試合後、みほ達は煤と汗で汚れた体を洗い流す為学園の大浴場に来ていた。
「は〜ぁ、何か告白されるよりドキドキした」
「された事ありましたけ?」
「お父さんは、いつも私の事大好きだって言ってるもん」
「いいお父さんだね」
武部が、父親からよく大好きだと言われている事に対してみほが優しい父親と称える。果たして、父親が実の娘に対して大好きと言うのは告白と言えるのだろうか?
「最初はどうなる事かと思いましたけど、凄くワクワクしました!」
「はい!大変充実してました」
そう秋山が言うと武部と五十鈴が頷く。
「「うんうん」」
「でもさぁ〜、車長はやっぱみほがやってよね〜」
「え!?」
「わたくし達では、やはり戦車の事よく分かりませんし」
「西住殿は、頼りになりますし」
武部から戦車長は、みほがやってと言われて驚くみほ。五十鈴や秋山もみほが戦車長に成る事に反対は無く寧ろ大賛成だった。
「え!え!私が!?そんな私なんて全然頼りになんか・・・・」
「よろしくお願いします」
「よろしく!」
「よろしくお願いたします」
「・・・は、はい!こちらこそよろしくお願いします!」」
と最初こそ謙遜していたみほだったが、五十鈴、武部、秋山から一同にお願いされみほは、少し戸惑うも覚悟を決めて皆に頭を下げて承諾する。
「他はどうします?」
「私は何が向いているかな?」
「えっと・・・誰とでも仲良く話せるから通信手はどうでしょう?」
「いいかもメール打つの早いし」
「それは関係ないんじゃ?」
「ぶー」
「後は・・・・」
みほが戦車長に成る事が決まり、他皆の配置についてどうするか考えて武部が通信手になる事が決まった。そんな中五十鈴が意を決してみほに申し出た。
「あ、あのわたくし砲手をやってもいいですか?」
「え?」
「・・・ジンジン痺れた感じが忘れられなくて、それに強い自分に成れそうなんです」
「じゃぁ五十鈴さんが砲手で」
「では、私が装填手をやります」
「後は、操縦手・・・・」
と五十鈴が自ら砲手をしたいと名乗り出した。どうやらあの試合での八九式を撃破した時の快感が忘れられず、そして強い自分になりたい為との事。そして、秋山は装填手に名乗りを挙げこれで、残るは操縦手のみとなった。そんな時、隣の風呂に入っていた冷泉麻子が上がるところに皆の視線が冷泉に向けられる。
「麻子操縦手お願い」
「もう書道を選択している」
「え〜」
武部から操縦手を頼まれたが、既に書道を選択したと言って突っぱねる。
「冷泉さんが居てくれると助かります」
「あ、あの冷泉さんお願いします」
「あの運転はお見事でした!」
とみほ、五十鈴、秋山も冷泉に操縦手をしてくれる様頼み込むが、
「悪いが無理・・・・」
と言って大浴場から出て行く。すると、
「麻子!遅刻ばっかで単位足りてないじゃん!戦車道取れば色々特典が有るんだよ!!このままじゃ留年なんでしょ」
武部が冷泉の遅刻癖で進級に必要な単位が足りていない事を言い、戦車道に入れば挽回出来ると言うと、出て行った筈の冷泉が戻って来た。
「わかった・・・・やろう戦車道・・・」
そして、冷泉は武部に自分の一番気にしている所を突かれ渋々ながら戦車道に入る事を決め、それを聞いて皆満面の笑顔を浮かべる。
「西住さんに借りがある・・・・それにあの人にも・・・」
「つか単位欲しいんでしょ?」
「借りを返すだけだ」
と冷泉は、みほと秋人から今朝遅刻しそうな時助けて貰った恩を返す為に入ると言う。
「5人揃いましたね」
「改めてよろしくお願いします」
「んじゃあ〜やっぱあそこ行かなきゃ!」
と武部が何やら何処かに行こうと提案する。
一方、秋人達は解散した後学園からの支援金を元手に近くのホームセンターに行きこれからの生活に必要な必需品を買いに来ていた。
「うぉ〜、ここが未来の日本の雑貨屋か!ズゲェ、ドイツやオーストリアの雑貨屋とは比べ物にならねぇくれぇデケェぞ!」
「人多いし迷いそう」
「二人ともあんまり騒がないの!周りに迷惑でしょ!」
ホームセンターに興奮する良と綾乃をミーナが注意する。
「ねぇ〜ここからは、各自自由行動にしない?」
