ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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いざ、大洗へ!!

翌日、時刻は日がまだ登らない4時に秋人は目を覚ます。軍人として規則正しい生活を送って来た為、早朝に起きるのは難しくなかった。ベッドから起き上がると顔を洗って歯を磨いた後軽く朝食を取り軍服に着替えて寮を出ると、

 

「あ!おはよう日向さん」

 

寮の前に武部が待っていた。昨日、一緒に冷泉を迎えに行くと約束したが秋人は冷泉の家の場所を知らない為寮で待ち合わせする事にしたのだ。

 

「おはよう武部さん。じゃあ。早速行こうか」

 

「うん」

 

そして、秋人は武部に冷泉の家に案内してもらう形で向かう。

 

「いやー、日向さんと二人っきりとかなんだか照れるねー」

 

「改めて言わんでくれ、こっちまで照れる」

 

あまり意識しないようにしていたのに、同い年の女の子と二人っきりと言うシチュエーションに、少し気恥ずかしさを覚える。

 

「武部さん」

 

「え…ひゃっ!?」

 

秋人はドンッと彼女の背後にある壁を叩く。彼女を壁に押し付ける形になってしまった、

 

「ちょっと、ごめんよ」

 

「あ、あわわわわ…!?(こ、こここっ、これって噂の壁ドン…!?そんな、待って、いきなりなんて…あああ、日向さんの顔が、顔が超近くにあるよぅっ、背丈高いよぅっ、格好いいよぅ…!!)」

 

そして、秋人が手を伸ばして彼女の髪の毛に触れる。

 

「武部さん…」

 

「だ、だだだ、だめぇっ!こういうのはまだ早いのっ!」

 

「え…おわっ!?」

 

「や、やだもーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

「た、武部さーん!?」

 

突然真っ赤になった武部は秋人を押し退けて、そのまま走り出してしまった。

 

「髪にゴミ付いてたから取ってあげたんだが、急に失礼だったかな?」

 

走り去る武部の姿を見て秋人の手には、糸屑を見る。

 

「もしかして、急に迫ってきたから恐怖で逃げたのか?・・・後で謝らないとな」

 

と男に迫られて逃げたのだと思った秋人は、武部の後を追うのだった。

 

「やだもーーーっ、この後どんな顔して日向さんと会えばいいのーー!」

 

武部は、真っ赤になった顔を両手で覆い隠しながらそう言う。

その後、何とか誤解を解いたがお互い気まずくなってしまった。数十分くらい歩いて川沿いにある赤い壁の1階建ての平屋に着いた。如何やらここが冷泉さんの家の様だ。そして武部がインターホンを鳴らして、

 

「麻子!!起きてる試合に行く時間だよ!!」

 

と玄関前でそう言うが返事は無かった。何回かインターホンを鳴らすも返事が無かった。これは、完全にまだ寝ているな。すると、武部は携帯を取り出して誰かに電話を掛ける。

 

『もしもし?』

 

「もしもしみほ!今、麻子んち何だけど、やっぱ起きなくてさあ!!どうしよう?」

 

如何やら西住さんに連絡をしたみたいだ。これは電話の向こうで西住さんがため息を吐いているのが想像できるな。その後武部が電話を切ってポケットにしまうのと入れ替わる様に鍵を取り出した。

 

「も〜うこうなったら中に入って起こすしか無い」

 

そう言って武部は、玄関の扉の鍵を開けて中に入って行く。

 

「日向さんも上がって!多分麻子まだ寝室で寝てると思うから。麻子!起きてよ!!」

 

そう言うと武部は冷泉の寝室に直行した。秋人も玄関に入って上がろうとすると、ある事に気づいた。玄関の靴置き場には入って行った武部の革靴の他に冷泉さんの物と思われる革靴と他の靴もサイズからして冷泉さんの靴の様だが他の靴は一切見当たらなかった。それに、あれだけインターホンを鳴らして家族の誰一人として出て来なかったのも不思議だった。冷泉さんの両親は不在なのか?

