『ピンポンパ〜ン。本日、戦車道の親善試合が午前8時より開催されます!競技が行われる場所は立入禁止となっておりますで、皆様ご協力をお願い致します。尚、アウトレット他見学席を設けておりますので・・・・』
「地元チームの試合は久しぶりだね〜」
大洗の町では試合開催のアナウンスが町中に流れて観客達はモニター画面から試合会場の様子を見ていた。
試合会場では大洗の車長達は戦車の前で整列をする。秋人達は、36年型野戦服から黒い戦車服に袖を通していた。そうして待っていると履帯の音がして来た。あのチャーチルを先頭に左右にマチルダ5両を従えて聖グロリアーナ女学院の戦車隊がやって来た。そして戦車隊が止まるとチャーチルから一人の女性が降りて来て河嶋と挨拶を交わす。
「本日は、急な申し込みにも関わらず試合を受けていただき感謝する」
「構いません事よ。それにしても・・・・"個性的な戦車ですわね"」
と彼女は口を抑えてクスクスと笑いながら言う。まぁ、彼女の気持ちも分からんでもない。ピンク一色のM3やカラフルな三突や金色の38(t)やまだマシだが願望を綴った八九式などを見れば誰だってそう思うだろう。そして、河嶋は彼女からそう言われてたじろぐ。
「ですが、わたくし達はどんな相手にも全力を尽くしますの!サンダースやプラウダみたいに下品な戦い方は致しませんわ。騎士道精神でお互い頑張りましょう!」
そう言って彼女は周りを見渡すと彼女の視線が秋人に向けられる。
「あら?そちらのチームには男性の方が・・・・あら、あなたは!?」
「ダージリン様どうしたんですか?」
聖グロリアーナの隊長ダージリンと呼ばれる女性が秋人を見て驚き、彼女と同じ髪型をした女子が首を傾げて聞いて来た。対する秋人も彼女を見て
「あぁ、あんたは!?」
「日向さん?聖グロリアーナの隊長の方と知り合いなんですか?」
「あぁ、ちょっとな実は・・・・
◇ それは、遡る事数十分前の事。試合時間までまだ少し余裕があったので秋人は、初めて来る日本の大洗の地を歩きながら勝利の祈願する為、大洗神社に参拝した帰りにコンビニで嗜好品の缶コーヒーと板チョコ購入した。時間も迫っていたので急いで試合会場に戻ろうとしていると突然、
「ちょっとやめて下さい。わたくし急いでますの!!」
と女性の声がした。声のした方を見てみると金髪を三つ編みに束ぬた女性がガラの悪い3人の不良グループに絡まれていた。
「いいじゃねか。君イケてるじゃん俺らと遊ぼうぜ」
「その服聖グロリアーナだな」
「へぇ〜お嬢様ばっかしの学校じゃん」
「離して下さい!!」
と嫌がる彼女を強引に手を引っ張る不良達。周りの人達は関わりたくないと言った感じで見て見ぬふりをして通り過ぎて行くだけだった。そんな状況を見兼ねた秋人は、
「おい!お前ら、彼女は嫌がっているだろうが!!大男三人で寄ってたかって嫌がる女を無理やり手籠にするお前らの根性・・・全く羨ましくないなぁ!」
「何だ?こらぁ〜正義のヒーロー気取ったんじゃねぇぞ!コスプレ野郎が!俺らの邪魔すんじゃねぇよ!」
と助けに入った秋人に不良の一人が秋人の胸ぐらにつかみかかる。
「痛い目みないとわかんないか?」
と秋人は不良の腕を掴んで背負い投げを食らわせる。
「何しやがんだ!テメェ!」
「ヤロォーよくもやりやがったなぁ!」
と不良の一人が投げ飛ばされたのをみて他の不良二人が秋人に殴り掛かろうとしていた。
「うるせえんだ。クソ外道がよぉ」
とそう言って尽かさず秋人は、不良の一人を腕を掴んで四方投げを食らわせもう一人の不良も小手返しを食らわせて不良達の攻撃を跳ね除ける。すると頭に来た不良達はポケットからポケットナイフを取り出した。
「そいつを出したからには覚悟は出来ているんだろうな?」
「あ?」
「刃物を向けたからには覚悟は出来ているんだろ?」
「何言ってやがんだぁ?」
「そいつは脅しの道具じゃねぇって言ってんだ」
『うるせぇ!!死ねぇ!!』
と不良達は三人一斉に秋人に襲い掛かった。
「危ない!逃げて!!」
「大丈夫だ、じっとしていろ」
と彼女は叫ぶが秋人は余裕の笑みを浮かべてそう言うと尽かさず刀袋にしまっていた日本刀を取り出すと抜刀術の構えをして不良達に斬り込む。そして、
「つまらぬ物を斬ってしまった」
チンっ
と秋人はいつの間にか不良達の背後にいて刀を納刀していた。すると、納刀のチンっと言う音と同時に不良達のポケットナイフの刃が折られ更に不良達のズボンのベルトを斬られて不良達のズボンがずり落ちる。
「な、何だよコイツ」
「やべよ!」
「逃げるぞ!」
と不良達は顔が青ざめてそそくさと逃げて行った。
「大丈夫か?怪我はないか?」
「え!?・・・だ、大丈夫ですわ。助けていただきありがとうございます。あの・・・あなたは?」
と秋人が彼女にそう言う。彼女方は目の前の光景に呆気にとられていたが直ぐに我に返る。
「俺は、ただのしがない通行人ですよ。じゃあ、俺は急いで行かなかればならない所があるので、これで」
「あ、あの・・・」
と彼女が呼び止める間もなく秋人は走り去っていた。試合の時間が押していたので秋人は彼女の声には気付かなかったのだろう。
「不思議なお方、またお逢い出来るかしら・・・・いけませんわ!急がないと試合に遅れてしまいますわ!」
と走り去って行く秋人を見て彼女は顔を少し赤くしてそう言うと彼女は試合会場に急いで行った。だが彼女は知らなかった彼とまた巡り合う事になる事を・・・・
◇そして、今
・・・とまぁ、そんなこんなでガラの悪い男達に絡まれていた彼女を助けたと言うわけ」
と秋人は、彼女と知り合った経緯をみほ達に話す。
「そうだったんだすか」
「いいなぁ〜私もそんな少女漫画みたいな事されてみたい」
ダージリンは再びあの時のお礼を言って自己紹介をする。
「あの時は、本当にありがとうございます。改めまして聖グロリアーナ女学院の隊長ダージリンと申します。以後お見知り置きを」
「大洗女子学園戦車道の助っ人日向秋人です。よろしく」
と秋人とダージリンは互いに挨拶をすると握手を合わす。
「お互いルールに則り正々堂々フェアプレイで頑張りましょう」
「えぇ、望むところですわ」
とそう言ってる間にドイツ軍の野戦憲兵に似た服を着た審判がやって来たので皆お互いに相手同士向き合って整列する。
「それではこれより聖グロリアーナ女学院対大洗女子学園の試合を始める!一同、礼!」
審判が号令すると互いの車長はお辞儀をすると自身の戦車に乗り込んで行く。そして、両校の戦車隊は指定のスタート地点に移動して待機し審判からの試合開始の合図を待っていた。すると、
『用意はいいか、隊長?』
「あ!?はい」
『全ては貴様に掛かっている。しっかり頼むぞ!』
と河嶋から無線で連絡が入り全てはみほに掛かっていると言われた。そして、審判が両校の指定の位置を確認すると
『試合開始!』
とアナウンスで試合開始の合図が流れて全車が一斉に走り出す。