」

 

武部がキューポラの窓から覗き込むも前から生徒会チームの38(t)戦車が向かって来た。

 

「ふっふっふっ、ここがお前らの死に場所だ!」

 

河嶋は、照準望遠鏡を覗き込みⅣ号戦車に照準を合わせみほ達に引導を渡そうとしていた。

 

「撃て!」

 

とⅣ号戦車と38(t)戦車は両車同時に発砲するも38(t)戦車の砲弾は外れ、Ⅳ号戦車の砲弾は前部砲塔に命中し撃破判定のフラグが立った。

 

「やった!」

 

武部は、自分を騙した生徒会チームに倒せて上機嫌になっていた。一方、生徒会は、撃破された時の爆煙で身体中が煤で汚れていた。

 

「あ〜やられちゃったね」

 

「ももちゃんここで外す」

 

「ももちゃんと呼ぶな!」

 

一方の成り行きで付いてきたM3の一年生は、今の戦いで完全に戦意喪失していた。

 

「やっぱ西住流もタイムトラベラーの兵士も半端ない!」

 

「逃げよ!逃げよ!」

 

「そうしよう!そうしよう!」

 

「急げ!」

 

「逃げろ!」

 

と一年生チームは一目散に逃げ様としていたが、泥沼に足をとられ進めず脱出を試みていた。

 

「秋人、M3が逃亡を図ろうとしている」

 

「わかった、ミーナ照準をM3に合わせろ!良は、徹甲弾を装填!」

 

「「了解!」」

 

と言われてミーナは、タレットを前に踏み込み砲塔を右に旋回させM3に照準を合わせ良は、徹甲弾を装填する。

 

「徹甲弾装填完了!」

 

「Fire!!」

 

と言い綾乃が引き金を引く。ティーガーの放った8.8cm砲弾は砲口初速秒速800mでM3に向かって飛んで行き正面装甲に命中し撃破判定をくらった。

 

『DチームM3、Eチーム38(t)、Cチーム三号突撃砲、Bチーム八九式いずれも行動不能!』

 

と無線から蝶野がそう言う。残るは、秋人達のティーガー戦車Fチームとみほ達のⅣ号戦車Aチームの2チームだけとなった。そしてそこから、戦車道の名家の西住みほとドイツ国防軍最精鋭の『グロースドイチェラント』師団戦車隊長の日向秋人の一対一の一騎討ちが始まろうとしていた。

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