翌日、各チームの戦車は変わり果てていた。八九式は車体と砲塔に"バレー部復活!"とスローガンが書かれ、三突は赤、青、白とカラフルな色に塗装され更には新撰組の誠の旗に海援隊の旗、真田家の家紋の真田六文銭や武田信玄の風林火山の旗を掲げ、M3は全身ピンク一色に塗装され、38(t)に行った手は車体が金色に統一されている。唯一変わってないのはみほ達のⅣ号戦車だった。
「ミラクル・・・」
秋人の各チームの戦車を見て出た一言だった。
「かっこいいぜよ」
「支配者の風格だな」
「うむ」
「私はアフリカ軍団仕様が良かったのだが・・・・」
「これで自分達の戦車が直ぐにわかる様になった!」
「やっぱピンクだよね」
「かわいい」
と各チームは満足そうに言う。まぁ、本人達がそれで良いならいいんですけど、
「いいね〜河嶋この勢いでやっちゃおか」
「はっ、連絡して参ります」
「え!?何ですか!?」
と河嶋はその場を離れて何処かに行ってしまった。隣に居る小山はわからない様だった。
「む〜私達も色塗り替えれば良かったじゃん!」
「あぁ、38(t)が!!三突が!!M3や八九式が何か別な物に!!あんまりですよね!」
と各チームの戦車を見て武部は餅みたいに頬を膨らませ戦車の塗装をしたかった様で、秋山は各チームのメンバー達によって変わり果てる戦車達を見て声を荒立てる。
「これじゃ、戦車じゃなくて面白オブジェだな。まぁ中々奇抜ではあるが」
「ふふっ」
するとみほが突然笑い出した。
「に、西住殿?」
「戦車こんな風にしちゃうなんて考えられないけど、何か楽しいね。戦車で楽しい何て思ったの初めて」
と笑ってそう言う。
「そう言えば日向殿も戦車の色を変えたのですか?」
「あぁ、年月と激しい戦闘であっちこっちひび割れや剥がれがあったし、今の環境じゃあの白は合わないからな、白とは当分お別れだ」
Ⅳ号戦車の隣にある秋人達のティーガーは純白の白から三色迷彩に変わっていた。長い月日と戦闘によりティーガーの塗装はひび割れや剥がれがあり、更には白い迷彩はロシア様な冬の大地にこそその迷彩を発揮するのでそれ以外の所では反って目立ってしまう為白い迷彩を剥がして三色迷彩にしたのだ。
「矢張り日向殿は分かっています!やっぱり戦車はあの迷彩色が良いですよね!!」
「あ、あぁ」
秋山の勢いに押される様な形で同意した秋人。更には秋人のティーガーの車体側面にはバルケンクロイツの隣に大洗女子学園の校章やティーガーの砲塔には『グロースドイチェランド』師団の師団章である白いシュタールヘルムのマークが描かれていた。そして砲塔と車体にはナチス・ドイツの国旗とドイツ国防軍の軍旗が添えられていた。
そして、同じ頃 とある学園では、英国洋式の広間でアフタヌーンティーをしながら電話をする金髪を三つ編みに束ねた美少女とその周りにその美女と同じ髪型をしたオレンジ色の髪をした美少女と金髪を黒いリボンで束ねた美少女が居た。
「大洗女子学園、戦車道を復活されたんですの?おめでとうございます。結構ですわ。受けた勝負は逃げませんの、試合楽しみにしていますわ」
そう言って受話器を置く。
その頃秋人達は、戦車道の訓練に明け暮れていた。訓練内容としては、走行訓練、射撃訓練など秋人達にとっては基礎中の基礎と言える様な初歩的なものばかりだった。秋人は、訓練中各チームの力量を測ってみたが全員が素人だ。こんなじゃ全国大会出場出来るかもめっちゃ不安になって来た。秋人は、各チームの戦車の特徴を活かす為訓練内容を考える必要があった。第二次世界大戦の独ソ戦の戦車戦で激しい死闘を経験した秋人は、これからはこれまで以上に機動力が重視されると考え秋人は、大洗女子学園の戦車道履修生達を敵陣の守備を突破出来る機動性に優れた攻撃部隊に育てようと考えた。