そんな事を考えながら秋人は冷泉の寝室に向かう。そこでは寝ている冷泉の布団を武部が剥ぎ取ろうとしていた。

 

「うーんもう麻子起きてよ!!試合なんだから!!」

 

「・・・眠い」

 

「単位はいいの!!」

 

「よくない・・・」

 

「だったら起きてよ!!」

 

「不可能なものは不可能・・・」

 

武部がどれだけ布団を引っ張ってもびくともしない。側には目覚まし時計が2、3個置いているにも関わらず起きられないとは、どんだけ眠いのやら。秋人は、冷泉に近づいて布団越しから冷泉の頭を人差し指で突っつく。

 

「冷泉さん、起きる時間だ。早く起きないと遅刻するぞ」

 

「・・・・ん?・・・・・!?な、なんで日向さんがここに居るんだ!?」

 

「昨日、武部さんと一緒に冷泉さんを起こしに行くと約束したんだ」

 

「そ、そうか・・・だが・・・いきなり女子の部屋に入って来て・・・突っついて来るのは・・・・い、いただけないぞ!」

 

「そいつは悪かったな、だがこうでもしないと冷泉さん起きないだろ」

 

すると、突然外からラッパの音がしたので秋人と武部が窓を開けるとそこには秋山が居た。

 

「おはようございます。武部殿!日向殿!」

 

「「お、おはよう・・・・」」

 

秋山が挨拶をして来たので二人も挨拶を返すと向こうからⅣ号がやって来てⅣ号の砲身が上を向くと

 

ドカーン

 

とⅣ号がといきなり発砲する。

 

「なんだ!?」

 

「どうしたの!?」

 

Ⅳ号の砲撃音に驚いて目を覚ます近隣の住民達に、

 

「すみません!空砲です」

 

とキューポラから顔を出しているみほがそう言って砲撃音で驚かしてしまった人達に謝る。そりゃ、確かに朝っぱらから騒音出されればそりゃ近所迷惑だ。

 

「「おはようございます」」

 

「はぁ〜・・・・私を起こすだけなのに・・・・ここまでするとは・・・」

 

「それぐらいやらないと冷泉さん起きないだろ」

 

その後冷泉は渋々起き上がり制服を持ってパジャマのまま武部に担がれる形でⅣ号に乗り込む。

 

「あの日向さんも一緒に乗って行きますか?」

 

「有難いがその気遣い無用だ。・・・・そろそろ来る頃だな」

 

とみほの誘いを断り自身の腕時計を見る。すると、地震のように家の家具が揺れ始めそれと同時に独特のエンジンの馬力の音と履帯の動く音が聞こえて来た。

 

「来たな!」

 

と秋人がそう言うとみほ達も後ろを振り返ってみると向こうから秋人達のティーガーがやって来たのだ。ティーガーは、Ⅳ号の後ろで止まりキューポラからミーナ達が顔を出す。

 

「迎えに来たよ秋人」

 

「さっさと行こうぜ!もうみんな先に行って待ってるぞ」

 

「もう残っているのは僕達だけだよ」

 

「早く行こう!!」

 

「あぁ、万が一の時のためにこいつらを呼んでおいたんだ。もし、冷泉さんが起きなかった場合最終手段としてそのままティーゲルに乗せていくつもりだったんだ」

 

そう言って秋人は、ティーガーのによじ登り乗り込む。

 

「じゃあ!日向さん達は、私達の後について来て下さい!」

 

「わかった。よし、ミーナ!このままⅣ号の後に付いて行くぞ!!」

 

「OK!」

 

そして、Ⅳ号が発進すると秋人達のティーガーもⅣ号に続く様に動き出し住宅地を走行して行く。

 

「なになに?」

 

「どうしたの?」

 

「す、すみません」

 

