ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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一対一の対決

「いよいよ日向殿ティーガーとの一騎討ちですね西住殿」

 

「うん、そうだね」

 

「あれ!?日向さん達の戦車が居ない先まであそこに居たのに?」

 

と武部が言い皆が見ると先まで川沿いに居た筈の秋人達のティーガーは其処には居らずみんなが辺りを見回しながら探した。

 

「居ました!あそこです!!」

 

と秋山がある方向に指を指してそう言って、皆がその方向を向く。Ⅳ号戦車の車体後方の直線上にティーガーがいたのだ。

 

「いつの間にあんな所に」

 

「全然気付きませんでしたわ」

 

「まずいですよ、この橋でティーガーとの対決は逃げ場がないのでこちらが不利です。今ここで砲撃を食らったら・・・・」

 

と秋山がそう言う、橋の上では左右に移動する事が出来ず前後にしか行けず砲撃する側からすれば恰好の標的だ。更にドイツの戦車タイガーは連合軍の兵士にタイガー恐怖症を引き起こさせる程恐れられていたのだ。88mmの主砲は2000mの射程でどんな装甲板も破壊するのだ。Ⅳ号戦車では砲弾が届かないし、接近してもタイガーの前面装甲は250mmの厚さがありあのIS-2の122mmの弾も跳ね返してしまう怪物なので、この難攻不落の戦車の攻略は難題だった。そんな時

 

「待ってやる!」

 

「「「「え!?」」」」

 

「お前達が橋を渡り終えるまで待ってやると言っているんだ!」

 

と砲塔の上で仁王立ちしている秋人は、みほ達のⅣ号戦車が橋を渡り切るまで砲撃しないと言うのだ。

 

「随分気前がいいだね」

 

「うん・・・・冷泉さん、このまま橋を渡って下さい」

 

「分かった」

 

みほは、少し迷ったが秋人の事を信じて冷泉に橋を渡る様指示する。そして、その間秋人は約束通りみほ達Ⅳ号が橋を渡り終えるまで一切砲撃しなかった。そしてⅣ号が橋を渡り終えると秋人はキューポラの中に入る。

 

「さてと、どう攻めてやろうか?」

 

とお互い睨み合って動こうとしない。通常こうした戦い方は、西部劇の決闘の撃ち合いの様に冷静さを保って相手より先に撃った方が勝つのだ。Ⅳ号D型の砲身の短い75mmでは、例え零距離からでも弾かれるだろう。だから、比較的薄い側面装甲か、エンジンを積んでいる後面、履帯を破壊するか、そしてタイガーには、砲塔と車体との間に小さな溝がありそこを砲撃されると砲塔を旋回できなくなるのだ。Ⅳ号が勝つにはこのうちのどれかだろう。

 

「秋山さん聞いて、これからティーガーの右側にまわるから破甲砲弾でティーガーの砲塔を狙って下さい」

 

「了解です!」

 

「冷泉さん、ティーガーの右側に回って下さい!」

 

「わかった」

 

最初に動いたのはみほ達だった。Ⅳ号は大きく迂回しようとする。秋人は、これを見て側面か後面を砲撃するのだと判断した。

 

「矢張り側面か!ミーナ左に旋回」

 

「了解!」

 

秋人がミーナにそう指示するとミーナはティーガーを前進させ左に旋回させる。まずは、Ⅳ号の第一弾が発射されたが、砲弾はティーガーの近くに地面に着弾した、急いで秋山は次の弾を装填しティーガーに狙いを定める。続いて第二弾が発射され砲弾は、ティーガーの砲塔上面に当たるも跳ね返った。そして今度は、ティーガーがⅣ号に狙いを定める。

 

「狙いは定まった!今度はこっちの番だ」

 

「撃って!」

 

ティーガーの88mm砲が火を吹き砲弾がⅣ号戦車に向かって秒速800mで飛んで行く、そして砲弾はⅣ号戦車の側面に命中し爆発しⅣ号から撃破判定のフラグが立った。

 

『AチームⅣ号行動不能よって、Fチームティーガーの勝利!』

 

と無線から蝶野が秋人達Fチームの勝利を宣言した。だが、この結果は当然と言えば当然と言える結果だった。幾ら戦車道の家元の西住みほがいると言っても他は今日戦車に乗った子ばかりの素人集団だ。対して秋人達は、第二次世界大戦の独ソ戦で幾多の戦車戦を繰り広げて来た職業軍人と言える猛者だ。

 

『回収斑を派遣するので行動不能の戦車はその場に置いて戻って来て』

 

と無線から蝶野が行動不能の戦車は回収斑が回収するとの事で撃破された戦車から各チームの女子達が戦車から降りて格納庫に向かう事にした。

 

「矢張り彼女と彼等に戦車道を受講させたのは正しかった」

 

「作戦通りだね」

 

と38(t)の中では、生徒会の河嶋と角谷は、上手く行ったと言わんばかりに笑う。

 

 

そして、秋人達もティーガーに乗って格納庫に向かおうとしていた時、

 

「日向さん!」

 

と被弾によって煤だらけになったみほがⅣ号から降りて秋人の所にやって来た。秋人は、ティーガーから降りてみほの元に近寄る。

 

「何ですか?西住さん」

 

「先は、ありがとうございます」

 

とみほが秋人に頭を下げてお礼を言う。

 

「ありがとうとは・・・・?」

 

「三突から砲撃されそうになった時日向さんは私達を助けてくれました」

 

「俺は、一番厄介な三突を撃破しただけだ。お礼を言われる筋合いはないから」

 

「それでもです!理由はどうあれ私達を助けてくれた事には変わりありません」

 

「取り敢えずは、そう言う事で受け取っておきます」

 

そう言うと秋人は、振り返ってティーガーに乗り込みティーガーを発進させ格納庫に向かう。みほもAチームのみんなの元に行き共に格納庫に向かった。

 

 

 

「みんなグッジョブベリーナイス!初めてでこれだけガンガン動かせれば上出来よ!特にAチームとFチーム良くやったわね」

 

と夕刻、一同は格納庫の前に立つ蝶野の前で整列をした。そして、今回の練習試合でのMVPが発表されみほと秋人のチームがMVPに輝いた。みほ達は、負けたとは言えそれを聞いてみんな喜んでいた。秋人達は、幾らMVPを貰っても素人集団相手に勝ったと言う気がしないと言った複雑な気持ちだった。

 

「後は日々走行訓練と砲撃訓練に励む様に、分からない事があったらいつでも明示してね」

 

「一同礼!」

 

『ありがとうございました!』

 

と河嶋の号令で一同礼をして解散となった。

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