「今日の訓練ご苦労であった!」
『お疲れ様でした〜』
「えぇ、急ではあるが、今度の日曜日練習試合を行う事になった」
戦車道の訓練が終わり空はすっかり夕暮れ時に成っていた。生徒会の号令と共に挨拶をした。皆疲れ果てている中、河嶋が突然の他校との練習試合の話が出て皆戸惑い騒ぎ出す。
「相手は聖グロリアーナ女学院」
すると、秋山が相手校の学校名を聞いて難しい顔になる。
「どうしたの?」
「聖グロリアーナ女学院は全国大会で準優勝のした事のある強豪です」
「準優勝!?」
と秋山が聖グロリアーナ女学院が準優勝を収める程の実力者と言うのだ。
「聖グロリアーナ女学院・・・・か」
と秋人が小声で学院名を呟く。
「日曜は学校へ朝6時に集合!」
そんな中、集合時間を聞いて絶望の顔をする人物がいた。
「・・・・やめる」
「はい?」
「やっぱり戦車道やめる」
「もうですか!?」
と冷泉が突然戦車道を辞めると言い出しみほ達は戸惑う。
「麻子は朝が弱いんだよ・・・・」
と武部が冷泉が朝弱い事を皆に伝える。そう言えば彼女昨日の朝会った時かなりフラついていたがそれか。そして、帰って行く冷泉をみほ達は追って必死で説得しようとする。
「ま、待ってください!」
「6時は無理だ!」
「モーニングコールさせていただきます!」
「うちまでお迎えに行きますから」
「朝だぞ・・・・人間が朝の6時に起きれるか!?」
と冷泉は言う。冷泉さん、人間そこまで柔じゃ無いから。そして秋山が更には冷泉に追い討ちを掛ける言葉を放つ。
「いえ、6時集合ですから起きるのは5時ぐらいじゃないと」
「人には出来る事と出来ない事がある!短い間だったが世話になった!」
とだけ言って立ち去ろうとしている冷泉を秋人が呼び止める。
「(仕方ない・・・)待てよ、冷泉さん」
「何だ?」
「あんたの決めた事に俺はとやかく言ったり意見を押し付ける気はないが、あんた俺と西住さんに借りが合ってその借りを返す為に戦車道に入ったんだろ?なのに自分が早起き出来ないから戦車道を辞めると?一度引き受けた事を途中で放り投げるっては俺は感心しないな、そう言うのを恩を仇で返すって言うだぞ」
「うっ」
「そうだよ、麻子!!麻子が居なくなったら誰が運転するのよ!?それに良いの単位!!」
「うっ・・・・」
と秋人と武部が冷泉の痛い所を突く。冷泉は、何処か後ろめたさを感じている様だった。
「このままじゃ進級出来ないよ!!私達の事先輩って呼ぶ様に成っちゃうから!私の事沙織先輩って言ってみ!!」
「さ、さ・お・り・・・せん・・・」
(はぁ・・・無理しているなぁ・・・・)
歯切れ悪そうに『沙織先輩』と言う冷泉。そんな冷泉を見兼ねて武部が溜息を吐きそして、次に冷泉にとっては恐怖の呪文とも言える単語を言い放った。
「はぁ〜、それにさちゃんと卒業しないとお婆ちゃんめちゃくちゃ怒るよ?」
「おばぁ!?」
と冷泉は『お婆ちゃん』と言う単語を聞いてさっきまでとは打って変わり借りてきた猫の様に大人しく成ったかと思えば怯えた顔になった。如何やら、冷泉さんの祖母は怖い人なんだろうなぁ。
「わかった・・・やる・・・」
色々と迷った末に戦車道を続ける事を承諾してくれた様で、冷泉の脱退は何とか免れた。