朝っぱらの住宅地で戦車の走行音に住宅の人々が家から顔を覗かせる。みほは、騒音を出している事に謝る。

 

「あら〜Ⅳ号久しぶりに動いているの見たわね〜おや!?ティーガーは初めてだねうちにあったんだね?」

 

「すご〜い戦車!」

 

「戦車道復活したって本当だったのね」

 

「試合か頑張れよ」

 

「ありがとうございます!頑張ります!!」

 

と花に水やりをしていたお婆さんは動いているⅣ号を見て懐かしむと同時に大洗にティーガーがあった事に驚いた。そして、家の二階の窓から顔を出している子供と母親は興奮しながら戦車を見て、隣の家のおじさんは応援してくれた。そして、みほがお礼を言う。

 

「歯磨いて下さい」

 

「顔も洗って下さいね」

 

「終わったら制服に着替えって!あ、朝ご飯もあるからね!おにぎり作ってきたから」

 

とⅣ号の車内では秋山、五十鈴、武部に手伝われながら冷泉は朝の身支度をする。そんな様子を見てみほは微笑む。一方の秋人達は、この様に住民から暖かく見送られるのはソ連侵攻前の出征の時以来だろう。

 

「こうやって人々に見送られるのも久しぶりね」

 

「あぁ、しかしあの世界大戦で6000万人の人々が命を落としたのにそれを皆70年で簡単に忘れ、兵器である筈の戦車が今では競技の一つとしてこうして人々に普通に受け入れられているんだな」

 

「そうね・・・」

 

「「「・・・・・」」」

 

そんな人々とは、裏腹に秋人達は複雑な心境だった。秋人達は、未だに戦車が競技の一つとして扱いに抵抗があった。それは、そうだあの独ソ戦を戦った秋人達は多くの戦友を失い、多くの敵兵を殺して来た。その戦車が、競技となっているなど戦争を命懸けで戦った兵士達や死んで行った者達に対しての侮辱でしか無いのだから。

その後、みほ達や秋人達は他の戦車道の履修生達と合流して学園艦の甲板に大洗に寄港するの待っていた。

 

「久しぶりの陸だ。アウトレットで買い物したいなぁ」

 

「試合が終わってからですね」

 

「えぇ〜昔は学校がみんな陸にあったんでしょ。いいなぁ、私その時代に生まれたかったよ」

 

「私は、海の上が良いです。気持ちいし星もよく見えるし」

 

「西住さんは、まだ大洗の街歩いた事無いですよね?」

 

「あ、うん」

 

「後で、案内するね」

 

「ありがとう」

 

などと大洗に来たことのないみほに大洗の街を案内しようと提案する。一方の秋人達は静かに陸地の方を見ていた。

 

(いよいよ未来とは言え日本に来たんだ!俺達・・・)

 

その後学園艦は大洗の港に着き、港に着きみほ達は、学園艦を降りて行く。その時、大洗の学園艦の隣に大洗よりも一回りも二回りも巨大な学園艦が大洗に寄港して来た。

 

「デカっ!!」

 

「あれが・・・聖グロリアーナ学院の戦車ですか?」

 

「うん・・・」

 

皆は、その巨大さに圧倒されていた。そして、学園艦からチラッと聖グロリアーナ戦車が見えた。

 

(マチルダⅡとその前方には・・・・チャーチル歩兵戦車だな。面倒な奴がいるな)

 

とマチルダの先頭を走るチャーチル歩兵戦車を見てそう述べる秋人。チャーチル歩兵戦車は、第二次世界大戦のイギリスの首相ウィンストン・チャーチルの名が付けられた戦車。主砲は、オードナンスQF75mm砲を装備し、装甲は16〜102mmの装甲を持つ。チャーチルも又、レンドリース法によりマチルダ同様イギリスからソ連に輸送され、ソ連軍親衛重戦車連隊に配属されスターリングラード攻防戦やクルスクの戦いにも導入され秋人達も何度か戦った事のある相手だった。

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