「そうだな、じゃぁ各自各々必要な物を買うとするか」
「賛成!」
と幸也が買い物は各自でやろうと提案して秋人が承諾する。そして各自散らばり各々の買い物をする。秋人達の部屋にはベッド、テレビ、冷蔵庫、タンスと言った必要最低限の物しか無く他にも必要な物を買う為色々なところを廻って行った。秋人達は、生活雑貨・日用品や衣類品、食品などを買い占める。因みに、秋人は携帯ショップに行き6人分の携帯を学園名義で購入した。
その後、必要な物を買った秋人達は、帰ろとしたが、秋人だけまだ残ると言う事でミーナ達は、先に寮に帰って行った。秋人は、暫く店内を彷徨いていると、
「何でここ何だ?」
「てっきり戦車道ショップに行くかと・・・・」
と聴き慣れた声がした。声のした方を見ると其処には買い物に来たのであろうみほ達ともう一人気怠そうな黒髪の子が居た。
「あれ?日向さんじゃん」
「お前らか、最近よく合うな」
と武部が秋人に声を掛けて来た。
「日向さんは、こんな所で何を?」
「見てわかんないか、買い物だよ。一応寮には必要最低限の生活必需品はあるが他にも必要な日用品と角谷会長から必要になるだろうからって勧められた携帯を先ミーナ達と買いに来てたんだ」
「へぇ〜日向さん携帯買ったんだ。ちょっと携帯貸してくれない?」
「まぁ、別に構わないが・・・・ほら」
と武部が携帯を貸してと手を差し出して来たので、秋人は何の躊躇いもなく武部に買ったばかりの携帯を手渡した。
「携帯なんかどうするんだ?」
「どうするって、これから戦車道をする仲間なんだからさぁ、連絡先くらい交換しといた方がいいでしょ。あと、みほ達の連絡先も入れておくから」
(・・・・仲間・・・か)
と武部は秋人の携帯に自分のとみほ達の連絡先を交換した。武部からタイムトラベラーの自分を仲間と言われてどこか嬉しい気持ちがあった。
「そう言えばお前たちは、何か買いに来たのか?」
「戦車道する為に必要な物をね」
「ここに戦車道に必要な物なんて無いだろ?」
「だって、もうちょっと乗り心地良くしたいじゃん!乗っているとお尻痛くなちゃうんだも〜ん」
「え!?クッション引くの!?」
「ダメなの?」
と武部は、戦車の乗り心地が悪いからとクッションを買いに来たと言い、
「ダメじゃないけど、戦車にクッション持ち込んだ選手見た事ないから」
「あ、これ可愛くない!?」
「これも可愛いです」
確かに戦車にクッション引いてる奴なんて見たことも聞いた事もないね。武部がハート型のクッションと五十鈴が和風感のあるクッションを互いに手に取って見せ合っている。後ろにいる秋山はガッカリと肩を落としている。そんな中、秋人は、冷泉に話をかける。
「あんた確か今朝の・・・冷泉さんだったか?もしかしてあんたも戦車道を?」
「今朝は、世話になった。最初は書道を選択していたが西住さんと日向さんには今朝大きな借りがあるから借りを返すために戦車道に入った・・・・・」
と冷泉は、秋人に頭を下げて礼を言う。
「借りを返すって別に俺は、恩返しして欲しくって助けた訳じゃないが」
「それでも、私は受けた恩はきっちり返す」
今朝ふらふらして遅刻しそうな所を背負って学園まで送り届けたぐらいの恩を返すとは義理堅い冷泉に秋人は正直感服した。
「後さぁ〜、土足禁止にしない?」
「「「「え!?」」」」
「だって汚れちゃうじゃない?」
「土禁はやり過ぎだ」
「確かに、裸足で戦車に乗る奴なんて聞いた事ないね。足挟んだり切ったりで怪我するだけだぞ」
と武部が戦車では、土足禁止にしようと言い出したので冷泉と秋人が反対意見を述べる。
「えぇ〜じゃぁ、色とか塗り替えちゃダメ?」
「ダメです!戦車はあの迷彩色がいいんですから!!」
土禁に不貞腐れ次は戦車の色変えを言い出した。すると、秋山が戦車の塗装替えに反対し迷彩色がいいと秋山なりのこだわりがあるのだろう。
「あぁ、芳香剤とか置きません?」
「鏡とかも欲しいよね!携帯の充電とか出来ないのかな?」
お前ら、鏡とか芳香剤とか戦車に一体何を追求してんだ!?何か、そんなやり取りを西住さんも絶句しちゃってるよ。